2026.06.11

起業・開業

クラウドファンディングで起業!個人と法人どちらで実施すべき?

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読了目安時間:約 16分

目次

クラウドファンディング(クラファン)起業とは?個人と法人の選択肢

近年、新しいビジネスを立ち上げる手段として、「クラウドファンディング 起業」が大きな注目を集めています。その最大の魅力は、自己資金が少なくても、魅力的なアイデアと熱意次第で必要な資金を広く一般から調達できる点にあります。

また、単なる資金集めにとどまらず、商品やサービスの需要を測るテストマーケティングを兼ねて実施できることも大きなメリットです。プロジェクトを通じて事業への共感を集めることで、開業前から初期のファンや顧客を獲得し、事業のスタートダッシュを切ることが可能になります。

しかし、クラウドファンディングを実施するにあたり、「個人事業主」として始めるか、最初から「法人(会社)」を設立して始めるかによって、その後の税金や経費の手続きが大きく変わる点には注意が必要です。事前の計画なしにプロジェクトを開始してしまうと、想定外の税負担が発生するリスクがあるため、以下の3つのポイントをしっかり比較検討しましょう。

1. 個人と法人の税金上の違い

クラウドファンディングは、リターンの性質によって「購入型」と「寄付型」などに分かれます。この種類と、受け取り側が個人か法人かによって、課税される税金の種類や計算方法が全く異なります。

購入型(商品やサービスをリターンとして提供する場合)では、個人の場合は「事業所得」または「雑所得」として扱われ、利益に対して所得税(5%〜45%の累進課税)と住民税が課されます。一方、法人の場合は「売上(益金)」となり、法人税(実効税率約30%)の対象となります。なお、個人・法人ともに原則として消費税の課税対象取引となります。

寄付型(リターンがない、または極端に価値が低い場合)ではさらに複雑です。個人が個人から支援を受けた場合は「贈与税」の対象となり、年間110万円の基礎控除を超えた部分に課税されます。法人が支援を受けた場合は、相手が個人・法人を問わず「受贈益」として法人税の対象となります。税務上の取り扱いについては、国税庁の贈与税に関する解説なども併せて確認することをおすすめします。

クラファンの種類 個人事業主が受け取る場合 法人が受け取る場合
購入型
(商品・サービス提供)
事業所得または雑所得
(所得税・住民税)
売上(益金)
(法人税)
寄付型
(個人からの支援)
贈与税
(年間110万円の基礎控除あり)
受贈益
(法人税)
寄付型
(法人からの支援)
一時所得
(所得税・住民税)
受贈益
(法人税)

2. プラットフォーム手数料の経費処理と注意点

クラウドファンディングサイト(プラットフォーム)を利用すると、一般的に調達額の10〜20%程度の手数料が差し引かれます。この手数料を税務上どのように処理するかも、個人と法人、またはプロジェクトの種類によって異なります。

購入型の場合、個人・法人ともに手数料は「支払手数料」などの勘定科目を用いて、全額を経費(法人の場合は損金)として処理できます。これにより、課税対象となる利益を圧縮し、適切な節税を図ることが可能です。法人が寄付型を実施した場合も同様に経費処理が可能です。

しかし、個人が「寄付型」を利用する場合は深刻な落とし穴があります。個人が寄付型で資金調達し贈与税が課される場合、税法上、プラットフォーム手数料やプロジェクトにかかった経費を差し引くことができません。受取総額(額面)に対して贈与税が計算されるため、手元に残る資金が想定より大幅に減るリスクがある点に十分注意してください。

3. プロジェクト開始前に法人化すべきかの判断基準

クラウドファンディングを始める前に法人化すべきか、まずは個人で実施すべきかは、調達見込額や今後の事業展開を見据えて判断する必要があります。

たとえば、調達見込額が大きく、個人の所得税率(累進課税)が法人税率を上回る可能性がある場合は、最初から法人化しておいた方が税負担を抑えられる可能性が高くなります。また、調達した資金を使ってBtoB(企業間)取引を本格化させたい場合や、許認可の取得において法人の方が有利な事業を行う場合も、事前の法人設立が有力な選択肢となります。

