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歯医者の開業資金の目安とは?調達方法やコスト削減のコツを解説

読了目安時間:約 6分
歯科医師として十分な経験を積んだら独立をしたいと考える方が多いでしょう。しかし、歯医者の開業にあたっては、さまざまな医療機器を導入しなければならず、開業資金はどのくらい必要になるのか不安に思うケースは少なくありません。歯医者を開業する際には、事前に開業資金の目安を把握し、資金調達の方法やコストを削減するコツなどを理解しておくことが重要です。
今回は、歯医者さんの開業資金の目安や資金調達方法などについて分かりやすくご説明します。
目次
歯医者の開業資金の目安
歯医者の開業資金の目安は、開業する歯科医院の規模や導入する医療機器のグレードにもよりますが、一般的には最低でも5,000万円が必要になるとされています。開業資金を内訳ごとに細かく解説します。

医療機器の導入資金は2,000万円~3,500万程度
歯科医院を開業する際には、診療ユニット、バキュームシステム、レントゲン、オートクレーブなどの機器が必要です。また、矯正治療やインプラントに対応する場合などは、歯科用CTや口腔内スキャナーなどの機器も必要になるでしょう。
導入する診療ユニットの数によって診療できる患者さんの数は変わります。診療ユニットを増やせば、診療できる患者さんの数は増えるため、開業後の売上も高められる可能性がありますが、その場合、ユニットの導入費用だけでなく、雇用するスタッフ数も増やさなければなりません。また、ユニットを設置できる十分なスペースも必要となるため、人件費や家賃などがアップする可能性もあるでしょう。
高いグレードの設備を導入すれば、質の高い治療を提供できる可能性が高まりますが、その分、開業資金の負担も大きくなります。歯医者の開業資金の中で、医療機器にかかるコストはもっとも大きなものとなるため、開業時には医療機器の導入にかける費用をある程度定めておくことが大切です。
賃貸契約費用・内外装工事費用は2,000万円~3,000万円
歯医者を開業するにあたっては、医院を開く場所を用意しなければなりません。テナントの賃貸料には、地域によって大きな差があります。そのため、都市部と地方を比較すると、都市部の方がテナント料は高くなり、さらに都市部でも駅から近い場所や商業施設の中などはより高いテナント料になるでしょう。
集患にあたっては患者さんが通いやすい立地であることが重要です。テナントを選ぶ際には、どのような患者さんをターゲットにするかを見極め、医院の運営方針に合った場所を選定するようにしましょう。ここでは、テナントを借りることを前提としますが、建物を新築する場合などはさらに高額な費用が必要です。
また、開業にあたっては、内装や外装も整える必要があります。歯医者を開業する場合、診療ユニットなどに接続する給水管や排水管を床に埋めるため、床上げ工事が必要となり、その分、他の業種に比べると内装工事は高額になりやすいといえます。
賃貸契約費用と内外装工事費用は、地域や広さによって大きな差が生じやすいものの、2,000万円~3,000万円程度が目安となります。
広告宣伝費用・求人費用は150万円~200万円
歯医者として開業しても、宣伝を行わなければ集客することはできません。ホームページの開設や看板の設置、チラシの配布、インターネット広告の掲載、リーフレット作成など、広告宣伝にも予算を分配する必要があります。
また、歯科衛生士や歯科助手、受付など、スタッフの採用も開業準備には必要です。求人サイトの掲載料や転職エージェントの手数料など、人材の採用にも費用がかかります。
当面の運転資金として1,000万円程度の準備が必要
歯医者を開業しても、すぐに患者さんが集まってくれるわけではありません。歯科医院の存在が地域に浸透し、口コミなどで評判が広がるまでは、予約の枠がなかなか埋まらない可能性もあります。患者さんが来なければ、収益を上げることはできませんが、それでもテナント料や光熱費、人件費、光熱費、材料費などの支出は発生します。そのため、開業時には診療が軌道にのるまでの数ヶ月分の運転資金として、少なくとも1,000万円程度を準備しておいた方がよいでしょう。
歯医者の開業資金の調達方法とは
