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起業・開業
スナックを開業する際にはどんな手続きや届出が必要?

読了目安時間:約 6分
スナックは、キャバクラなどに比べるとお店の規模も小さく、比較的シンプルな内装になることが多いため、水商売のお店を初めて開く人にも開業しやすい形態だといわれています。しかしながら、スナックを開業する際にはさまざまな手続きが必要です。何も調べず、スナックの開業準備を進めようとした場合、計画通りに進まない可能性もあります。
そこで今回は、スナックの開業を検討している人が、スムーズな開業準備を進められるよう、開業に必要な手続きや届出について分かりやすくご説明します。
目次
スナックを開業するまでの流れ
スナックを開業する際には、さまざまな準備が必要です。そのためスナックを開業する際には、事前にスナックを開業するまでの流れを把握し、計画的に準備を進めることが重要になります。
お店のコンセプトを明確にする
まず、スナックを開業するにあたって、どのようなお店にしたいのか、お店のコンセプトを明確にすることが大切です。コンセプトによって、出店する場所や内装の雰囲気、提供するサービスなども変わってきます。そのため、スナックを開業をする際には何よりも先にコンセプトを決定するようにしましょう。
例えば、客層をどのような層にするかによって、出店エリアも変わります。サラリーマンを中心としたスナックを考えているのであれば、比較的大きな駅の近くに出店した方がよいでしょう。反対に、地域の住民が集うアットホームな雰囲気のスナックを作りたいのであれば、住宅地に近いエリアに出店した方が、ターゲットとなるお客さんを集客しやすくなります。そのほか、どのようなサービスを提供したいのかを決めておくことも重要です。接待を伴う接客を行うか、接待行為は行わないかによって必要となる届出も変わってきます。
そのため、スナック開業を検討する際には、最初にどのようなスナックを開業したいのか、営業スタイルも含め、お店のコンセプトを明確に決定するようにしましょう。
資金の準備を進める
スナックは比較的少ない開業資金で開業ができるとは言われているものの、開業費としてある程度まとまったお金を用意しておかなければ、準備を進められません。
スナックを営業するためには、お店の準備が必要です。多くの場合、ビルの一室を借りてスナックを営業することになりますが、テナントを借りる際に用意しなければならない敷金の額は、居住用の部屋を借りる場合に比べ非常に高額となります。退去時には一部が返還されるものの、一般的にはテナントの敷金の相場は賃料の6~10ヶ月分とされているのです。また、地域によっては敷金のほかに、保証金を預かるケースもあります。いずれにしろ、居住用の物件に比べると賃貸借契約を結ぶ際には、賃料の数ヶ月分のお金を用意しなければなりません。
また、物件を借りるための資金だけでなく、内装工事の費用やテーブルやソファー、照明、冷蔵庫、製氷機、グラスなどの購入費用もかかります。資金をどのくらい準備できるかによっても、借りられる物件の賃料や選ぶエリアが変わってくる可能性もあるでしょう。また、開業資金が不足する場合は、何らかの形で資金調達をしなければなりません。資金計画を立てるためにも、できるだけ早い段階で、開業資金にどのくらいのお金を準備できるのかについて決めておくようにしましょう。
出店する場所を決める
お店のコンセプトが決まり、ある程度の開業資金の目処が付いたら、出店エリアを決めます。出店場所は、集客に大きな影響を与えます。最寄り駅の利用者のデータやライバル店の数などもしっかり調査したうえで、ターゲットとなる利用者層が多いエリアを絞り込みましょう。また、深夜を過ぎてもお酒を提供したい場合や接待を伴う営業スタイルでスナックを開業したい場合には、営業できない地域が決められています。店舗を選ぶ場合には、出店可能エリアであるかどうかも事前に確認することが大切です。