最終的な判断は、プロジェクトの性質や目標金額によってケースバイケースです。迷った場合は、プロジェクトを公開する前に税理士や専門家に相談し、シミュレーションを行うことを強く推奨します。

  • 調達目標額が大きく、個人の所得税の累進税率が高くなるか
  • 寄付型を実施する場合、贈与税と経費控除不可のリスクを許容できるか
  • 調達後の事業展開において、法人格(社会的信用)が必要になるか
  • 店舗開業など、法人名義での賃貸契約や許認可取得を予定しているか

【購入型・寄付型】個人と法人で異なるクラファンの税金システム

クラウドファンディング 起業を検討する際、資金調達の手段として「購入型」や「寄付型」のプラットフォームを活用するケースが増えています。店舗開業の資金を集めたり、新商品開発のテストマーケティングを行ったりと、メリットは多岐にわたります。

しかし、集まった支援金がそのまま全額手元に残るわけではありません。クラウドファンディングの方式(購入型か寄付型か)や、実施する主体(個人か法人か)によって、課税される税金の種類や計算方法が大きく異なります。税金に関する知識を持たずにプロジェクトを進めてしまうと、後から想定外の税負担が発生し、事業計画に支障をきたす恐れがあります。

ここでは、クラウドファンディングの代表的な手法である「購入型」と「寄付型」に分け、個人と法人でどのような税金がかかるのかを詳しく解説します。

「購入型」クラウドファンディングにおける税金の違い

「購入型」は、支援者に対して商品やサービスをリターン(お返し)として提供する方式です。新商品の先行販売や、飲食店のプレオープン招待などがこれに該当します。税務上は、通常の商取引と同じように扱われるのが特徴です。

個人事業主などの「個人」が購入型を実施した場合、集まった支援金は原則として「事業所得」または「雑所得」として扱われます。集まった総額から、リターンの原価やプラットフォーム手数料などの経費を差し引いた利益(所得)に対して、所得税と住民税が課税されます。所得税は5%から最大45%の累進課税方式となっているため、大規模な資金調達に成功して利益が大きくなると、税負担も急激に重くなる点に注意が必要です。住民税は一律で約10%となります。

一方、「法人」として購入型を実施した場合、支援金は会社の「売上(益金)」として計上されます。個人と同様に経費を差し引いた後の利益に対し、法人税等が課税されます。法人税の実効税率は会社の規模や所得金額によって変動しますが、概ね約30%前後となります。一定の利益を超える場合は、個人の累進課税よりも法人のほうが税率面で有利になるケースが多くなります。

また、購入型クラウドファンディングでは、個人・法人を問わず、原則として消費税の課税対象取引(課税売上)となります。支援金には消費税が含まれているとみなされるため、消費税の納税義務者(課税事業者)に該当する場合は、消費税の申告・納付が必要です。詳しくは国税庁の「消費税のしくみ」をご確認ください。

「寄付型」クラウドファンディングにおける税金の違い

「寄付型」は、支援者に対して金銭的な価値のあるリターンを提供しない、あるいは極端に価値が低いお礼(サンクスメールなど)のみを提供する方式です。社会貢献性の高いプロジェクトなどでよく利用されます。

個人が寄付型を実施する場合、誰から支援を受けたか(支援者の属性)によって税金の種類が変わります。個人からの支援金は「贈与」とみなされ、贈与税の対象となります。贈与税には年間110万円の基礎控除があるため、他の贈与と合わせて110万円以下であれば課税されませんが、超過分には累進課税が適用されます。一方、法人からの支援金は「一時所得」として所得税の対象となります。

法人が寄付型を実施した場合は、支援者が個人であっても法人であっても、受け取った支援金は「受贈益」として扱われます。これは会社の利益として計上されるため、通常の事業活動による利益と同様に法人税の課税対象となります。

