2026.06.10

会社設立

会社設立後に引越ししたら?本店移転登記の手続きと費用を解説

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読了目安時間:約 16分

目次

会社設立後に引越し(本店移転)が発生したら?まずは全体像を把握

会社設立後に事業が拡大し、より広いオフィスへ移転(引越し)を検討するケースは珍しくありません。また、創業期に自宅を本店として登記していた経営者が、新たに事務所を借りて住所を変更することもあるでしょう。

このような場合、個人の引越しのように住民票を移すだけでは完了しません。会社法という法律に基づき、法的な手続きである「本店移転登記」を行う義務があります。

本店移転 登記 手続きは、大まかに「社内決議」「登記申請」「事後届出」の3つのステップに分かれます。まずは全体の流れを正しく把握し、漏れのないように準備を進めることが大切です。

1. なぜオフィスの引越しで登記が必要なのか(登記事項の変更義務)

株式会社や合同会社などの法人は、設立時に法務局へ会社の基本情報を登録(登記)しています。この登記簿謄本(登記事項証明書)には、会社の正式な住所である「本店所在地」が記載されており、取引先や金融機関に対する信用の基礎となります。

会社法では、この登記事項に変更が生じた場合、変更のあった日から2週間以内に法務局へ登記申請を行わなければならないと定められています。法務省の案内でも示されている通り、本店を移転した場合は速やかに変更登記の手続きが必要です。

登記簿上の住所が古いままになっていると、重要な公的書類が届かないだけでなく、金融機関での口座開設や融資の審査において実態と異なると判断され、不利益を被る可能性があります。

2. 本店移転手続きの全体的な流れとスケジュールの目安

本店移転の手続きは、ただ引越し作業をするだけでなく、事前の準備から事後の届出まで計画的に進める必要があります。全体的な流れは以下のようになります。

  • 移転先の決定と定款変更の要否確認
  • 株主総会・取締役会での社内決議と議事録の作成
  • 移転日から2週間以内の法務局への登記申請(本店移転登記)
  • 税務署・年金事務所・労働基準監督署などへの事後届出

最初に確認すべきは、会社のルールブックである「定款」の変更が必要かどうかです。定款には通常「当会社は、本店を東京都港区に置く」といったように、最小行政区画が記載されています。この区画の外(例:港区から新宿区)へ移転する場合は、株主総会の特別決議を開いて定款を変更しなければなりません。

具体的な移転先住所や移転時期については、取締役会(取締役会を設置していない会社は取締役の過半数の一致)で決定し、その内容を証明する議事録や決定書を作成します。これらの書類は、法務局へ提出する登記申請書の添付書類となります。

また、登記にかかる費用(登録免許税)は、移転先が現在の法務局の管轄内か管轄外かによって異なります。事前に管轄の法務局を確認しておきましょう。

移転の区分 条件 登録免許税(費用)
管轄内移転 移転前後で法務局の管轄区域が変わらない場合 3万円
管轄外移転 移転前後で法務局の管轄区域が変わる場合 6万円(旧管轄分3万円+新管轄分3万円)

登記が完了した後は、各関係機関へ速やかに事後届出を行います。税務署や都道府県税事務所へは「異動届出書」を提出します。また、社会保険に加入している場合は、移転から5日以内に年金事務所へ「適用事業所名称/所在地変更届」の提出が必要です。従業員を雇用している場合は、労働基準監督署やハローワークへの届出も移転翌日から10日以内など、非常にタイトなスケジュールが組まれています。

3. 登記を怠った場合のリスク(過料の発生など)

本店移転の登記は「移転日から2週間以内」という厳格な期限が設けられています。日々の業務に追われて手続きを後回しにしてしまうと、思わぬペナルティを受けることになります。

会社法により、登記の期限(2週間)を過ぎてから申請を行った場合、代表者個人に対して「過料(かりょう)」と呼ばれる制裁金が科される可能性があります。

過料の金額は裁判所の判断によって決まりますが、数万円から数十万円に及ぶケースもあるため、期限内の申請を厳守することが重要です。また、過料は会社の経費としては認められず、代表者個人の負担となる点にも注意が必要です。

さらに、登記を放置していると、許認可事業を行っている場合には事業の継続に支障をきたす恐れもあります。本店移転 登記 手続きには専門的な知識が求められる場面も多いため、定款変更の判断や必要書類の作成に不安がある場合は、早めに司法書士や税理士などの専門家へ相談することをおすすめします。

