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会社設立
定款認証手数料が1万5,000円になる要件と対象会社
読了目安時間:約 8分
目次
導入文
定款認証手数料1万5,000円の特例とは、一定の小規模な株式会社について、公証人による定款認証の手数料を軽減する制度です。2024年12月1日から、対象会社の最低額が従来の3万円から1万5,000円へ引き下げられました。
ただし、定款に記載・記録する資本金の額等を100万円未満にするだけでは適用されません。「定款認証の手数料を15,000円にできると思っていたのに対象外だった」という事態を避けるには、発起人の構成や株式の引受方法、取締役会の有無まで確認する必要があります。
この記事では、1万5,000円になる具体的な要件をはじめ、資本金別・会社設計別の判定方法や、手数料区分の基準となる「資本金の額等」の確認方法を整理します。さらに、紙定款と電子定款の費用差、定款作成から認証を受けるまでの実務上の注意点も解説します。
少ない資本金で株式会社を設立する予定の方は、費用だけでなく希望する会社設計との整合性も踏まえて判断することが重要です。本文の情報は2026年9月7日時点のものであり、個別の定款内容については公証役場や司法書士などの専門家にもご確認ください。
定款認証手数料が1万5,000円になる会社とは?
「定款認証 手数料 15000円」の対象になり得るのは、定款に記載・記録された資本金の額等が100万円未満の株式会社です。この料金区分は、2024年12月1日から開始されました。
金額の境界には注意が必要です。資本金の額等が99万9,999円以下なら対象になり得ますが、100万円ちょうどは「100万円未満」に含まれないため、1万5,000円の対象外です。
ただし、100万円未満というだけでは適用されません。発起人全員が自然人かつ3人以下、発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける発起設立、取締役会を置かないという3要件をすべて満たす必要があります。
たとえば資本金99万円でも、発起人が4人いる、法人が発起人に含まれる、募集設立を行う、または取締役会を設置する場合、認証手数料は3万円です。会社設計を決める段階で、日本公証人連合会の手数料区分も確認しておくとよいでしょう。
法人形態によって定款認証は必要ですか?
株式会社は公証人による定款認証が必要ですが、合同会社には認証手続がありません。一般社団法人・一般財団法人は認証が必要で、手数料は5万円です。
| 法人形態 | 定款認証 | 認証手数料 |
|---|---|---|
| 株式会社 | 必要 | 条件により1万5,000円 |
| 合同会社 | 不要 | なし |
| 一般社団法人 | 必要 | 5万円 |
| 一般財団法人 | 必要 | 5万円 |
なお、定款を作成することと、公証人の認証を受けることは別の手続です。合同会社も定款の作成は必要ですが、認証は不要です。適用可否に迷う場合は、公証役場や司法書士などの専門家へ事前に確認してください。
1万5,000円の適用に必要な3つの要件
定款認証手数料1万5,000円の適用には、資本金の額等が100万円未満という前提に加え、以下の3要件をすべて満たす必要があります。小規模な株式会社だからといって、自動的に適用されるわけではありません。
要件1|発起人全員が自然人で、人数が3人以下
定款に記載された発起人全員が個人であり、人数が3人以下でなければなりません。法人が1社でも含まれる場合や、個人のみでも4人以上の場合は対象外です。
| 発起人の構成 | 要件1の判定 |
|---|---|
| 個人1人 | 満たす |
| 個人3人 | 満たす |
| 個人4人 | 満たさない |
| 個人2人・法人1社 | 満たさない |
また、各発起人は設立時発行株式を1株以上引き受ける必要があります。名義だけの発起人を加えるのではなく、出資者と株式の割当てを定款作成前に整理しておきましょう。
要件2|発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける
発起人が設立時発行株式の全部を引き受け、その旨が定款に記載・記録されている必要があります。この設立方法を発起設立といいます。
発起人以外にも株式を引き受けてもらう「募集設立」は対象外です。実際に発起人が全株式を取得するだけでなく、定款上の記載・記録も判定材料になるため、認証前に条文を確認してください。
要件3|取締役会を置かない
定款に「取締役会を置く」旨の記載・記録がないことが必要です。ただし、取締役を1人だけに限定する要件ではありません。
取締役が複数人いても、取締役会非設置会社であれば適用要件を満たし得ます。一方、定款で取締役会設置会社と定めた場合は対象外です。
