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バーを開業するのに必要な資金とは?資金調達方法や開業を成功させるコツも紹介

読了目安時間:約 7分
バーの開業には、資金の確保はもちろん、各種手続きや事業計画の策定など入念な準備が求められます。
特にバーでは、深夜営業や酒類提供に関する法的な届出・許認可も必要となるため、開業前の対策が非常に重要です。
本記事では、バーを開業する際に必要となる初期資金の内訳についてわかりやすくご紹介します。
あわせて、資金調達の主な方法や、開業後の安定経営につなげるためのポイントについても解説します。
これからバーの開業をご検討の方にとって、資金計画を立てるうえでの参考となれば幸いです。
目次
バーを開業するのに必要な資金

バーの開業に必要な資金は、その店舗の規模や立地条件によって異なりますが、一般的にはおおよそ500万円から1,000万円程度と見込まれています。
新たに飲食業を始める際には、物件の取得費や内装の施工費といった初期投資に加え、最低でも数ヵ月分、できれば半年程度の運転資金を確保しておくことが望ましいです。
また、バーという業態は、他の飲食業種と比較しても初期投資が高めに設定される傾向があります。
具体的にバーを開業するのに必要な資金は、以下の2つに分けられます。
- 必要資金①:初期費用
- 必要資金②:運転資金
それぞれの資金について解説していきます。
必要資金①:初期費用
バーを開業する際の初期投資額は、一般的に約500万円程度が目安とされています。
まず最初に必要となるのが、店舗物件の賃貸です。
バーの営業にはある程度の広さが求められるため、月々の賃料は一般的な家賃よりも高めになる傾向があります。
また、カウンターの什器・グラス類・照明設備などにかかるコストが大きい場合もあり、飲食店の中では設備投資が比較的大きくなる傾向があります。
立地や規模、インテリアのレベルによって必要資金は幅が生じるため、事業計画立案時に複数の見積もりを比較検討しましょう。
必要資金②:運転資金
バーの運転資金とは、開業後に毎月必要となる経常的な支出をまかなうための資金です。
賃料や水道光熱費、仕入れ原価、人件費などをあわせて、一般的には月間50万~100万円前後と想定されることが多いですが、店舗規模や立地条件により変動します。
特に賃料が大きな比重を占めるため、広めの店舗を構える場合は高めの賃料を想定しておくことが重要です。
バーを開業する際の資金調達方法

バーを開業する際の資金調達方法については、以下の3つが挙げられます。
- 資金調達方法①:日本政策金融公庫の融資
- 資金調達方法②:補助金・助成金
- 資金調達方法③:自己資金
それぞれの資金調達方法について解説していきます。
資金調達方法①:日本政策金融公庫の融資
バーを開業する際の資金調達方法として、日本政策金融公庫の融資が挙げられます。
日本政策金融公庫は、国が全額出資しており、起業する方の多くが利用を検討する融資制度のひとつです。
一定の要件(自己資金要件や業歴要件など)を満たせば、原則として担保や保証人なしでも申請可能です。制度ごとの詳細な要件は、公式サイトや最寄りの融資相談窓口で必ずご確認ください。
参考:日本政策金融公庫
資金調達方法②:補助金・助成金
助成金・補助金は、国や自治体が実施する返済不要の資金支援制度であり、事業の内容や目的に応じてさまざまな種類が用意されています。
「助成金」は主に雇用環境の整備や人材育成に関連した支援が多く、要件を満たせば受給しやすいのが特徴です。一方で「補助金」は、設備投資や新規事業の立ち上げなどを対象とした制度が多く、申請時に事業計画書の提出や審査を経る必要があり、採択には一定のハードルがあります。
いずれも制度ごとに申請条件や手続きが異なるため、適切な制度の選定と、計画的な準備が重要です。
資金調達方法③:自己資金
バーを開業する際には、まず自己資金を準備することが重要です。
金融機関から融資を受ける場合、自己資金が多いほど信用性が高まり、審査においても有利に働きます。
しかし、出所が不明確なお金(たとえば長期間保管していた現金など)は、自己資金として認められない点に注意が必要です。
特に、融資申請の直前に不自然に自己資金が増加した場合、見せ金(資金の見せかけ)と疑われる恐れがあり、審査でマイナス評価につながるリスクがあります。
そのため、信頼性を示すためにも、資金の出どころは明確にしておくことが大切です。
バーの開業資金の融資審査に通るためのポイント