本店移転登記の申請手続きと期限

会社のオフィスや自宅兼事務所の住所を変更した場合、単に引っ越し作業を終えれば完了というわけではありません。本店移転登記には、会社法などの法律で定められた厳格な期限があります。

また、移転先が現在の法務局の管轄内か管轄外かによって、手続きの難易度や必要な費用も変わってきます。ここでは、本店移転の登記手続きと、申請期限について詳しく解説します。

登記申請の期限は「移転日から2週間以内」

会社の住所(本店所在地)を変更した際は、移転日から2週間以内に法務局へ登記申請を行う義務が定められています。書面による提出だけでなく、オンラインでの申請も可能です。

この「移転日」とは、賃貸借契約の開始日ではなく、「実際に本店を移転して業務を開始した日」または「株主総会や取締役会で決議した移転日」のいずれかとなります。実務上は、取締役会(または取締役の過半数の一致)などの社内決議で定めた日を起算日として申請手続きを進めるのが一般的です。

もしこの2週間の期限を過ぎてしまった場合、登記申請自体は受理されますが、ペナルティが発生するリスクがあります。期限超過に対する制裁として、代表者個人に対して「過料(かりょう)」と呼ばれる金銭的な罰則が科される可能性があるため注意が必要です。

過料の金額は裁判所の判断によりますが、数万円から数十万円になるケースもあり、放置した期間が長いほど高額になる傾向があります。無用な出費を防ぐためにも、移転後は速やかに手続きを行うことが重要です。

  • 移転日(起算日)を社内決議で明確に定める
  • 移転日から2週間以内の申請スケジュールを組む
  • 定款変更が必要な場合は株主総会を開催する
  • 必要な決議書や議事録を作成・準備する

移転先が「管轄内」か「管轄外」かの確認方法

本店移転の登記手続きでは、移転先が現在の法務局の「管轄内」か「管轄外」かによって、必要な登録免許税(費用)や申請書の作成方法が大きく異なります。まずは、自社の移転がどちらに該当するのかを正確に把握することから始めましょう。

管轄内移転とは、同一の法務局が管轄する区域内での引っ越しを指します。たとえば、同じ市区町村内での移転や、隣接する区への移転であっても、管轄法務局が同じであれば管轄内移転となります。この場合、登録免許税(収入印紙代)は3万円で済みます。

一方、管轄外移転とは、異なる法務局の管轄区域への引っ越しを指します。他の都道府県への移転はもちろん、同じ都道府県内であっても管轄する法務局が変われば管轄外移転に該当します。この場合は、旧管轄の法務局と新管轄の法務局の双方に申請を行う形となるため、登録免許税は合計6万円(3万円×2)が必要です。

移転の区分 定義 登録免許税(費用)
管轄内移転 移転前後で管轄する法務局が変わらない場合 3万円
管轄外移転 移転前後で管轄する法務局が変わる場合 6万円(旧管轄分+新管轄分)

移転先がどの法務局の管轄になるかは、法務局の公式ホームページで確認することができます。各都道府県にある地方法務局のページから、「管轄のご案内」などのメニューを開き、移転先の市区町村を管轄している登記所を調べてください。

商業・法人登記の管轄区域は、不動産登記の管轄区域とは異なる場合があります。必ず「商業・法人登記」の管轄をご確認ください。
参考:法務局 管轄のご案内

なお、管轄外へ移転する場合は、定款に記載されている「最小行政区画(例:東京都港区など)」の外へ出ることが多く、株主総会の特別決議による定款変更が必要になるケースがほとんどです。

事前の社内決議から申請書の作成まで、正確な実務知識が求められます。手続きに不安がある場合や、定款変更の要否が判断しにくい場合は、司法書士や税理士などの専門家へ相談し、確実な判断を仰ぐことをお勧めします。

会社の本店(オフィスや自宅兼事務所など)を別の場所へ移す際、スムーズに本店移転の登記手続きを進めるためには、まず社内での意思決定を正しく行う必要があります。

具体的には、移転先や移転時期についての社内決議と、必要に応じた定款(ていかん)の変更手続きが求められます。会社法において、本店の所在地は定款の絶対的記載事項とされているためです。

