2025.06.16

起業・開業

起業するには元手はいくら必要?元手なしで起業するリスクやコツについても解説

起業 元手

読了目安時間:約 7分

起業する際に、必要な元手については、ビジネスの規模や分野によって異なります。

もし元手がない状況で開業を目指す場合、できる限りコストを抑えた形でビジネスをスタートさせる工夫が必要です。

本記事では、元手がない状態でも起業は可能かどうかについて解説します。

他にも「元手なしで起業するリスク」や「元手なしで起業する際のコツ」についても解説していきます。

ぜひこの記事を参考にして、起業を成功させましょう。

起業するには元手はいくら必要?

起業するには元手はいくら必要?

起業する際に必要となる元手は、取り組む分野やビジネスの規模によって大きく変動します。

例えば、少額の資金で始められるケースもあれば、かなりの初期投資が求められる場合もあり、目安としては数万円から数千万円までと非常に幅広いレンジがあります。

また、個人事業主と法人によって、起業に必要な元手は異なります。

それぞれの違いについて解説します。

個人事業主での起業は初期費用がかからない

個人事業主として開業する場合、税務署への開業届の提出に費用はかかりません。

税務署に開業届や必要書類を届け出るだけで手続きは完了し、登録費用なども不要なので、事業を始める第一歩としての初期費用はほとんどかからずに済みます。

しかし、実際にビジネスを動かしていく段階になると、当然ながら経費は必要になります。

例えば、商品を販売する場合には仕入資金が必要ですし、集客のために広告を出すなら広告費も考慮する必要があります。また、業種によっては許認可申請や設備導入などに費用が発生する場合もあるでしょう。

つまり、個人事業主で起業する場合でも、事業運営には一定の資金が必要となります。

法人での起業は初期費用がかかる

法人として起業する際には、ある程度の初期費用が必要です。

株式会社を立ち上げる際には、登記手続きに伴う費用や印紙代などを含めて、総額でおおよそ30万円ほどかかるのが一般的です。

一方、合同会社の場合は、株式会社よりも低コストで設立できますが、それでも約10万円程度の資金を準備する必要があります。

さらに、法人設立時には、資本金額を事業用銀行口座に入金し、登記簿に資本金として反映させます。

会社法改正により、資本金1円から法人設立は可能ですが、資本金が著しく少額の場合、取引先や金融機関からの信用面で不利になることが多いため、最低でも数十万円程度の資本金を用意することが望ましいとされています。

参考:登録免許税の税額表|国税庁

元手なしで起業するリスク

元手なしで起業するリスク

元手なしで起業するリスクについては、以下の4つが挙げられます。

  • 信頼性が低くなる
  • 事業拡大がしにくい
  • 生計が立てられなくなってしまうリスクがある
  • 黒字倒産してしまう可能性がある

それぞれのリスクについて解説していきます。

信頼性が低くなる

資本金が少額である場合、業種や事業内容によっては、取引先や金融機関からの信用面で不利になる可能性があります。特に法人を設立して事業を始める場合、「資本金の金額」が企業の信頼性に影響を与える要素の一つとなるケースがあります。

現在の会社法では、資本金1円からでも株式会社や合同会社の設立が可能です。しかし、資本金が極端に少額の場合、相手方から「事業継続性や支払い能力に懸念があるのではないか」といった見方をされることもあります。

そのため、法人設立を検討する際には、資本金の金額についても十分に検討することが大切です。必要に応じて、今後の事業規模や資金需要、取引先との関係性などを踏まえて適切な金額を設定することが望ましいでしょう。

なお、資本金の準備が難しい場合や、まずはスモールスタートで事業を始めたいという場合には、法人設立の前段階として個人事業主としての開業を検討することも一つの選択肢です。個人事業主として一定の実績を積んでから法人化するという流れも、実務上多く見られます。

参考:会社法 | e-Gov 法令検索

事業拡大がしにくい

元手をほとんど用意せずに起業する場合、リスクとして考えられるのが、初期投資や事業運営に必要な資金が不足しがちになることです。このような資金不足は、事業の安定運営や将来的な成長の妨げとなる可能性があります。

事業を始める段階では、例えば機器の購入、必要な資材の確保、業務に関する知識やスキルの習得などに費用がかかります。これらは「初期投資」に該当し、事業開始前にあらかじめ準備しておいた方がいい資金です。