バーの開業資金の融資審査に通るためのポイントについては、以下の3つが挙げられます。
- 説得力のある事業計画書を作成する
- 自己資金比率を上げる
- 根拠のある返済計画書を作成する
それぞれのポイントについて解説していきます。
説得力のある事業計画書を作成する
バーの開業資金の融資審査に通るためのポイントとして、説得力のある事業計画書を作成することが重要です。
実際に、融資を受ける際の審査では、事業計画書の内容が非常に重要な判断材料になります。
単に事業を続けるための方針にとどまらず、将来的な成長戦略や発展の可能性を、具体的な形で盛り込むことが求められます。
また、事業計画書は希望する融資額の裏付けにもなるので、資金の用途を明確に区別して示すことが大切です。
さらに、しっかりとした将来の見通しを提示するためには、市場の分析や競合状況、想定する顧客層の選定なども含めるようにしましょう。
このように、収支予測も具体的に立てて、実現性の高い事業計画書に仕上げることで、金融機関の信頼を得やすくなります。
自己資金比率を上げる
バーの開業資金の融資審査に通るためのポイントとして、自己資金比率を上げることが挙げられます。
実際に、創業時の融資を受ける際には、自己資金の割合が非常に重要な要素になります。
一般的に、自己資金の割合が多ければ多いほど、金融機関からの信頼が得やすくなり、審査にも通りやすくなる傾向があります。
目安としては、希望する融資金額の約3分の1を自己資金として準備しておくことをおすすめします。
もちろん、自己資金が少なくても、過去に同業種での経営経験がある、すでに確かな売上の見込みが立っているといった強みがあれば、融資が承認されるケースもあります。
しかし、そのような明確な強みがない場合には、できる限り自己資金を確保しておくことが求められます。
根拠のある返済計画書を作成する
融資は無償の支援ではなく、「貸し付けた資金が確実に返済されること」を前提に実行されるものです。
そのため、金融機関に対しては、根拠のある返済計画書を提示することが非常に重要となります。
融資審査において、金融機関が最も重視するのは「返済能力の有無」です。
返済の時期や金額、具体的な資金の流れに加え、事業が計画通りに進まなかった場合のリスク対応まで含め、実現可能性の高い計画として明示する必要があります。
単なる数値の羅列ではなく、事業の売上予測や利益見通し、コスト構造など、根拠のあるシミュレーションに基づいた返済プランを作成することが求められます。
バー開業に必要な資格

バー開業に必要な資格については、以下の2つが挙げられます。
- 資格①:食品衛生責任者
- 資格②:防火管理者
それぞれの資格について解説していきます。
資格①:食品衛生責任者
バーなどの飲食業を営むうえで欠かせないのが食品衛生責任者の資格です。
食品衛生責任者は、提供される料理や飲み物の衛生状態を適切に保つために必要とされており、食品衛生法第51条により、飲食店では最低1名の有資格者を配置することが義務付けられています。
特にバーなどでは、経営者自身が日常的に店舗に立つことが多いので、自ら資格を取得するケースが少なくありません。
参考:食品衛生責任者について|一般社団法人東京都食品衛生協会
資格②:防火管理者
防火管理者とは、火災を未然に防ぐことを目的として、防火体制の整備や火災予防対策を行うために選任される責任者であり、一定規模以上の建物等では選任が法律で義務づけられています。
防火管理者の資格は、食品衛生責任者と同様に、所定の講習(通常1日)を受講することで取得できます。
特別な受験制度は設けられておらず、一定の講義と修了確認をもって認定される制度となっており、事業者が法令に基づき適切な防火体制を整えるための実務的な資格といえます。
費用はおおよそ7,000円から8,000円程度で、事前の申し込みが必要です。(金額は地域によって異なる場合があります)
具体的な申し込み方法や講習日程は、日本防火・防災協会などの公式サイトで事前に確認しておくことをおすすめします。
バー開業に必要な届出

