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任意整理中に融資は利用できる?融資審査を申し込む際のポイントや借入を避けるべき理由も解説

読了目安時間:約 6分
任意整理中は、信用情報に事故情報が登録されるため、多くの金融機関では融資の審査が厳しくなる傾向があります。
本記事では、任意整理中に融資は利用できるのか、解説します。
他にも「任意整理中に融資審査を申し込む際のポイント」や「任意整理中に借入を避けるべき理由」についても解説します。
目次
任意整理中に融資は利用できるのか?

一般的に、債務整理中の方は信用情報に事故情報が記録されているため、審査の通過は非常に難しいとされています。ただし、制度上は債務整理中でも日本政策金融公庫に申請すること自体は可能です。
以下、詳しく説明します。
日本政策金融公庫の創業融資制度について
日本政策金融公庫では、「新規開業資金」や「中小企業経営力強化資金」など、創業支援に特化した融資制度が複数用意されています。
これらの制度は、創業前または創業後概ね7年以内の方が対象で、審査に通過すれば最大7,200万円(うち運転資金としては最大4,800万円)までの融資を受けられる可能性があります。
ただし、審査においては申込者の信用情報が重視されるため、債務整理中(任意整理など)の方は、原則として融資の対象外となる場合が多いです。特に、信用情報機関に事故情報(ブラック情報)が登録されている場合は、審査に通る可能性は極めて低いとされています。
一方で、過去に廃業歴がある場合でも、その経緯が明確かつ新規事業に再現性のある実行計画があれば、個別に審査される可能性はあります。ただし、これはかなり例外的な判断であり、確実な融資につながる保証はありません。
任意整理中に融資を申し込む際のポイント

任意整理中は、信用情報機関に事故情報が登録されるため、融資審査に通過するのは一般的に非常に困難です。
しかし、それでも融資を申し込みたい場合には、審査に向けてできる限りの準備をすることが重要です。
任意整理中に融資を申し込む際のポイントは、以下の3つが挙げられます。
- 任意整理の状況を具体的に説明する
- 説得力がある事業計画書を作成する
- 専門家に相談する
それぞれのポイントについて解説していきます。
任意整理の状況を具体的に説明する
現在の任意整理に関する詳細な情報や今後の返済方針について明確に説明しましょう。
任意整理の事実は資金調達の場面ではマイナス要因となりますが、事実を隠していると、深刻な問題に発展してしまうリスクがあります。
そのため、現状を正直に伝え、しっかりと練った返済スケジュールを示すことで、「任意整理を経て、計画的に返済していく意志がある」ということを伝えるようにしてください。
説得力がある事業計画書を作成する
融資審査では、提出する事業計画書の内容が重要な役割を果たすので、説得力がある事業計画書を作成するようにしましょう。
具体的には、事業を継続させる方法はもちろん、どのようにして事業を発展・拡大させていくかを、実現可能な形で明示することが求められます。
また、事業計画書は希望融資額の正当性を説明する根拠ともなるため、資金の使用目的を明確に記す必要があります。
さらに、計画の実現可能性を高めるためには、ターゲット市場の分析や競合調査をおこない、対象とする顧客層を明確にすることが重要です。
専門家に相談する
税理士や弁護士、ファイナンシャルプランナーなどそれぞれの分野に精通した専門家に相談することで、現実的な選択肢や対策を把握しやすくなります。
これらの専門家は、債務者の置かれている状況を冷静に分析し、どのような資金調達手段が適切か、あるいはどのような交渉方針を取るべきかといった具体的な助言をおこなってくれます。
また、専門家の支援を得て、専門的な見地に基づいた助言や指導が加われば、その計画に対する信頼度と説得力を高めることができます。
なお、これらを行っても必ずしも融資が受けられるわけではありません。
任意整理中に借り入れするべきではない理由

