2025.08.4

会社設立

融資と投資の違いとは?メリット・デメリットや受けるための方法も解説

融資と投資の違い

読了目安時間:約 7分

融資とは、銀行や信用金庫などの金融機関から資金を借り入れることを指し、契約に基づいて利息を付けて返済していく仕組みです。

一方、投資は個人投資家などの第三者から提供される資金であり、融資と異なり返済義務がありません。ただし、出資条件によっては配当や議決権などの権利行使を通じてリターンを求められる場合があります。

融資と投資の違いを理解することで、自社の状況に応じた適切な資金調達方法を検討する参考になります。

本記事では、融資と投資の違いをはじめ、それぞれを受ける際のメリット・デメリット、資金調達方法の選び方についても解説します。

融資と投資の基本的な考え方を理解し、今後の資金調達に役立てていただければ幸いです。

融資と投資の違いとは?

融資と投資の違いとは?

融資と投資の違いについては、以下の4つが挙げられます。

  • 違い①:資金提供者
  • 違い②:資金提供の目的
  • 違い③:返済義務の有無
  • 違い④:財務諸表上の区分

それぞれの項目について解説していきます。

違い①:資金提供者

融資を提供する機関には、銀行や信用金庫、さらには日本政策金融公庫などの公的機関が含まれます。

国や自治体の支援を受けた融資は「公的融資」、銀行や信用金庫など民間の金融機関から受けるものは「民間融資」と呼ばれ、両者には金利や返済条件などに違いがあります。

一方、投資の資金提供者には、個人投資家や投資ファンド、ベンチャーキャピタルなど、さまざまな形態の投資家が含まれます。

特に、エンジェル投資家は、創業間もない企業や未上場企業に対して、資金提供とともに経営アドバイスを行うことが多いです。エンジェル投資家の中には、将来の株式売却益(キャピタルゲイン)を期待して投資する場合もありますが、その目的や支援の形態は個々の投資家によって異なります。

参考:金融一般支援 | 中小企業庁

違い②:資金提供の目的

融資は、金融機関が企業や個人に対して資金を貸し出し、あらかじめ定められた利息を受け取る契約に基づく行為です。

一方、投資とは、資金を投入し、資産価値の上昇による値上がり益(キャピタルゲイン)や、配当・分配金などの利益を得ることを目的とする行為です。特に株式投資では、株価の上昇によるキャピタルゲインを得ることが一般的です。

さらに、株式投資では、企業経営への参加や配当金、株主優待の享受を目的とする投資家も存在します。

このような目的の違いから、融資では返済能力や信用力が重視される一方、投資では企業や事業の将来性、成長性が評価の中心となります。

ただし、投資においてはリスクや安定性も考慮されるため、すべての投資が将来性のみで評価されるわけではありません。

違い③:返済義務の有無

融資の場合は、契約で定められた期間内に元本を返済し、さらに利息の支払いも必要となります。
一方、投資による資金は自己資本として計上されることが多く、原則として返済義務はありません。ただし、投資の種類や契約内容によっては、一定の条件が付く場合もあります。

資金提供者への返済を、事業運営と並行して行う場合は、融資が選択肢の一つとなりますが、事業の状況や資金ニーズによって最適な方法は異なります。

また、事業を成長させた後に、配当や株式価値の上昇などで投資家に還元することを目指す場合は、投資による資金調達が適していることもあります。

このように、自社の成長戦略や資金運用方針を踏まえたうえで、複数の資金調達方法の特徴を理解し、最適な方法を検討することが重要です。

違い④:財務諸表上の区分

融資を受けた場合、借入金として貸借対照表の負債の部に計上され、返済義務のある負債として扱われます。その結果、負債総額が増加し、負債比率などの財務指標に影響を及ぼすことがあります。

財務指標の変動は、金融機関や取引先による信用評価の一要素となるため、資金調達の際には総合的な財務状況を踏まえた検討が重要です。

一方、投資を受けた場合は資本金や資本剰余金が増加し、純資産の部に反映されます。これにより、自己資本比率が向上し、一般的には財務の安定性や健全性が向上すると期待されます。ただし、企業の財務状況や経営戦略によっては、評価のポイントが異なる場合もあります。

融資を受けることのメリット

融資を受けることのメリット

融資を受けるメリットについては、以下の3つが挙げられます。

  • まとまった資金を調達できる
  • 第三者が経営に介入しない
  • 金融機関と良い関係を築きやすい

それぞれのメリットについて解説していきます。

まとまった資金を調達できる

融資は、投資と比べて一度にまとまった資金を確保しやすいメリットがあります。

特に、政府系融資や自治体などの制度融資は、一般的に金利が低く抑えられているため、資金コストの軽減につながることが期待されます。

そのため、信用力がある程度確保されている場合には、投資よりも事業運営に必要なまとまった資金を確保しやすく、経営判断の幅を広げる選択肢の一つとなるでしょう。ただし、投資は事業の将来性や成長可能性に着目した資金調達手段であり、調達できる資金額は状況によって異なります。

