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起業・開業
焼肉屋開業資金をしっかり準備!夢を形にするための税理士の資金アドバイス

読了目安時間:約 7分
焼肉店は根強い需要がある業態の一つですが、初期投資が比較的大きく、運営には専門的な知識と資金管理が求められます。
焼肉屋を繁盛させるためには、初期資金の準備や資金計画が成功のカギを握ります。
本記事では、焼肉屋開業に必要な開業資金や運転資金、その調達方法についてわかりやすく解説していきます。
創業融資の仕組みや、受けるための準備についてもご紹介しますので、ぜひ参考になさってください。
焼肉屋の開業資金について
焼肉屋の規模や立地条件により異なりますが、小規模店舗の場合は概ね1,000万円前後の資金が必要です。一般的な規模別の費用感は以下が目安とされています。
- 小規模の焼肉屋なら1,000万円前後
- 中・大規模の焼肉屋なら4,000万円かかる場合も
それぞれ見ていきましょう。
小規模の焼肉屋なら1,000万円前後
小規模の20坪程度の焼肉屋を想定しているのであれば、800~1,200万円程度の開業資金を検討しましょう。
中・大規模の店舗と金額的に大きな差がありますが、これは物件の規模が小さければ、前家賃や保証金、内装工事費なども比較的安く抑えられることが理由です。
また、店の規模が小さければ人件費も抑えられますので、経営していく上での経費も抑えられます。
中・大規模の焼肉屋なら4,000万円かかる場合も
30坪程度の中規模、50坪程度の大規模な焼肉屋になると、3,000万円前後~場合によっては4,000万円近くかかる場合もあるでしょう。
一般的に店舗の改修費用は広くなるほど坪単価が減少しますが、厨房設備や人件費などは広さに応じた準備が求められます。
席数が多いとそれだけお客様に来ていただかなければいけませんので、集客にも投資が必要になるでしょう。
焼肉屋の開業資金
焼肉屋の開業資金について、細かく想定していきましょう。
- 物件取得費
- 内装工事費
- 厨房設備費
- 資格取得費
- 広告宣伝費
物件取得費
まずは焼肉屋を開店させるための物件を取得しなければいけません。
この物件の規模によって初期費用が左右されるだけでなく、開店後の売上や家賃の支払いにも関係してきます。
だいたい300万円~400万円ほどのイメージとなります。
その物件の家賃により物件取得費は異なりますので、以下を参考になさってください。
項目 | 内容 | 目安相場 |
---|---|---|
敷金 保証金 | 退去時に一部または全額が返金される預け金 | 家賃の 6〜12ヶ月分 |
礼金 | 貸主に支払う費用 | 家賃の 1〜2ヶ月分 |
仲介 手数料 | 不動産業者への手数料 | 家賃の 1ヶ月分 |
前家賃 | 前払いの家賃 | 家賃の 1ヶ月分~ |
契約時 保証料 | 保証会社へ支払う初期費用 | 賃料の 0.5〜1ヶ月分 |
焼肉屋は他の飲食店と違い、各テーブルごとのダクトや換気の強化が必要となります。
立地や広さ、家賃だけでなく、焼肉屋としての条件も考慮しながら適切な物件を探していかなければいけません。
内装工事費
内装工事費や厨房設備費は店舗の状態や仕様によって大きく異なります。坪単価30万~80万円程度を目安とするケースもありますが、現地の状況や工事範囲に応じて見積もりを取得することが重要です。
居抜き物件が見つかれば内装工事費を抑えられるでしょうし、求める店舗の雰囲気によっても工事費用が異なります。
高級感のあるVIPルームや個室を設置した店舗にするのか、最低限の設備を揃えた庶民派の焼肉屋にするのか、求める理想の焼肉屋のビジョンを明確にしておきましょう。
厨房設備費
各テーブルに取り付けるテーブル埋め込み型の無煙ロースターは1台あたり15〜40万円、排気ダクトは200万〜500万円程度かかる場合もあり、規模によって設備費が異なってきます。
元焼肉屋の居抜き物件を探す、中古の業務用厨房機器を活用するなど、節約の方法も考えていくといいでしょう。
店内の居心地の良さはお客様の満足度にも影響しますので、心地よく過ごしていただける店内を演出できるようにしましょう。
資格取得費
焼肉屋を開業するには、「食品衛生責任者」と「防火管理者」の資格が必要になります。
食品衛生責任者は店舗に1名の配置が義務付けられており、有資格者がいなければ開業できません。
防火管理者は甲種と乙種の2種類があり、店舗の広さや収容人数によって該当する場合は有資格者を設置します。
