2025.11.7

創業融資

国金とは?メリット・デメリットや審査を通過するポイントについても徹底解説

国金とは

読了目安時間:約 7分

国金とは、中小企業金融公庫などと並んで、政府が運営する主要な金融機関の一つとして広く認識されていました。

しかし、現在では「国金」という名称の機関は廃止されており、その業務は「日本政策金融公庫」が引き継いでいます

本記事では、「国金(旧・国民生活金融公庫)」と、その業務を承継した日本政策金融公庫について紹介します。

他にも「日本政策金融公庫(旧称:国金)を利用するメリット・デメリット」や「日本政策金融公庫(旧称:国金)の審査を通過するポイント」についても解説します。

ぜひこの記事を参考にして、国金について理解を深めてみてください。

国金とは?

国金とは?

「国金」の略称で親しまれていた国民生活金融公庫は、中小企業金融公庫とともに、政府が設立した公的金融機関の一つとして広く知られていました。国金は、戦後の中小企業金融や国民生活の安定に資することを目的として設立された政策金融機関です。

現在では、こうした組織は再編され、国金という名称の機関は存在していません。

その役割は現在、日本政策金融公庫が引き継いでおり、国の全額出資により運営される政府系金融機関として、中小企業や起業家への融資支援を積極的におこなっています。

2008年に、国民生活金融公庫・農林漁業金融公庫・中小企業金融公庫の3機関が統合されて発足しました。

目的は、産業の成長促進や国民生活の安定に寄与することです。

特に、民間の金融機関では取り扱いが難しいとされる高リスク分野や経済政策上重点が置かれる分野に対して柔軟な融資を提供し、公的な立場から金融支援をおこなっています

日本政策金融公庫(旧称:国金)の事業内容

日本政策金融公庫(旧称:国金)の事業内容

日本政策金融公庫(旧称:国金)の事業内容については、以下の3つが挙げられます。

  • 事業①:中小企業事業
  • 事業②:国民生活事業
  • 事業③:農林水産事業

それぞれの事業内容について解説していきます。

事業①:中小企業事業

中小企業事業では、主に中小企業を対象とした長期的な事業資金の融資をおこなっています。

具体的には、企業の倒産防止や事業拡大、新たなビジネスの創出を支援するための資金提供をしています。

中小企業事業では短期の運転資金には対応しておらず、その資金ニーズには他の制度や融資手段を検討する必要があります。

また、中小企業事業は「信用補完制度」にも取り組んでいます。

信用補完制度では、信用保証協会が日本政策金融公庫からも保証の再保険を受ける形になっています。

信用保証協会が公庫に保証料を支払い、公庫が保証を引き受けることで、保証協会としてもリスクの分散が可能になります。

この仕組みがあることで、保証協会の審査が通りやすくなり、結果として金融機関からの融資を受けやすくなるメリットが挙げられます。

参考:中小企業支援-信用補完制度

事業②:国民生活事業

国民生活事業は、小規模事業者向けに事業資金の貸付をおこなったり、子どもの進学に必要な教育資金など暮らしに密着した融資も通じて、国民の生活基盤を支える役割を担っています。

この融資事業では、創業を目指す個人事業主はもちろん、グローバル市場への進出を目指す企業や地域課題の解決を図るソーシャルビジネスに取り組む事業者など多様なニーズに対応しています

また、自然災害や社会情勢の変化などにより経営資金の確保が難しくなった場合にも、資金調達の支援をおこない、緊急時の支えとなっています。

さらに、地域密着型の支援体制も特徴で、地域金融機関や商工会議所、税理士などの専門家と連携しながら、地域経済を支える小規模事業者の経営支援に力を入れています。

参考:国民生活事業の業務の概要|日本政策金融公庫

事業③:農林水産事業

農林水産事業では、農業・林業・漁業および食品関連産業に従事する事業者に対して資金面の支援を実施しており、国内の食料供給体制の安定化や品質の高い食料品の安定した生産・流通を後押ししています。

この分野の特性として、天候や気象条件に左右されやすく、収益が不安定になりやすかったり、初期投資に対して収益化までに時間を要するケースが多く見られます。

こうしたリスク要因により、民間金融機関からの融資が難しい場合も少なくありません。

また、農地や山林、漁船といった資産は、担保としての評価が低い傾向にあります。

そうした背景を踏まえ、日本政策金融公庫は民間では対応しきれないニーズに応え、農林漁業を営む人々が持続可能な経営を続けられるように、柔軟な融資体制を整えて支援をおこなっています。