手続きの順番を間違えたり、必要な議事録が漏れていたりすると、法務局での登記申請が差し戻される原因にもなります。まずは自社の現状を把握し、どのような決議が必要になるのかを確認することが重要です。

定款変更が必要なケース・不要なケース

本店移転において定款の変更が必要かどうかは、現在の定款における「本店の所在地」の記載方法と、新しい移転先の住所によって決まります。

定款における所在地の記載方法には、主に「最小行政区画(市区町村など)まで記載している場合」と「番地まで詳細に記載している場合」の2パターンがあります。

原則として、定款に記載されている最小行政区画(例:「東京都港区」や「大阪府大阪市」など)の外へ移転する場合は、定款に定める住所と実際の住所にズレが生じるため、定款変更の手続きが必要です。

また、同一区市町村内での近隣への移転であっても、定款に番地まで記載している場合は、記載内容と不一致になるため同様に定款変更が発生します。

定款の記載方法 移転先(同一市区町村内) 移転先(他の市区町村へ)
最小行政区画のみ(例:東京都港区) 不要 必要
番地まで記載(例:東京都港区〇〇一丁目…) 必要 必要

実務上は、将来の移転による手続きの負担を軽減するため、定款には最小行政区画のみを記載しておくケースが一般的です。まずは自社の定款がどのように記載されているかを、原本やデータで確認してみましょう。

社内決議と議事録の作成手順

定款変更の要否が確認できたら、次に社内での決議を行い、その結果を公的な記録として残すための議事録を作成します。

定款変更が必要な場合は、株主総会を開き「特別決議」を実施しなければなりません。特別決議は、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要です。

決議が可決されたら、その内容をまとめた「株主総会議事録」を作成します。この議事録は、後日法務局へ提出する重要な添付書類となります。

続いて、具体的な移転先(番地やビル名、部屋番号など)や移転時期を決定するための決議を行います。この権限は業務執行機関である取締役にあるため、会社の機関設計によって手続きが異なります。

取締役会を設置している会社であれば「取締役会」で決議し、取締役会議事録を作成します。取締役会を設置していない会社の場合は「取締役の過半数の一致」で決定し、取締役の決定書を作成します。

  • 現在の定款を用意し「本店の所在地」の記載内容を確認する
  • 定款変更が必要な場合は、株主総会(特別決議)を開催する
  • 株主総会議事録を作成し、会社に保管する
  • 取締役会(または取締役の決定)で具体的な移転先と時期を定める
  • 取締役会議事録(または取締役の決定書)を作成する

本店移転の登記申請には、移転日から2週間以内という厳格な期限が設けられています。期限を過ぎると代表者に対して過料(罰金のようなもの)が科される可能性があるため、社内決議から登記申請までのスケジュールは余裕を持って計画しましょう。
参考:法務省:商業・法人登記の申請書様式

社内決議の進め方や議事録の記載内容に不備があると、登記手続きが滞るリスクがあります。特に株主総会の特別決議など、厳密な手続きが求められる場面では、自社だけで判断せず、司法書士や税理士などの専門家に相談しながら確実に行うことをお勧めします。

定款の本店所在地記載例と社内決議の流れの図解

管轄内と管轄外で異なる!本店移転登記にかかる費用(登録免許税)

会社設立後にオフィスを移転したり、自宅兼オフィスとしていた本店所在地を変更したりした場合、法務局での本店移転 登記 手続きが必要になります。

この登記申請の際には、国に納める税金である「登録免許税」が発生します。本店移転における登録免許税は、移転先が現在の法務局の「管轄内」か「管轄外」かによって金額が大きく異なるのが特徴です。

ここでは、それぞれのケースでかかる登録免許税の金額や納付方法、さらに登記以外に発生する諸費用について詳しく解説します。事前に費用感を把握し、スムーズに移転手続きを進めましょう。

管轄内移転の登録免許税:3万円

移転前後で管轄する法務局が変わらない場合を「管轄内移転」と呼びます。たとえば、同じ市区町村内での引越しや、同じ法務局が管轄している隣接エリアへの移転がこれに該当します。

管轄内移転の場合、本店移転登記にかかる登録免許税は3万円です。

登録免許税の一般的な納付方法は、郵便局や法務局内の印紙売り場などで3万円分の「収入印紙」を購入し、登記申請書(または収入印紙貼付台紙)に貼り付けて提出する方法です。このとき、収入印紙には絶対に割印(消印)をしてはいけません。割印をしてしまうと無効になるおそれがあるため注意が必要です。