一方、事業開始後には、「運転資金」が必要になります。これは仕入れ代金の支払いや広告宣伝費、家賃、人件費といった日々の事業運営に不可欠な経費です。

こうした資金を十分に確保できていないと、ビジネスの立ち上げ後すぐに資金繰りに苦しむことになり、拡大や継続が難しくなることも考えられます。

逆に、起業時に余裕のある資金を持っていれば、こうした費用に柔軟に対応でき、事業を円滑に成長させることにもつながります

生計が立てられなくなってしまうリスクがある

元手なしで起業した場合、ビジネスが計画通り進まなかった際に、生活資金が不足し生活が困難になるリスクがあります。

日常の支出をまかなえない状況に陥れば、当然ながら事業の継続も難しくなります。

実際に、どれほど入念にビジネスプランを立てても、すべてが計画通りに運ぶとは限らないのが現実なのも事実です。

そのため、万一収益がすぐに得られない状況が続いた場合でも、一定期間は安定して生活できるよう、あらかじめ十分な生活資金を確保しておくようにしましょう。

黒字倒産してしまう可能性がある

元手なしで起業するリスクの一つとして、黒字倒産してしまう可能性があるので注意が必要です。

黒字倒産とは、帳簿上利益が出ているにもかかわらず、資金繰りが悪化して支払いができず経営破綻するケースを指します。

主な原因としては、資金の流れの管理、つまり資金繰りに失敗することが挙げられます。

多くの業種では、売上が発生しても代金の受け取りは一定期間後になることが多く見られます。

一方で、仕入れや経費といった支出は先に発生するため、手元資金が足りなくなるリスクがあります。

このように、資金の入金が間に合わず支払いが滞ると、事業を継続できなくなり、結果として倒産するという事態が起こってしまいます。

特に、創業間もない企業では、十分な現金の備えがなく、黒字倒産に陥る可能性が高いと言われています。

このような事態を避けるには、あらかじめ余裕を持った資金計画を立て、健全なキャッシュフローを維持することが重要です。

元手なしで起業する際のコツ

元手なしで起業する際のコツ

元手なしで起業する際のコツについては、以下の3つが挙げられます。

  • 個人事業主で起業する
  • 元手があまりかからないビジネスを選ぶ
  • できるだけ固定費を減らす

それぞれのコツについて解説していきます。

個人事業主で起業する

元手がほとんどない状態で起業を目指す場合、まずは個人事業主としてビジネスを始めるという選択が現実的かつ効果的です。

株式会社設立の場合、公証役場での定款認証費用や法務局への登記費用などがかかるため、初期費用が発生します。合同会社の場合は定款認証が不要ですが、登記費用がかかります。

主な費用比較は以下のとおりです。

項目株式会社合同会社
定款認証費用(公証役場)約50,000円不要
印紙代(定款)40,000円(※電子定款なら不要)40,000円(※電子定款なら不要)
登録免許税(法務局)最低150,000円
または資本金の0.7%
最低60,000円
または資本金の0.7%
上記を合算した費用目安約20〜25万円程度約6〜10万円程度

一方、個人事業主としてスタートすれば、法人設立に伴う初期費用を抑えることができ、より気軽に事業を始めることが可能です。

なお、要件や費用は変更になる場合もありますので、あらかじめ公式サイトなどをご確認ください。

参考:登録免許税の税額表|国税庁

元手があまりかからないビジネスを選ぶ

起業時にまとまった資金が準備できない場合は、初期費用の少ないビジネスモデルを選ぶようにしましょう。

例えば、インターネットを活用したサービス業や、初期の設備投資が少ない業種は、資金面のハードルが比較的低めとされます。ただし、運営形態によっては費用が発生する場合もあるため、個別の確認が必要です。

一方で、製造業や飲食業などは、店舗や機材、人件費など多くの投資が必要となるので、リスクが高くなってしまいます。

リスクを抑えつつ事業を始めるためには、初期投資の少ない分野から挑戦することをおすすめします。

できるだけ固定費を減らす

元手なしで起業する際のコツとして、毎月継続して発生するような支出をできるだけ抑えることが重要です。

例えば、オフィスを借りたり、従業員を雇用したりすると、売上の有無に関係なく一定の費用が発生してしまいます。

そのため、スタート段階では可能な限り固定費を最小限に抑え、支出をコントロールした計画を立てることが、事業を安定化させるのに重要と言えます。

低コストかつ効率的な運営方法を工夫しながら、リスク管理を徹底し、一歩ずつ着実に事業を進めていくことが望まれます。

元手が少なくても活用できる融資制度

元手なしで起業する際に受けられる融資制度

元手が少なくても活用できる融資制度については、以下の3つが挙げられます。

  • 日本政策金融公庫
  • 制度融資
  • 銀行や信用公庫の創業融資

それぞれの融資制度について解説していきます。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は、国の支援を受ける公的金融機関であり、国民生活金融公庫・農林漁業金融公庫・中小企業金融公庫などが統合されて誕生しました。