個人と法人の税金システム比較

クラウドファンディングで集めた資金に対する税金の扱いを、以下の表に整理しました。ご自身の事業形態と実施予定の方式に合わせて確認してください。

方式 実施主体 税務上の扱い 課税される税金
購入型 個人 事業所得 または 雑所得 所得税(累進課税)、住民税
購入型 法人 売上(益金) 法人税等
寄付型 個人 個人からの支援:贈与
法人からの支援:一時所得
贈与税(基礎控除110万円)
所得税
寄付型 法人 受贈益 法人税等

プラットフォーム手数料の経費処理と落とし穴

クラウドファンディングを実施する際、プラットフォームに対して調達額の10%〜20%程度の手数料を支払うのが一般的です。この手数料の経費処理についても、方式や主体によって扱いが異なります。

購入型の場合(個人・法人共通)や、法人が寄付型を実施する場合は、支払った手数料を「支払手数料」などの勘定科目で全額経費(損金)として処理することができます。リターンの制作費や発送費も経費となるため、課税対象となる利益を適切に圧縮することが可能です。

しかし、個人が「寄付型」を実施して贈与税の対象となる場合は、非常に重要な注意点があります。贈与税の計算上は、プラットフォーム手数料やプロジェクトにかかった経費を差し引くことが税法上認められていません。つまり、手元に入金された金額ではなく、プラットフォーム上で集まった「受取総額(額面)」に対して贈与税が計算されます。多額の資金が集まった場合、手元に残る資金から高額な贈与税を支払うことになり、資金ショートを起こすリスクがあるため慎重な判断が求められます。

税務上のトラブルを防ぐための確認事項

クラウドファンディングを開始する前に、税金面で失敗しないためのポイントを整理しておきましょう。

  • プロジェクトの性質が「購入型」と「寄付型」のどちらに該当するかを明確にする
  • 見込まれる調達額と経費を算出し、手元に残る利益(所得)をシミュレーションする
  • 個人の場合、所得税(累進課税)と法人税の実効税率を比較し、法人化のタイミングを検討する
  • 個人で寄付型を実施する場合、贈与税の基礎控除(110万円)と総額課税のリスクを把握する
  • 消費税の課税事業者に該当するかどうかを事前に確認する

クラウドファンディングを利用した資金調達は、税金の計算や申告が複雑になりがちです。プロジェクトの公開前や法人設立のタイミングで、必ず税理士などの専門家に相談し、適切な税務処理と事業計画のアドバイスを受けることを強くおすすめします。

購入型・寄付型における個人と法人の税金の違いをまとめた比較表

知っておくべきクラファン手数料の経費処理と落とし穴

クラウドファンディング 起業を成功させるためには、資金調達額の目標を達成することだけでなく、その後に発生する税務処理を正確に把握しておく必要があります。

特に、プラットフォームに支払う手数料の扱いは、利用するクラファンの種類(購入型か寄付型か)や、実施する主体が個人か法人かによって大きく異なります。

ここでは、手元に残る資金を最大化するために知っておくべき経費処理の基本と、思わぬ税負担を招いてしまう深刻な落とし穴について解説します。

購入型(個人・法人)および寄付型(法人)の経費処理

購入型のクラウドファンディングを利用して店舗開業や新商品開発の資金を集めた場合、調達額の10〜20%程度をプラットフォームへの手数料として支払うのが一般的です。

この手数料は、個人事業主であっても法人であっても、「支払手数料」などの勘定科目を用いて全額を経費(法人の場合は損金)として処理することが可能です。

手数料を経費として計上することで、課税対象となる利益(所得)を圧縮し、結果として所得税や法人税の節税につなげることができます。

また、法人が寄付型のクラウドファンディングを実施した場合も、受け取った資金は「受贈益」として法人税の対象になりますが、支払った手数料は同様に損金に算入できます。

クラファンの種類 実施主体 手数料の経費算入 適用される主な税金
購入型 個人事業主 可能(必要経費) 所得税・住民税・消費税
購入型 法人 可能(損金算入) 法人税・消費税
寄付型 法人 可能(損金算入) 法人税
寄付型 個人 不可(差し引き不可) 贈与税(個人からの支援時)

