2025.11.17

創業融資

融資の保証料とは?計算方法や信用保証を利用する際のポイントについても紹介

融資 保証料

読了目安時間:約 7分

融資の保証料とは、事業者が金融機関から融資を受けた際に、返済不能となるリスクに備えて、信用保証制度を利用する際に発生する費用のことを指します。

特に、中小企業向けの融資では、公的な支援機関である信用保証協会が保証人の役割を果たすことが一般的で、その際に発生する料金が「信用保証料」として請求されます。

本記事では、この融資の保証料の基本的な仕組みに加え、保証料の具体的な計算方法や、融資で信用保証制度を利用する際の重要なポイントについても詳しく解説していきます。

この記事を参考に、融資の保証料に関する理解を深め、スムーズな資金調達にお役立てください。

融資の保証料とは?

融資の保証料とは?

融資の保証料とは、中小企業や個人事業主が資金を借り入れる際に利用される「信用保証制度」を活用するのに必要な手数料です。

信用保証制度とは、事業者が金融機関から融資を受ける際に、公的機関である「信用保証協会」が保証人の役割を担う仕組みです。

この保証があることで、金融機関は貸し倒れリスクを抑え、融資をおこないやすくなります。

万が一、事業者が融資の返済ができなくなった場合、信用保証協会が代わりに弁済をおこない、金融機関を保護する役割があります。

しかし、借り手の返済義務がなくなるわけではなく、信用保証協会に対して返済を続けることになります

信用保証制度の申し込みは、直接信用保証協会に申請することも可能ですが、実際には多くの場合、金融機関の担当者が申込者に代わって手続きを進めてくれます。

また、融資の相談と同時に保証の手続きも並行して進めるのが一般的です。

融資の保証料の計算で必要な項目

融資の保証料の計算で必要な項目

融資の保証料の計算で必要な項目については、以下の5つが挙げられます。

  • 項目①:借入金額
  • 項目②:保証料率
  • 項目③:保証期間
  • 項目④:分割係数
  • 項目⑤:据置期間

それぞれの項目について解説していきます。

項目①:借入金額

借入金額とは、実際に金融機関から調達した資金の総額を指し、信用保証料を算出する際の土台となる重要な数値です。

借り入れを申し込む際には、企業の資金計画や事業の具体的な使途に基づき、必要な資金額が検討され、その結果として借入金額が設定されます。

実際に、信用保証制度を利用する場合、この金額に基づいて保証料が計算されます。

借入金額は、信用保証協会が保証する債務の元本に該当するので、保証料を決定する上で中心的な指標となります。

保証料の金額には複数の要因が影響しますが、基本的には借入額が大きいほど保証料の負担も増えてしまうことを理解しておきましょう。

項目②:保証料率

保証料率とは、企業や事業者が融資を受ける際に適用される料率で、申込者の財務状況や利用する融資制度などに基づき決定されます。

この保証料率は、一般社団法人CRD協会が提供する「中小企業信用リスク情報データベース」の情報を元に、9つの区分に分類され、それぞれ異なる料率が設定されています。

区分責任共有保証料率責任共有外保証料率
1.902.20
1.752.00
1.551.80
1.351.60
1.151.35
1.001.10
0.800.90
0.600.70
0.450.50

出典:神奈川県信用保証協会

利用する融資制度によっては、上記の基本区分とは別に特別な料率が設定されているケースもあるので注意が必要です。

保証料率の水準としては、一般的に0.20%から2.20%の範囲内に収まることが多いですが、保証制度や料率の詳細は地域の信用保証協会によって異なるため、事前に確認しておくことをおすすめします。

項目③:保証期間

保証期間とは、信用保証協会が融資に対して責任を持ち、保証を提供する期間を意味します。

一般的にこの期間は、融資が完済されるまでとされており、銀行が設定する返済期間と一致するのが通常です。

この保証期間が長くなるほど、信用保証協会が債務保証の責任を負う期間も長引くので、リスクが増加します。

その結果、保証料もそれに応じて高くなる傾向があります。

つまり、返済期間が延びるほど、保証料の総額も大きくなっていく可能性があるということです。

こうした保証料の負担を少しでも軽減したい場合は、自社の返済計画に無理のない範囲で返済期間を短縮することが一つの対策となります。

項目④:分割係数

分割係数とは、融資を分割で返済する際に使用される、保証料の計算における調整係数です。

返済が進むにつれて元金が少しずつ減少していくことから、それに伴って信用保証協会が負うリスクも次第に小さくなります。

このようなリスクの減少分を保証料に適切に反映するために、分割係数という数値が用いられ、実際に支払う保証料を割り引く仕組みとして機能しています。

返済回数別の分割係数については、以下のとおりです。

返済回数均等分割返済不均等分割返済
6回以下0.700.77
7~12回0.650.72
13~24回0.600.66
25回以上0.550.61

上記のように、分割係数は返済回数に応じて4つの区分に分かれており、元金が減少していくにつれて保証協会が負うリスクが軽減されるという点を計算に反映するために、係数が設定されています。また、返済回数が長い区分ほど、係数は小さく設定されています。

