NEWS

ブログ

2023.10.26

建設業の労災保険の手続きと労災が発生した場合の手続きについて解説

建設業の労災保険の手続きと労災が発生した場合の手続きについて解説

建設業では事故のリスクに備え、労災保険の手続きや労災事故が発生したときの手続きなどについて理解しておくことが大切です。特に建設業の労災保険はその他業種の労災と異なる部分があるため、違いを知ったうえでスムーズに手続きできるようになっておくとよいでしょう。
この記事では、建設業の労災保険に関する概要や手続きの流れについてわかりやすく解説しています。労災保険の事務処理で困った場合の対処法についても紹介していますので、参考としてお役立てください。

建設業の労災保険とは

はじめに、建設業の労災保険の概要について解説します。

工事現場では下請企業の従業員も元請の保険に加入する

通常の労災保険は、直接雇用している企業で加入するのが一般的です。しかし、建設業においては現場で作業する際、下請企業の従業員も元請企業の労災保険に加入することとなります。
それ以外の保険については直接雇用されている企業の保険へ加入しますが、現場労災は現場工事を請け負っている元請が補償することとなります。

労災保険の種類

労災保険にはいくつかの種類があり、それぞれ以下のようになります。

・「継続事業」と「有期事業」
・「一括有期事業」と「単独有期事業」
・「一元適用事業」と「二元適用事業」
それぞれの特徴や違いについて、以下で更に詳しく解説していきます。

建設業における労災保険の特徴

建設業における労災保険の特徴と違いについて解説します。

「継続事業」と「有期事業」

継続事業とは、事業にかかる期間が決まっていない事業のことです。工場などで加入する労災保険は、継続事業となります。一方で、工事現場など事業にかかる期間が決まっているものは有期事業となります。道路工事や林業なども有期事業にあたります。また、有期事業は「単独有期事業」と「一括有期事業」に分けられます。

「一括有期事業」と「単独有期事業」

一括有期事業とは、以下のような要件を満たす有期事業を指します。
・請負金額が税別で1億8,000万円未満
・各事業の保険料概算が160万円未満
・一括する各事業が建設業
・労働保険料の納付事務が1つの事務所で行われる
単独有期事業は、一括有期事業に該当しない有期事業を指します。

「一元適用事業」と「二元適用事業」

一元適用事業とは、労災保険と雇用保険を一括で加入手続きする事業を指します。労災保険と雇用保険を個別に加入手続きする事業は「二元適用事業」となります。
工事現場では労災保険を元請企業で加入し、雇用保険は直接雇用されている企業で加入手続きを取ることとなるため、二元適用事業に該当します。

建設業の労災保険の手続き

建設業の労災保険の手続きについて解説します。

労災保険手続きの基本の流れ

建設工事が開始されたら、元請企業は10日以内に保険関係成立届を提出して「労災保険関係成立票」を現場へ掲示する義務があります。
成立票には
・保険関係成立年月日
・労働保険番号
・工事期間
・事業主の住所氏名
・注文者の氏名
・事業代理人
の記載が必要です。成立後は50日以内に概算保険料申告書を提出し、保険料申告と納付を行います。

有期事業の労災保険の手続きは、現場の所在地を管轄する労働基準監督署で行うのが原則となります。
一括有期事業の手続きは元請企業の本店または支店の管轄となる労働基準監督署で行います。これまでは工事開始日の翌月10日までに「一括有期事業開始届」の届出が必要でしたが、行政手続きの簡素化のため2019年4月以降は不要となっています。
一括有期事業では毎年6月1日から7月10日までに年度更新も必要です。年度更新の際には
・一括有期事業報告書
・一括有期事業総括表
・(概算)確定保険料申告書
を提出して保険料を納付します。

単独有期事業は工事開始日から10日以内に工事現場を管轄する労働基準監督署で行います。保険料は工事開始日から20日以内、終了時は50日以内に納付します。

労災保険の基本の計算方法

労災保険料は、原則として賃金総額に労災保険率を掛けて計算しますが、保険の加入対象となるすべての労働者の賃金総額が不明な場合もあるため、請負金額を基準に計算することが可能です。請負金額による計算式は
保険料=請負金額×労務費率×労災保険率
となります。

工期に変更があった場合

長期化が予想される大きな工事では「第1期」「第2期」などに分割されるケースも少なくありません。工事が分割された場合は、ひとまず第1期を事業期間として保険加入の手続きをすることとなります。2期以降の工事が確定したら、労働基準監督署へ「労働保険・名称所在地等変更届」を提出します。工事が追加で発注された場合や、工期が短縮された場合も同様です。工事が完了したら確定保険料の精算を行います。