【重要】個人が「寄付型」で行う場合の大きな落とし穴

クラウドファンディング 起業において最も注意すべきなのが、個人が「寄付型」で資金調達を行うケースです。

個人が他の個人から寄付として資金を受け取った場合、その資金は原則として贈与税の課税対象となります。国税庁の規定によれば、贈与税には年間110万円の基礎控除がありますが、これを超える部分には累進課税が適用されます。

ここで大きな落とし穴となるのが、贈与税の計算においてプラットフォーム手数料やプロジェクトにかかった経費を差し引くことができないという点です。

税法上、贈与税は「手元に入金された金額」ではなく「支援者が支払った受取総額(額面)」に対して計算されます。

例えば、個人が寄付型で1,000万円を集め、20%(200万円)の手数料が引かれて800万円が入金されたとします。この場合でも、贈与税は額面の1,000万円をベースに計算されてしまうのです。

その結果、想定以上の高額な税金を納付することになり、手元に残る資金が大幅に目減りしてプロジェクトの実行に支障をきたすリスクがあります。

資金調達後のトラブルを防ぐためのチェックポイント

このような事態を防ぐため、クラウドファンディングを開始する前に、以下の点を確認しておくことが重要です。

  • 実施するプロジェクトが購入型か寄付型か、税務上の区分を正確に把握する
  • 個人で寄付型を実施する場合、贈与税の基礎控除(110万円)を超える見込みがないかシミュレーションする
  • 調達見込み額、手数料、税金の支払いを差し引いた「実際に使える資金」を計算する
  • 調達額が大きくなる見込みの場合、プロジェクト開始前に法人化すべきか検討する

税務上の判断を誤ると、せっかく集めた資金が税金で消えてしまうことになりかねません。クラウドファンディングの実施形態や法人化のタイミングに迷った場合は、プロジェクトを公開する前に必ず税理士などの専門家に相談し、最適な方法を選択してください。

プロジェクト開始前に「法人化」すべき3つの判断基準

クラウドファンディング 起業を成功させるためには、プロジェクトを公開する前に「個人事業主のまま進めるか、法人化するか」を決断しておくことが重要です。

特に、購入型や寄付型のクラウドファンディングを活用して店舗開業や新商品開発を目指す場合、集まった資金の規模や今後の事業展開によって、税負担や資金調達の選択肢が大きく変わります。

ここでは、プロジェクト開始前に法人化すべきかどうかを見極めるための、3つの重要な判断基準を解説します。

1. 高額な資金調達が見込まれる場合(利益800万〜1,000万円が目安)

クラウドファンディングで大規模な資金調達に成功し、多額の利益が見込まれる場合は、法人化を強く推奨します。その最大の理由は、個人と法人での「税率の仕組み」が異なるためです。

個人の場合、クラウドファンディングで得た利益(事業所得など)には所得税と住民税が課されます。所得税は利益が増えるほど税率が高くなる累進課税制度を採用しており、最大で45%に達します。住民税(約10%)と合わせると、最高税率は約55%にも上ります。
参考:国税庁 No.2260 所得税の税率

一方、法人の場合は法人税が適用されます。法人の実効税率(法人税、法人住民税、法人事業税などを合わせた実質的な税負担率)は、おおむね30%前後です。さらに、資本金1億円以下の中小法人の場合、年間の所得金額が800万円以下の部分については軽減税率が適用され、税負担はさらに軽くなります。
参考:国税庁 No.5759 法人税の税率

項目 個人事業主(所得税+住民税等) 法人(実効税率の目安)
税率の仕組み 累進課税(利益が多いほど高くなる) 比例課税(一定の税率)
最高税率の目安 約55%(所得税最大45%+住民税約10%) 約30%前後(所得800万円以下は軽減税率あり)
有利になる目安 利益が少ないうちは個人が有利 利益が800万〜1,000万円を超えると法人が有利

