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起業・開業
居酒屋を開業する方法とは?開業に必要な費用や資格についても徹底解説

読了目安時間:約 8分
居酒屋を開業するには、適切なステップを踏みながら、計画的に準備を進めることが欠かせません。
また、開業に関する知識や手続きなどについて把握しておくことで、開業の成功につながります。
本記事では、居酒屋を開業する方法について紹介します。
他にも「居酒屋の開業に必要な費用・資格」や「居酒屋開業を成功させるポイント」についても解説します。
ぜひこの記事を参考にして、居酒屋を開業する方法について理解を深めてみてください。
目次
居酒屋を開業する手順

居酒屋を開業する主な手順は、以下のとおりです。
- 居酒屋のコンセプトを決める
- 創業計画書を作成する
- 資金調達を行う
- 物件探し
- 内外装工事の実施
- 必要な機器や備品を揃える
- 各種届出や手続き
- 集客や販促
- スタッフの教育
- 開店
それぞれの手順について解説していきます。
居酒屋のコンセプトを決める
居酒屋を開業する際には、お客さんに「また来たい」と思わせる明確なコンセプトが重要です。
実際に、資金があればスタートはできますが、継続的に売上を伸ばしていくには、店舗の核となるコンセプト作りが大切です。
具体的に、コンセプトを形にするためには、以下の「5W2H」のフレームワークを活用するのが有効です。
- いつ(When):営業日や営業時間をどう設定するか
- どこで(Where):開業する地域や立地の選定
- 誰に(Who):ターゲットとするお客様はどのような層か
- なにを(What):提供するメニューやドリンクの内容
- なぜ(Why):お店を始める動機やその背景
- どのように(How):サービスや接客のスタイル
- いくらで(How much):商品やサービスの価格帯
これらの視点をもとに構想を練ることで、店舗運営の方針が明確になり、開業準備や運営中の判断にも一貫性が生まれることにもつながります。
創業計画書を作成する
次に、初期費用や運営にかかる資金を十分に準備するために、創業計画書の作成が欠かせません。
店舗のコンセプトや規模によって必要となる金額は大きく異なるので、事前に詳細な予算計画を立てなければ、予想外の出費により資金不足に陥るリスクがあるのも事実です。
資金不足にならないためにも、開業前に綿密な資金計画を策定し、余裕を持った資金繰りを行うようにしましょう。
資金調達を行う
居酒屋の開業を実現するためには、開業資金の確保が欠かせないので、いくつかの資金調達の方法を知っておくことが大切です。
それぞれの資金調達には長所と短所があるので、自身の状況に最も合った手段を選ぶことが重要です。
具体的な資金調達方法は、以下が挙げられます。
資金調達方法 | 内容 |
自己資金による開業 | ・貯金など、個人で蓄えた資金を使うもっともシンプルな資金調達方法 ・返済の義務がないという点では資金繰りの負担が軽くなる ・事業がうまくいかなかった際に自己資金が減少するリスクがある |
金融機関からの借入 | ・しっかりとした事業計画書の提出が必要 ・信頼性の高い計画を提示することで、融資を受けやすくなる |
クラウドファンディングの活用 | ・ネットを通じて多くの支援者から少額ずつ出資を募る方法 ・成功には明確なストーリーや魅力的な内容発信が必要 ・出資型・購入型など方式によっては、法律上の制限や届出が必要な場合もある |
エンジェル投資家の協力 | ・ビジネスに関心のある投資家に出資を仰ぐ方法 ・将来的な利益に期待してもらえるような魅力的なビジネスモデルの構築が重要 |
上記のように、自分自身に合った資金調達方法を選ぶようにしましょう。
物件探し
コンセプトに合った出店場所や物件の選定も重要です。
例えば、安価で回転率の高いタイプの居酒屋を目指すなら、駅の近くや人通りの多い幹線道路沿いなど、アクセスの良いエリアが理想です。
一方、料理の質や雰囲気にこだわった高級志向の居酒屋の場合、多少立地条件が劣っていても、宣伝やサービスで補えば成功の可能性を高めることができます。
また、候補地の周辺に競合する居酒屋がどれだけあるかを事前に調べておくことも重要です。
さらに、近くに企業のオフィス、大学、住宅マンションがあるかなど、見込み客となる層の存在もリサーチしておくことをおすすめします。
内外装工事の実施
次に、居酒屋の魅力を高めるために、内装工事を行います。
実際に、印象的なデザインは、店の雰囲気づくりに直結し、再来店の動機にもなり得ます。そのため、内装工事は単なる装飾作業ではなく、店舗経営において極めて重要な要素となります。
具体的な内外装工事の手順は以下のとおりです。
- デザインの方向性を固める
- 信頼できる施工パートナーの選択
- 工事中のチェック体制
- 完成後の最終確認
工事が終わったら、店内をしっかりチェックし、問題があれば施工業者に速やかに修正を依頼しましょう。
必要な機器や備品を揃える
新店舗のオープンに向けた準備は、少なくとも開店の3か月前から必要な機器や備品の購入を始めるのが理想的です。
厨房機器や店舗什器の選定においては、配置の工夫が不可欠です。
特に厨房スペースのレイアウトは一度決めると変更が難しいので、作業効率や動線をよく考慮しながら慎重にシミュレーションし、最適な配置を見極めるようにしましょう。
また、施工完了時には、水道まわりや空調、厨房機器、照明のスイッチ類などすべての設備が正常に機能するかをチェックすることが大切です。
各種届出や手続き
飲食店の開業に向けては、店舗のオープン約2か月前から各種申請や届出の準備を始めるのが一般的です。
保健所や消防署、税務署など関係機関への手続きは必須で、事前のスケジュール管理が円滑に開業することにつながります。
スムーズに手続きを進めるためには、保健所や消防署、内装業者などと早めに連携することが重要です。
必要な情報や条件を事前に確認し、準備に抜かりがないようにしましょう。
集客や販促
居酒屋業界は競争が激しく、利益率の確保が難しい業種であるため、独自性のある店舗づくりや効果的な集客が求められます。着実に売上を伸ばす方法のひとつとして、店舗の知名度を向上させるための効果的な集客戦略があります。
集客には、Webを活用したデジタル施策と、地域に直接アプローチする紙媒体などのアナログ施策があり、主な集客方法については、以下が挙げられます。
- 公式サイトの開設
- グルメ情報サイトへの情報掲載
- Googleビジネスプロフィールへの登録
- メディアへの露出を狙ったプレスリリースの活用
- リスティング広告の実施
- InstagramなどSNSを通じた写真や情報の発信
- 地域密着の宣伝としてチラシの配布や新聞折込の利用
ターゲット層に応じて最適な手法を選び、店舗の魅力をより多くの人に伝えることがポイントです。
スタッフの教育
開業の1か月前ごろから、スタッフの採用や研修準備を本格化させるのが一般的です。
タッフ採用は、応募時期が早すぎても空白期間によるコスト増加リスクがあるため、適切な採用時期の調整が重要です。正社員を採用する場合、応募者が現職中であることも考慮し、退職までの調整期間を見込んで、少なくとも3か月前から募集を始めるのが望ましいです。
その際には、求人情報に「勤務開始予定日」を明記しておくと、応募者との認識を合わせることにつながります。
そして採用の際には、労働条件通知書の交付や雇用契約の締結、労働時間管理など、労務管理上の基本的な対応が必要になります。特に従業員を雇用する場合は、社労士や税理士と連携し、法的な不備がないように注意しましょう。
開店
開店は、経営のスタートラインにすぎません。
これから本格的に、自らの店を繁盛させ、さらに成長させるために工夫が必要になります。
開業直後は、オーナー自らがすべての責任を担う立場になるので、無理を重ねて健康を損なうことのないよう、心身のバランスに配慮しながら事業を進めていくことが重要です。
また、飲食業が難しい理由として以下の要素が挙げられますが、これらをしっかり管理することで成功の可能性を高められます。
- 激しい競争
- 開業時の資金負担
- 品質の維持
集客には創意工夫とトレンドを見極める力が問われます。
さらに、食材の安定調達や優秀なスタッフの確保といった運営上の課題にも、粘り強く対応していく必要があります。
居酒屋の開業に必要な費用