3要件のうち1つでも欠けると、資本金の額等が100万円未満でも定款認証手数料は3万円になります。
定款案では、発起人の属性・人数、株式の引受方法、取締役会の有無をまとめて確認しましょう。最終的な適用可否は日本公証人連合会の案内を確認し、必要に応じて公証役場や司法書士などの専門家へ相談してください。

あなたの会社はいくら?適用判定の早見表
資本金の額等が100万円未満で、発起人・設立方法・取締役会に関する3要件をすべて満たせば、定款認証手数料は原則1万5,000円です。以下の表で予定している会社設計と照らし合わせてください。
| 資本金の額等 | 発起人 | 設立方法・機関設計 | 手数料 |
|---|---|---|---|
| 99万円 | 自然人1人 | 発起設立・取締役会なし | 1万5,000円 |
| 99万円 | 自然人4人 | 発起設立・取締役会なし | 3万円 |
| 99万円 | 法人を1社含む | 発起設立・取締役会なし | 3万円 |
| 99万円 | 自然人1人 | 募集設立または取締役会あり | 3万円 |
| 100万円 | 自然人1人 | 発起設立・取締役会なし | 4万円 |
| 300万円 | 自然人1人 | 発起設立・取締役会なし | 5万円 |
1万5,000円になるかを確認する方法は?
次の4項目を上から順番に確認します。4項目すべてが「はい」なら、原則として定款認証 手数料 15000円の区分です。
- 定款上の資本金の額等は100万円未満か
- 発起人は自然人だけで、3人以下か
- 発起人が設立時発行株式の全部を引き受けるか
- 取締役会を設置しないか
資本金の額等が100万円未満でも、残りの要件に一つでも「いいえ」があれば3万円です。100万円未満でない場合は、100万円以上300万円未満なら4万円、300万円以上などは5万円となります。詳細は日本公証人連合会の手数料案内も確認し、判断に迷う場合は公証役場や司法書士などの専門家へ相談してください。

「資本金の額等」はどの金額で判定される?
定款認証手数料の料金区分は、原則として定款に記載・記録された資本金の額で判定されます。資本金の記載がない場合は、「設立に際して出資される財産の価額」が基準です。
| 定款の記載方法 | 判定基準 | 注意点 |
|---|---|---|
| 資本金の額を記載 | 記載した資本金の額 | 原則的な判定方法 |
| 出資財産の価額を記載 | 出資財産の価額 | 資本金と異なる場合あり |
| 出資財産の最低額のみ記載 | 最低区分の対象外 | 手数料は5万円 |
資本金は会社設立の手数料ではなく、発起人が会社へ払い込み、設立後に会社の財産として計上される金額です。株式会社には法律上の最低資本金規制がなく、資本金1円でも設立できます。
なお、出資財産の価額と資本金が常に同額になるとは限りません。出資財産の価額のうち2分の1を超えない額は資本金に組み入れず、資本準備金とすることができます。
特に注意したいのが、「出資される財産の最低額」だけを定款に記載するケースです。この記載方法では100万円未満または300万円未満の区分として扱われず、認証手数料は5万円となります。
定款認証手数料1万5,000円の適用を予定する場合は、認証前に定款案の金額表記を公証役場や専門家へ確認しましょう。ただし、手数料を下げる目的だけで資本金を少なくせず、設立後の運転資金や取引先などからの対外的信用も踏まえて決めることが重要です。
定款認証手数料は資本金によっていくら変わる?
2026年9月時点では、株式会社・特定目的会社の定款認証手数料は、定款に記載・記録された資本金の額等に応じて1万5,000円・3万円・4万円・5万円に分かれます。資本金の額等が100万円未満でも、特例要件を満たすかどうかで金額が変わります。
| 資本金の額等 | 適用条件 | 認証手数料 |
|---|---|---|
| 100万円未満 | 特例要件をすべて満たす | 1万5,000円 |
| 100万円未満 | 特例要件を満たさない | 3万円 |
| 100万円以上300万円未満 | 一律 | 4万円 |
| 上記以外 | 原則300万円以上など | 5万円 |
境界は「100万円以下」ではなく「100万円未満」です。したがって、資本金99万9,999円で特例要件をすべて満たせば「定款認証 手数料 15000円」の対象になり得ますが、100万円ちょうどは4万円です。
同様に、299万9,999円は4万円の区分ですが、300万円ちょうどは5万円になります。少額資本で設立費用を見積もる際は、区分の境界をまたいでいないかを定款案の金額で確認してください。
なお、2025年10月1日の公証人手数料改定後の手数料表でも、この定款認証手数料の区分は維持されています。実際の適用額に不明点がある場合は、認証を依頼する公証役場や司法書士などの専門家へ事前に確認すると安心です。
紙定款と電子定款では設立費用がどう変わる?