目安として、経費を差し引いた後の利益が800万〜1,000万円を超える見込みであれば、法人化することで税負担を大幅に抑えられる可能性が高くなります。

ただし、個別の控除額や事業形態によって正確な分岐点は異なるため、最終的な判断は税理士などの専門家にシミュレーションを依頼することをおすすめします。

2. 「投資型(株式型・ファンド型)」のクラウドファンディングを利用したい場合

クラウドファンディングには、商品やサービスをリターンとする「購入型」や、見返りを求めない「寄付型」のほかに、未公開株や事業収益の一部をリターンとする「投資型(株式投資型・ファンド型)」が存在します。

もし、将来的にこの投資型クラウドファンディングを利用して大規模な資金調達を行いたいと考えているなら、法人化は必須要件となります。

なぜなら、株式投資型クラウドファンディングは「株式」を発行して出資を募る仕組みであり、ファンド型も匿名組合契約などを結んで事業収益を分配する仕組みだからです。これらは法律上、個人事業主では利用することができません。

店舗開業や新商品開発の初期段階では購入型を利用し、事業が軌道に乗った段階で投資型にシフトして事業を拡大したい、というロードマップを描いているのであれば、最初から株式会社などの法人を設立しておくことで、スムーズな資金調達が可能になります。

3. 社会的信用やBtoB(企業間)取引を重視する場合

クラウドファンディングを通じて新商品を開発し、それを全国の小売店に卸したり、企業向けのサービスを展開したりといった「BtoB(企業間)取引」を見据えている場合も、法人化が有利に働きます。

法人名義でプロジェクトを実施することは、支援者に対して「事業として本気で取り組んでいる」という強いメッセージとなり、信頼感の向上につながります。また、多くの企業はコンプライアンスの観点から、新規の取引先を法人に限定しているケースが少なくありません。

さらに、クラウドファンディングで集めた資金だけでは足りず、日本政策金融公庫や民間金融機関からの融資(協調融資など)を併用する場合も、個人事業主より法人の方が審査において信用を得やすい傾向があります。

金融機関からの融資や企業間取引においては、法務局に登記され、会社の目的や資本金が公に開示されている法人の方が、一般的に高い信用力を持ちます。

プロジェクト公開後に「やっぱり法人化したい」と思っても、クラウドファンディングのプラットフォームによっては、途中で実行者の名義を個人から法人へ変更できない場合があります。そのため、以下のような点について事前に確認・準備をしておくことが大切です。

  • 見込まれる調達額と経費を算出し、おおよその利益額(課税対象額)をシミュレーションする
  • 利用予定のクラウドファンディングサイトで、個人から法人への名義変更が可能か規約を確認する
  • 将来的に株式発行や社債による資金調達(投資型クラファンなど)を行う予定があるか検討する
  • 主要なターゲット顧客が一般消費者(BtoC)か、企業(BtoB)かを明確にする
  • 自己資金やクラファン資金のほかに、金融機関からの融資が必要になるか資金計画を立てる

クラウドファンディングを用いた起業は、事業のスタートダッシュを決める重要なイベントです。税務上のメリットや将来の事業展開を総合的に考慮し、プロジェクト開始前に最適な事業形態を選択してください。迷った場合は、早い段階で税理士や創業支援の専門家に相談することをおすすめします。

クラファン開始前に法人化すべきケースのチェックリスト

まずは「個人」としてスモールスタートすべき2つの判断基準

クラウドファンディング 起業を検討する際、最初から法人を設立すべきか、まずは個人事業主として始めるべきか悩む方は少なくありません。資金調達を機に一気に事業を拡大したいという思いがある一方で、初期段階特有のリスクも存在します。

ここでは、あえて「個人」としてスモールスタートを選ぶべき2つの具体的な判断基準を解説します。ご自身のプロジェクトの性質や状況と照らし合わせて検討してみてください。

1. テストマーケティングや小規模なプロジェクトの場合

クラウドファンディングを、本格的な事業展開の前のテストマーケティングとして位置づける場合は、個人でのスタートが適しています。目標金額が比較的低く、まずは市場の反応や顧客のニーズを探りたい段階では、初期費用や維持コストを最小限に抑えることが重要です。

