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事業資金を借りる方法とは?借りる際のポイントやメリットについても徹底解説

新しい事業を立ち上げたり、既存のビジネスを維持・拡大したりする際には、さまざまなコストが発生するので、事業資金を借りることで、資金繰りを良くすることができます。
また、事業資金を借りる方法を把握しておくことで、自社に最適な融資を受けることにつながります。
本記事では、事業資金を借りる方法について紹介します。
他にも「事業資金を借りる際のポイント」や「事業資金を借りるメリット」についても解説していきます。
ぜひこの記事を参考にして、事業資金を借りる方法について理解を深めてみてください。
事業資金を借りる方法
事業資金を借りる方法については、以下の6つが挙げられます。
- 日本政策金融公庫
- 銀行融資
- 信用金庫
- 地方自治体
- クラウドファンディング
- ファクタリング
それぞれの方法について解説していきます。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は、政府が全額出資する公的な金融機関で、個人事業主や中小企業を対象に多様な融資制度を提供しています。
最大の特長は、政府系金融機関ならではの低金利で資金を借りられる点です。
また、借入期間が比較的長く、最短でも5年以上の返済期間が設定されています。
返済期間が長ければ、その分毎月の返済負担を抑えることができるため、資金繰りの面で大きなメリットと言えます。
さらに、融資の種類によっては、担保や保証人を必要としないケースもあります。
一方で、低金利や長期融資といった利点がある反面、審査は厳格に行われます。
申し込みの際には、返済能力を示すために詳細な資料の提出が求められ、自己資金の有無も重要なチェックポイントとなります。
そのため、民間のビジネスローンのように短期間で融資が実行されるわけではなく、一定の時間がかかる点には注意が必要です。
銀行融資
銀行融資は、個人事業主が資金調達を考える際におすすめの融資です。
銀行で融資を受ける場合は、日頃から取引のある担当者に相談するか、銀行の融資窓口を通じて手続きを進めるのが一般的です。
融資を申し込むと、審査の過程で決算書などの各種資料を提出する必要があります。
これらの書類をもとに事業の信用評価が行われ、融資の可否、適用される金利、融資可能な金額などが決定されます。
信用金庫
信用金庫は、地域の人々が会員として参加し、互いに協力しながら地元経済の発展を目指す金融機関です。
特定のエリア内でのみ営業が許可されており、預かった資金は地域社会の活性化に役立てられます。
主に中小企業や個人事業主を対象とした金融サービスを提供しており、日本政策金融公庫と比較すると金利は高めに設定されていますが、資金調達の選択肢の一つに含まれます。
銀行でも融資の申し込みは可能ですが、信用金庫は地域密着型で中小企業や個人向けの支援に力を入れているため、信用金庫での融資を検討するのもおすすめです。
地方自治体
各自治体では、独自の融資制度を設けている場合が多く、業種や資金の使い道に応じた多様な融資プログラムが用意されています。
一方で、融資とは異なり、補助金や助成金は返済不要の資金援助です。
返済の負担がないため、資金繰りをスムーズにできるというメリットがあります。
しかし、これらの支援を受けるには、対象となる事業内容が補助金・助成金の趣旨に適合している必要があります。
クラウドファンディング
クラウドファンディングを活用し、事前に購入希望者を募ることで資金を確保しつつ、リスクを抑えて事業を進めることが可能です。
クラウドファンディングにはいくつかの種類があり、社会的な課題解決を目的とするプロジェクトが集まるものや、革新的な商品やサービスを支援する仕組みを持つものもあります。
ファクタリング
ファクタリングとは、企業や個人事業主が持つ売掛債権をファクタリング会社が買い取り、その管理や回収を代行する金融サービスの一種です。
通常、売掛金は取引先からの入金まで一定の期間を要しますが、ファクタリングを利用すれば、その売掛債権を前倒しで現金化できます。
この仕組みでは、事業主は売掛債権をファクタリング会社に譲渡し、その対価として手数料を差し引かれた金額を即座に受け取ることが可能です。
特に、資金繰りを早急に改善したい場合や、急な支払いが発生した際には、有効な資金調達方法となります。
しかし、利用時には手数料が発生するため、本来の売掛債権の満額よりも少ない金額しか受け取れません。
そのため、利用を検討する際には、コストとメリットをしっかり比較し、最適な資金調達方法かどうかを慎重に判断することが重要です。
事業資金を借りる際のポイント
事業資金を借りる際のポイントについては、以下の5つが挙げられます。
- 資本使途と必要金額を明確にする
- 早めに準備を始める
- 自己資金を準備する
- 確定申告をしっかりと行う
- 開業届を提出する
それぞれのポイントについて解説していきます。