なお、オンラインで登記申請を行う場合は、インターネットバンキングやPay-easy(ペイジー)を利用した電子納付も可能です。ご自身の移転先が管轄内かどうかは、法務局の管轄案内ページで事前に確認しておきましょう。

管轄外移転の登録免許税:6万円

移転前後で管轄する法務局が変わる場合を「管轄外移転」と呼びます。別の都道府県へ移転する場合はもちろん、同じ東京都内であっても、港区(東京法務局港出張所)から渋谷区(東京法務局渋谷出張所)へ移転する場合などは管轄外移転となります。

管轄外移転の場合、登録免許税は合計6万円となります。管轄内移転の2倍の費用がかかるため、資金計画を立てる際は注意が必要です。

なぜ6万円になるかというと、旧管轄の法務局と新管轄の法務局の双方で登記手続きを行う必要があるからです。具体的には、旧管轄の法務局での本店移転登記分(3万円)と、新管轄の法務局での本店移転登記分(3万円)がそれぞれ発生します。

実際の申請手続きでは、旧管轄の法務局を経由して新管轄の法務局へも同時に申請を行う「経由申請」という仕組みをとります。申請書も旧管轄用と新管轄用の2通を作成し、それぞれに3万円分ずつ収入印紙を貼付して旧管轄の法務局へまとめて提出します。

移転の区分 法務局の管轄 登録免許税 申請書の提出先
管轄内移転 変わらない 3万円 現在の管轄法務局(1通)
管轄外移転 変わる 6万円(3万+3万) 現在の管轄法務局(2通まとめて)

登録免許税以外にかかる諸費用

本店移転の手続きでは、登録免許税以外にもいくつかの実費や専門家報酬が発生します。予算を組む際は、以下の費用も想定しておきましょう。

  • 登記簿謄本(履歴事項全部証明書)の取得費用
  • 印鑑証明書の再取得費用(管轄外移転の場合)
  • 司法書士などの専門家に依頼する場合の報酬

まず、移転登記が完了した後に、新しい住所が反映された「登記簿謄本(履歴事項全部証明書)」を取得する必要があります。これは、税務署や年金事務所、銀行口座の住所変更手続きなどで提出を求められるためです。取得費用は、法務局の窓口で請求する場合は1通600円、オンライン請求・郵送受取の場合は1通500円です。

次に、管轄外移転を行った場合は、法務局が変わるため会社の代表者印(法人実印)を新しい法務局へ再度届け出る必要があります。これに伴い、新しい印鑑カードの発行手続きや、印鑑証明書の取得費用(窓口で1通450円)が発生します。管轄内移転であれば、印鑑届出は引き継がれるため再提出は不要です。

最後に、登記手続きを司法書士に依頼する場合の報酬です。本店移転登記の司法書士報酬の相場は、管轄内移転で3万〜5万円程度、管轄外移転で4万〜7万円程度が一般的です。

本店移転登記は、移転日から2週間以内に行う法的な義務があります。期限を過ぎると「過料」という制裁金を科されるリスクがあるため、迅速な対応が求められます。

ご自身で手続きを行うことも可能ですが、定款変更を伴う株主総会議事録の作成や、複雑な管轄外移転の申請書作成には専門的な知識が必要です。確実かつスムーズに手続きを完了させるためにも、最終的な判断や実務の代行については、司法書士などの専門家へ相談することをおすすめします。

本店移転における管轄内・管轄外の費用比較表

法務局へ登記申請する際の流れと必要書類

社内での移転決議が完了し、必要書類が揃ったら、いよいよ法務局へ登記申請を行います。本店移転 登記 手続きにおいて、申請期限は移転日から2週間以内と会社法で定められています。

期限を過ぎてしまうと、代表者個人に対して過料(罰金に相当するもの)が科されるリスクがあるため、速やかに手続きを進めることが重要です。

登記申請の方法には、従来の書面による提出と、インターネットを利用したオンライン申請の2種類があります。自社の状況に合わせて最適な方法を選択しましょう。

本店移転登記に必要な書類一覧

本店移転の登記申請に必要な書類は、移転先が現在の法務局の「管轄内」か「管轄外」か、また定款変更を伴うかどうかによって異なります。基本となる必要書類は以下の通りです。