法人を設立すると、設立時だけでなく維持するためのコストも重くのしかかります。たとえば、株式会社を設立するには約20万〜25万円、合同会社でも約6万〜10万円の法定費用がかかります。さらに、法人の場合は事業が赤字であっても、毎年「法人住民税の均等割」として約7万円を納付する義務があります。

利益が出るか分からない初期段階でこれらの固定費を抱えることは、資金繰りを圧迫する大きな要因となります。まずは個人としてリスクを抑え、プロジェクトが軌道に乗ってから法人化を検討するのが合理的です。

項目 個人の場合 法人の場合(目安)
設立時の法定費用 0円(開業届の提出のみ) 株式会社: 約20万〜25万円
合同会社: 約6万〜10万円
赤字でもかかる税金 原則かからない 法人住民税の均等割: 約7万円/年

※法人の設立費用や手続きの詳細については、法務省の商業・法人登記に関する案内もご参照ください。

2. プロジェクトの成功(資金調達)が不確実な場合

クラウドファンディングには「All-or-Nothing方式」のように、目標金額に1円でも満たなければ資金が一切入らない仕組みがあります。このような資金調達の不確実性が高い場合も、まずは個人で挑戦することをおすすめします。

もし、プロジェクトのために先行して法人を設立したものの、資金調達が不成立に終わって事業を断念することになった場合、法人をそのまま放置することはできません。法人を完全に閉鎖するためには、法務局での「解散・清算手続き」を行う必要があります。

この解散・清算手続きには、官報公告費や登録免許税などの法定費用がかかります。さらに、税務署への確定申告や複雑な手続きを司法書士・税理士へ依頼する報酬を含めると、トータルで数十万円のコストと数ヶ月の手間がかかることが一般的です。

事業を始めていないにもかかわらず、多額の撤退費用を強いられるのは大きな痛手です。資金調達の確実性が見えない段階では、撤退コストの低い個人事業主として身軽に動ける状態を維持しておくことが、経営上の安全策となります。

法人の解散および清算結了の登記にはそれぞれ登録免許税が課され、清算期間中も確定申告の義務が残ります。法人設立は「始める時」だけでなく「終わらせる時」のコストも考慮する必要があります。

個人スタートを検討する際のチェックポイント

ご自身のプロジェクトが個人スタートに向いているか、以下の項目で確認してみてください。複数の項目に当てはまる場合は、個人事業主からのスモールスタートが適している可能性が高いと言えます。

  • クラウドファンディングの目標金額が少額(数十万〜数百万円規模)である
  • All-or-Nothing方式を選択しており、目標未達で不成立になるリスクがある
  • 事業が赤字になった場合、毎年約7万円の均等割を支払う余裕がない
  • 万が一事業から撤退する際の手間やコストを最小限に抑えたい

まずは個人としてクラウドファンディングを成功させ、実績と手元資金を作った後に「法人成り(法人化)」を検討するのが、リスクを抑えた手堅いステップです。最終的な判断に迷われる場合は、プロジェクトを開始する前に税理士などの専門家へ相談し、状況に合った選択をすることをおすすめします。

個人として低コストでスモールスタートするイメージ

個人でクラファンを成功させた後に法人化(法人成り)する手順

個人としてクラウドファンディングを実施し、見事に目標金額を達成した後に法人化(法人成り)を検討するケースは少なくありません。店舗の開業や新商品の量産化など、事業規模が拡大するタイミングでの法人化は社会的信用の向上にもつながります。

ここでは、個人事業主として調達した資金や資産をスムーズに新設法人へ引き継ぐための具体的な手順と、最適なタイミングについて解説します。

法人化(法人成り)のベストなタイミングとスケジューリング

クラウドファンディング 起業を成功させた後、どのタイミングで法人を設立すべきかは非常に重要なポイントです。一般的には、クラウドファンディングのプロジェクトが終了し、支援者へのリターン(商品発送やサービス提供)がすべて完了した前後のタイミングが最も適しているとされています。