項目⑤:据置期間

据置期間とは、融資を受けた際に一定期間、元金の返済を先延ばしにして、利息のみを支払う期間です。

例えば、新たな事業の開始直後や設備投資をおこなった直後など収益が安定していない段階で資金繰りを楽にするために利用されます。

信用保証制度を利用する場合、据置期間の有無は保証料の算定にも影響を及ぼします。

元金の返済が据え置かれている間は、借入残高が減らないので、その期間中は保証の対象となる金額が維持されたままとなります。

その結果、据置期間が長引くほど、信用保証協会がリスクを負う期間も長くなるので、保証料の金額も相応に高くなる傾向があります。

融資の保証料の計算方法

融資の保証料の計算方法

信用保証料を正確に計算するには、まず必要となる基本的な情報を把握した上で、選択する返済方法に応じた計算方法を理解することが重要です。

借入残高を基準に算出されるので、元金の返済の仕方によって残高の減り方が異なり、結果として保証料の計算式も変わってきます。

主な返済パターン別の保証料計算方法については、以下のとおりです。

返済方法保証料計算式
満期一括返済借入金額 × 保証料率 × 保証期間(月) ÷ 12
分割返済(据置なし)借入金額 × 保証料率 × 保証期間(月) ÷ 12 × 分割係数
分割返済(据置あり)【A】借入金額 × 保証料率 × 据置期間(月) ÷ 12(据置期間中)
【B】据置期間後の借入残高 × 保証料率 × (保証期間-据置期間)(月) ÷ 12 × 分割係数(据置期間後)→【保証料】A + B

満期一括返済では、元金の返済は期間満了時に一括でおこなわれるので、期間中は借入金額が一定です。

そのため、単純に借入金額に保証料率を掛け、さらに保証期間(月数)を加味して月割りで計算します。

一方、分割返済の場合は、返済が進むごとに元金が減少していくので、保証の対象となる金額も減少します。

その影響を反映させるために、分割係数と呼ばれる調整用の掛け目を加えることで、保証料が割引される形になります。

据置期間付きの分割返済では、返済開始までの間(据置期間)は元金が据え置かれているので、その期間中は満期一括返済と同じ計算式が適用されます。返済が開始された以降は元金が減少していくため、その影響を反映させる分割係数が適用されます。