資格 | 取得費用 |
---|---|
食品衛生責任者 | 10,000円~12,000円程度 |
甲種防火管理者 甲種または乙種防火管理者 | 5,000円~8,000円程度 |
参考:食品衛生責任者について|一般社団法人東京都食品衛生協会
広告宣伝費
「駅前に焼肉屋が開店した」「こんなメニューが魅力的」とお客様に伝わるよう、宣伝広告費をかけていく必要があるでしょう。
ターゲット層や集客目標人数、店舗の規模によりますが、開業費の5~10%程度を宣伝広告にするのが一般的です。
やみくもに宣伝すれば良いというわけでなく、どうアプローチをしていくか戦略を練って行いましょう。
宣伝手段 | 目安費用 |
---|---|
ホームページ作成 | 10~30万円 |
SNS運用代行/インフルエンサー起用 | 5万~30万円 |
チラシ制作/ポスティング | 5万~20万円 |
オープン告知の看板/横断幕 | 2万~10万円 |
地域フリーペーパー/ラジオなど | 3万~15万円 |
焼肉屋の運営資金
焼肉屋がオープンした後の運営資金も、開店前に準備をしておかなければいけません。
経営が軌道に乗り、黒字化するまでの資金として3ヶ月~6ヶ月分の運営資金が必要だと考えられます。
- 店舗運営に欠かせない人件費
- 毎月必要な賃貸料
- 食材費
- 継続的な新規客を呼び込む広告宣伝費
- リース代や水道光熱費など
店舗運営に欠かせない人件費
最初はスタッフの研修や教育のために時間もかかります。
店の広さによって必要なスタッフ数は異なりますが、採用募集をしたら必ずすぐにスタッフが集まるというわけではありません。
人件費は売上の20~30%が目安とされていますが、仕込みを覚えてもらうために時間がかかる、研修に時間をかけたいという場合は、さらに想定しておいた方がいいかもしれません。
毎月必要な賃貸料
店舗を借りる場合、賃貸料は必ず毎月必要な経費となります。
焼肉屋は客単価が比較的高いものの、設備投資や運転資金が多いため、黒字化までは一定期間の資金繰りが必要です。
これは、設備費や仕入れの原価が高く、光熱費もかかることが理由として挙げられます。
黒字化までの資金繰りが厳しくなるケースも多く、資金準備の有無が経営継続の大きなポイントとなります。
必ず必要であるとわかっている賃貸料は、余裕をもって準備をしておけると理想的です。
食材費
仕入れコストの管理は、利益を大きく左右します。
焼肉店においては、肉の品質が顧客満足度やリピート率に大きく影響するため、適切な仕入れ先の選定と原価管理が非常に重要です。
一般的に、仕入れ原価率は35~45%ほどが目安になり、売上月商が300万円なら仕入れは105万円~135万円となります。(業態や戦略などによって異なります)
野菜や副菜、豚肉や鶏肉のメニューも考え、メインの焼肉の原価が高くなってもロスを減らしながら上手く利益を出していけるようにしましょう。
継続的な新規客を呼び込む広告宣伝費
開店時の集客だけでなく、その地域で焼肉屋を続けていくのであれば継続的にお客様に足を運んでもらわなければいけません。
食べログやぐるなびの掲載は、無料のプランと費用がかかるプランがあります。
例えばSNSで自然に話題となり拡散されていけば無料ですが、状況によっては継続的に広告宣伝費がかかってきます。
リース代や水道光熱費など
焼肉屋は各テーブルに焼き台があるのでガス代がかかり、強力な排気ファン・ダクトが常に稼働しているので電気代もかかります。
洗い物は油汚れが多いため洗浄のための水が大量に必要になります。
一般的な飲食店よりも水道光熱費がかかり、10坪程度の小規模な焼肉店でも月10万~15万円かかるケースが多いようです。
リース代の支払い等がある場合は、長期的な支払いが必要となりますので注意しましょう。
焼肉屋開業のための創業融資
焼肉屋の開業で創業融資を検討するのであれば、日本政策金融公庫の創業融資を検討する人が多いです。
営業実績が乏しいなどの理由により資金調達が困難な創業時の融資です。
日本政策金融公庫の創業融資は、無担保・無保証人融資で融資制度を利用できるという特徴があります。
融資を受けるには審査がありますので、自己資金や事業計画書などの準備をしておきましょう。
創業融資を受けるための準備
創業融資を受ける、審査を通過するために必要な事柄を理解しておきましょう。
- 自己資金を貯めておく
- 開業資金を正しく把握する
- 月間利益の仮説を立てる
