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個人事業主は日本政策金融公庫から融資を受けられる?融資を受けるステップやコツも解説

読了目安時間:約 6分
日本政策金融公庫の融資は、法人だけでなく個人事業主の方でも申請が可能です。
これから開業を目指す方や、すでに事業を始めたばかりの方でも、状況に応じた柔軟な資金調達ができるよう、さまざまな支援制度が整備されています。
本記事では、「個人事業主が日本政策金融公庫から融資を受けられるのか」「申請のステップや必要書類」「審査を通過するためのポイントや注意点」を解説します。
この記事を参考に、日本政策金融公庫の活用を検討し、ご自身の事業に合った資金調達をスムーズに進めていきましょう。
目次
個人事業主は日本政策金融公庫から融資を受けられる?

個人事業主も日本政策金融公庫の融資制度の対象に含まれており、一定の条件を満たせば融資を受けられます。
日本政策金融公庫は、起業や事業の開始を目指す方を資金面で後押しする目的で、さまざまな融資制度を用意しています。
民間の金融機関では対応しきれない領域をカバーする役割を担い、起業家や自営業者の活動を支えるために設立されたのが特徴です。
また、国民の生活水準の向上や経済活性化を目的として運営されているので、法人だけでなく個人事業主も支援の対象として含まれています。
もちろん、融資の可否は申請内容や事業計画、面談などを通じた総合的な審査によって決まりますが、個人事業主であっても、要件を満たし審査に通過すれば創業資金の借り入れが可能です。
次項では、個人事業主が融資を受ける具体的なステップをご紹介します。
個人事業主が日本政策金融公庫から融資を受けるステップ

個人事業主が日本政策金融公庫から融資を受けるステップについては、以下のとおりです。
- ステップ①:事前準備
- ステップ②:融資申請
- ステップ③:面談
- ステップ④:手続き
- ステップ⑤:融資実行
それぞれのステップについて解説していきます。
ステップ①:事前準備
日本政策金融公庫からの融資を受けるには、事前の準備が必要です。
具体的に必要な事前準備は、以下が挙げられます。
項目 | 内容 |
事業計画の構築 | 売上や利益の見通しに加えて、業界や競合のデータを活用した根拠あるプランを立てることが求められる。単なる予測ではなく、裏付けのある内容にすることが重要。 |
必要書類の整理 | 本人確認書類や確定申告書、資金繰り表、各種許認可証など提出が必要な書類は事前にリストアップし、漏れなく準備しておくことが大切。最新の情報は公庫の公式サイトで確認。 |
信用情報のチェック | CICやJICCなどの信用情報機関で自身の信用状態を確認。万が一、過去に延滞履歴がある場合は、事情を説明できるように。 |
税金の納付状況 | 所得税や事業税などの納税状況が適正であるかを確認。万が一、滞納がある場合は早急に完納するか、支払い計画を策定し証明できる書類を準備。 |
上記の準備が不十分だと、審査で不利になる可能性があるので、融資担当者からの信頼を得るためにも、各項目をしっかりと整えてから申請に臨むよう心がけましょう。
ステップ②:融資申請
次に融資申請を行います。
資金の借り入れを希望する際には、オンラインまたは郵送のいずれかの方法で申請することが可能です。
申請する際には、過去2年間の確定申告書や創業時の計画書などの書類も一緒に提出する必要があります。
オンラインで手続きを行う場合には「借入申込書」の提出を省略できる場合もありますが、郵送による申請では同封が求められます。
また、融資を受けるにあたっては、単に必要書類を形式的に揃えるだけでは不十分で、資金を調達する合理的な理由があるかどうか、返済をきちんと行えるかといった点が厳しく確認されます。
ステップ③:面談
融資申請が完了すると、次のステップとして面談が実施されます。
面談では、資金の必要性や使用目的、事業の将来の展望や運営方針について具体的に説明することが求められます。
万が一、質問に対して十分な説明ができない場合、事業計画が練られていないと判断され、審査で不利になる可能性があります。
面談に臨む前には、事業の方向性や自身の経営ビジョンについて、明確な回答ができるよう準備しておくことをおすすめします。
虚偽の申告があった場合、融資は原則として否決されるため、正確かつ事実に基づいた申請を行うことが重要です。
さらに、事業の強みや競合との差別化戦略についても尋ねられることがあるので、どのような点で他社と異なる価値を提供できるか、明確にできるように準備しておくことが、融資を受ける上で重要と言えます。
ステップ④:手続き
審査に通過すると、次のステップとして融資に関する手続きを進めていきます。
手続きを行う際には、借用証書などの必要書類を整える必要があり、手続きを怠ると、融資を受けることができなくなってしまうリスクがあるので注意が必要です。
申し込みが完了し、審査に通った後は、指定した銀行口座へ融資金が入金されます。
審査結果は申請内容や混雑状況により異なりますが、一般的には申請から2週間〜1カ月ほどで通知されます。結果は郵送または電子通知のいずれかの方法で案内される場合があります。
最新の案内は公式サイトでご確認ください。
参考:日本政策金融公庫
ステップ⑤:融資実行
融資が承認されると、契約手続き完了後、指定の口座に資金が振り込まれます。
この資金は、事前に提出した事業計画書や資金使途に沿って、適切に使用する必要があります。
融資実行後は、次のステップとして返済の開始準備が始まります。
返済方法には、元利均等返済・元金均等返済・ステップ返済などがあり、ご自身の収支状況に合った返済プランの選択が重要です。
返済期日はあらかじめ決められており、期限を守ることが基本ですが、万が一支払いが困難になった場合は、早めに金融機関へ相談しましょう。
事情によっては返済条件の見直しが認められる場合もありますが、審査が必要となるため注意が必要です。
個人事業主が日本政策金融公庫の融資審査を通過するコツ