内装工事の費用をできるだけ抑えたい場合は、前に入居していたテナントの設備が残されている居抜き物件を選ぶと、開業資金の節約につながります。しかしながら、前の入居者もスナックだった場合などは、なぜ撤退をしたのか、その理由も確認しておくことが大切です。万が一、立地などの面で何らかの理由があり、集客ができずに閉店した場合、同じ場所にスナックを開いても同様のリスクを負う可能性があります。そのため、物件選びは周辺の情報も集めながら、慎重に行うようにしましょう。
設備の準備と内装工事の準備
物件の賃貸借契約を締結したら、設備の準備と内装工事の準備を進めます。内装は、お店の雰囲気を大きく左右します。コンセプトに合わせて壁紙の色や照明器具なども選びながら、作り上げたい雰囲気を演出していきます。また、シンクなどの設備や冷蔵庫、製氷機といった器具も揃えます。
スナックの場合、外からは中が見えない構造になっているケースがほとんどです。そのため、ドアを開けたときの雰囲気は、お客様に大きな影響を与えます。こだわりすぎると内装工事の費用は高くなってしまいますが、コストの削減ばかりを考えると、納得のできない仕上がりになる可能性もあるでしょう。スナックをはじめとした水商売の内装工事の経験を豊富にもつ業者に依頼をすると、適切なアドバイスをもらえることが多いため、業者選びの際には実績を確認するようにしましょう。
仕入先を確保する
スナックでは、当然お酒を提供しますが、業者によって取り扱っているお酒の種類は異なります。どのようなお酒を置くのか、お店のコンセプトに合わせて必要なお酒を決め、仕入れ業者も確定しましょう。仕入れ先を確保する際には、どの程度の頻度で配達をしてくれるのか、またどのような形で発注すればよいのか、発注のシステムについても確認しておくことが大切です。
そのほか、お客様に提供するおしぼりは、使い捨てにするのか、布製のものにするのかを選び、それぞれの取り扱い業者と契約を結ぶようにしましょう。
スタッフを採用する
仕入先まで確保したら、いよいよオープンの準備に入ります。ママが1人だけで運営するスナックであれば、スタッフを募集する必要はありません。しかし、接待を伴う形態でスナックを経営したい場合には、お客様のテーブルにつき、一緒にお酒を楽しむキャストを採用する必要があります。テーブルの数などに合わせて、採用するキャストの人数を考えますが、あまり多い人数を採用した場合、人件費が高くなってしまいます。売上とのバランスを考えながら、必要なキャストの数を割り出すようにしましょう。
宣伝をして集客をする
開業の準備が整ったら、オープンに向けて宣伝をし、集客します。宣伝手法としては、お店のドアにオープンを告知するポスターを貼ったり、周辺のお店に割引クーポン付きのチラシを置かせてもらったりする方法などがあります。そのほかSNSを利用し、お店のオープンを告知する方法なども有効です。
スナックを開業する際に必要な届出や資格
スナックを開業する際には、届出や資格が必要になることも忘れてはいけません。スナックの開業時に必要となる主な届出や資格をご紹介します。

食品衛生責任者資格
スナックは、お酒やおつまみを提供するお店であり、飲食店に該当します。飲食店の営業許可を取得するためには、食品衛生責任者の資格を持つ人を店舗に1人設置しなければなりません。食品衛生責任者は、都道府県などが指定する養成講習会を受講することで取得が可能です。会場集合型養成講習会のほか、オンラインで受講ができるeラーニング型の養成講習会もあります。スナックを開業することを決めたら、早めに講習会に参加し、食品衛生責任者の資格を取得するようにしましょう。
飲食店営業許可
飲食店を開業する際には、飲食店営業許可を取得しなければなりません。飲食店営業許可は、保健所や市区町村の衛生課などに申請をします。飲食店営業許可を取得するためには、定められた構造や設備の基準を満たす必要があります。そのため、内装工事などを始める前に図面を持って、事前に保健所などに相談をした方がよいでしょう。
飲食店営業許可の申請書を提出すると、保健所などの担当者が施設の検査を行います。この際に問題が発覚すると、飲食店営業許可が下りません。そうなると、もう一度工事をやり直さなければならないのです。工事のやり直しが必要となれば、余分な工事費用の負担が発生し、オープン予定も遅れてしまうでしょう。そのため工事を行う前に、必ず、事前相談をすることが大切です。