電子定款を選ぶと、紙定款で必要となる4万円の印紙税を節約できます。一方、定款認証手数料そのものは、紙定款でも電子定款でも同額です。
株式会社などの設立時に作成する紙の定款原本は、印紙税法上の第6号文書に該当し、1通につき4万円の収入印紙が必要です。この印紙税は、公証役場へ支払う定款認証手数料とは別の設立実費です。
電子的に作成した定款には、紙定款にかかる4万円の印紙税が生じません。定款認証の手数料が15,000円となる要件を満たす場合、費用の違いは次のとおりです。
| 費用項目 | 紙定款 | 電子定款 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 定款認証手数料 | 15,000円 | 15,000円 | 0円 |
| 印紙税 | 40,000円 | 0円 | 40,000円 |
| 上記費用の合計 | 55,000円 | 15,000円 | 40,000円 |
| その他の費用 | - | 準備・依頼費用 | 個別に異なる |
少ない資本金で小規模な株式会社を設立する場合、電子定款は設立時の現金支出を4万円抑えられる可能性があります。ただし、電子署名などの準備費用や、司法書士・行政書士などへの依頼費用が別途発生する場合があります。
なお、資本金は認証手数料や印紙税などの設立実費には含めません。電子定款を自分で作成するか専門家へ依頼するかも含め、最終的な費用は依頼先へ事前に確認してください。

1万5,000円で定款認証を受けるまでの流れと注意点
定款認証手数料1万5,000円の適用を受けるには、会社設計の段階で要件を確認し、その内容を定款案へ正確に反映させます。作成後の設計変更で手数料区分が変わることもあるため、公証役場への事前確認が重要です。
定款案を作成するときは何を確認する?
資本金または出資財産の価額を決めたうえで、発起人を自然人3人以下とするか、発起設立にするか、取締役会を設置しないかを確認します。特に、発起人の属性・人数、株式の引受方法、機関設計は定款案の段階で固めておきましょう。
- 資本金の額等が100万円未満になっているか
- 発起人全員が自然人で、3人以下か
- 発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける記載があるか
- 取締役会を置く旨の記載がないか
- 出資財産について「最低額」だけを記載していないか
定款作成後に発起人を追加したり、募集設立や取締役会設置会社へ変更したりすると、1万5,000円の対象外になる可能性があります。判断に迷う記載は、認証を依頼する公証役場へ事前に相談してください。
公証役場への事前確認から認証まではどう進める?
本店所在地のある都道府県内の公証役場を確認し、定款案を公証人に事前確認してもらいます。その後、紙定款または電子定款で認証を嘱託し、適用手数料を確認して支払います。
- 会社設計を決定して定款案を作成する
- 公証役場へ定款案の事前確認を依頼する
- 紙または電子定款で認証を嘱託する
- 手数料区分を確認して支払う
- 認証済み定款を受け取り、設立登記へ進む
本制度は2024年12月1日に開始され、開始時の経過措置では認証完了日ではなく、嘱託が受け付けられた時点で新旧料金が判定されました。現在の新規設立では通常問題になりませんが、制度沿革として押さえておくとよいでしょう。

定款認証手数料1万5,000円に関するよくある質問
定款認証手数料1万5,000円の適用可否は、資本金だけでなく、発起人や機関設計などの条件を定款の内容から判断します。設立前に誤りやすいポイントを確認しておきましょう。
資本金100万円ちょうどでも1万5,000円になりますか?
いいえ、資本金100万円ちょうどは対象になりません。条件は「100万円未満」であるため、100万円は4万円の手数料区分となります。
資本金の条件だけを見れば、99万9,999円以下であれば1万5,000円の区分に入り得ます。ただし、発起人や取締役会などの要件もすべて満たす必要があります。
取締役が2人いると対象外ですか?