通過するコツについては、以下の6つが挙げられます。
- 説得力のある資金計画を立てる
- 融資希望額に応じた自己資金を準備する
- 実現性のある事業計画書を作成する
- 支払遅延や滞納を避ける
- 事業経験をアピールする
- 面談では熱意を持って伝える
それぞれのコツについて解説していきます。
説得力のある資金計画を立てる
融資審査を通過するには、資金の使い道を明確にし、それに基づいた現実的かつ納得性の高い資金計画を示すことが重要です。
資金の使途があいまいな状態だと、融資の必要性そのものが疑問視され、結果として希望額を借りられなかったり、審査に落ちたりするリスクが高くなってしまいます。
そのため、どのような目的で融資を受けるのか、どの分野に資金を投入するのかを具体的に示し、それを裏付ける見積書や資金繰り表などの資料を準備することが求められます。
起業後の売上計画や仕入れ、経費の見通しなど、資金の動きについても説明できるようにし、返済可能であるという根拠を示すことも重要です。
融資希望額に応じた自己資金を準備する
審査を通過するコツとして、融資額に応じた自己資金を準備することも重要な要素の一つです。
自己資金に対する融資額の一般的な目安としては、自己資金の2〜3倍程度が目安になるといわれています。(業種や事業内容によっても異なります)
そのため、希望する融資金額が高額である場合には、それに対応する自己資金をしっかりと準備しておくことが求められます。
もしも手元の資金に余裕がない場合は、副収入を得る、支出を見直すなどして、自己資金を増やす工夫を検討する必要もあるでしょう。
実現性のある事業計画書を作成する
融資審査を通過するには、実現性の高い事業内容を事業計画書に反映させることが重要です。
融資申請時には事業計画書の提出が求められますが、書式が整っているだけでは十分とは言えません。
事業の内容が具体的かつ現実的でなければ、信頼性に欠けると判断される可能性があります。
どのようなビジネスを展開する予定なのか、明確に記載することが重要です。
支払遅延や滞納を避ける
日本政策金融公庫の融資を受けるためには、日頃から支払いや返済をきちんと行っていることが重要です。
申し込みの際には申請者の信用情報が審査対象となるので、信用履歴に問題があると融資を断られる場合があります。
例えば、税金や公共料金の滞納、クレジットカードやローンの支払い遅延などは、信用に悪影響を及ぼしてしまうので注意が必要です。
信用情報は、CIC(株式会社シー・アイ・シー)、JICC(株式会社日本信用情報機構)、KSC(全国銀行個人信用情報センター)といった専門機関によって管理されています。
各機関に対して情報開示の申請を行うことで、ご自身の信用情報を確認することが可能です。
申請方法はインターネット、郵送、窓口など複数あり、手数料が発生する場合もありますので、事前に各機関のホームページで詳細を確認してから手続きを行うことをおすすめします。
融資申請前に信用情報をチェックしておくことで、万が一のトラブルや審査落ちを未然に防ぐ手助けになります。
参考:CIC|JICC|本人開示の手続き | 全国銀行個人信用情報センター
事業経験をアピールする
審査を通過するコツとして、起業や開業を予定している分野における経験をアピールすることも有効です。
例えば、これまでに従業員として関わっていた業種で起業を目指す場合、その業界での知見や実務経験が事業計画の信頼性を高める要素となります。
逆に、全く関係のない分野での開業となると、計画の現実味に疑問を持たれやすくなります。
このように、同業種での勤務経験や業務に関連する知識・技能、資格の取得などがあれば、それらを根拠に事業の実現可能性を示すことができ、審査においてプラスに働く可能性があります。
面談では熱意を持って伝える
融資申請後に実施される面談では、自らの考えや想いを率直かつ具体的に伝えることが重要です。
特に、自社の社会的な意義や貢献について、自分の言葉で真摯に伝える姿勢が求められます。
他人の事例を真似したり、曖昧な説明に終始すると、担当者に信頼されず、審査の通過が難しくなる可能性も考えられるため注意が必要です。
面談では、経営者としての経験や起業のきっかけ、顧客獲得の方法、自社の強みなど事業全体に関わるさまざまな点について問われます。
売上や利益の見通し、資金繰りの状況についても説明できるよう、事前にしっかりと準備しておく必要があります。
個人事業主が日本政策金融公庫の融資を受ける際の注意点

