2025.08.26

会社設立

バーチャルオフィスの失敗しない選び方のポイント!サービス内容や注意点も解説

ビジネス

読了目安時間:約 7分

物理的なオフィスの必要性はないものの、法人登記や取引先とのやり取りのためにビジネス用住所が必要になる場合があります。その際、オフィスを借りるための初期費用やランニングコストを抑える方法の一つとして「バーチャルオフィス」という選択肢があります。

しかし、バーチャルオフィスの利用を検討している人の中には、「種類が多すぎてどれを選べば良いか分からない」という方もいるでしょう。バーチャルオフィスには複数のサービス形態があり、提供内容や料金、利用条件などは事業者ごとに異なります。

本記事では、バーチャルオフィスのサービス内容や選び方のポイント、契約前に確認しておきたい注意点を解説します。

バーチャルオフィスとは

バーチャルオフィスとは

そもそも、バーチャルオフィスとは、実際のオフィスに入居せず、住所や電話番号といった会社の運営に必要な機能のみを利用できるサービスで、会社設立直後の法人や、個人事業主、スタートアップなどが利用するケースが多く見られます。

バーチャルオフィスはレンタルオフィスやシェアオフィスとは異なり、仕事をするための物理的な空間は利用せず、郵便物の受け取りや登記登録など、事務所の住所や電話番号が必要な場合に利用します。

また、多くのバーチャルオフィスではオプションサービスを用意しており、オプション費用を払うことでさまざまな機能を利用できるのが特徴です。

バーチャルオフィスを利用するメリット

バーチャルオフィスを利用する主なメリットとして、以下が挙げられます。

  • 従来のオフィスにかかる費用の削減になる
  • 法人登記ができる
  • 自宅住所を非公開にできる
  • スピーディーにビジネスを開始できる
  • テレワークの推進に役立つ
  • 郵便物の受け取りや転送サービスがある
  • 取引先からの信頼を得やすくなる

オフィスを賃貸する場合、物件探しから契約締結まで、数週間から1ヶ月以上かかるのが一般的ですが、実店舗を持たないバーチャルオフィスは住所利用開始までの期間が短いため、スムーズにビジネスを開始できます。

また、商業登記法では本店所在地の住所に関する具体的な制限がないため、バーチャルオフィスを利用して登記できる場合があります。

さらに、一等地の住所を利用することで、対外的な印象が良くなる場合もあります。ただし、業種や取引先によっては実態のあるオフィスを求められるケースもあるため、注意が必要です。

参考:e-Gov 法令検索|商業登記法

バーチャルオフィスの基本的なサービス

バーチャルオフィスの基本的なサービス

起業・開業においてバーチャルオフィスを契約すると、どのような利点があるのでしょうか。

ここでは、バーチャルオフィスの基本的なサービスとオプションで利用できるサービスについて説明します。

ビジネス用住所の貸し出し

バーチャルオフィスの基本サービスとして、住所貸しがあります。

具体的には、バーチャルオフィスの運営会社が所有、もしくは契約している物件を契約者のビジネス用住所として利用できるものです。

物理的なオフィスを契約しなくても良いため、初期費用やランニングコストを抑えられる傾向があります。

バーチャルオフィスの住所は会社の所在地としてWebサイトに掲載したり、名刺に載せたりすることが可能です。ただし、住所利用に関して一部制限がある場合があるため、契約条件を必ず確認しましょう。

個人事業主の場合は、バーチャルオフィスを活用すれば自宅住所を明かす必要がないため、プライバシー保護の側面もあります。

参考:e-Gov 法令検索

郵便物転送

バーチャルオフィスの多くは、郵便物・荷物の受け取り、転送サービスを行っています。

転送サービスの詳細は会社によって異なりますが、バーチャルオフィスに届いた郵便物を事業者が受け取り、届いた旨を契約者に通知、その後、規定の日に郵便物を転送します。

転送は週1回、または追加費用を払うことで、週2回の転送や即時転送に対応してもらえる場合が多いです。

ただし、どのような荷物でもバーチャルオフィスで受け取れるものではなく、たとえば、現金書留や大型の荷物、クール便などは受け取り対象外となる場合があります。そのため、あらかじめ利用するバーチャルオフィスの規約を確認しましょう。