歯医者さんが歯科医院を開業する場合、多額の開業資金が必要になることをご説明してきました。では、歯医者を開業する際、歯科医師の方々はどのように開業資金を調達しているのでしょうか。
歯医者開業時の自己資金の目安
歯医者を開業する際には、5,000万円以上の開業資金が必要になるといわれています。しかしながら、全額を自己資金で準備しなければならないわけではありません。勤務医として働きながら5,000万円の自己資金を貯めるとなると、時間がかかってしまう恐れもあります。そのため、多くの歯科医師は、開業時に銀行からの融資を活用しています。とはいえ、自己資金が全くない状態では、開業への本気度も疑われ、融資を受けられない可能性があります。そのため、5,000万円の開業資金の20%にあたる、1,000万円程度を目安に自己資金を準備するとよいでしょう。
しかし、1,000万円の自己資金がなければ開業できないわけではありません。自己資金が少ない場合でも融資を受けられる事例はあります。開業するエリアや最初に導入する設備などを見極め、開業資金を低く抑えれば、より少ない自己資金でも開業はできるのです。
金融機関からの融資の活用
多くの歯医者さんは、開業資金を調達する手段として金融機関からの融資を活用しています。銀行や信用金庫などに融資を申請する事例も多いですが、日本政策金融公庫を活用しているケースもあります。
金融機関から融資を受ける際には、審査に通過する必要があり、審査にあたっては事業計画書の提出が必要です。事業計画とは、創業の目的や提供する事業の内容、必要な資金とその内訳、売上や支出などの事業の見通しなど、事業の目的を明らかに示す書類のことです。
融資とは、お金を貸し出すことであり、返済の見込みが少ない人に対して金融機関が融資を行うことはありません。事業計画書の内容に基づき、十分に収益が見込まれる場合に融資が実行されることとなります。
したがって、いかに収益化の実現見込みが高い事業計画書を作成できるかが、融資調達の大きなポイントになるといえます。
国や自治体の補助金・助成金の活用
国や自治体では、事業主に対し、さまざまな補助金や助成金を用意しています。例えば、IT導入補助金は、デジタル化やDXに向けたITツールの導入を支援する中法企業庁の補助金です。また、各自治体でも創業期に利用できる補助金や助成金を用意している場合があるため、開業予定のエリアの情報をチェックしておくとよいでしょう。
ただし、補助金や助成金には審査があったり、一定の要件を満たす必要があるなど、申請したからといって必ず受給できるわけではない点に注意しなければなりません。また、受給できる場合でも支給されるまでには時間がかかる点も理解しておきましょう。
歯医者の開業資金の節約につながるポイント
独立し、理想の環境で理想の歯科医療を提供するためには開業資金の調達が必要です。しかし、多くの開業資金が必要になればなるほど融資の審査は厳しくなり、求められる自己資金の額も増加します。さらに、借入金額が多くなれば、歯医者をオープンさせた後の資金繰りにも影響を与えるでしょう。そのため、開業後の安定経営を目指すうえでも開業資金を極力抑えることは非常に重要になります。
歯医者の開業資金を抑えるうえで大切なポイントをご紹介します。

明確な事業計画を立てる
歯医者として事業を安定させるためには、何より明確な事業計画を立てることが大切です。新たに自分の歯科医院を作ろうとすれば、内装にもこだわった空間で、最新の設備を導入したいと思うかもしれません。しかし、全ての医療機器を一度に揃え、理想の内装を実現しようとすると、多額の資金が必要になります。
歯科医院を開業する際には、まずはどのようなコンセプトのもとで医院運営をしたいのかを明確にしたうえで、開業時に提供したい治療の内容やそのために必要となる機器などを見極めることが重要です。
開業時に導入する医療機器を厳選する
歯科医院を開業する際には、診療チェアは必ず必要になるものです。また、衛生管理を維持するためにはオートクレーブも必要でしょう。しかし、レントゲン装置は必要であっても、歯科用CTや口腔内スキャナーまでは開業と同時に揃えなくても問題なく診療が行える場合もあります。開業資金を抑えるためには、開業時に揃える医療機器を的確に選別することが重要です。開業当初は必要最小限の設備でスタートし、事業が安定し、収益が上がってきたタイミングで追加の機器の導入を検討した方がよいでしょう。