任意整理中に融資の申し込みをすることは可能ですが、仮に借り入れが可能な状況にあったとしても、任意整理中に新たな債務を抱えることは、財務面・信用面の両面で大きなリスクとなります。
以下に、借り入れを避けるべき主な理由を整理いたします。
- 借金返済がさらに苦しくなる
- 生活再建の意思が無いと判断されてしまう
- 依頼している専門家から契約解除のリスクがある
- 闇金業者に引っかかってしまう危険がある
それぞれの理由について解説します。
借金返済がさらに苦しくなる
任意整理中に借り入れするべきではない理由として、さらに借金返済が困難な状態になってしまうリスクが挙げられます。
借金状態の中で、さらに新たな借り入れを行ってしまうと、返済額が増加し、当初立てた返済プランが崩れてしまう危険性が高まってしまうのは言うまでもありません。
任意整理を通じて、本来であれば負担の少ない返済計画のもとで完済を目指せるはずですが、手続き中に追加で借金をしてしまうと、結局、以前と同じように毎月の支払いに苦しむことになります。
その結果、返済が立ち行かなくなり、最終的には自己破産といった法的手段を選ばざるを得ないケースも考えられます。
生活再建の意思が無いと判断されてしまう
任意整理の最中に新たな借金をしてしまうと、債権者に「生活再建の意思がない」と判断されてしまうリスクがあります。
生活再建の意思が無いと判断されてしまうと、希望していた返済条件の見直しが不利なものになったり、交渉自体が拒否されたりする可能性もあります。
最悪の場合、手続きが無効とされ、残っている債務を一括で返すよう求められることもあります。
こうしたリスクを避けるためにも、任意整理中の新たな借り入れは極力控えるようにしましょう。
依頼している専門家から契約解除のリスクがある
任意整理の手続きを進める際には、弁護士などの法律の専門家と連携して対応することになりますが、手続きの最中に新たな借金をすると、依頼している専門家から契約解除されるリスクがあります。
実際に、こうしたリスクを避けるため、多くの弁護士事務所では任意整理の期間中に新たな借り入れをすることを厳しく禁じています。
任意整理中に新たな借り入れを行った場合、依頼者としての信用に影響を与える可能性があり、事務所によっては契約を見直されることもあります。
契約が解除された場合には、これまでストップしていた返済や督促が再開されたり、新たに弁護士を探し直す手間や費用が必要になります。
このような事態に陥らないよう、任意整理中の金銭管理には十分注意するようにしましょう。
闇金業者に引っかかってしまう危険がある
任意整理中に借り入れを検討する場合、一部の中小の金融業者の中には、正規の業者を装った違法な闇金業者が紛れていることがあり、闇金業者に引っかかってしまう危険があります。
闇金業者は、他の金融機関で融資を断られた人にも無審査等で貸し付けを行いますが、法外な利息や違法な取り立て行為により、利用者を追い詰めていきます。
例えば、「ブラックでも借入可能」「審査なしで即融資」などの宣伝をしているところほど、闇金業者の危険性が高い傾向にあります。
実際に、闇金業者の目的は、借金を返済させることではなく、できる限り長期にわたって借り手からお金をむしり取ることにあります。
そのため返済が完了したはずでも、さらなる請求が続き、家庭や職場にも執拗な連絡が来ることがあるので、細心の注意が必要です。
任意整理中に資金が必要なときの対処方法

