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創業融資の手続きと流れとは?スムーズに受けるためのポイントや審査に通るためのコツを紹介

読了目安時間:約 7分
創業融資の手続きと流れを把握しておけば、資金繰りや経営計画も立てやすくなり、より安心して準備を進められます。
本記事では、創業融資の手続きと流れについて紹介します。
さらに、「創業融資をスムーズに受けるためのポイント」や「創業融資の審査に通るためのコツ」についても解説します。
ぜひこの記事を参考にして、創業融資の手続きと流れについて理解を深めてみてください。
目次
創業融資の手続きと流れ

ここでは、代表的な申し込み先のひとつである、日本政策金融公庫における創業融資の手続きの流れを解説します。主な流れは以下のとおりです。
- 融資の相談
- 融資の申し込み
- 必要書類の準備
- 面談
- 融資の決定通知
- 融資実行
それぞれの項目について解説していきます。
融資の相談
まずは、日本政策金融公庫へ融資相談を行います。
融資の相談をする方法としては、各地の支店に足を運んで直接相談するか、電話を通じて相談することが可能です。
また、日本政策金融公庫が設けている「事業資金相談ダイヤル」も利用することができます。
具体的に融資相談をする際には、自分が始めようとしている事業が融資対象に含まれているかどうかや、提出が必要な書類について事前に確認しておくとスムーズです。
また、審査過程の一環として支店での面談が行われるため、事前に支店を訪れておくことも大切です。
融資の申し込み
次に、近くの日本政策金融公庫の支店に足を運び、「借入申込書」を提出することで融資申込手続きを始められます。
借入申込書に記載する主な情報として、以下が挙げられます。
- 申込者の氏名と印鑑、住所
- 連絡先(電話番号またはメールアドレス)
- 希望する借入金額
- 融資希望日
- 返済期間の希望
- 月々の返済日
- 引き落としに使用する金融機関の口座情報
- 借入資金の具体的な用途
- 創業した年月
- 事業の業種
これらの情報は、借入に関する意向や必要な背景情報として重要です。
申込書は多くの場合、公式HPから入手可能ですが、申込方法により支店窓口での入手が推奨されることもあります。
また、希望する借入額がまだ明確でない場合は、支店で相談することも可能です。
参考:日本政策金融公庫公式HP
必要書類の準備
日本政策金融公庫から融資を受けるには、申込内容や状況に応じた各種書類の準備が不可欠です。
特に申込者の事業内容や申請の目的によって求められる書類は異なるので、融資の申込みを検討している方は、あらかじめ必要書類をしっかり確認しておくことが大切です。
創業時に必要な主な書類として、以下が挙げられます。
- 創業計画書
- 身分証明書の写し
- 確定申告書・決算書
- 登記簿謄本または履歴事項全部証明書
- 許認可証の写し
- 設備の見積書
これから創業を目指す方にとっては、事業実績がないため、提出する創業計画書が審査で重要な書類となります。
事業計画書には資金使途や売上予測、原価、運営費用等を可能な限り具体的かつ現実的に記載するようにしましょう。
審査担当者はこの創業計画書の内容を基に、事業が将来的に安定した収益を生み出せるかを注目しているので、第三者の目で内容を確認してもらうことをおすすめします。
面談
申請が受理されると、数日以内に審査担当から面談に関する案内が郵送で届きます。
案内には、面談日時や当日に持参すべき書類の情報が明記されており、面談は約1時間で、専用の面接スペースにて実施されることが多いです。
服装については、基本的なビジネスマナーを意識した格好が望まれます。
面談では、申込者が自身の創業プランについてどれだけ深く理解しているか、創業に向けた意欲がどれほど強いかなどが重要な評価ポイントとなります。
融資担当者は、面談の受け答えから、対象業界への理解度や本気で創業に取り組んでいるかを見極めようとします。
そのため、面談を行う際には、できるだけ緊張せず、落ち着いて話を交わすことが大切です。
融資の決定通知
日本政策金融公庫の審査に通ると、担当者からまず電話で連絡が入り、「ご融資のお知らせ」とともに借用証書が自宅に郵送されてきます。
借用証書は融資契約を正式に結ぶために必要な書類で、借入金額や返済条件などの詳細が記載されます。
万が一、記入内容に不備がある場合は再提出を求められることがあるので、記入は慎重に行う必要があります。
審査の結果は、原則として申込者に通知されますが、事務的な連絡に留まる場合もあります。
融資実行
日本政策金融公庫の審査を無事に通過した方は、契約に関する手続きが完了した後に、指定された銀行口座へ借入金が振り込まれます。
振込が確認できたら、その金額が借用証書に記載されている額と正確に一致しているかを必ず確認するようにしましょう。
もし、振込額に誤差が見られる場合は、速やかに公庫の担当者に連絡し、今後の対応について相談することが大切です。
なお、振込は借用証書受理後、通常3営業日以内に行われますが、手続き状況により遅延する場合もあります。
創業融資をスムーズに受けるためのポイント