医療機器はリースを検討した方がよい場合も
医療機器を購入すると高額な費用がかかります。そのため、開業資金を抑えたいときには、購入ではなくリースという選択肢を検討してもよいでしょう。リースの場合、月々のリース料が発生しますが、開業時にまとまった額の資金を用意する必要がありません。
一方で、医療機器を購入すれば、開業資金がかさむものの、法定耐用年数に応じて減価償却ができるため、耐用年数の間は分割して経費計上ができるため節税効果を得られます。したがって、高額な医療機器はリースの方がよいのか、購入した方がよいのかは状況によって変わってくるのです。しかし、自己資金として用意できる額に余裕がない場合やできるだけ融資額を抑えたい場合などは、リースの利用も検討した方がよいでしょう。
ターゲットに合わせた立地選びをする
どこに歯科医院を開業するかによってテナント料は大きく変わってきます。駅から近い場所や駅ビルの中、大型商業施設の中などは、多くの人が集まる場所であり、利便性が高いことから患者さんを多く集客できるかもしれません。しかし、利便性の高いエリアは賃料も高くなります。
審美歯科を中心とした学生や若い世代を対象とした歯科医院を開業する場合は、駅前などの立地が適しています。しかし、患者さんの生活導線を考えたときには、駅前などの賃料が高い場所に開業しなくても、十分に集客できる場合があります。例えば、家族で通えるような、地域に根差した歯科医院を目指す場合は、駅前よりも住宅地にあるスーパーの近くなどに開業した方が集客しやすいといえます。また、小児歯科を中心としたい場合も、駅前よりも住宅地が適しているでしょう。開業にあたっては、ターゲットとなる層に合わせたエリアの選定が大切です。
開業エリアの選定時は市場調査も忘れずに
ターゲットに合ったエリアを選ぶ場合であっても、ライバルとなる歯科医院の立地状況や評判なども十分に調査しておく必要があるでしょう。特に、駅前などのテナント料の高いエリアに開業する場合などは、駅の利用者数なども調べる必要があります。テナント料が高くても、十分に集客ができ、収益性が見込める場合であれば問題はないのです。
また、反対に、テナント料が安くても人口が少ないエリアであれば、集患できる数が限られてしまい、収益を上げることはできません。さらには、新しい住宅街であれば小児歯科のニーズは高いものの、古い街の場合、高齢者が多いと考えられ、小児歯科の開業には適していないといえます。開業時には、駅の利用者数や居住者の年齢層などについても市場調査をしっかりと行い、開業後に収益を上げられる立地を選ぶことが重要です。
効率的な広告宣伝法を検討する
医科に患者さんを集客できるかが歯科医院の安定経営に大きく影響します。開業時には、歯科医院がオープンしたことを周囲に広く宣伝する必要があります。看板などの掲出も広告としては有効であるものの、即効性は得られない可能性があり、できるだけ早く集客するためには、ポスティングによるチラシの配布Web広告の活用などを検討すべきです。特に、最近では歯科医院を選ぶ際にWeb検索を利用する人も多く、Web広告については積極的に検討した方がよいでしょう。
まとめ
歯医者の開業資金の目安は、5,000万円が最低ラインになるといわれています。しかしながら、開業したいエリアや開業時に導入したい医療機器によってはより高額な費用が必要です。
開業資金を全額自己資金で用意するケースは少なく、歯医者さんの多くは金融機関からの融資を活用しています。良い条件で融資を受けるためには、収益性を示すことができる精度の高い事業計画書の作成が必要不可欠です。
税理士は、融資の申請にも詳しく、金融機関が納得しやすい事業計画書の作成についてのアドバイスができます。また、歯科医院の安定経営にも役立つ節税についての知識も豊富に保有しています。歯科医院の開業を検討している場合は、開業前に税理士に相談してみることをおすすめします。
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この記事の監修者

税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。