資本使途と必要金額を明確にする
融資にはさまざまな種類があり、それぞれに資金の使い道や借入可能な上限額が設定されていることが一般的です。
万が一、融資で得た資金を本来の目的とは異なる用途に使用した場合、融資の取り消しや将来的な借入に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、制度ごとに借入上限額が異なるため、希望する金額を満額借りられないことも考えられます。
そのため、融資を申し込む前に、資金の使途や必要な金額を明確にしておくことが重要です。
早めに準備を始める
初めて融資を受ける場合、想定以上に時間がかかることがあり、結果として資金繰りに困るケースは少ないため、早めに準備を始めるようにしましょう。
ビジネスの成長機会を逃さず、必要な資金を確実に確保するためには、融資の申請を早めに準備することが重要です。
理想的には、資金が必要となる1〜2か月前から準備を進め、スムーズに融資を受けられるようにしましょう。
融資の種類や申請する金融機関によって多少の違いはありますが、通常、借入先を決めてから融資が実行されるまでに約3週間かかる傾向があります。
特に、「低金利」「長期借入」などの条件が良い融資ほど、審査が慎重に行われる傾向があります。
そのため、審査書類の不備や追加書類の提出を求められた場合、さらに時間がかかる可能性があります。
このように、スムーズに融資を受けるためには、全体の流れを把握したうえで、逆算して準備を進めることが大切です。
自己資金を準備する
事業資金の自己負担は、起業家の意気込みを示す重要な指標となります。
金融機関は、事業主が自身の資金を投入しているかどうかを確認し、それを事業への本気度の判断材料とします。
しかし、家族や親族から借りた資金は自己資金として認められない点に注意が必要です。
また、創業直後や税務申告が2期未満の事業者であれば、日本政策金融公庫の「新規開業資金」を利用することで、担保や保証人なしで融資を受けることが可能です。
それでも、自己資金をできるだけ確保しておくことで、融資の審査が通りやすくなると言えます。
確定申告をしっかりと行う
事業資金の融資を受けるには、適切に確定申告を行うことが不可欠です。
金融機関が融資を検討する際、確定申告書や決算書は重要な判断材料となります。
特に、黒字経営で適正な納税をしている場合、審査が通りやすくなる傾向があります。
また、資金の具体的な使い道や返済計画を明確に示すことで、金融機関からの信用を得やすくなり、融資の承認を受けやすくなります。
このように、日頃から正確な経理管理を行い、確定申告と納税を期限内に済ませることが、円滑な資金調達につながります。
開業届を提出する
開業届は、融資を受ける際に絶対に必要というわけではありませんが、提出しておくことで、金融機関が事業の実態をより明確に確認できるので、審査がスムーズに進むことが多いです。
通常、開業届は事業を開始してから1ヶ月以内に税務署へ提出することが推奨されていますが、期限を過ぎても特に罰則はありません。
しかし、青色申告を利用する場合は、開業届の提出が必須となるため注意が必要です。
事業資金を借りるメリット
事業資金を借りるメリットについては、以下の3つが挙げられます。
- 事業展開が早くなる
- 資金繰りが良くなる
- 融資を受けた実績を作れる
それぞれのメリットについて解説していきます。
事業展開が早くなる
事業資金を借りることで、事業の展開スピードが向上するメリットが挙げられます。
実際に、事業資金を借りることによって、資金不足を理由に諦めていたアイデアを即座に実行することにもつながります。
ビジネスを進める上で、競合の存在は避けられないのも事実です。
どれほど優れたサービスを開発しても、他社に模倣されるのが一般的なので、競争優位性を確立するために、競合が市場に参入する前に事業を素早く展開することが重要です。
競合が動き出す前に市場を押さえ、事業を拡大することで、他社との差別化が図れ、ブランドの認知度向上にもつながります。
そのため、事業をスピーディーに展開するために融資を受け、運転資金を確保することは大きなメリットと言えます。
資金繰りが良くなる
融資を受けることのメリットの一つとして、資金繰りが改善する点が挙げられます。
特に物販業では、運転資金の増加が売上アップにつながるケースが多いです。
仕入れの規模を拡大できることで、販売可能な商品数が増え、結果として売上が伸びることが挙げられます。
また、世の中には利益を上げているにもかかわらず、資金不足が原因で倒産してしまう企業も存在します。
これは「黒字倒産」と呼ばれ、後継者不在や資金繰りの悪化など、さまざまな理由で発生します。特に資金不足の問題に関しては、融資を受けることで解決が可能です。
このように、運転資金を確保するために融資を活用することは、大きなメリットと言えます。
融資を受けた実績を作れる
企業が一度でも融資を受けた実績を持つことで、将来的に資金調達がしやすくなる可能性があります。