参考:融資制度を探す 農林水産事業|日本政策金融公庫

日本政策金融公庫(旧称:国金)を利用するメリット

日本政策金融公庫(旧称:国金)を利用するメリット

日本政策金融公庫(旧称:国金)を利用するメリットについては、以下の5つが挙げられます。

  • 審査が通りやすい
  • 金利が低い
  • 無担保・無保証人で融資を利用できる
  • 事業のアドバイスを受けられる
  • 自社の信頼が高くなる

それぞれのメリットについて解説していきます。

審査が通りやすい

日本政策金融公庫を利用するメリットとして、間金融機関と比べて、中小企業や小規模事業者、個人事業主向けの融資に積極的とされていることが挙げられます。

日本政策金融公庫は、資金面で支援が必要な中小企業や小規模事業者、個人事業主に対して積極的に融資をおこなっていることが特徴で、一般的に民間金融機関と比べて中小事業者向けの支援姿勢が強いとされています。

このように、会社設立後や個人事業から法人化したばかりのタイミングであっても、まずは相談のうえで、自社の状況に適した資金調達手段かどうかを検討するとよいでしょう。

金利が低い

日本政策金融公庫のメリットの一つとして、民間の金融機関からの融資と比べて、比較的低い金利で資金を調達できることが挙げられます。

利率が抑えられていれば、それだけ返済の総額も少なくなり、借り手の経済的な負担を軽減できます。

また、公的融資では、返済期間が長めに設定されているケースが多く見られます。

このような長期の返済スケジュールは、毎月の返済額を抑えることが可能なので、無理のない資金計画を立てたい方には有利と言えます。

しかし、金利が低くても、返済期間が延びることで最終的な返済総額が増える可能性があるので、事前に返済シミュレーションをおこない、現実的なプランを立てることが重要です。

無担保・無保証人で融資を利用できる

日本政策金融公庫では、融資の種類によって条件は異なりますが、制度によっては担保や第三者保証人を必要とせずに資金を借り入れることが可能です。

一方、銀行や信用金庫といった民間の金融機関では、担保や保証人の提出が求められることが多く、これから起業する方や新しいビジネスを始める方にとっては、精神的・手続き的な負担となってしまうこともあるでしょう。

そのため、政府系の融資制度は、制度にもよりますが代表者以外の連帯保証人を原則として不要とする取り扱いが整備されており、民間の融資に比べて申請へのハードルが相対的に低く設定されているのが特徴です。

また、担保や保証人を用意することで、金利が下がったり、より多くの資金を借りられたりといった、優遇条件を受けられる場合もあります。

参考:創業融資のご案内|日本政策金融公庫

事業のアドバイスを受けられる

日本政策金融公庫は、企業や個人事業主への融資を主要な業務としていますが、経営支援に関するさまざまなサポートもおこなっています。

例えば、中小企業事業では「経営のかかりつけ医」としての役割も担っており、経営上の課題に対してアドバイスを提供したり、必要に応じて最適な外部専門家を紹介したりしています。

また、取引先の開拓や仕入先、外注先を見つけたい場合にも、公庫のマッチング支援サービスが活用できます。

自社に合うパートナー企業を紹介してもらえるので、販路や調達ルートの拡大にも役立ちます

自社の信頼が高くなる

日本政策金融公庫では、これから事業を始める創業者や、過去に廃業経験がある方でも融資の対象となることが多く、比較的利用しやすい制度が整っています。

しかし、それは審査が甘いという意味ではなく、しっかりとした審査基準に基づいて判断がおこなわれています。

このような審査を通過し、公庫からの融資を受けられたという実績は、自身や自社の信用力を高める材料となります

また、返済を完了すれば、次回以降の融資や民間の金融機関から資金を調達する際にも有利に働く可能性があります。

さらに、一度日本政策金融公庫から融資を受けた実績があると、公庫内での信用が蓄積されるので、返済中であっても、追加融資の相談や申し込みがしやすくなる場合があります。

事業の成長や予期せぬ資金ニーズに応じた柔軟な対応が期待できる点も、公的融資ならではの強みと言えます。

日本政策金融公庫(旧称:国金)を利用するデメリット

日本政策金融公庫(旧称:国金)を利用するデメリット

日本政策金融公庫(旧称:国金)を利用するデメリットについては、以下の2つが挙げられます。

  • 融資を受けるまでの時間が長い
  • 必要な書類が多い

それぞれのデメリットについて解説していきます。

融資を受けるまでの期間が長い

日本政策金融公庫からの融資は、審査に比較的時間がかかる傾向があり、資金が実際に手元に届くまでに一定の期間を要することがあります。

利用する融資の種類や申し込みの内容によっても異なりますが、申請から融資の実行までに1~3カ月程度かかるケースも少なくありません。

期間が長い理由として、公的融資が利益追求を目的としておらず、審査の際には地域経済の発展や雇用の創出といった公共的な視点が重視されることが挙げられます

一方で、民間の銀行などでは、審査が迅速に進むことが多く、条件によっては申し込みから2週間ほどで融資が実行されることもあります。

そのため、急ぎで資金を必要としている場合は、民間の金融機関による融資も選択肢として検討することをおすすめします。

必要な書類が多い

日本政策金融公庫を利用する際のハードルの一つとして、提出が求められる書類の多さが挙げられます。

状況により必要な書類は異なりますのが、以下のような資料の提出が必要となるケースが多いです。

  • 事業計画書
  • 資金繰りに関する資料
  • 賃貸契約の写し
  • 登記簿謄本(履歴事項全部証明書)の原本
  • 自己資金の内容を証明する書類
  • 借入申込書
  • 本人確認書類