居酒屋の開業に必要な費用については、以下の2つが挙げられます。
- 初期費用
- 運転資金
それぞれの費用について解説していきます。
初期費用
新たに店舗を構える際に必要となる初期投資の多くは、以下が挙げられます。
- 物件取得にかかる費用
- 内外装工事に関わる費用
- 厨房などの設備導入費
物件取得にあたっては初期賃料や保証金(一般的には家賃の6〜10ヶ月分ほど)が必要となりますが、地域や契約形態により異なります。
店舗を新設する場合には、内装を整えるための塗装作業や電気設備の配線、水道関連の整備などが必要となり、その分だけ工事費が高くなりがちです。
一方、前の借主が飲食店だった「居抜き物件」を選べば、既存の設備を引き継いで使える場合が多く、初期の工事費や設備投資を抑えられる可能性があります。ただし、設備の劣化や配管のトラブルが後から判明することもあり、事前にしっかりと設備調査を行うことが重要です。
運転資金
居酒屋をスムーズに運営するには、日々の経費をまかなうための「運転資金」が欠かせません。
運転資金には、次のような支出が含まれます。
- 店舗の賃貸料
- 電気・ガス・水道などの光熱費
- 従業員の給料
- 食材などの仕入れ費用
- 集客のための広告・宣伝活動費
これらの費用は、店の規模やスタッフの人数に応じて変動します。
また、開業してすぐに十分な売上が見込めるとは限らないので、経営が安定するまでの間はこれらのコストを自前でカバーする準備が求められます。
特に開店初期は、売上が少ない中でも固定費の支払いが発生するため、あらかじめ必要な運転資金を見積もっておくようにしましょう。
一般的には、最低でも3〜6ヶ月分の運転資金を確保することが望ましいとされていますが、店舗の規模や立地、営業戦略によって必要資金は異なります。具体的な金額の見積もりには、税理士などの専門家と相談しながら計画を立てましょう。
居酒屋の開業に必要な資格