  • 本店移転登記申請書(管轄外の場合は新旧2つの法務局宛てに作成)
  • 株主総会議事録および株主リスト(定款変更を伴う場合)
  • 取締役会議事録または取締役の決定書
  • 印鑑届書(管轄外移転で、新管轄法務局に新たに会社実印を登録する場合)

1. 本店移転登記申請書
登記申請のベースとなる書類です。管轄内移転の場合は1通で足りますが、管轄外移転の場合は、旧管轄法務局と新管轄法務局のそれぞれに向けた申請内容を作成する必要があります(実務上は1つの申請書にまとめて旧管轄法務局へ提出します)。

2. 株主総会議事録および株主リスト
現在の定款に記載されている最小行政区画(例:「東京都港区」など)の外へ移転する場合は、定款変更のための株主総会の特別決議が必要です。その決議内容を証明する議事録と、株主リストを添付します。

3. 取締役会議事録または取締役の決定書
具体的な移転先の住所(番地やビル名など)および移転日を決定したことを証明する書類です。取締役会設置会社の場合は取締役会議事録、それ以外の場合は取締役の過半数の一致を証する決定書を作成します。

4. 印鑑届書
管轄外へ移転する場合、これまでの法務局に登録していた会社実印のデータは新管轄へ自動的には引き継がれません。そのため、新管轄の法務局に対して改めて印鑑届書を提出し、会社実印を登録し直す必要があります。

移転先の住所がどの法務局の管轄になるかは、事前に法務局の公式サイトで確認しておきましょう。
参考:管轄のご案内(法務局)

登記申請の具体的な方法

必要書類が完成したら、登録免許税分の収入印紙を貼付し、管轄の法務局へ提出します。登録免許税は管轄内移転なら3万円、管轄外移転なら6万円(旧管轄分3万円+新管轄分3万円)です。

申請方法には、主に以下の3つの手段があります。それぞれの特徴を理解し、自社に合った方法を選びましょう。

申請方法 特徴とメリット 注意点・デメリット
1. 窓口へ直接提出 その場で書類の不足がないか確認できる。法務局の事前相談を利用すれば安心。 平日の受付時間内に法務局へ足を運ぶ手間と時間がかかる。
2. 郵送による申請 法務局へ行く手間が省ける。遠方への移転時や多忙な経営者に向いている。 書類の不備があった場合、法務局へ出向いて補正するか再提出が必要になる。
3. オンライン申請 オフィスや自宅から24時間いつでも申請データの送信が可能。 専用ソフトの設定や電子署名(マイナンバーカード等)の事前準備が必要。

1. 法務局の窓口へ直接提出する方法
現在の本店所在地を管轄する法務局(管轄外移転の場合も旧管轄の法務局)の窓口へ持参します。窓口では形式的なチェックのみが行われますが、確実を期す場合は事前の登記手続案内(要予約)を活用するのがおすすめです。

2. 郵送による申請方法
書類一式を管轄の法務局へ郵送します。郵送中の紛失を防ぐため、簡易書留やレターパックプラスなど、追跡可能で対面受け取りとなる発送方法を選ぶのが鉄則です。封筒の表面には「登記申請書在中」と朱書きしましょう。

3. オンラインでの申請方法
法務省が提供する「登記・供託オンライン申請システム」を利用する方法です。代表者の電子証明書をお持ちであれば、書面への押印や法務局への移動を省くことができます。ただし、印鑑届書などの一部書類は別途郵送や持参が必要になるケースがあります。

本店移転の登記申請は移転日から2週間以内に行う法的義務があり、遅れると代表者個人に過料が科される恐れがあります。

手続きに不安がある場合や、日常業務で忙しく時間が取れない場合は、無理をせずに登記の専門家である司法書士へ手続きの代行を依頼することも検討してください。正確かつ迅速に手続きを完了させることができます。

登記完了後に必要な事後届出(税務署・社会保険・労働保険など)

法務局での本店移転 登記 手続きが無事に完了し、新しい住所が記載された登記事項証明書(登記簿謄本)が取得できるようになったら、速やかに各関係機関へ住所変更の届出を行う必要があります。

登記が終わったからといってすべての移転作業が完了するわけではなく、税金や社会保険、労働保険に関する重要な手続きが残されています。

届出先によって提出期限や必要書類が異なるため、事前にスケジュールを把握して漏れなく対応することが大切です。

税務署・自治体(税金関係)