その他オプションサービス

バーチャルオフィスによっては、ビジネス用住所の貸し出しや郵便物転送サービスのほかに、ビジネスを行うのに役立つオプションが用意されている場合があります。

よくあるオプションサービスの内容としては、以下の通りです。

  • 電話転送・代行
  • 固定電話番号の利用
  • 会議室の貸し出し
  • シェアオフィスの利用
  • バックオフィスのサポート
  • 書類保管 など

これらのオプションは事業の規模や業種に応じて有効に活用できる可能性があります。

バーチャルオフィスを選ぶ際の6つのポイント

バーチャルオフィスを選ぶ際の6つのポイント

バーチャルオフィスは全国にさまざまなタイプ、オプションのものがあり、安さだけで選んでしまうと追加費用がかかって予想以上に出費が多くなってしまうなど、後から後悔する恐れがあります。

契約前に押さえておきたいバーチャルオフィスの選び方のポイントは以下の6つです。

  • サービス内容が満足できるものを選ぶ
  • 自社イメージに合う場所・建物を選ぶ
  • 立地や最寄り駅からの距離を確認して選ぶ
  • 有人オフィスか、無人オフィスかで選ぶ
  • 厳格な入会審査基準があるものを選ぶ
  • セキュリティ体制が整備されているものを選ぶ

サービス内容が満足できるものを選ぶ

バーチャルオフィスを選ぶ際、まずは自社のニーズに合ったサービスが揃っているかを確認する必要があります。

まずは自社がバーチャルオフィスに何を求めているかをよく確認し、それに合ったサービスが含まれているものを選びましょう。

ビジネスをサポートするためのサービスが充実していると便利ですが、事業には必要ないサービスが含まれていることで余計な費用を使うことにならないよう注意が必要です。

自社イメージに合う場所・建物を選ぶ

バーチャルオフィスといっても、自社のWebサイトや名刺に載せるなどビジネスで活用する住所であるため、建物が自社のイメージと合っているかを確認するのは大切なポイントです。

例えば、建物が古すぎたり外観が悪かったりと、自社のイメージとかけ離れていると、ブランドイメージを傷つける恐れがあります。

そのため、あらかじめ自社のブランドイメージを考慮しながらある程度の建物や立地のグレードを決めておき、自社に合うバーチャルオフィスを選ぶようにしましょう。

参考:e-Gov 法令検索

立地や最寄り駅からの距離を確認して選ぶ

バーチャルオフィスの住所や立地を確認するのは重要なポイントです。

名刺やホームページなど、バーチャルオフィスの住所や電話番号を名刺やホームページに記載する際、ビジネスに合った立地であるとメリットが大きいです。

例えば、取引先によっては、ビジネス街などの知名度の高い住所が信頼感につながる場合もあります。

また、バーチャルオフィスが自宅や最寄り駅から近ければ、郵便物の受け取りに出向きやすく、取引先が来店する場合にも便利です。

有人オフィスか、無人オフィスかで選ぶ

バーチャルオフィスは、有人対応と無人対応があるため、それぞれの特徴を理解して自社に合った方を選びましょう。

具体的なメリットとデメリットは以下の通りです。

メリットデメリット
有人対応・来客時にスタッフに対応してもらえる
・郵便物の受け取り
・転送がスムーズ・手厚いサービスが受けられる
・一般的に無人対応よりも料金が高い
・スタッフの対応が会社の評価に影響する
無人対応・料金が比較的安い・顧客に不安を与える恐れがある
・郵便物の受け取りに時間がかかる

例えば、来客や郵便物が多い場合や会社としての信頼性を高めたい場合には有人受付のものを、費用を安く抑えたい場合には無人のものを選ぶのが有効です。

厳格な入会審査基準があるものを選ぶ

安心してバーチャルオフィスを利用するためには、まず入会審査の有無を確認し、厳格な審査基準がある会社を選ぶことが重要です。

入会審査が緩い場合、利用者の属性確認が不十分となり、不適切な利用が発生するリスクが懸念されます。例えば、バーチャルオフィスが犯罪に利用されて会社の信用を大きく損ねたり、契約後にトラブルに巻き込まれたりする恐れがあります。

審査では、本人確認書類や事業内容、運営会社との過去の取引実績などを確認しますが、入会審査基準は公開されていないケースも多いため、バーチャルオフィスで利用できる住所を検索し、どのような会社が入居しているのかを調べてみるのもおすすめです。

