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合同会社の代表の肩書き一覧|代表の特徴や注意点についても解説
読了目安時間:約 7分
合同会社においては、代表者の呼称や肩書きについて、法律で明確に定められた規定はありません。そのため、各社の方針や業務実態に応じて名称を設定することが可能です。
名刺やウェブサイトなどで使用する役職名も、会社のイメージや組織体制に合わせて設定できますが、対外的に誤解を与えないよう、役割や立場を明確に示すことが大切です。
本記事では、合同会社の代表の肩書き一覧に加え、代表者に関する特徴や注意点についても解説します。合同会社の設立や運営を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
合同会社の代表の肩書き一覧

合同会社では、代表者の肩書きについて法律上の明確な定めはありません。
そのため、会社の方針や対外的な印象に合わせて、自由に名称を設定することができます。
一般的によく使われる肩書きの例としては、以下の6つが挙げられます。
- 代表社員
- 代表
- 社長
- CEO
- 業務執行社員
- 職務執行者
それぞれについて詳しく解説していきます。
肩書き①:代表社員
「代表社員」という肩書きは、合同会社の会社法上、正式に定められている役職名です。
法的な観点から見ると、会社の業務を執行し、会社を代表する立場を示す正式な呼称といえます。
一方で、「社員」という語が含まれているため、一般的な意味での「従業員」と誤解される場合があります。
特に、合同会社の制度に詳しくない方に対しては、代表者であることが直感的に伝わりにくいという点には注意が必要です。
参考:法務局|合同会社設立登記申請書(代表社員が法人の場合)
肩書き②:代表
「代表」という肩書は、外部から見た際に会社の責任者であることをわかりやすく示せる点が特徴です。
合同会社では、実際に業務執行や意思決定を担う立場を示す呼称として用いられることも多く、比較的実態に即した表現といえます。
ただし、「代表取締役」との混同を招くおそれがあるため、名刺やサイト上では会社形態(合同会社など)を併記するなど、誤解を防ぐ工夫が望まれます。
参考:e-Gov 法令検索|会社法
肩書き③:社長
社長という肩書きは、株式会社の代表者として広く使われており、社会的な認知度も高い名称です。
そのため、合同会社の代表者が社内や対外的に「社長」と名乗るケースも見られます。
ただし、一般的に「社長」という肩書きは「代表取締役社長」を指すものとして理解されることが多く、株式会社の役職と誤解されるおそれがあります。
そのため、合同会社で使用する場合は、名刺やウェブサイトなどに「合同会社○○ 代表社員」などと会社形態を明記し、誤認を防ぐ工夫が有効です。
また、「専務」「常務」といった肩書きも合同会社で使用すること自体は可能ですが、これらは通常、株式会社で「専務取締役」「常務取締役」として使われることが多く、代表権を持たない役職として認識されています。
そのため、実際の立場や業務範囲に応じて、社内外で誤解を招かないよう配慮することが大切です。
肩書き④:CEO
近年では、肩書きを英語で表記するケースも増えており、その中でよく見られるのが「CEO」です。
「Chief Executive Officer」の略で、日本語では「最高経営責任者」にあたります。
日本語表記の「最高経営責任者」を使用することも可能ですが、ビジネスの文脈では「CEO」と併記されることも少なくありません。
合同会社の代表社員であっても、自身の肩書きとして「CEO」を用いることは法律上問題ありません。ただし、社内外での認知度や伝わりやすさを考慮すると、文脈に応じた表記を選ぶことが望ましいでしょう。
肩書き⑤:業務執行社員
業務執行社員とは、合同会社において実際に会社の業務運営を担う社員のことを指します。
役割のイメージとしては、株式会社の取締役に近い存在です。
通常、業務執行社員は出資者である社員の中から選ばれますが、定款で特に定めがない場合は、原則として全社員が業務執行社員としての権利を持つと考えられます。
定款で誰が業務を執行するかを明確にしておくことで、会社内の責任範囲や業務分担を把握しやすくなり、運営上のトラブルを避けやすくなります。
肩書き⑥:職務執行者
職務執行者とは、合同会社において業務の執行を担当する役職のことです。
出資者が法人であっても個人であっても設置が可能で、会社の定款で定めることにより、具体的な業務執行の権限や方法を明確にすることができます。
例えば、親会社が出資している合同会社では、親会社の意向を反映させつつ、実務的な経営判断を担当する人物を職務執行者として定めることがあります。
合同会社の代表の特徴