このように、返済の方法によって保証料の総額が大きく変わることもあるので、融資の計画を立てる際には、各計算方法の違いを理解することが重要です。

融資で信用保証を利用するメリット

融資で信用保証を利用するメリット

融資で信用保証を利用するメリットについては、以下の3つが挙げられます。

  • 融資審査が通りやすくなる
  • 長期借入の利用が可能になる
  • 保証人・担保が不要になる

それぞれのメリットについて解説していきます。

融資審査が通りやすくなる

信用保証制度は、創業したばかりの起業家や中小企業が、銀行などの金融機関から融資を受けやすくなるように整備された制度です。

特に、経営実績が十分でない事業者にとっては、保証を受けることで金融機関からの信用を補完し、資金調達のハードルを下げる役割を果たしています。

また、信用力に不安がある段階でも「保証付き融資」として融資を受けやすくなり、事業の立ち上げや拡大に必要な資金を確保しやすくなるというメリットがあります。

さらに、金融機関によっては信用保証制度の利用により、適用される融資の金利が引き下げられるケースもあるので、結果的に借入条件が有利になることがあります。

長期借入の利用が可能になる

信用保証を受けることで、企業は長期融資の申請においても比較的審査に通りやすくなる傾向があります。

特に小規模事業者や中小企業にとって、長期間の返済計画を選択できることは、月々の返済額を低く抑えることにもつながります。

また、無理のない資金計画を立てやすくなり、日常の資金繰りにも余裕が生まれるメリットも挙げられます。

保証人・担保が不要になる

信用保証を利用して融資を受ける場合、法人であれば代表者本人のみが保証人となるのが一般的で、それ以外の連帯保証人を求められることは基本的にありません。

また、保証制度の種類によっては例外もあるものの、基本的には担保を提供しなくても融資を受けられるケースも多く見られます。

このように、信用保証協会が一定の保証を提供することで、金融機関のリスクが軽減されるので、原則として保証人・担保が不要になります。

融資で信用保証を利用する際の注意点

融資で信用保証を利用する際の注意点

融資で信用保証を利用する際の注意点については、以下の2つが挙げられます。

  • 保証料がかかってしまう
  • 審査期間が長くなる

それぞれの注意点について解説していきます。

保証料がかかってしまう

信用保証を活用して融資を受ける際のデメリットとして保証料の支払いが必要になることが挙げられます。

一般的なプロパー融資では、借入後の返済時に元本と利息のみを支払えば融資を受けることができます。

このように、信用保証制度を利用することで融資が受けやすくなるメリットはありますが、その分、返済の際の総コストが増える可能性があるので、事前に保証料の金額や計算方法を確認し、資金計画をしっかり立てておくことが大切です。

審査期間が長くなる

信用保証協会の保証を利用して融資を受ける場合は、金融機関と信用保証協会の両方で審査を受ける必要があります。

たとえ信用保証協会で承認を得られたとしても、金融機関の審査が通らなければ最終的に融資は実行されないので、どちらの審査も慎重に準備することが求められます。

また、審査が2段階でおこなわれることにより、保証付き融資の審査には通常1〜3か月程度の時間がかかることがあり、プロパー融資に比べて時間を要するのが一般的です。

一方、プロパー融資は審査基準が厳しい反面、手続きが比較的スムーズに進むので、融資までのスピードが早い傾向にあります。

このように、融資を検討する際は、資金が必要となる時期や緊急性も考慮し、それぞれの特性に応じた選択をすることが大切です。

融資で信用保証を利用する際のポイント

融資で信用保証を利用する際のポイント

融資で信用保証を利用する際のポイントについては、以下の2つが挙げられます。

  • 担当者と良好な関係を築いておく
  • 対象になるか確認しておく

それぞれのポイントについて解説していきます。

担当者と良好な関係を築いておく

融資で信用保証を利用する際のポイントとして、信用保証協会との信頼関係を築いておくことが挙げられます。

日常的に誠実な対応を心がけ、必要な情報を適切に伝えることで、担当者との関係性が深まり、審査にも良い影響を及ぼします。

実際に、信用保証協会の審査では、企業の事業内容や返済能力といった数値的な側面だけでなく、情報開示の姿勢や過去の保証利用実績なども含めて、経営者としての資質が幅広く評価されます。

透明性が高く、信頼できると判断されれば、それが審査をスムーズに進める要因となり、保証の承認を得やすくなります。

また、信用保証協会の評価は、銀行側の融資判断にも大きく影響するのも事実です。

銀行は保証協会の見解を参考にしつつ、自社の審査基準と照らし合わせて最終的な融資可否を決定するので、信用保証協会から高評価を受けている事業者は、銀行からも前向きに見られる可能性が高まります。

このように、信用保証協会の担当者と積極的にコミュニケーションを取り、信頼を積み重ねていくことが、円滑な審査につながります。

対象になるか確認しておく

融資で信用保証を利用する際には、自社が制度の対象となるかどうかがポイントです。

信用保証協会の保証は、中小企業基本法に基づき、一定の条件を満たした中小企業や個人事業主を対象としています。

主に「事業規模」「業種」「営業区域」の3つの基準が設けられており、すべてを満たすことが利用の前提条件となります。

項目内容
事業規模資本金または従業員数が業種ごとの基準以下であること。
業種大半の商工業は対象ですが、農林水産業や金融・保険業などは対象外。
区域事業が信用保証協会の管轄地域内で行われていること。制度によっては業歴など追加条件もあり。

信用保証制度の利用を検討している方は、自社が各基準を満たしているかどうか、必ず事前に確認するようにしましょう

参考:中小企業・小規模企業者の定義 | 中小企業庁

信用保証を利用して融資を成功させよう!

信用保証を利用して融資を成功させよう!

今回は、融資の保証料について紹介しました。

中小企業が銀行などから融資を受ける際に利用できる信用保証制度は、信用保証協会が債務を保証することで、金融機関からの借り入れを受けやすくする仕組みです。

信用保証制度を利用する際に発生するのが信用保証料であり、保証を受けるために必要な手数料です。

この保証制度を利用することにより、融資の申込みにおいては、連帯保証人を代表者のみに限定できたり、担保を不要とするケースが多く見られたり、通常よりも融資を受けやすくなるというメリットがあります。

しかし、保証料の負担が生じることや融資実行までに時間を要すること、保証には限度額があることといったデメリットも存在します。

今回の記事を参考にして、信用保証を利用して融資を成功させましょう。


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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

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