セキュリティ体制が整備されているものを選ぶ

バーチャルオフィスを選ぶ際はセキュリティ面も考慮しましょう。

通常のオフィスとは異なり、バーチャルオフィスはその場所で業務を行ったり重要な書類を保管するわけではありません。

しかし、郵便物や個人情報などを保管していることから、盗まれたり情報漏洩したりするリスクがゼロではなく、会社の信頼性や安全を守るためにも、セキュリティ体制が整備されているかを確認することが重要です。

例えば、監視カメラの設置やオフィスビルの入退室管理、郵便物の確実な管理体制、ネットワークセキュリティなど、物理的なものからデータ管理まで、さまざまなセキュリティ対策を講じているかチェックしましょう。

バーチャルオフィスを借りる際の注意点

注意点

バーチャルオフィスは便利である反面、物理的なオフィスを持たないことから、物件を借りてオフィスとして利用する場合と比較してリスクを伴うため、契約前に把握しておく必要があります。

ここでは、バーチャルオフィス契約における注意点を説明します。

過去にトラブルがある会社に注意

バーチャルオフィスは手間や費用をかけずにオフィスの住所や電話番号を利用できる便利なサービスですが、それゆえにトラブルに巻き込まれる恐れがあります。

具体的には以下のトラブルや損害事例があります。

  • バーチャルオフィスとして利用した住所が過去に不適切な用途で利用された事例がある
  • バーチャルオフィスを運営する会社が倒産する
  • バーチャルオフィスを運営する会社が一方的に利用料金の値上げや利用規約を変更する
  • バーチャルオフィスの住所のビルの外観が悪い、古すぎる
  • スタッフによる来訪客への対応が悪い

過去に同じ住所が問題行為に利用された事例があると、ビジネス上の信用に影響する可能性があります。そのため、運営会社の経営状況や規約変更の有無、施設の外観やスタッフ対応なども、契約前に確認しておくことが望ましいです。

郵便物の受け取りが遅れることがある

バーチャルオフィスでの郵便物受け取りは、一般的に転送サービスを利用しており、バーチャルオフィスに届いてから自宅に郵送されます。

郵便物の転送には時間を要することがあるため、急ぎの書類対応が必要な事業では留意が必要です。受け取り時間を短縮するには、転送頻度の調整や、速達やレターパックなどを利用するなどの方法が考えられます。

また、バーチャルオフィスによっては直接郵便物を受け取れる場合もあるため、確認してみましょう。

バーチャルオフィスの登記が認められない業種がある

事務所の実体が必要とされる業種や、許認可が必要な業種の場合、一般的にバーチャルオフィスの住所や電話番号が認められません。

具体的には以下の業種が挙げられます。

  • 士業(税理士、司法書士、行政書士、弁護士など)
  • 不動産業
  • 職業紹介業
  • 人材派遣業
  • 金融商品取引業
  • 建設業
  • 廃棄物処理業
  • 古物商の認可が必要な業種(中古品販売、リサイクルショップなど)
  • 探偵業
  • 風俗営業

詳細は各業法や管轄行政庁の判断によりますが、あらかじめ業種ごとの要件をしっかり確認し、バーチャルオフィスを利用可能かどうかを確かめましょう。

参考:日本税理士連合会

融資審査に不利になる場合がある

金融機関の融資審査では事業の実態が確認されるため、バーチャルオフィスのみを拠点としていると、追加の説明や資料を求められる場合があります。

創業間もない企業は特にその傾向があり、物理的な事業拠点がないことで、金融機関からは「事業の実態がみえない」と判断される可能性があるためです。

バーチャルオフィスを利用していることで、融資審査に全く通らなくなるわけではありませんが、実際に事業の実態がない企業も存在するため、事業の実態を示す証拠や、返済能力があることを丁寧に説明する必要があります。

参考:中小企業庁|中小企業白書

自社に合ったバーチャルオフィスでコスト削減!

バーチャルオフィス

バーチャルオフィスは、個人事業主や小規模で事業を始める企業にとって有効な選択肢の一つです。

事業を行うのに事務所を持つ必要のない事業者にとっては、バーチャルオフィスを利用することで柔軟かつコスト効率の良いオフィス環境が実現できるでしょう。

ただし、サービス内容や立地、建物の管理体制、受付の有無、セキュリティ対策などは事業運営に影響を及ぼす可能性があるため、さまざまなものを比較し、総合的に判断したうえで契約するのがおすすめです。

安全に利用するには注意しなければならない点もありますが、状況によってはコスト削減につながるケースもあるため、起業や法人設立の際には選択肢の一つとして検討してみてもよいでしょう。


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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

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