合同会社の代表には、主に以下の3つの特徴があります。
- 任期がない
- 義務や責任が求められる
- 権限は業務執行権と代表権
それぞれの特徴について解説していきます。
任期がない
合同会社の代表社員には株式会社の代表取締役のような任期の定めがないのが特徴です。
そのため、社員総会で特に変更の決議がない限り、代表社員は継続して職務を行うことができます。この仕組みにより、定期的な代表の再選や登記手続きが不要な場合があり、結果として一定の手間や費用を抑えられるケースがあります。
なお、代表社員を変更する場合には、定款の修正と登記が必要で、登録免許税が数万円規模で発生します。代表者を変更しない場合には定款変更は不要で、関連費用も発生しません。
参考:国税庁|No.7191 登録免許税の税額表
義務や責任が求められる
合同会社の代表者は、会社の経営にあたり一定の法的義務と責任を負います。主なものとして、以下のような義務が挙げられます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 善管注意義務 | 会社の業務を執行する際、同種の会社の経営者が注意すべき水準に従って、合理的かつ適切な注意を払う義務。 |
| 忠実義務 | 定款や法律に従い、会社の利益を最優先に職務を遂行する責任。 |
| 報告義務 | 出資者や他の社員から求められた場合、会社の業務内容や経営状況について適切に説明する。 |
| 競業避止義務 | 会社の利益に反する事業や、第三者の利益を優先する行為によって競合する事業を行うことは原則として禁止。 |
これらの義務は、代表者が会社の信頼を維持し、適切な経営を行ううえで重要な責任です。具体的な内容や範囲については、定款や契約書の規定、また必要に応じて専門家への相談をおすすめします。
権限は業務執行権と代表権
合同会社における代表社員は、会社の業務を執行する権限(業務執行権)と、会社を対外的に代表する権限(代表権)の両方を持つ重要な立場です。
制度上、社員全員が業務執行の権限を持つことも可能ですが、代表権は定款で定める必要があります。実務上は、出資者の中から業務を担当する「業務執行社員」を選び、その中から対外的な代表権を持つ「代表社員」を指名するケースが一般的です。
代表社員の氏名や住所は登記簿に記載する義務があります。また、定款の変更については、原則として社員全員の同意が必要ですが、具体的な運営ルールや決定方法は定款であらかじめ定めておくことが望ましいです。
合同会社の代表社員の選出可能数

合同会社における代表社員の選任方法には、以下の2つのケースが挙げられます。
- 代表を1名にするケース
- 代表を複数名にするケース
代表社員の数や構成は会社の運営方針や意思決定の体制に応じて柔軟に決定でき、定款に明確に定めることが重要です。
以下では、それぞれの選任方法の特徴について解説します。
参考:法務省|合同会社の設立手続について
代表を1名にするケース
合同会社では、複数の代表社員を置くことも可能です。その場合、各代表社員は対外的に会社を代表して契約等を行う権限を持ちます。
このため、意思決定の調整や契約の管理について、あらかじめ社内でルールを定めておくことが重要です。
例えば、複数の代表社員が異なる判断で契約を締結した場合でも、法律上は会社に効力が及ぶため、取引先や関係者に影響が及ぶ可能性があります。また、意思決定の過程で調整に時間がかかることも考えられます。
こうした点を踏まえ、合同会社では一般的に、会社の中心となる人物1名を代表社員として選任し、権限や責任の範囲を明確に定めるケースが多く見られます。
代表を複数名にするケース
複数の代表社員を置くことで、出資者間で業務執行や意思決定の分担を明確にすることが可能です。特に、各社員が専門分野の知識や経験を持っている場合には、業務の範囲ごとに代表権を分けることで効率的に役割を分担できるケースもあります。
また、海外に拠点を持つ場合には、現地での手続きや契約に対応するために、現地担当の代表社員を設定することもあります。
ただし、代表社員の設置や権限の範囲は定款で定める必要があり、会社運営の実態に合わせて慎重に検討することが重要です。
合同会社の代表を変更する際の手続き