すでに事業を営んでいる場合は、源泉徴収票や確定申告書といった過去の収支が分かる書類の用意も求められます。

このように、これらをすべて整えるのは、手間や時間的な負担を感じてしまうデメリットが挙げられます。

参考:お申込みに必要な書類|日本政策金融公庫

日本政策金融公庫(旧称:国金)の審査を通過するポイント

日本政策金融公庫(旧称:国金)の審査を通過するポイント

日本政策金融公庫(旧称:国金)の審査を通過するポイントについては、以下の4つが挙げられます。

  • 個人の信用情報に問題がない状態を保つ
  • 自己資金を用意する
  • 矛盾のない事業計画を立てる
  • 事業の実績を作る

それぞれのポイントについて解説していきます。

個人の信用情報に問題がない状態を保つ

日本政策金融公庫は、融資の審査をおこなう際に申込者の信用情報を確認しています。

個人の信用情報は、申請者が借入金を適切に返済できるかどうかを判断する重要な材料となります。

例えば、信用情報機関であるCICでは、クレジットカードの利用履歴やローンの残高、支払い状況などが記録されており、これらの情報をもとに審査がおこなわれます。

過去に返済の遅延が繰り返されていたり、キャッシングなどの債務が多く残っていたりすると、審査に通りにくくなる可能性があります。

そのため、融資を検討している方は、自身の信用情報に不安がないか事前にチェックしておくことが大切です。

CICでは個人でも情報開示を請求することが可能ですので、心配な方は一度確認しておくと安心と言えます。

このように、信用情報に問題があると判断されると不利になることがあるので、日頃から信用を損なわないよう心がけることが重要です。

参考:CIC

自己資金を用意する

日本政策金融公庫の融資を受けるためには、あらかじめ一定額の自己資金を準備しておくことが重要なポイントとなります。

旧「新創業融資制度」には、希望融資額の10%以上の自己資金を保有していることが条件として設定されていましたが、現在はその原則的な要件は撤廃されています。

しかし、審査の過程では、創業者が事業への熱意と準備度を示すため、自己資金の有無や金額が極めて重視されます。自己資金が不足している場合、希望融資額が減額されたり、審査通過が難しくなったりする可能性があります。

審査の過程では、資金を用意したように見せかけるために親族から一時的に借り入れたり、カードローンで一時的に資金を補ったりすることを防ぐ目的で、申込者の通帳(おおよそ過去6カ月分)もチェックされることがあります。

このように、日本政策金融公庫の融資は、民間金融機関と比較すると比較的審査が柔軟ですが、全ての申請者が通るわけではないので、計画的に自己資金を積み立てておくことが大切です。
矛盾のない事業計画を立てる

公的融資を申し込む際に求められる事業計画書は、審査の通過において重要な役割を果たします。

万が一、事業計画の内容に不整合や非現実的な記述が含まれていると、審査に通らない原因となる可能性があるのも事実です。

実際に、審査担当者は、提出された計画書を通じて、申請者がどれほど事業を深く理解しているか、また将来の展望に現実味があるかどうかを見極めています。

事業の実績を作る

日本政策金融公庫(旧称:国金)の審査を通過するポイントとして、事業の実績を作ることが挙げられます。

事業に関連する経験や成果を積み上げておくことで、事業計画書の信頼性が高まり、計画の実現可能性や継続力について、より高い評価を得やすくなります。

例えば、これから始める事業と同じ分野で実務経験を積んでおくことや関連する資格やスキルを取得しておくことは、大きなアピールポイントになります。

可能な範囲で事前準備を進めておくと、融資の審査においても有利に働きます

日本政策金融公庫の融資を検討しよう!

日本政策金融公庫の融資を検討しよう!

今回は、国金について紹介しました。

国金は、中小企業金融公庫と並んで、国が運営する代表的な公的金融機関の一つとして認識されていました。

現在は、この「国金」という名称を持つ組織はすでに存在しておらず、その機能や役割は「日本政策金融公庫」に統合され、引き継がれています。

日本政策金融公庫は、政府系の金融機関として、中小企業や小規模事業者を対象とした資金支援をおこなっています。

融資の申請にあたっては、事業計画書をはじめ、本人確認書類や確定申告書などいくつかの書類を用意する必要があるので、手続きを円滑に進めるためにも、あらかじめ必要書類をチェックし、準備を整えておくことが大切です。

今回の記事を参考にして、日本政策金融公庫の融資を検討してみてください。


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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

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