法人の住所が変わった場合、国税を管轄する税務署と、地方税を管轄する都道府県税事務所および市区町村役場のそれぞれに届出が必要です。

まず、管轄の税務署に対して「異動届出書」を提出します。また、役員報酬や従業員の給与を支払っている場合は、「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」の提出も必要になるケースがあります。

地方税についても同様に、移転前の管轄自治体と移転後の管轄自治体の双方(または一方)へ「異動届出書」を提出します。自治体によって指定のフォーマットや添付書類(新しい登記事項証明書のコピーなど)が異なるため、事前に各自治体のWebサイト等で確認しましょう。

提出先 主な提出書類 提出期限の目安
税務署 異動届出書
給与支払事務所等の移転届出書
異動の日から速やかに
都道府県税事務所 事業年度・納税地その他の変更異動届出書 移転後10日〜1ヶ月以内など
市区町村役場 法人の設立・異動等申告書 自治体の条例により異なる

国税に関する手続きの詳細は、国税庁の異動届出書ページをご参照ください。最終的な判断や書類作成に不安がある場合は、顧問税理士への相談をおすすめします。

年金事務所(社会保険関係)

会社として健康保険や厚生年金保険に加入している場合、管轄の年金事務所へ「適用事業所所在地名称変更(訂正)届」を提出します。

移転先がこれまでの年金事務所の管轄内であるか、管轄外であるかによって手続きの宛先が変わる場合がありますが、現在は移転前・移転後のどちらの管轄年金事務所でも受け付けてもらえるケースが増えています。

ここで特に注意したいのが提出期限です。社会保険の所在地変更届は、事実発生から(移転日から)5日以内という非常に短い期限が設定されています。

登記手続きに時間がかかり、登記事項証明書の取得が間に合わない場合は、賃貸借契約書のコピーなどを添付して仮提出が認められることもあるため、管轄の日本年金機構(年金事務所)へ早めに相談することをおすすめします。

労働基準監督署・ハローワーク(労働保険・雇用保険関係)

従業員(アルバイトやパートを含む)を1名でも雇用しており、労働保険(労災保険・雇用保険)に加入している場合は、労働基準監督署とハローワークへの届出も必須となります。

まず、移転の翌日から10日以内に、労働基準監督署へ「労働保険名称、所在地等変更届」を提出します。この際、新しい登記事項証明書や賃貸借契約書の写しなどが求められることがあります。

その後、同じく移転の翌日から10日以内に、ハローワークへ「雇用保険事業主事業所各種変更届」を提出します。ハローワークでの手続きには、労働基準監督署の受付印が押された変更届の控えが必要になることが多いため、必ず労働基準監督署から先に手続きを進めてください。

なお、従業員を雇用しておらず、社長一人の会社(役員のみ)であれば、これらの労働保険・雇用保険関係の手続きは不要です。

その他のインフラや取引先への変更連絡

公的機関への届出と並行して、民間のサービスや取引先に対する住所変更の手続きも忘れずに行いましょう。

銀行口座やクレジットカードの住所変更が遅れると、重要な郵便物が届かなくなったり、本人確認の不一致により一時的に利用制限がかかったりする恐れがあります。

  • 銀行口座・法人口座の住所変更(新しい登記事項証明書が必要な場合あり)
  • 法人用クレジットカードの住所変更手続き
  • 法人携帯、インターネット回線、固定電話の移転手続き
  • 郵便局への転居届(郵便物の転送設定)
  • 取引先・顧客への移転挨拶状の送付やメールによる案内
  • 自社Webサイト、パンフレット、名刺の会社概要(所在地)の更新

このように、本店移転 登記 手続きの完了後も多岐にわたる事後処理が発生します。各機関への届出は期限が短いものもあるため、移転前からスケジュールを立てておくことが重要です。

税務や労務に関する具体的な書類作成や判断に迷った場合は、自己判断を避け、税理士や社会保険労務士などの専門家に相談しながら確実に対応を進めてください。

本店移転後の事後届出先と提出期限の一覧表

本店移転登記の手続きをスムーズに進めるための注意点

会社の本店移転は、オフィスの物理的な引越し作業と並行して各種手続きを行うため、経営者や担当者にとって非常に多忙な時期となります。

内装工事や荷物の移動、取引先への案内などに追われる中で、法的な手続きが後回しになってしまうケースも少なくありません。

手続きの遅れや漏れは、後々のトラブルや過料(罰金のようなもの)の対象となる可能性があるため、計画的な進行が求められます。ここでは、本店移転 登記 手続きをスムーズに進めるための重要な注意点をご紹介します。