参考:日本政策金融公庫|新規開業・スタートアップ支援資金

第三者が経営に介入しない

融資による資金調達では、株式の譲渡を伴わないため、投資家のように経営権を直接持たれることはありません。そのため、経営者は自らの計画に基づいて事業を進めやすいという特徴があります。

ただし、融資契約によっては、担保設定や返済条件などを通じて金融機関から一定の経営上の条件が求められる場合もあり、これが経営に間接的な影響を与えることがあります。

一方、投資家が経営方針や事業内容に関与するケースも多く、資金提供者と経営者間の意見の相違が摩擦やトラブルにつながるリスクも存在します。

参考:会社法 | e-Gov 法令検索

そのため、経営の自主性を確保しながら資金を確保したい場合には、融資が適していると言えます。

金融機関と良い関係を築きやすい

融資を通じて、金融機関との取引実績を積み重ねることで、信頼関係の構築につながることがあります。

特に、多くの企業にとっては、銀行や信用金庫と良好な関係を築くことが、将来的な資金調達の安定性を高めるうえで重要です。

また、業績が順調に伸びており、さらなる資金が必要な場合でも、既に一定の取引実績がある企業であれば、金融機関側も企業の財務状況を把握しやすく、融資の検討がスムーズに進むケースがあります。

融資を受けることのデメリット

融資を受けることのデメリット

融資を受けることのデメリットについては、以下の2つが挙げられます。

  • 返済義務がある
  • 審査が厳しい

返済義務がある

融資はあくまで借入金であるため、契約で定められた期限までに元本と利息を返済する義務があります。

たとえ経営が一時的に悪化し、利益が出ていない状況であっても、原則として、契約通りの返済が求められるので注意しましょう。ただし、状況に応じては、金融機関と返済条件の見直し(リスケジュール)を相談できる可能性もあります。

また、法人の倒産によって債務が整理された場合でも、経営者が連帯保証人となっている場合には、経営者個人が返済義務を負う可能性があります。

こうしたリスクを避けるためにも、融資を活用する際には綿密な資金計画を立て、返済体制をあらかじめ整えておくことが重要です。

参考:中小企業庁:中小企業の資金繰り支援策(資金繰り・再生支援)

審査が厳しい

融資を受ける際は、銀行などの金融機関による審査が必須であり、審査が厳しい点がデメリットとなります。審査では信用情報、財務状況、事業計画の実現可能性が厳格に評価されるため、準備不足での申請は通りにくいです。

また、審査では多くの書類提出が求められるため、提出漏れや記入ミスがないように十分な準備が重要です。特に、融資審査に通過するには、事業計画書などの内容に実現可能性と説得力が求められます。

万が一審査に落ちた場合でも、再申請自体は原則可能ですが、金融機関によっては再申請前に一定期間の待機や条件を求めることがあるため、事前に確認することが望ましいです。

投資を受けることのメリット

投資を受けることのメリット

投資を受けるメリットについては、以下の3つが挙げられます。

  • 返済負担が軽減される
  • 資金用途に制限がない
  • アドバイスを受けられる

返済負担が軽減される

投資による資金調達は借入金とは異なり、原則として定期的な元本返済は求められません。
そのため、調達した資金を返済計画に充てる必要がなく、事業拡大や経営改善に集中しやすくなります。

資金繰りにおける返済負担が軽減される点は、経営の成長を目指すうえで大きなメリットといえるでしょう。

資金用途に制限がない

投資資金は比較的自由度が高い一方、契約で一定の報告・合意を求められる場合があるため、調達後の使途を柔軟に決められます。

ただし、投資家は資金をどのように活用するかを明確に理解し納得できる説明を求めるため、調達後の資金計画や活用方法を具体的に示すことが重要です。

アドバイスを受けられる

投資を受けることによって、資金提供をしてくれた投資家から直接アドバイスを受けられるメリットがあります。

投資家は自身の経験や知識を活かして、事業の方向性や経営判断に対して有用なアドバイスを提供してくれる場合があるため、経営者は新たな視点を得て戦略を練り直したり、経営の質を高めたりすることが可能です。