なぜなら、プロジェクト実施中やリターンの提供が完了する前に法人化してしまうと、支援者との契約主体が「個人」から「新設法人」へ途中で切り替わることになるためです。この場合、権利義務の引き継ぎ手続きや、クラウドファンディングサイト(プラットフォーム)側での名義変更などが非常に煩雑になるリスクがあります。

そのため、まずは個人の責任としてリターンの提供までをしっかりと完遂させ、事業の区切りがついた段階で法人成りを行うのがスムーズです。個人事業の廃業と法人の設立登記は、事業活動に空白期間ができないよう計画的に進める必要があります。

フェーズ 主な手続きと対応内容
プロジェクト期間中 個人名義で支援金を募集。法人設立の事前準備(定款作成など)を進める。
プロジェクト終了〜入金 個人名義の口座で調達資金を受領。個人としての事業所得等の計算準備。
リターン提供完了後 個人の事業を締めくくり、法務局で新設法人の設立登記を申請する。
法人設立後 個人から法人へ資産を引き継ぎ、税務署へ個人事業の廃業届と法人の設立届を提出。

個人で調達した資金や資産を新設法人へ引き継ぐ方法

個人事業主として調達したクラウドファンディングの資金や、その資金を使って購入した機材、開発した知的財産(特許や商標など)は、法人を設立したからといって自動的に法人の所有物になるわけではありません。個人から新設法人へ「資産移転」を行うための法的な手続きが必要です。

資産を引き継ぐ主な方法には、「売却(売買契約による譲渡)」と「現物出資」の2種類があります。実務上、最もよく用いられるのは売買契約による譲渡です。これは、個人が所有している事業用の現金、機材、在庫などを、適正な時価(または帳簿価額)で新設法人に買い取ってもらう方法です。

もう一つの方法である現物出資は、現金の代わりに機材や車両などの資産を「資本金の一部」として法人に出資する方法です。手元の現金が少なくても法人の資本金を手厚くできるメリットがありますが、出資する資産の評価額が妥当であるかを証明する必要があり、手続きがやや複雑になります。

資産を法人へ移管する際の譲渡価格が不当に高かったり低かったりすると、個人・法人の双方に思わぬ税務リスク(みなし譲渡所得や受贈益に対する課税など)が生じる可能性があるため注意が必要です。

法人成りにおける各種手続きと専門家への相談

法人成りを行う際は、個人の事業を閉じる手続きと、法人を立ち上げる手続きを並行して漏れなく進める必要があります。以下の項目を確認しながら、計画的に準備を進めましょう。

  • 個人事業の「個人事業の開業・廃業等届出書」の提出(廃業日から1ヶ月以内)
  • 新設法人の定款の作成および公証役場での認証(株式会社の場合)
  • 法務局での設立登記申請(申請した日が法人の「設立日」となります)
  • 税務署への「法人設立届出書」や「青色申告の承認申請書」の提出
  • 金融機関での法人名義の銀行口座の開設、および各種契約の名義変更

設立登記に関する具体的な手続きや必要書類については、法務局の商業・法人登記の案内ページで確認できます。また、設立後に必要となる税務署への届出書式は、国税庁の法人設立関連ページからダウンロードが可能です。

クラウドファンディングで調達した資金の税務処理は、購入型か寄付型かによっても個人の所得税や贈与税の扱いが異なり、非常に複雑です。法人成りは法的な権利義務の移転を伴うため、自己判断だけで進めず、必ず事前に税理士司法書士などの専門家に相談し、適切なアドバイスを受けながら進めることを強くおすすめします。