特に、中小企業や小規模事業者に対する資金援助を積極的におこなっており、起業を考える人におすすめと言えます。

起業時には十分な自己資金や事業実績がないケースも多いので、こうした人々を支援する仕組みとして、以下の3つの融資制度が用意されています。

  • 新創業融資制度
  • 中小企業経営力強化資金
  • 挑戦支援資本強化特別貸付(いわゆる資本性ローン)

上記の制度は、創業間もない企業やこれから起業を考えている人でも活用しやすい設計となっており、政府も積極的に後押ししています。

それぞれの制度には対象者の条件や融資額の上限などがあるので、事前に確認しておくようにしましょう。

参考:日本政策金融公庫

制度融資

制度融資とは、公的な支援策の一つとして、各地方自治体が提供する融資です。

一般的な銀行融資と比べて条件が柔軟で、創業時でも利用しやすいのが特徴です。

起業準備中または創業直後の方は、こうした制度を積極的に活用することで、資金面の不安を軽減できる可能性があります。

参考:東京都中小企業制度融資

銀行や信用公庫の創業融資

銀行や信用金庫では、元手がなくても利用できる創業時の融資制度を用意している場合があります。

しかし、銀行や信用金庫など金融機関では審査基準が厳格であり、信用保証協会の保証が求められるなど、申請すれば誰でも簡単に資金調達できるというわけではありません。

そのため、計画性があり将来の成長が期待できる具体的かつ説得力のある事業計画書を準備することが重要です。

また、金融機関によって融資の上限額や必要条件には違いがあるので、地元の銀行や信用金庫の制度について、事前に詳しく調べておくことをおすすめします

元手なしで融資を成功させるポイント

元手なしで融資を成功させるポイント

元手が少なくても融資を成功させるために意識したいポイントは、以下の3つが挙げられます。

  • 事業計画書を緻密に作成する
  • 融資の使い道を明確にする
  • スキルや経験をアピールする

それぞれのポイントについて解説していきます。

事業計画書を緻密に作成する

元手なしで融資を成功させるポイントとして、より詳細で説得力のある事業計画書を準備する必要があります。

自己資金が少ないと、希望した金額の融資を受けられない可能性もあり、資金面での見通しが甘いと、事業の立ち上げ時に資金繰りが厳しくなることも考えられます

また、事業が始まった後に、予想していた収益や成長が計画通りに進まないことも珍しくありません。

そうした不測の事態にも対応できるよう、複数の展開を想定した柔軟なビジネスプランをあらかじめ用意しておくことが、融資を成功させることにつながります。

参考:創業の手引|日本政策金融公庫

融資の使い道を明確にする

融資を申し込む際、その資金をどのように活用するかを明確に伝えることで、金融機関に対して事業の見通しの良さや信頼性をアピールすることができます。

例えば、「開業準備にどの設備が必要で、それぞれにいくらかかるのか」といった具体的な項目と金額を提示することで、資金の使途が合理的であると理解してもらいやすくなります。

さらに、こうした詳細な計画を立てる過程を通じて、自らのビジネスプランをより深く掘り下げ、目標に向かうための戦略が一層明確になるというメリットもあります。

スキルや経験をアピールする

元手なしで融資を成功させるポイントの一つに、申請者の経営スキルや業界経験、実績を明確に示すことが挙げられます。

実際に、事業の信用を高める上で、経営者がこれまでに積んできた経験や習得したスキルは大切な要素になります。

過去にどのような実績を上げてきたのかを具体的に示すことで、事業の将来性を裏付け、金融機関に安心感を与えることができます。

仮に自身の経験が十分でない場合でも、事業を支える専門的なアドバイザーや信頼できるパートナーの存在を明記することで、組織としての信頼性を高めることが可能です。

ただし、このような対策は審査通過を保証するものではありません。融資を受けるためには、できるだけ元手を用意するようにしましょう。

起業するなら元手を準備しておこう!

起業するなら元手を準備しておこう!

今回は、起業するには元手はいくら必要なのかについて紹介しました。

資金が少なくても起業は不可能ではありませんが、やはりある程度の資金的な余裕がある方が、経営を安定してスタートさせやすくなります。

できるだけ固定費を抑え、初期費用が少なく済むビジネスモデルを選び、着実に利益を積み上げていくのがポイントと言えます。

これから起業を検討している方は、起業に伴うリスクを最小限に抑えるために、元手を準備するようにしましょう。


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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

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