任意整理中に資金が必要なときの対処方法については、以下の2つが挙げられます。
- 公的な制度を利用する
- 別の債務整理を検討する
それぞれの対処方法について解説していきます。
公的な制度を利用する
任意整理の手続き中に資金が必要な場合には、消費者金融などの民間から借りるのではなく、まずは公的支援制度の利用を検討するようにしましょう。
これらの制度は利用にあたって条件がありますが、条件を満たすことで、民間に比べて低い金利で借り入れができたり、返済不要の給付金を受け取ることが可能です。
代表的な制度については、以下が挙げられます。
制度の種類 | 内容 |
生活福祉資金貸付制度 | 低所得世帯や障害・高齢者世帯を支援する目的の制度です。 |
住居確保給付金 | 離職や災害などで住まいを失った、または失う可能性がある方に対し、就労支援とともに家賃相当額を支給する制度です。 |
一部負担金減免制度 | 医療費の自己負担が困難な場合に利用できる制度です。認定を受ければ、病院などでの診察や治療にかかる費用の一部、または全額の免除が適用されます。 |
法テラス(日本司法支援センター) | 経済的に余裕がない方が法的な相談をおこなえる公的機関です。任意整理の手続きを進める際に、弁護士費用や司法書士費用の立替や分割払いの支援が受けられることがあります。 |
生活保護制度 | 日常生活を維持するために最低限の収入が確保できない場合、生活保護の申請が可能です。家賃や光熱費、食費、医療費などが支援対象となります。生活保護を受給しながら任意整理の手続きを進める際には、状況により制約が生じる場合があるため、専門家に相談のうえ適切な手続きを検討してください。 |
こうした支援制度は、それぞれ対象条件が異なりますので、まずは最寄りの福祉窓口や法テラスへの相談をおすすめします。
参考リンク集:
・生活福祉資金貸付制度 |厚生労働省
・厚生労働省生活支援特設ウェブサイト | 住居確保給付金:制度概要
・港区ホームページ/一部負担金の減額・免除
・法テラス
・生活保護制度 |厚生労働省
別の債務整理を検討する
任意整理をおこなうと、利息や遅延損害金については減免される可能性があり、返済期間もおおよそ5年程度まで延ばすことができます。
しかし、過払い金が発生している場合を除き、借入元本そのものは原則として減らすことはできません。
一方で、自己破産や個人再生といった法的な手続きでは、元本を含む借金全体の金額を大幅に圧縮できる可能性があります。
そのため、任意整理をしてもなお返済が困難であったり、整理後も新たな借り入れが必要となる状況が想定される場合には、個人再生や自己破産といった他の債務整理手段の検討が求められるケースもあります。
それぞれの手続きについて、以下にて解説していきます。
個人再生
個人再生とは、裁判所により認められた返済計画に基づいて、通常は3年間(最大5年間)で借金を分割して返済していく制度です。
この制度では、3つの基準のうちもっとも高い金額が返済の基準となります。
基準 | 内容 |
最低返済額の基準 | 借入総額によって決まり、おおむね5分の1から10分の1程度になります。 |
清算価値の基準 | 仮にすべての資産を売却した場合に得られる金額を基準とします。 |
可処分所得の倍額基準 | 主に給与所得者向けの手続きで、手元に残る収入の2年分を目安に計算されます。 |
不動産や自動車などの資産がまったくない、あるいはごくわずかしかない場合には、借金の大幅な削減(最大で10分の1程度まで)が期待できます。
また、財産を保有していたとしても、自己破産と異なりそれを手放すことなく手続きできるのが、個人再生の大きな利点と言えます。
自己破産
自己破産とは、原則として20万円を超える価値のある財産を手放す代わりに、借金の返済義務が法律上「免責」される制度です。
例えば、病気や解雇などの予期せぬ理由で収入が激減し、借金の返済が困難になった方や、借入額が大きすぎて利息分すら支払いが追いつかず、債務が雪だるま式に膨らんでいる方には、任意整理よりも自己破産を検討する価値があると言えます。
任意整理中の資金調達は慎重に判断しよう!

任意整理手続き中に新たな事業資金を確保することは、非常に難しいのが実情です。特に信用情報に事故情報が登録されている場合、日本政策金融公庫をはじめとする金融機関の審査通過はきわめて厳しくなります。
そのため、重要なのは「そもそも今、資金調達が本当に必要な状況か」「事業継続の見通しは十分に立っているか」といった点を、冷静かつ客観的に見極めることです。
任意整理中の資金調達については、自己判断で動くことなく、必ず税理士や弁護士などの専門家に相談し、長期的な視点で最適な対応策を検討することをおすすめします。
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この記事の監修者

税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。