融資を受ける際の注意点については、以下の2つが挙げられます。
- 審査期間が長くなる
- 自己資金が少ないと融資額が減額してしまう
それぞれの注意点について解説します。
審査期間が長くなる
個人事業主が日本政策金融公庫の融資を受ける際の注意点として、審査に比較的時間がかかってしまうことが挙げられます。
特に、起業や開業に際して初めて融資を申請する場合には、これまでの信用情報などを一から確認する必要があるため、審査が長引くこともあります。
資金調達の計画を立てる際には、必要な時期に余裕をもって申し込むことをおすすめします。
自己資金が少ないと融資額が減額してしまう
個人事業主が日本政策金融公庫の融資に申請する際は、自己資金も重要な審査のポイントになります。
万が一、希望融資額に対して自己資金の割合が極端に低い場合、融資金額が希望よりも減額される可能性が高くなります。
明確な自己資金の基準は設けられていませんが、安全に審査を通過したい場合は3倍以内に抑えることをおすすめします。
融資を受ける際には丁寧に準備しよう!

今回は、個人事業主は日本政策金融公庫から融資を受けられるかについて紹介しました。
個人事業主は日本政策金融公庫から融資を受けることが可能です。
日本政策金融公庫の融資制度には、無担保・無保証人で利用できるものや、条件次第で民間金融機関より低金利となる場合もあります。
また、創業間もない事業者向けの資金調達手段としても活用されており、まだ銀行など民間の金融機関と取引経験がない方でも申し込みやすい点が特徴です。
しかし、融資を受けるには審査が行われるので、希望通りの融資額を得るには事前準備が不可欠です。
今回の記事を参考にして、融資を受ける際には丁寧に準備をするようにしましょう。
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この記事の監修者

税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。