創業融資をスムーズに受けるためのポイントについては、以下の3つが挙げられます。
- 事前相談を活用する
- 事前に必要書類を揃えておく
- 面談対策をしっかりと行う
それぞれのポイントについて解説していきます。
事前相談を活用する
融資を円滑に進めるためには、申し込み前に事前相談を活用することが重要です。
この段階で必要な書類や準備すべき内容を把握できるため、スムーズな手続きが可能になります。
また、創業融資で不明点がある場合は、早めに相談して解決しておきましょう。
相談の際には、求められる書類の確認はもちろん、書類作成における注意点や効率的な準備方法についても尋ねておくと、全体の流れがよりスピーディーになります。
事前に必要書類を揃えておく
融資を受ける際には、多種多様な書類の提出が求められるので、事前に時間を要する資料を揃えておくことが、手続きを円滑に進めるために重要です。
特に、日本政策金融公庫と民間の金融機関では求められる書類の内容が異なることがあるので、それぞれの要件を正確に把握しておく必要があります。
提出が求められる主な書類は以下のとおりです。
- 事業計画書
- 登記事項証明書または登記簿謄本
- 本人確認書類
- 納税証明書
- 預金通帳のコピー
- 公共料金の領収書
- 許認可証明書
上記の必要書類の中で、取得に時間がかかるものも少なくありません。
そのため、融資申請を検討し始めた段階で、必要書類を一つひとつ確認し、早めに準備に取りかかることが重要です。
面談対策をしっかりと行う
面談の結果が審査の合否に大きく影響するため、事前の入念な準備が欠かせません。
一般的に、面談では提出済みの事業計画書に基づいて質問されるので、その内容をしっかりと把握し、自分の言葉で説明できることが求められます。
説明が不十分だと、計画自体に信頼性が欠けると見なされ、審査を通過できない恐れがあるので注意が必要です。
そのため、事業計画書には具体的な数値を盛り込み、それが実現可能である根拠を論理的に示すことが重要です。
さらに、数値の裏付けとなる資料を併せて用意しておけば、計画の実行力を高める効果的なアピールにつながります。
創業融資の審査に通るためのコツ

創業融資の審査に通るためのコツについては、以下の3つが挙げられます。
- 自己資金を準備する
- 具体的な財務情報を提示する
- 事業の将来性や経営能力をアピールする
それぞれのコツについて解説していきます。
自己資金を準備する
融資を成功させるためには、あらかじめ自己資金を準備しておくことも重要です。
融資担当者は、申請者の事業に対する本気度や、返済能力の目安のひとつとして、自己資金の有無や蓄えの状況を確認する傾向があります。
一般的に自己資金の目安は2~3割とされることが多いですが、申請先の融資制度や事業内容によっても異なります。
事業スタートに向けた土台作りとして、慎重かつ着実な資金の準備が求められます。
具体的な財務情報を提示する
融資を受ける際には、財務面の健全性を裏付ける資料の提出が欠かせないので、具体的な財務情報を提示するようにしましょう。
融資担当者は、貸し出し先の資金返済が確実に行われるかどうかを見極めるため、数値的根拠に基づいた財務データを重視しています。
これにより、融資のリスク管理や事業の将来性を総合的に判断しています。
返済能力を証明するうえで効果的な資料の例として、以下のようなものがあります。
- 資金繰りを明示した一覧表
- 収入と支出の見通しを示す計画書
- 月次や四半期ごとの損益情報をまとめた試算表
- 現金の流れを把握するキャッシュフロー計算書
- 過去3期にわたる決算書(既存企業の場合)
これらの情報を適切に整えて提出することで、金融機関に対して返済能力の信頼性をアピールする手段となり、審査通過の可能性を高めることにつながります。
事業の将来性や経営能力をアピールする
創業融資の審査に通るためのコツとして、事業の将来性や経営能力をアピールするようにしましょう。
実際に、融資を受ける際の面談や調査は、単なる確認作業ではなく、事業の魅力や経営者の資質をアピールする絶好の場と言えます。
融資担当者は、書類だけでは把握しきれない「熱意」や「経営者のビジョン」などの要素を、直接の対話を通じて丁寧に見極めようとしています。
そのため、こうした面談で自社の強みや信頼性をしっかりと伝えることが、審査を通過する上で重要な要素になります。
創業融資の審査に落ちてしまう原因