居酒屋の開業に必要な資格については、以下の3つが挙げられます。
許可・資格名 | 概要・対象業種 | 目安費用 | 備考 |
①食品衛生責任者 | 飲食店・食品販売業に必要な資格 | 10,000円前後 | 地域により異なる。講習受講が必須。 |
②飲食店営業許可 | 飲食店を開業する際に必要な許可 | 16,000円~ | 地域や営業形態による。 |
③防火管理者 | 従業員を含め収容人数30人以上の飲食店に必要 | 7,000円~ | 地域により異なる。 |
以下、詳しく解説します。
資格①:食品衛生責任者
飲食業を営む店舗では、調理や製造、販売において衛生面に十分な配慮が求められるので、各店舗に少なくとも1名は「食品衛生責任者」として衛生管理を担う担当者を配置することが必要です。
食品衛生責任者の資格を取得するには、定められた講習を受講し、必要な知識を習得する必要があります。
しかし、すでに調理師や栄養士の資格を持っている場合には、講習を受けずとも食品衛生責任者として認められます。
参考:食品衛生責任者について|一般社団法人東京都食品衛生協会
資格②:飲食店営業許可
居酒屋を始める際には、まず地域の保健所から「飲食店営業許可」を取得する必要があります。
まずは、保健所に相談を行い、準備段階でのアドバイスを受けるようにしましょう。
一般的には、施設の工事が完了する10日前までに営業許可申請を行うのが目安とされていますが、地域の保健所によっては早めの申請が求められる場合もあるため、事前に相談・確認を行うことが重要です。
その後、保健所職員による施設の検査が行われ、基準を満たしていれば正式に営業許可証が交付されます。
飲食店営業許可を申請する際に必要となる主な書類は、以下のとおりです。
- 営業許可の申請用紙
- 店舗の構造や設備の配置がわかる図面
- 食品衛生責任者の資格を証明できる書類
- 水の安全性を示す水質検査結果(井戸水など、水道水以外を使用する場合)
飲食店営業許可申請の手数料は地域や申請内容により異なりますので、保健所に事前相談することをおすすめします。
参考:営業許可・届出の概要|「食品衛生の窓」東京都保健医療局
資格③:防火管理者
居酒屋などの施設で収容可能な人数が30名を超える場合、法律により防火管理者の配置が義務づけられています。
これは消防法に基づき、防火対象物の管理者が防火管理者を選任し、その者に適切な防火管理を行わせる必要があるというものです。
防火管理者になるには、都道府県知事または消防署長が実施する防火管理講習を受ける必要があります。
施設の延べ床面積が300平方メートル未満であれば、「甲種」または「乙種」の防火管理者講習を選ぶことができますが、300平方メートルを超える場合は「甲種」の講習が必須です。
講習の内容と費用については、乙種の講習は約5時間で1日完結し、受講料はおよそ7,000円です。
一方、甲種の新規講習は約10時間におよび、2日間にわたって実施され、費用は8,000円程度です。
ただし、費用や時間は自治体や年度により異なります。最新の情報は各消防署・都道府県の消防署等でご確認ください。
居酒屋開業を成功させるポイント

居酒屋開業を成功させるポイントについては、以下の2つが挙げられます。
- コンセプトがブレないようにする
- 細かな資金計画を立てる
それぞれのポイントについて解説していきます。
コンセプトがブレないようにする
居酒屋開業を成功させるポイントとして、店舗のコンセプトがブレないようにすることが挙げられます。
実際に、居酒屋を開業する際には、まずその店ならではの明確なテーマを設定することが肝心です。
どのようなお客様に来てほしいのか、どんな料理やお酒を主に提供するのかを丁寧に考えるようにしましょう。
また、今のトレンドや消費者の動向をリサーチすることも、成功への近道となります。
テーマを明確にしたうえで、出店する場所、価格帯、提供スタイルなどを具体的にイメージすることも重要です。
さらに、理想とする店舗が実際に実現可能かどうかを、収益のシミュレーションをしながら見極めるようにしましょう。
細かな資金計画を立てる
開業を成功させるには、しっかりとした資金計画を策定することが欠かせません。
資金の流れを適切に管理できなければ、思わぬ資金不足に陥り、やむを得ず事業を閉じてしまうリスクがあるのも事実です。
十分な資金が確保できていれば、テナントの賃料や店舗の内装、宣伝活動などの出費も可能です。
しかし、資金に限りがある場合には、慎重に優先順位を見極めて支出を抑える必要があります。
また、当初の見積もりを上回る費用が発生するケースも少なくないので、開業後の運営まで見据えて、柔軟かつ現実的な予算計画を立てることが、長期的な安定経営につながります。
入念に準備して居酒屋開業を成功させよう!

今回は、居酒屋を開業する方法を紹介しました。
居酒屋を開業するには、必要な費用や取得すべき資格、各種手続きなどの準備をしっかりと理解しておくことが不可欠です。
また、居酒屋の開業を成功させるには、綿密な計画と準備が欠かせません。
今回の記事を参考にして、入念に準備して居酒屋開業を成功させましょう。
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この記事の監修者

税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。