まとめ:あなたのプロジェクトに最適なクラファン起業ロードマップ

クラウドファンディングを活用した起業は、初期の資金調達だけでなく、熱量のあるファン作りや市場の反応を見るテストマーケティングを兼ねられる非常に強力な手段です。

しかし、プロジェクトを個人として立ち上げるか、法人として立ち上げるかによって、税金の計算方法や経費の取り扱いが大きく変わるため、事前の慎重な判断が求められます。

本記事の総括として、税務や手数料処理の要点をおさらいしつつ、あなたのプロジェクト規模や目的に最適な「クラウドファンディング 起業」のロードマップを整理します。

個人・法人の税務と手数料処理のおさらい

まずは、クラウドファンディングで集めた資金に対する税金と、プラットフォームに支払う手数料の経費処理について振り返りましょう。

購入型クラウドファンディングの場合、個人の場合は事業所得や雑所得として所得税(累進課税)と住民税の対象となり、法人の場合は売上として法人税の対象となります。購入型であれば、個人・法人問わずプラットフォームの手数料を「支払手数料」として全額経費に計上し、利益を圧縮することが可能です。

一方で、リターンのない寄付型クラウドファンディングを利用する場合は特に注意が必要です。個人が寄付型で資金を集めると、個人からの支援金は贈与税の対象となり、年間110万円の基礎控除を超える部分に課税されます。

ここで最も気をつけたいのが、個人が贈与税の対象となる場合、税法上、プラットフォーム手数料やプロジェクトにかかった経費を差し引くことができないという点です。受取総額(額面)に対して贈与税が計算されるため、手元に残る資金が想定より大幅に減ってしまうリスクがあります。

クラファンの種類 個人の税務・経費処理 法人の税務・経費処理
購入型 所得税・住民税(手数料は経費可) 法人税(手数料は経費可)
寄付型(個人からの支援) 贈与税(手数料は経費不可) 法人税(手数料は経費可)
寄付型(法人からの支援) 一時所得(手数料は経費可) 法人税(手数料は経費可)

贈与税の基礎控除や計算方法の最新情報については、国税庁:贈与税がかかる場合のページも併せて確認し、正しい税務知識を持っておくことが大切です。

目的別・クラファン起業ロードマップ

これまでの税金や手数料の知識を踏まえ、どのような形でプロジェクトを立ち上げるべきか、ご自身の予算規模や今後の事業展開に照らし合わせて検討してください。最適なスタート方法は、大きく以下の3つのパターンに分かれます。

  • 予算が少なく、テストマーケティング目的の小規模プロジェクト ➔ 個人でスタート
  • 数千万円規模の調達、投資型クラファンの利用、BtoB展開を狙う ➔ 最初から法人化
  • 個人でクラファンを成功させ、その資金を元手に法人成りする ➔ 最もリスクが低い王道ルート

自己資金が少なく、まずは自分のアイデアが世の中に受け入れられるかを確認したい場合は、設立費用や維持費(法人住民税の均等割など)がかからない個人事業主からのスタートが適しています。小さく生んで市場の反応を見る、堅実なアプローチです。

一方で、最初から数千万円規模の大型調達を目指す場合や、株式投資型クラウドファンディングを利用する場合、あるいは企業間取引(BtoB)を主軸とする場合は、社会的信用の高い法人としてのスタートが推奨されます。法人であれば、経費として認められる範囲も広がり、節税面でも有利に働くケースが多くなります。

そして、まずは個人でクラウドファンディングを成功させ、集まった資金と顧客基盤を元手に「法人成り」するのが、最もリスクが低く確実な王道ルートです。初期コストを抑えつつ、確かな実績を持って法人化することで、その後の金融機関からの融資や取引先開拓もスムーズに進めることができます。

専門家への相談を視野に確実な一歩を踏み出そう

クラウドファンディングを活用した起業は、夢やアイデアを形にする素晴らしい選択肢ですが、資金が集まった後の税務申告や法務手続きは非常に複雑です。

特に、調達額が1,000万円を超えて消費税の課税事業者となるタイミングや、適切な経費処理の判断については、自己流で進めると後から思わぬ追徴課税などのペナルティを受ける可能性があります。

個人と法人のどちらでスタートすべきか、また調達した資金の正しい税務処理については、プロジェクトを公開する前に税理士などの専門家に相談することを強くおすすめします。専門家の客観的なアドバイスを取り入れることで、安心してプロジェクトの成功と事業の成長に集中することができるでしょう。

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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

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