バー開業に必要な届出については、以下の4つが挙げられます。
- 届出①:飲食店営業許可
- 届出②:防火管理者選任届出
- 届出③:特定遊興飲食店営業許可申請
- 届出④:深夜酒類提供飲食店営業開始届
それぞれの届出について解説していきます。
届出①:飲食店営業許可
飲食業を営む場合、業種を問わず飲食店営業許可の取得が法律で義務付けられています。
この許可を得るためには、まず保健所への事前相談が求められます。
バーを開業する場合には、店舗の設計図を持って相談に行き、図面に不備がないか確認を受けます。
問題がなければ、必要な申請書類の準備を進めていき、保健所による現地調査(検査)が実施され、基準を満たしていれば晴れて営業許可が交付される流れです。
参考:営業許可・届出の概要|「食品衛生の窓」東京都保健医療局
届出②:防火管理者選任届出
防火管理者選任届出は、事業所や店舗で誰が防火管理を担当するのかを明示するための重要な手続きです。
防火管理者として選ばれるには、所定の講習を修了しているか、または防火・防災に関する専門的な知識を有していることが求められます。
届出に必要な書類は、地域を管轄する消防署や消防本部の公式ウェブサイトで取得可能です。
防火管理者の資格を持っているだけでは不十分で、必ずこの届出を提出して初めて正式に認められるので、忘れずに手続きを行うようにしましょう。
参考:防火・防災管理者選任(解任)届出書 / 消防計画作成(変更)届出書 | 東京消防庁
届出③:特定遊興飲食店営業許可申請
特定遊興飲食店とは来店客にアルコールを提供しながら、音楽・ダンスなどの娯楽を提供する飲食店に適用されるものです。
許可を得るためには、店舗の立地が重要で、病院や図書館など公共施設との距離が基準を満たす必要があります。
さらに、申請者自身についても、一定期間内に刑事罰を受けていないことなど、細かい条件が設けられています。
新たに店舗を開業する場合、この許可の取得には申請手数料として24,000円がかかるほか、条件や手続き内容により追加費用が発生することもあります。
参考:風俗営業、特定遊興飲食店営業許可申請(欠格事由・必要書類)
届出④:深夜酒類提供飲食店営業開始届
深夜酒類提供飲食店営業開始届出」は、主に酒類を提供し、深夜0時以降も営業する飲食店に義務付けられた手続きです。
バーやダイニングバーなど、酒類を主力とした営業形態の場合、特に必要性が高く、届出を怠ると営業停止や罰則の対象となるおそれがあります。
届出にあたっては、警察庁または各都道府県警察のWebサイトで指定された様式に基づき、必要書類を準備し、管轄の警察署に提出する必要があります。
また、店舗の所在地によっては、用途地域の制限等により深夜営業が制限されている場合もあるため、開業前に自治体への確認を行うことが重要です。
バーの開業を成功させるコツ

バーの開業を成功させるコツについては、以下の3つが挙げられます。
- 利用しやすい雰囲気づくり
- コンセプトに合った土地選び
- 常連客を増やす
それぞれのコツについて解説していきます。
利用しやすい雰囲気づくり
バーの開業を成功させるコツとして、利用しやすい雰囲気づくりが挙げられます。
実際に、バーというと、夜の社交場というイメージが根強く、「入りにくい」と感じる人も少なくありません。
特に、若い世代にとっては「大人だけの空間」という印象があり、足を運びにくい存在になっているのも事実です。
そのため、より多くの人に親しまれる店を目指すには、初めてでも安心して利用できるような温かみのある雰囲気作りが大切です。
このように、来店のハードルを下げることで、新しいお客様との出会いも増え、リピーター獲得にもつながるので、利用しやすい雰囲気づくりを心掛けるようにしましょう。
コンセプトに合った土地選び
バーを開業する際には、コンセプトに合った土地選びが大切です。
単純に賑わいのあるエリアを選んでしまうと、人通りが多い場所は競合店も多く、賃料が高騰することが一般的です。
重要なのは、その場所が自店の規模や営業スタイルに合っているかどうかです。
例えば、オフィスが集まる地域の駅前と住宅地の駅前では、人の流れのピーク時間が異なります。
特に、住宅街では夜遅くに人が集まりやすい傾向があるため、立地だけでなく時間帯ごとの人の動きにも注目することが重要です。
常連客を増やす
バー経営の成功には、継続的に訪れてくれるリピーターや常連客の存在が欠かせません。
そのため、顧客が安心して何度も通いたくなるような雰囲気作りが重要です。
バーを開業する際は、来店した顧客一人ひとりと真摯に向き合い、信頼関係を築いていく姿勢が求められ、そうした積み重ねが、常連客を増やすことができ、経営の安定にもつながります。
バーの開業をするなら入念に準備をしよう!

今回は、バーを開業するのに必要な資金について紹介しました。
バーの開業には、一般的な飲食業よりも高額な初期費用がかかる傾向があるので、入念な計画が不可欠です。
また、経営を軌道に乗せるためには、定期的に足を運んでくれる常連客の存在が重要です。
そのためには、入りやすい空間づくりや店舗のコンセプトと調和した立地の選定、リピーターを増やす施策が求められます。
今回の記事を参考に、入念に準備をするようにしましょう。
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- さらに会社設立してからも一気通貫で支援
この記事の監修者

税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。