2025.07.7

起業・開業

個人事業主の開業資金はどのくらい必要?資金調達方法やポイントについても解説

開業資金 個人事業主

読了目安時間:約 7分

個人事業主として開業する際に必要となる資金は、事業の業種や規模によって大きく異なります。そのため、開業前にしっかりと資金計画を立て、ご自身の事業内容や状況に応じた適切な資金準備を行うことが重要です。

また、一般的に個人事業主としての起業は、法人に比べて金融機関からの融資審査が厳しくなる傾向があり、資金調達が開業時の大きな課題となるケースも少なくありません。

本記事では、個人事業主として開業する際に必要となる資金の目安や、資金調達の具体的な方法、融資を受けるためのポイントについて解説します。

これから個人事業主として独立を検討されている方は、ぜひ本記事を参考に、資金計画の立案や調達方法の検討にお役立てください。

個人事業主の開業資金はどのくらい必要?

個人事業主の開業資金はどのくらい必要?

個人事業主の開業資金は事業内容によって大きく変わりますが、一般的には数十万円から数百万円程度が多いとされ、店舗型・製造業など初期投資の大きい業種では500万円以上となる場合もあります。

特に店舗を構えて営業する飲食業や美容業などでは、初期に必要となる費用もまったく異なります

そのため、自分が始めようとしているビジネスの種類や運営形態をよく理解し、実際に必要となる資金額を具体的に見積もることが重要です。

具体的に、個人事業主が必要な開業資金については、以下の2つが挙げられます。

  • 必要な資金①:運転資金
  • 必要な資金②:設備費用

それぞれの資金について解説していきます。

必要な資金①:運転資金

事業を円滑に継続するためには、日々の支払いに充てる資金の「運転資金」が不可欠です。運転資金とは、家賃や光熱費といった固定費に加えて、以下のような継続的に発生する経費が該当します。

  • 広告費用
  • 商品・材料の仕入れ代
  • 従業員への給与

例えば、商品やサービスを広く知ってもらうための広告費や、提供に必要な原材料などの仕入れ代金は、事業活動を成り立たせる上で重要です。

また、開業直後は売上が安定せず、回収が滞るリスクもあります。

そのため、最初の数カ月間、収益が十分に得られない事態を想定し、少なくとも3カ月分の固定費と変動費の合計を準備することが望ましいです。

必要な資金②:設備費用

設備費用については、まず店舗やオフィススペースを借りる際には、毎月の家賃だけでなく、敷金、礼金、保証金といった入居時に必要な初期費用も加味する必要があります。

また、業務を行うためには、物件の内装工事やリフォームが必要になることが一般的であり、それらの施工費も設備投資の一部と考えられます。

さらに、業種によっては業務開始にあたってさまざまな機器や備品を準備しなければならず、これにはパソコンやプリンターなどの事務機器から、業種特有の専門的な設備まで含まれます。

これらの調達方法としては購入に加え、リース契約を活用することも可能です。

加えて、通信環境の整備も欠かせません。インターネット回線の開設にかかる工事費用や月額使用料も事前に調査し、予算に含めておくことをおすすめします。

個人事業主が開業資金を調達する方法

個人事業主が開業資金を調達する方法

個人事業主が開業資金を調達する方法については、以下の6つが挙げられます。

  • 日本政策金融公庫の融資
  • 銀行や信用金庫からの融資
  • ビジネスローン
  • 制度融資
  • クラウドファンディング
  • 補助金や助成金

それぞれの資金調達方法について解説していきます。

日本政策金融公庫の融資

日本政策金融公庫は、国の施策に沿って設立・運営されている公的金融機関であり、中小企業や個人事業者の資金ニーズに応えています。

一般的な融資と比較すると、融資金利が相対的に低く、起業の初期段階から事業の発展に至るまで、それぞれの状況に適した多様な融資メニューが整えられています。

特に、創業時に必要とされる自己資金の割合が比較的低めに設定されているなど、起業家にとって有利な条件が用意されている点は、大きなメリットと言えます。

一方で、申込から融資までに時間がかかる傾向があることや提出が求められる事業計画書などの書類準備に相応の労力を要する点はデメリットになります。

また、各融資制度には細かな利用要件が設けられているので、最適な制度を見つけるまでに調査や比較の手間が発生してしまう可能性もあります。なお、融資制度ごとに条件は異なるため、事前に詳細確認してください。