合同会社の代表社員を変更する場合には、必要な手続きを正しく理解しておくことが大切です。
一般的には、代表社員の変更に関して以下の対応が必要になることがあります。
- 定款の確認・変更
- 法務局で変更登記
それぞれの項目について解説していきます。
定款の確認・変更
合同会社で代表社員を交代する場合、定款に代表社員の氏名や人数が明記されている場合は、定款の変更が必要となることがあります。
定款は、会社の基本ルールを定めた文書であり、事業目的や役員構成、出資や利益の分配方法など、会社運営の根幹に関わる事項が記載されています。
定款の変更を行う場合は、総社員の同意が必要です。ただし、定款で別の定めを置いている場合は、その定めに従います。 定款変更後は、法務局での登記手続きが必要となりますので、手続きの進め方については専門家に相談すると安心です。
参考:法務局|合同会社変更登記申請書
法務局で変更登記
定款の変更が正式に決定した後は、所轄の法務局へ登記の申請を行う必要があります。この登記を経てはじめて、代表社員の交代が法律上有効となります。
登記申請の際には、変更後の定款の写し、代表社員の印鑑証明書、本人確認書類などの提出が求められます。
また、登記には登録免許税 がかかります。さらに、司法書士などの専門家に手続きを依頼する場合は、別途報酬が発生するため、事前に見積もりを確認しておくことをおすすめします。
参考:国税庁|No.7190 登録免許税のあらまし
法人が合同会社の代表になる手続き

合同会社では、法人も代表社員として就任することが理論上可能です。ただし、法人が代表社員となる場合には、個人とは異なる手続きや書類の準備が必要となるため、事前に確認しておくことが重要です。
法人を代表社員に選出する手続き自体は、原則として定款の規定に従って社員の互選により行われます。会社ごとに内部規程や定款の定めによって追加的な決議が求められる場合もあるため、注意が必要です。
法人が代表社員として就任する場合に、主に必要となる書類は以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 登記事項証明書 | 法人が実在することを示す公式な証明書。 |
| 職務執行者の選任に関する書面 | 選任された法人の代表者が業務を執行できることを証明する書類。株式会社の場合は「取締役会議事録」や「株主総会議事録」、合同会社では「社員の選任に関する証明書類」が該当。 |
| 職務執行者の就任承諾書 | 選任された法人の代表者が、実際に業務執行の意思を有していることを明示する書類。 |
これらの書類を適切に準備することで、登記手続きがスムーズに進むとともに、後々のトラブルを防ぐことができます。
参考:法務局|登記事項証明書等の請求にはオンラインでの手続が便利です
合同会社の代表に関する注意点

合同会社の代表に関する注意点として、以下の3つが挙げられます。
- 代表社員の人数
- 肩書きの設定
- 専門家への相談
それぞれの注意点について解説していきます。
代表社員の人数
合同会社における代表社員の人数に法律上の上限はありません。しかし、実務上は代表を1名に定めるケースが多いです。
1人の代表社員であれば、対外的な窓口が明確になり、契約や連絡の整理がしやすくなることが多いです。一方で、複数の代表社員を置くことも可能であり、その場合は定款や社内ルールで権限範囲を明確にしておくことで、契約上の混乱や意思決定の停滞を防ぐことができます。
このように、代表社員の人数は会社の規模や運営方針に応じて柔軟に設定できるため、定款の定め方や運営ルールを含めて検討することが重要です。
肩書きの設定
合同会社の代表者が使用する肩書きは、第三者にとってその役割や責任範囲が分かりやすいものにすることが望ましいです。
肩書きによって会社内での立場や業務範囲が明確に伝わることで、取引先や関係者との信頼関係を築きやすくなります。
合同会社では肩書きに法的な制約はありませんが、ビジネス上は一般的に「代表社員」「社長」「CEO」など、社会的に認知度の高い肩書きが使われることが多いです。
特殊な肩書きを用いる場合は、相手に誤解を与えないよう注意することが重要です。
専門家への相談
合同会社を設立する際には、決めなければならない事項が多く、判断に迷う場面も少なくありません。
そのような場合には、一人で抱え込まず、専門家に相談することも一つの方法です。
会社設立に詳しい税理士などに相談することで、不明点や不安な点を整理しやすくなり、意思決定がスムーズになる場合があります。
また、設立に関する各種手続きについても、専門家のサポートを受けることで、負担を軽減しやすくなります。
合同会社の代表の肩書きはわかりやすいものにしよう!

今回は、合同会社における代表の肩書きについて紹介しました。
合同会社には株式会社のような「役員」という法的な役職はありませんが、法律上は「代表社員」や「業務執行社員」といった呼称が用いられます。また、合同会社では原則として社員全員が対等に経営権を持ち、重要な意思決定を共同で行う仕組みです。その中で選任された代表社員は、会社を代表して取引先など対外的な手続きを行う役割を担います。
肩書きの選び方や運用については、会社の実情や対外的な分かりやすさを考慮して検討することをおすすめします。必要に応じて税理士や専門家に相談すると安心です。
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この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