また、普段は接点の少ない業界の専門家や経営者と繋がれることも多く、人脈の拡大や視野の広がりという付加価値も得られるでしょう。

参考:ファンドから投資を受けたい|独立行政法人中小企業基盤整備機構

投資を受けることのデメリット

投資を受けることのデメリット

投資を受けることのデメリットについては、以下の2つが挙げられます。

  • 経営に関与される
  • 必要な資金を得られない可能性がある

それぞれのデメリットについて解説していきます。

経営に関与される

投資家は株主として経営に参画し、経営方針に意見を述べる権利があります。

仮に、会社が実現したい事業計画を持っていても、特に議決権を多く保有する株主が反対すれば、その計画を進めることは難しくなってしまうのです。

そのため、経営陣は株主の意見を考慮しながら意思決定を行わなければなりません。

多様な視点を取り入れられるメリットがある一方で、融資と比べると経営の自由度が制限される場合がある点に注意が必要です。

参考:会社法|e-Gov法令検索

必要な資金を得られない可能性がある

投資による資金調達は、株式の発行価格や企業価値の評価によって調達額が変動するため、希望する資金を必ずしも調達できるとは限りません。

多くの場合、企業は投資家に株式を割り当てて資金を集めますが、株価が低迷している局面では調達額が期待よりも少なくなるリスクが高まります。また、業績が好調になると配当や株主優待などの還元を実施する必要があり、それが追加的なコストとして負担になってしまうケースもあります。

このように、投資では必要な資金を得られない可能性があるのはもちろん、配当額が大きくなると結果的に融資よりも負担が増す可能性もあるので注意が必要です。

融資を受けるための方法

融資を受けるための方法

融資を受けるための方法については、主に以下の3つが挙げられます。

  • 日本政策金融公庫
  • 銀行
  • 信用金庫

それぞれの方法について解説していきます。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は政府出資100%の公的金融機関で、中小企業や小規模事業者、個人事業主向けに多様な融資メニューを提供しているのが特徴です。

例えば、創業時の資金調達を支援する「創業融資制度」や、自然災害や景気悪化時に利用できる「セーフティネット貸付」などがあります。

銀行や信用金庫の審査が厳しい場合でも比較的利用しやすく、融資による資金確保を希望する方にとって重要な選択肢となっています。

参考:日本政策金融公庫(融資のご案内)

銀行

銀行は企業の信用力や担保状況に応じて比較的大きな融資を提供できる場合があります。

ただし、多くの場合で連帯保証人や担保の提供が求められるため、事前に十分な準備と計画が必要です。

また、融資審査は厳格で、事業計画や財務状況の詳細な説明が求められます。

信用金庫

信用金庫は地域密着型の金融機関であり、中小企業や地元事業者の資金ニーズに応えています。

事業の状況や地域特性を踏まえた丁寧な対応が特徴で、柔軟に融資相談に応じるケースが多いです。

一方で、金利や条件は銀行と異なることがあるため、事前の確認が重要です。

また、利益追求よりも地域貢献を重視する姿勢から、小規模事業者でも資金調達しやすい傾向があります。

参考:一般社団法人全国信用金庫協会

投資を受けるための方法

投資を受けるための方法

投資を受けるための方法については、以下の3つが挙げられます。

  • ベンチャーキャピタル
  • エンジェル投資家
  • クラウドファンディング

それぞれの方法について解説していきます。

ベンチャーキャピタル

ベンチャーキャピタルとは、急成長が期待される新興企業やスタートアップに対し、資金を提供する投資の専門組織や会社を指します。

主な目的は、出資先の企業が株式公開(IPO)などで成長した際に保有株を売却し、その利益(キャピタルゲイン)を得ることです。また、単なる資金提供にとどまらず、経営陣の派遣や経営ノウハウの提供など、事業成長を後押しする役割も担っています。

こうした資金を受けるためには、ベンチャーキャピタルとの接点を持つことが重要です。起業を考えている人は、ビジネスイベントなどのネットワーク作りを意識することをおすすめします。

参考:一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会

エンジェル投資家

エンジェル投資家とは、創業間もないベンチャーやスタートアップの事業に対して、自らの資金を投じて支援する投資家です。

彼らの狙いは、ベンチャーキャピタルと同様に、投資先の企業が成長して株式公開を果たしたタイミングで保有株を売却し、その差益(キャピタルゲイン)を得ることです。

このような個人投資家から資金を受けるためには、起業家と投資家をつなぐマッチングサービスや専門サイトを活用し、出会いの機会を増やすことが有効です。

クラウドファンディング

クラウドファンディングとは、インターネット上で自分のプロジェクトや夢の内容を広く公開し、その理念や目的に共感した人々から資金を集める仕組みです。

支援の形態には、以下のような種類があります。

購入型商品・サービスを提供
寄付型見返りなし
融資型利息や返済を伴う

また、単なる資金集めの手段にとどまらず、活動を多くの人に知ってもらうことで、新たな支持者やファンを獲得しやすいというメリットもあります。

融資や投資を受ける際には慎重になろう!

融資や投資を受ける際には慎重になろう!

今回は、融資と投資の違いを紹介しました。

融資は、信用力や返済能力が重視され、返済の義務が伴います。一方、投資は返済不要である点が特徴ですが、資金調達の可否や条件は企業の将来性や投資家からの評価に左右されます。

したがって、自社の状況や特徴を踏まえ、メリット・デメリットを比較検討したうえで、最適な資金調達方法を選ぶことが重要です。

今回の記事を参考にして、融資や投資を受ける際には慎重に判断するようにしましょう。


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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

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