- メニュー作成や仕入れ先の確保
自己資金を貯めておく
創業融資を受けるには、自己資金があるのか、またその金額がいくらなのかが重要になります。
自己資金が全くないと、計画性に欠けると判断されてしまう可能性があります。
自己資金は、創業融資の審査において計画性や事業への真剣度を評価する指標となります。コツコツと蓄積された資金は、資金繰りの安定性を示すうえでも重要です。
高額な融資を希望する場合は、それに見合った自己資金を用意しておくことが望ましいです。
開業資金を正しく把握する
創業融資を受ける際には、開業資金がいくら必要なのか、運転資金がいくら必要なのかを正しく把握していなければいけません。
そのためには実際に店舗はどこにして家賃はいくらなのか、内装工事費はいくらくらいになるのか、といった具体的な数字が必要になります。
実際に店舗を契約していなくても構いませんが、何駅周辺で、どのくらいの広さで…というように具体的なイメージがなければ開業資金が把握できません。
「なんとなくこのくらいの金額」では融資の審査は通りませんので、必要な金額を正しく計算しましょう。
月間利益の仮説を立てる
月間利益の仮説は、単価や座席数、回転数や営業時間などから売上を想定し、そこから経費や原価を引いて計算します。
ビジネスモデルとして成り立っているのか、返済能力があるのかを判断する材料になります。
根拠がある数字で計算した将来の売上見込みは、融資審査の鍵となるはずです。
メニュー作成や仕入れ先の確保
売上見込みを計算するのであれば、メニューや仕入れ先の想定も必要になってきます。
同じ食材を仕入れる場合でも、もちろん仕入れ費用が安ければ利益が高くなります。
できるだけ詳細に事柄を決めておいた方が、創業融資の審査時にも説得力が増すでしょう。
焼肉屋の開業資金に関するよくある質問
焼肉屋の開業資金に関するよくある質問をまとめました。
- 自己資金は親に出してもらってもいいですか?
- 自己資金を高額に装って融資額を増やしてもいいですか?
- 焼肉屋に向かない街はありますか?
自己資金は親に出してもらってもいいですか?
親御さんからの支援を受けて自己資金とすることは可能です。
ただし、それが返済不要の「贈与」であることが前提です。
金融機関は資金の出所や蓄積状況を確認するため、通帳の履歴などから「本当に自己資金かどうか」をチェックします。
一方で、借りたお金や一時的な見せ金は自己資金とは認められません。
資金の出所が不透明な場合、融資審査に悪影響を及ぼす可能性がありますので注意してください。
自己資金を高額に装って融資額を増やしてもいいですか?
一時的な資金移動によって自己資金を多く見せる「見せ金」は、金融機関からの信頼を損なう行為とみなされ、融資審査に悪影響を及ぼす可能性があります。
金融機関を騙す行為であり、公庫や金融機関にとって重大な信用違反となります。
法的な問題につながるおそれもありますので、正直な資金計画を心がけましょう。
焼肉屋に向かない街はありますか?
出店の立地は大変重要なので、向かない街もあります。
- 匂いや煙のクレームが出やすい高級住宅街
- オフィス街で土日の集客が見込めない
- 観光地でリピーターが付きにくい など
ただしこれらの特性を理解した上で、焼肉屋の方向性を決めていけば、もちろん成功する可能性もあります。
たとえば高級住宅街であれば、完全予約制の個室焼肉店という業態がマッチする可能性があります。このように、地域特性に応じて店舗コンセプトを最適化することが求められます。
焼肉屋の開業資金については税理士にご相談を
焼肉店の開業には、物件取得費、設備投資、運転資金など多額の初期費用がかかります。
税理士にご相談いただければ、自己資金と融資のバランス設計、資金計画の策定、補助金や助成金の活用など、開業準備の各段階において的確なアドバイスが可能です。
また、開業後の経理・税務対応や、事業の黒字化に向けた収支管理、節税のご提案も含めて、中長期的な経営サポートをご提供します。
「まだ税理士を依頼すべきか迷っている」という方も、お気軽に初回無料相談をご利用ください。
開業の成功と、地域に長く愛されるお店づくりを、専門家として全力でサポートいたします。
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- さらに会社設立してからも一気通貫で支援
この記事の監修者

税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。