また、飲食店営業許可を取得する際には、食品衛生責任者の資格を証明する書類の提出が必要となります。そのため、飲食店営業許可を取得する前に、食品衛生責任者の資格は取得しておくようにしましょう。
深夜における酒類提供飲食店営業開始届
カウンター越しにお酒を提供するなど、接待を伴わない営業スタイルのスナックを開業し、深夜0時を超えてお酒を提供したい場合には、深夜における酒類提供飲食店営業開始届出書の提出が必要です。深夜酒類提供飲食店営業開始届出書は、営業を開始する日の10日前までに、お店の所在地を管轄する警察署の生活安全課に提出しなければなりません。ただし、深夜0時よりも前にお店の営業を終える予定の場合は、深夜における酒類提供飲食店営業開始届の提出は不要です。
また、深夜酒類提供飲食店営業をするためには、室内の照度や床面積、設備などについて細かな規定があります。お店のコンセプトを考える際には、店の営業スタイルや営業時間も考え、深夜0時を超えてお酒の提供をする場合には、事前に設備要件を確認するようにしましょう。
風俗営業許可
接待を伴う営業スタイルのスナックを開業する場合には、風俗営業1号の許可を取得しなければなりません。具体的には、お客様の横に座ってお酌をしたり、お客様と一緒にカラオケをしたりという行為は接待に該当します。風俗営業許可を得ずに、接待を伴う営業スタイルでスナックを営んでいた場合、風営法違反となります。接待を伴う営業スタイルを想定している場合には、必ず風俗営業許可を取得するようにしましょう。ただし、風俗営業許可を取得する際にも床面積や照度などの規定があるため、内装工事を実施する前に規定を確認することを忘れないようにしましょう。
風俗営業許可が下りるまでは、50~60日ほどの時間がかかるとされています。風俗営業許可の取得が必要な場合は、早めに準備を進めることが大切です。
また、風俗営業許可を取得した場合、深夜0時を過ぎてお酒を提供することはできません。スナック開業時には、風俗営業許可を取得して運営するか、深夜酒類提供飲食店営業開始届を提出して営業するか、コンセプトに合わせて営業スタイルを選択することが大切です。
防火管理者
収容規模が30人以上となるスナックを開業する場合には、防火管理者の資格も必要です。防火管理者の資格は、都道府県知事や消防署などが主催する講習会の受講後に取得することができます。
開業届と青色申告承認申請書
スナックを開業する際には、税務署への届出も必要です。開業届は開業から1ヶ月以内に提出しなければなりません。また、開業届と同時に青色申告承認申請書を提出しておくと、確定申告の際、青色申告ができるようになります。青色申告は、白色申告に比べて処理は複雑になるものの、最大で65万円の青色申告特別控除を受けられます。青色申告特別控除は、青色申告者の特典として、所得額から特別控除額を差し引けるという制度です。青色申告特別控除を適用できると、所得額を圧縮できるため節税につながります。
また、家族と一緒にスナックを営む場合などは、家族を青色事業専従者とすることができます。その場合、青色事業専従者給与に関する届出書を開業の年の3月15日または、開業の日から2ヶ月以内に税務署に提出すると、青色事業専従者給与の経費算入が認められます。家族に支払う給与も経費として計上できれば、より節税のメリットを得られます。
まとめ
スナックを開業する際には、さまざまな許可や届出が必要になりますが、営業スタイルによって必要な許可や届出が変わります。そのため、スナックを開業する場合、どのような営業スタイルで、どのような雰囲気のお店を開きたいのか、初めにお店のコンセプトを明確に決めるようにしましょう。
また、飲食店営業許可や食品衛生責任者の資格など、必ず取得が必要となる資格や許可もあるため、スナックを開業する際には、オープン予定日から逆算をして計画的に準備を進めるようにしましょう。
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この記事の監修者

税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。