実際に、金融機関は審査の際に、単に現在の業績だけでなく、過去の融資歴や返済実績を重要視しているのも事実です。
過去に融資を受けた経験がある企業は、「資金を適切に運用し、完済できる能力がある」と判断されることが多く、銀行側としても信用しやすくなります。
そのため、業績が一時的に悪化した場合でも、追加融資を受けられる可能性が高まります。
さらに、融資の実績があることで銀行との関係性が築かれ、審査がスムーズに進みやすくなるケースもあります。
これにより、新たな資金が必要になった際の借り入れまでの期間が短縮されることも期待できます。
事業資金を借りる際の注意点
事業資金を借りる際の注意点については、以下の4つが挙げられます。
- 必要書類は正確に記載する
- 事業以外に流用しない
- 契約書をしっかりと確認する
- 経営が難しくなるリスクがある
それぞれの注意点について解説していきます。
必要書類は正確に記載する
事業資金を借りる際の注意点として、必要書類は正確に記載するようにしましょう。
実際に、融資を受けるためには、事業の業績を示す資料や事業計画書など、さまざまな書類を準備し、提出する必要があります。
これらの書類は審査時に活用され、融資の可否や借入可能な金額、適用される金利などを決定する重要な判断材料となります。
万が一、提出内容に不備があると、修正や再提出が求められ、審査に余計な時間がかかってしまう恐れがあります。
さらに、数値を故意に改ざんした書類を提出すると、不正と見なされ、その金融機関から今後融資を受けられなくなるリスクが高まります。
そのため、提出する書類の正確性を十分に確認し、誤りのないように注意が必要です。
事業以外に流用しない
事業資金は、事業運営のために使用するお金であり、本来の目的以外に充てることは認められていません。
万が一、事業と無関係な用途に資金を流用したことが発覚すると、違反とみなされ、一括での返済を求められる可能性があります。
さらに、金融機関から信用を失い、悪質な利用者と判断されると、将来的に新たな融資を受けることが難しくなるリスクもあります。
生活費など事業以外の目的で資金が必要な場合は、カードローンやフリーローンといった用途が自由な融資を検討することをおすすめします。
契約書をしっかりと確認する
融資を受ける際には、さまざまな書類を準備して提出したり、逆に多くの書類へ署名を求められたりします。
実際に、契約書の内容を十分に理解せずに手続きを進めてしまうのはリスクが高いのも事実です。
一度契約を結ぶと、「書類に記載された内容や手続きの際の説明に同意した」と見なされます。
しかし、後になって自分の認識と異なる条件が含まれていたことに気づくケースも少なくありません。
そのため、不明点がある場合は、あやふやなまま手続きを進めるのではなく、金融機関の担当者や税理士などに確認し、納得したうえで契約を進めることが大切です。
経営が難しくなるリスクがある
企業が融資を受けたことをきっかけに、経営が難しくなってしまい、最悪の場合には倒産に至るケースは少なくありません。
そもそも融資とは、資金を借りる行為に他ならず、当然ながら返済の義務が生じます。
毎月の返済がスムーズに行える状態であれば問題はありませんが、利益が返済額を下回る状況が続けば、経営が行き詰まるリスクが高まります。
さらに、融資の返済は長期間にわたるため、例えば新型コロナウイルスのような突発的な危機が発生すれば、事業に大きな影響を与える可能性もあります。
そうした不測の事態も考慮しながら、借入額を慎重に決める必要がある点は、融資のデメリットの一つと言えます。
事業資金を借りて経営を安定させよう!
今回は、事業資金を借りる方法について紹介しました。
ビジネスを始めたり成長させたりするには、新店舗の開設や設備投資、売上拡大のための資金など、さまざまな費用がかかりますが、自己資金だけでは十分にまかなえないことも少なくありません。
そんなときに備えて、事業資金の融資を受けられる金融機関や貸付制度を理解し、適切な借入先を選ぶことが大切です。
また、事業資金を借りる際のポイントを押さえておけば、スムーズに事業資金を借りることにもつながります。
今回の記事を参考にして、事業資金を借りて経営の安定化を図りましょう。
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この記事の監修者

税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
税理士法人松本は 国税OB・元税務署長 が所属し、 確定申告・相続・会社設立・融資サポート・労務手続きなど 幅広いサービスを提供する税理士法人です。
全国からの 税務・労務相談実績 年間1,000件以上
税理士法人松本の強み
- 税務署目線、税理士目線、お客様目線の三方良しの考え方でアドバイス
- 過去の無申告分から税務調査、相続、会社設立まで幅広く対応可能
- 融資や助成金、補助金の申請など資金調達サポートにも豊富な実績
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