工期の変更で保険料に差異が生じた場合の手続きは以下の通りです。

・工期が増えた場合:保険料が2倍以上に増えて差額が13万円以上となった場合、請負金額内訳書(乙)と増加概算保険料申告書を30日以内に労働基準監督署へ提出

・工期が縮小した場合:概算保険料よりも確定保険料が小さい場合には還付請求を行う

労災保険手続き時の注意点

建設業の労災保険手続きにおける注意点は以下の通りです。

費用徴収制度の適用について

建設業の労災保険では、工事開始日から10日以内に保険関係成立届を提出する必要がありますが、保険関係成立届を提出していなくても、現場の従業員は工事開始日から労災保険に加入しているものとみなされます。
労災保険の手続き前に労災事故が起こった場合には、費用徴収制度が適用されます。費用徴収制度の概要は以下の通りです。
・工事開始日から1年が経過しても労災保険の加入手続きが行われず、労災事故が起こった場合は治療費などの保険給付額の4割が事業主から徴収される。
・労災保険加入について行政指導が実施されても加入手続きが行われず、労災事故が起こった場合は治療日などの保険給付額の全額が事業主から徴収される。

費用徴収制度は、労災保険の加入手続きについて、手続きをして保険料を納付した事業主の方が不公平とならないよう、労災事故が起きた際には加入手続きを怠った事業主に対して治療費などを徴収する制度となっています。
労災保険の手続きは難しい点も多いため、工事が重なった場合などには加入手続きに漏れがないよう注意が必要です。

一人親方は保険対象外

労災保険は労働者を対象とした保険となるため、会社役員や個人事業主、一人親方は加入対象外となる点にも注意しましょう。
とはいえ、経営者や一人親方が労災事故にあうリスクはゼロではありません。以下の要件を満たしている場合には、役員や一人親方でも労災保険の特別加入制度を利用して保険加入することが可能です。

事業主の労災保険特別入要件
・労働保険事務組合に委託している
・雇用する労働者の労災保険手続きが完了している

一人親方の労災保険特別加入要件
・一人で事業を行っている
・労働者の使用が1年のうち100日未満である

労災保険の特別加入は遡って加入することができないため、加入前に労災事故が起きた場合は保険給付が受けられないため注意が必要です。

労災保険の手続きでお困りの際は社会保険労務士法人松本へ

労災保険の手続きは一般的な保険の加入手続きと異なる点も多く、中小規模の企業には大きな負担となるケースもあります。労災保険の手続きでお困りの際は、建設業サポートに強い社会保険労務士法人松本へお気軽にご相談ください。

まとめ

建設業の労災保険は、原則として工事現場ごとに下請企業の従業員も元請企業の保険へ加入することとなります。建設業の労災保険には単独有期事業や一括有期事業、一元適用事業や二元適用事業などの種類があり、それぞれ手続きが微妙に異なります。工期の分割や追加発注、工期の縮小などによっても手続きが変わるため、必要に応じて専門家のサポートを受けて進めるようにするとよいでしょう。

FLOW サービスの流れ

  • STEP01

    お問合せ

    お客様のご要望や現在のお困りごとを、お伺いします。
    疑問・質問にもお答えしますので、まずはお気軽にお問合せください。

  • STEP02

    面談

    日程調整後、Webまたは直接面談を行います。
    実際に顔を見てお話させていただくことで、相性などもしっかりとご判断いただけます。

  • STEP03

    ご契約

    担当者との相性や条件・料金・業務内容にご満足していただけましたら、ご契約となります。

電話1本で
相談できます!

お電話でのご相談

0120-69-8822

  • 受付時間 9:00〜19:00
  • 土日・祝日OK!
  • 初回電話相談無料
  • 電話見積可能
  • 税務調査専門税理士
  • 全国対応

メールでのご相談

メール相談は24時間
対応しております。

OFFICE 事務所一覧

  • 新宿オフィス

    • 東京メトロ丸の内線・副都心線/都営新宿線「新宿三丁目駅」 徒歩4分
    • JR各線「新宿駅」 徒歩11分
    • 東京メトロ副都心線/都営大江戸線「東新宿駅」徒歩10分
  • 渋谷オフィス

    • JR山手線/埼京線/湘南新宿ライン/
      東京メトロ銀座線/半蔵門線/副都心線/
      東急東横線/田園都市線/京王井の頭線
      「渋谷駅」徒歩4分
  • 錦糸町オフィス

    • JR総武本線/半蔵門線「錦糸町駅」徒歩8分
    • JR総武本線/東武亀戸線「亀戸駅」徒歩9分
  • 横浜オフィス

    • JR京浜東北/根岸線「関内駅」徒歩7分
    • 横浜市営地下鉄ブルーライン「伊勢佐木長者町駅」徒歩3分
  • 大阪オフィス

    • 御堂筋線/中央線/四つ橋線「本町駅」12番出口から徒歩1分
    • 堺筋線「堺筋本町駅」11番出口から徒歩6分
  • 柏オフィス

    • JR常磐線「柏駅」徒歩4分