創業融資の審査に落ちてしまう原因を把握しておくことで、事前に対策を行うことができ、融資に通過する可能性を高めることにつながります。
具体的に、創業融資の審査に落ちてしまう原因については、以下の4つが挙げられます。
- 事業計画書の内容が不明確
- 資金使途が不明確
- 返済能力が弱い
- 業務経験が浅い
それぞれの原因について解説していきます。
事業計画書の内容が不明確
創業融資の審査に落ちてしまう原因の一つに事業計画の不明確さが挙げられます。
融資を申し込む際には、これから始める事業の全体像や将来の展望を記した事業計画書の提出が求められます。
この書類は、申請者に新たな事業を構想・実行する能力があるかどうかを判断する材料となるため重要です。
また、書面だけでなく、審査担当者との面談で自らの事業について具体的かつ論理的に説明できることも大きな評価ポイントになります。
記載内容が漠然としていたり、現実性に欠ける場合は、審査においてマイナス評価を受ける可能性があります。
資金使途が不明確
審査に通らない原因の一つとして、資金の使途が曖昧であることも挙げられます。
実際に、資金をどのように活用するのかを具体的に説明できない場合、返済能力に疑問を持たれる可能性があるのも事実です。
事業資金は「運転資金」または「設備資金」として利用されるべきですが、それが不明確なままだと審査において不利になってしまいます。
融資資金は原則として事業用途に限定されており、私的な支出(生活費や娯楽費など)への使用は契約違反となる可能性があります。
さらに、仮に融資が認められた場合でも、実際の使い道が業務に不必要と判断されれば、その分の金額が融資額から削られるリスクもあります。
返済能力が弱い
返済能力が弱いと判断された場合は、融資の承認が難しくなる可能性が高くなってしまいます。
例えば、過去の信用情報に延滞記録がある場合や以下のような支払いが滞っている場合、「返済能力に不安がある」と判断されることがあります。
- 税金の支払い
- 電気・水道などの公共料金
- 賃貸住宅の家賃
- 各種ローンの返済
- 携帯電話料金
- 奨学金の返済
このように、創業資金の借り入れを検討する際には、上記の支払いを常に期限内に行っていることが重要です。
業務経験が浅い
融資審査に通らない原因として、起業家自身の実務経験の不足が挙げられます。
融資担当者は、創業者がこれから始めようとしている事業分野において、どれほどの実践的な知識やスキルを持っているかを重視しています。
そのため、関連業界での勤務経験が豊富であると、審査で高く評価されやすくなります。
一方で、事業と関わりの深い業務経験が浅い場合、「経営を任せるには不安が残る」と判断され、融資を受けるのが難しくなるケースもあります。
業務経験に加えて、マーケティングや財務管理など、事業運営に必要な基本的スキルを備えていることは、審査時に好印象を与える要素となる場合があります。
時間に余裕を持って準備や手続きをしよう!

今回は、創業融資の手続きと流れを紹介しました。
日本政策金融公庫から融資を希望する方は、まず最寄りの支店に足を運び、窓口で相談することから始めるようにしましょう。
あらかじめ懸念点や不明な点を確認しておくことで、その後の手続きがスムーズに進めることができます。
今回の記事を参考にして、時間に余裕をもって、計画的に準備と申請を行うようにしましょう。
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この記事の監修者

税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。