参考:日本政策金融公庫

銀行や信用金庫からの融資

個人事業主が開業資金を調達する方法として、銀行や信用金庫を通じて直接資金を借り入れる方法もあります。

ただし、開業初期は実績や信用力が十分でない場合が多く、金融機関による審査は慎重に行われる傾向があります。

銀行融資の審査では、主に申込者の信用情報や財務状況、事業計画の内容などが評価対象となります。

なお、連帯保証が必要な場合には「信用保証協会」の保証制度を利用できるケースがあります。信用保証協会を通じて保証を受けることで、金融機関が融資を実行しやすくなり、資金調達のハードルが下がる可能性があります。

参考:もっと知りたい信用保証|一般社団法人全国信用保証協会連合会

ビジネスローン

ビジネスローンは、企業や個人事業主が事業活動のために利用する専用の資金借入れサービスです。

主に銀行やクレジット会社、消費者金融などの金融機関が取り扱っており、借入金は新規プロジェクトの立ち上げ資金や日常的な事業運営費などの事業に関連する出費に充てることができます。

特徴としては、審査から融資までの手続きが比較的迅速である点や担保や連帯保証人を必要としない場合がある点が挙げられます。

しかし、一般的な融資と比べて利率が高めに設定されていることが多いので、利用前には返済計画を慎重に立てることが重要です。

制度融資

制度融資とは、主に小規模な事業者を対象として、地方自治体が民間の金融機関や信用保証協会と連携し、資金調達をサポートする仕組みです。

事業者が制度を利用したい場合、まず自治体による審査を受け、その審査を通過すると、金融機関への紹介状が発行されます。

具体的な融資の条件や制度の内容は自治体ごとに異なりますが、一般的に低金利で利用しやすい条件が整えられています

参考:東京都中小企業制度融資

クラウドファンディング

クラウドファンディングとは、インターネットを活用して応援してくれる人々から資金を集める仕組みです。

一般的には、クラウドファンディング専用のWebサイトを通じて、自身のプロジェクトを公開します。

その際、閲覧者に共感してもらえるようなメッセージや分かりやすい事業説明を掲載し、支援を呼びかけていきます。

申請や運営に必要な手続きもオンラインで完結でき、審査も比較的ゆるやかです。

ただし、成功率は企画力に大きく依存しますので、その点には留意しましょう。

参考:クラウドファンディングの仕組み|消費者庁

補助金や助成金

国や地方自治体が一定の要件を満たした事業者に対して交付する返済不要の資金です。

代表的なものとしては「小規模事業者持続化補助金」や「IT導入補助金」などがあり、事業の成長や設備投資に活用できます。

補助金・助成金は融資とは異なり、原則として返済義務はありませんが、申請条件や報告義務が厳格に定められているため、事前に詳細を確認し、計画的に申請を進めることが求められます。

参考:小規模事業者持続化補助金について | 中小企業庁IT導入補助金

個人事業主が融資を受けるための条件

個人事業主が融資を受けるための条件

個人事業主が融資を受けるための条件については、以下の2つが挙げられます。

  • 開業届の提出
  • 確定申告の実施

それぞれの条件について解説していきます。

開業届の提出

事業を開始する際には、税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」、いわゆる開業届を提出する必要があります。