いいえ、取締役が複数いるだけで対象外にはなりません。定款に取締役会を置く旨の記載・記録がなければ、この要件を満たし得ます。
取締役の人数と取締役会の設置は別の判断事項です。定款案を作成する際は、人数だけでなく機関設計に関する条文を確認しましょう。
発起人に法人が含まれていても、合計3人以下なら対象ですか?
いいえ、発起人に法人が1社でも含まれる場合は対象外です。3人以下という人数要件に加え、発起人全員が自然人であることが求められます。
発起人が自然人2人と法人1社の場合、合計3人でも手数料は1万5,000円になりません。この場合、資本金の額等が100万円未満なら3万円区分となります。
合同会社の定款認証手数料も1万5,000円ですか?
合同会社は公証人による定款認証が不要なため、1万5,000円の特例を検討する必要はありません。ただし、紙で定款を作成する場合は印紙税に注意が必要です。
紙の定款には原則として4万円の印紙税がかかりますが、電子定款にはかかりません。会社形態と定款の作成方法を分けて費用を確認しましょう。
電子定款にすれば認証手数料も安くなりますか?
いいえ、株式会社の認証手数料は紙定款と電子定款で同額です。電子定款により主に不要となるのは、紙定款にかかる4万円の印紙税です。
電子化だけで認証手数料が1万5,000円になるわけではありません。定款案に不安がある場合は、認証前に公証役場や司法書士などの専門家へ確認すると安心です。
まとめ
定款認証手数料が1万5,000円になる条件は、資本金の額等が100万円未満であることに加え、発起人全員が自然人かつ3人以下であること、発起人が設立時発行株式の全部を引き受けること、取締役会を設置しないことの4項目です。
これら4項目をすべて満たす株式会社だけが、定款認証手数料1万5,000円の対象です。少ない資本金で小規模な会社を設立する場合も、資本金だけで判断せず、発起人の構成や会社設計まで確認しましょう。
- 資本金100万円ちょうどは4万円であり、「100万円未満」には該当しない
- 100万円未満でも、3つの会社設計上の要件を一つでも欠く場合は3万円となる
- 定款に出資財産の最低額だけを記載するなど、金額表記によっては5万円となる場合がある
定款の記載方法によって手数料区分が変わる可能性があるため、認証前に利用予定の公証役場へ確認すると安心です。定款認証の手数料を15,000円に抑えることだけを優先せず、設立後の経営や資金調達に適した資本金・機関設計を検討してください。
主な一次情報として、日本公証人連合会の「定款認証手数料の改定」、「認証の手数料」、「2025年10月1日以降の手数料表」、e-Gov法令検索の「公証人手数料令」第35条を参照しています。
あわせて、法務省の株式会社・合同会社の設立手続、国税庁の「印紙税額の一覧表」も確認しています。本記事の情報は2026年9月7日時点です。判断に迷う場合は、公証役場に加え、税理士・司法書士・行政書士などの専門家へ相談しましょう。
よくある質問
Q. 資本金が99万円でも定款認証手数料が3万円になることはありますか?
はい、資本金の額等が100万円未満でも、特例要件をすべて満たさなければ3万円です。発起人に法人が含まれる場合や自然人が4人以上の場合、募集設立を行う場合、取締役会を設置する場合などが該当します。
Q. 募集設立でも定款認証手数料は1万5,000円になりますか?
いいえ、募集設立は1万5,000円の対象外です。発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける発起設立であり、その旨が定款に記載・記録されている必要があります。
Q. 定款に出資財産の最低額だけを記載しても1万5,000円になりますか?
出資される財産の最低額だけを記載した場合、100万円未満の区分として扱われず、認証手数料は5万円となります。適用を予定している場合は、認証前に定款案の金額表記を公証役場や専門家へ確認すると安心です。
Q. 資本金300万円ちょうどの定款認証手数料はいくらですか?
資本金の額等が300万円ちょうどの場合、認証手数料は5万円です。299万9,999円は4万円の区分ですが、300万円以上は原則として5万円となります。
Q. 定款認証はどこの公証役場に依頼すればよいですか?
本店所在地のある都道府県内の公証役場を確認し、定款案を公証人に事前確認してもらいます。その後、紙定款または電子定款で認証を嘱託し、手数料を支払って認証済み定款を受け取ります。
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この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