スケジュール管理の徹底と期限の把握

本店移転に伴う手続きには、それぞれ厳格な提出期限が設けられています。特に注意すべきは、登記申請の期限と、社会保険関係の届出期限です。

まず、法務局への本店移転登記の申請は、移転日から2週間以内に行う義務があります。これを過ぎると、代表者に対して過料が科されるリスクがあるため注意が必要です。

さらに盲点になりやすいのが、年金事務所への届出です。社会保険の「適用事業所名称/所在地変更届」は、事実発生から5日以内に提出しなければなりません。登記が完了する前に期限が来てしまうことも多いため、事前の準備が不可欠です。

従業員を雇用している場合は、労働基準監督署やハローワークへの届出も必要になります。以下の表に主な手続きの期限をまとめましたので、スケジュール管理にお役立てください。

提出先 手続き内容 提出期限の目安
法務局 本店移転登記申請 移転日から2週間以内
年金事務所 適用事業所所在地変更届 移転日から5日以内
税務署 異動届出書 異動後速やかに
労働基準監督署 所在地等変更届(労働保険) 移転日の翌日から10日以内
ハローワーク 事業所各種変更届(雇用保険) 移転日の翌日から10日以内

※各手続きの詳細や最新の様式については、日本年金機構の公式サイトや、管轄の行政機関にてご確認ください。

郵便物の転送手続き(郵便局への転居届)を忘れずに

登記や役所への届出に気を取られ、意外と忘れがちなのが郵便局への転居届(転送手続き)です。

本店移転後、旧住所宛てに届いた重要な郵便物が新住所に届かないと、取引先との連絡遅延や、行政からの重要なお知らせを見落とす原因になります。

郵便局の転居届は、窓口のほかインターネットでも手続きが可能です。転送開始までに数日〜1週間程度かかることがあるため、引越し日が決まったら早めに手続きを済ませておきましょう。

法人の転居届を窓口で提出する際は、来店者の本人確認書類に加え、社員証や各種健康保険証など、法人との関係が分かる書類の提示が求められます。

専門家への依頼やオンラインツールの活用を検討する

本店移転に関する書類作成や法務局への申請は、自社で行うことも可能ですが、定款変更の要否確認や株主総会議事録の作成など、専門的な知識が求められる場面も多々あります。

特に、管轄外移転の場合は旧管轄と新管轄の両方に向けた書類準備が必要となり、手続きが複雑化します。自社での対応が難しいと感じた場合や、本業に専念したい場合は、無理をせずに司法書士などの専門家へ依頼することを強くおすすめします。

また、最近ではオンラインで登記書類を自動作成できるツールも普及しています。費用を抑えつつ正確な書類を作成したい場合は、こうしたサービスの活用も一つの選択肢です。ただし、最終的な法務・税務の判断については、税理士や司法書士に直接相談して進めることが最も安全で確実な方法です。

スムーズに手続きを進めるための最終確認として、以下のチェックリストをご活用ください。

  • 定款の記載内容を確認し、定款変更手続きの要否を判断したか
  • 移転先が管轄内か管轄外かを確認し、必要な登録免許税(3万円または6万円)を把握したか
  • 株主総会や取締役会を開催し、必要な議事録・決定書を作成したか
  • 移転日から2週間以内に法務局へ登記申請を行うスケジュールを組んでいるか
  • 年金事務所(5日以内)など、登記完了前後に必要な各機関への届出準備ができているか
  • 郵便局への転居届(転送手続き)を完了しているか

本店移転は会社にとって新たなスタートとなる重要なイベントです。事前の段取りを徹底し、スムーズな移転を実現しましょう。

まとめ:期限を守って確実な本店移転手続きを

会社設立後にオフィスを移転したり、自宅兼オフィスから新しいテナントへ引っ越したりした場合、単なる荷物の移動だけでは手続きは完了しません。法人の住所である「本店所在地」は登記簿謄本(履歴事項全部証明書)に記載される重要な情報であり、移転後には速やかに法的な手続きを行う義務があります。