開業届には、事業の開始日や所在地、事業の内容、屋号など開業に関する基本情報がまとめられています。

提出後には控えが交付されますので、大切に保管しておくようにしましょう。

法律上、開業届は開業から1か月以内に提出することが定められています。

提出しなかった場合に罰則が科されるわけではありませんが、届け出は義務とされているので、忘れないように注意が必要です。

参考:個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁

確定申告の実施

個人事業主が融資を受けるための条件として、確定申告の実施が挙げられます。

個人で事業を行う人は、その活動によって得た収入に対して所得税を納める必要があり、この税金の計算と納付のためにおこなうのが「確定申告」という手続きです。

事業の運営にあたり、銀行などの金融機関から融資を受ける場合には、事業が収益を上げており、返済能力があることを示すことが求められます。

金融機関がそれを確認するための主な資料が、確定申告書や決算書といった書類です。

そのため、適切な確定申告は資金調達において重要な役割を果たしています。

しかし、開業したばかりで申告実績がない場合でも、しっかりした事業計画書や担保・保証人があれば融資可能なケースもあります。

参考:確定申告|国税庁

個人事業主が資金調達するポイント

個人事業主が資金調達するポイント

個人事業主が資金調達するポイントについては、以下の3つが挙げられます。

  • 自己資金を準備する
  • 説得力のある事業計画を作成する
  • 資金使途を明確にする

それぞれのポイントについて解説していきます。

自己資金を準備する

自己資金に関しては、明確な基準が設けられていませんが、金融機関による融資の審査においては、自己資金の有無が重要な判断材料となります。

業種や資金用途によっても異なりますが、一般的には希望する融資額の3割ほどの自己資金を用意しておくことが、審査を通過しやすくするための一つの指標とされています。

自己資金が十分でない場合だと、事業計画の実現性に疑問を持たれ、「資金繰りが甘い」と見なされて審査にマイナスの影響を与えるリスクがあるので、事前の資金確保が重要と言えます。

説得力のある事業計画を作成する

融資を受ける際には、提出する事業計画書の完成度が融資審査において、大きな判断材料となります。

どれほど有望なビジネスアイデアであっても、計画に具体性や説得力が欠けていれば、融資が受けられる可能性が低くなってしまいます。

そのため、将来の収支予測や市場での需要、競合との差別化戦略といった要素を明確に記載することが重要です。

事業計画の作成に自信がない方は、専門家の助言を受けたり、支援機関に相談することで、より実現可能性の高い内容に仕上げることができるでしょう。

資金使途を明確にする

個人事業主が資金調達するポイントとして、資金使途を明確にすることが挙げられます。

具体的には、「その資金をどの目的で使うのか」「具体的にいくら必要なのか」などをはっきりと整理しておくことが重要です。

また、その必要金額には明確な裏付けが求められます。

金融機関からの融資を申し込む場合も同様に、資金の使用目的や必要な金額、その金額の根拠について詳しく説明を求められます。

このように、どのような立場の人が見ても納得できるよう、これらの要素をしっかりと準備しておくことをおすすめします。

個人事業主が開業資金を調達する際の注意点

個人事業主が開業資金を調達する際の注意点

個人事業主が開業資金を調達する際の注意点については、以下の2つが挙げられます。

  • キャッシュフローを見直す
  • 返済計画を立てておく

それぞれの注意点について解説していきます。

キャッシュフローを見直す

個人事業主が開業資金を調達する際には、キャッシュフローを見直すようにしましょう。

具体的には、利息の支払い義務や毎月の返済が経営に負担をかけないか、事前にしっかりと見極める必要があります。

特に、年間を通じた資金の必要量を把握した上で、資金ショートを起こさないよう、キャッシュフローの見直しが欠かせません。

このような資金管理をおこなうためには、まずはキャッシュフロー計算書や資金繰り表を正確に作成することが基本となります。

特に資金繰り表については、将来の収入と支出の見通しをどれだけ精度高く立てられるかがポイントです。

また、不透明な要素がある場合には、少し厳しめに予算を組むことで、余裕を持った対応が可能になります。

さらに、状況に変化があった場合には、その都度、予算を見直し、最新の経営実態に即した数字を反映させることも重要です。

返済計画を立てておく

個人事業主が開業資金を調達する際には、返済計画をしっかりと立てておくようにしましょう。

実際に、金融機関などが融資をおこなう際には、企業の成長可能性や返済能力を慎重に見極めています。

そのため、融資を受けた後の事業計画や収益予測に不備がないか、事前に十分確認することが大切です。

資金を活用して事業の拡大を目指すことは基本ですが、特定の取引先に依存していないか、リスクの分散が図られているかどうかもチェックしておくようにしましょう。

また、予想外の業績悪化に備えて、リスクを踏まえた返済プランを準備することも重要です。

必要な開業資金をしっかりと把握しよう!

必要な開業資金をしっかりと把握しよう!

今回は、個人事業主の開業資金はどのくらい必要なのかについて紹介しました。

また、開業に必要な初期費用は事業の種類にもよりますが、数百万円規模の資金が必要となるケースもあります。

資金調達の方法としては、日本政策金融公庫の創業融資や制度融資、銀行融資などが選択肢としてあります。

また、開業資金を準備する際には、生活費と事業資金をしっかり区別し、借入金額は可能な限り抑えることが望ましいです。

今回の記事を参考にして、必要な開業資金をしっかりと把握するようにしましょう。


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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

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