ここでは、これまでに解説してきた本店移転の登記や各種手続きに関する重要ポイントを改めておさらいします。手続きの全体像を把握し、期限遅れや提出漏れを防ぐための最終確認としてお役立てください。

移転日から「2週間以内」の登記申請が必須

法人の本店移転を行った際、最も注意すべきなのが法務局への登記申請期限です。会社法により、本店の移転日から「2週間以内」に管轄の法務局へ本店移転登記の申請を行うことが義務付けられています。

もしこの期限を過ぎてしまうと「登記懈怠(とうきけたい)」となり、代表者個人に対して過料(罰金のようなもの)が科されるリスクがあるため、十分な注意が必要です。

また、登記申請の前には社内での決議手続きも欠かせません。定款に記載されている「最小行政区画(例:東京都港区など)」の範囲外へ移転する場合は、株主総会の特別決議による定款変更が必要です。具体的な移転先住所や移転日については、取締役会(取締役会非設置会社の場合は取締役の過半数の一致)で決定し、それぞれの議事録や決定書を作成したうえで、申請書に添付して法務局へ提出します。

管轄内と管轄外で異なる費用(登録免許税)

本店移転の登記手続きでは、移転先が現在の法務局の「管轄内」か「管轄外」かによって、納付する登録免許税(費用)が大きく異なります。事前にどちらに該当するかを確認し、必要な印紙代を準備しておきましょう。

管轄内移転の場合は、移転前後で管轄する法務局が変わらないため、登録免許税は3万円となります。一方、管轄外移転の場合は、旧管轄の法務局と新管轄の法務局の両方で手続きを行う扱いとなるため、それぞれに3万円ずつ、合計6万円の登録免許税が必要です。

移転の区分 条件 登録免許税(費用) 手続きの特徴
管轄内移転 移転前後で管轄する法務局が同じ 3万円 現在の管轄法務局へ1件の申請を行うのみ
管轄外移転 移転前後で管轄する法務局が変わる 6万円(3万円×2) 旧管轄経由で新管轄へも申請(実務上は一括提出)

登記完了後の事後届出も漏れなく対応を

法務局での登記が完了したからといって、すべての手続きが終わるわけではありません。法人の住所が変更されたことを、税務関連や社会保険関連の各行政機関へ速やかに届け出る必要があります。

特に注意したいのが、各機関によって提出期限が異なる点です。例えば、税務署への「異動届出書」は異動後速やかに提出する必要がありますが、年金事務所への「適用事業所所在地名称変更(訂正)届」は、事実発生から5日以内という非常に短い期限が設定されています。

従業員を雇用している場合は、労働基準監督署やハローワークへの届出も必要になるため、事前のスケジュール管理が欠かせません。

  • 税務署・都道府県税事務所・市区町村役場への「異動届出書」の提出
  • 年金事務所への「適用事業所所在地名称変更届」の提出(移転から5日以内)
  • 労働基準監督署への「労働保険名称、所在地等変更届」の提出(移転の翌日から10日以内)
  • ハローワークへの「雇用保険事業主事業所各種変更届」の提出(移転の翌日から10日以内)
  • 金融機関、クレジットカード会社、各種許認可の管轄行政庁への住所変更手続き

計画的なスケジュールと専門家の活用

本店移転の手続きは、社内決議から始まり、法務局への登記申請、そして各行政機関への事後届出と、多岐にわたる業務を短期間でこなす必要があります。通常の事業運営と並行してこれらの手続きを行うことは、経営者や担当者にとって大きな負担となるでしょう。

手続きの遅れや不備は、過料のリスクだけでなく、金融機関からの融資審査や取引先との契約更新に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、移転計画が立ち上がった段階で、必要な手続きと期限をリストアップし、余裕を持ったスケジュールを組むことが重要です。

法人の本店移転は、法務・税務・労務の各分野にまたがる複雑な手続きです。自社のみでの対応に不安がある場合や、本業に集中したい場合は、司法書士や税理士、社会保険労務士などの専門家に相談することを強くおすすめします。

近年では、オンラインで登記書類を自動作成できる便利なサービスも登場していますが、自社の状況に合わせた正確な判断が求められる場面も多々あります。最終的な判断や個別具体的な手続きについては、信頼できる専門家のアドバイスを仰ぎながら、確実な本店移転手続きを進めてください。

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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

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