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起業・開業
起業の相談ができる窓口・専門家とは?起業相談する前にやっておくべきことも紹介

読了目安時間:約 7分
公的機関や専門家の中には、起業に関する質問や不安の内容に応じて無料相談を実施しているところがあります。
起業相談を申し込む際は、自分が知りたいことや解決したい課題をあらかじめ整理し、事前に情報を収集したうえで、その分野に詳しい窓口や専門家を選ぶことが大切です。
本記事では、起業の相談ができる窓口・専門家について紹介します。
また、起業相談を始める前に知っておくべき準備についても解説しますので、ぜひこの記事を参考に、起業の相談窓口や専門家について理解を深めてみてください。
目次
起業の相談ができる窓口

起業の相談ができる窓口については、以下の6つが挙げられます。
- 窓口①:日本政策金融公庫
- 窓口②:税務署
- 窓口③:商工会・商工会議所
- 窓口④:よろず支援拠点
- 窓口⑤:中小企業基盤整備機構
- 窓口⑥:ワンストップ相談窓口
それぞれの窓口について解説していきます。
窓口①:日本政策金融公庫
日本政策金融公庫とは、国が全額出資する政府系金融機関で、資金調達や融資相談の場としても広く利用されています。
創業前の段階でも相談に応じており、事業計画書の作成支援や、融資に関するアドバイスを受けることが可能です。
日本政策金融公庫では、電話や来店、オンラインによる相談窓口のほか、起業家向けの情報誌やコラム、各種セミナーなど多彩なサポートメニューが用意されています。また、業種ごとの解説や事業計画書の書き方例を掲載した「創業の手引き」も提供されていて、初めての起業でも計画づくりをスムーズに進めることができます。
主要都市では「ビジネスサポートプラザ」を東京・名古屋・大阪に設置しており、拠点によっては土日や夜間に対応している場合もあり、忙しい方でも利用しやすい環境が整っている点が特徴です。
ただし、業種や事業規模により支援内容が異なるため、詳細を確認することをおすすめします。
参考:日本政策金融公庫
窓口②:税務署
税務署では、開業に際して必要な手続き(開業届や青色申告承認申請書など)をサポートしており、税務に関する基本的な相談も可能です。
実際に、起業を始める際には、税務署での各種申請や届出が必要になり、具体的には開業届の提出や青色申告承認申請書の提出といった手続きが求められます。
特に、これまで会社員として勤務しており、起業によって初めて税務手続きを行う方にとっては、税金の仕組みや申告の方法を理解しておく必要があるため、税務署でわからないことを相談すると良いでしょう。
また、帳簿の作成方法や保管のルールについても説明を受けることができ、窓口相談や電話での相談も可能です。
しかし、確定申告期間(2〜3月)は窓口が混雑しやすいため、起業相談は可能な限り繁忙期を避けて申し込むと安心です。また、税務署のサポートを受ける際には、事前に必要書類を整えておくとスムーズに進められます。
窓口③:商工会・商工会議所
商工会や商工会議所は、地域の経済や産業の発展を支える目的で、起業家向けのさまざまなサービスを提供しています。
起業に関する基本的な相談から、事業計画書の改善や資金調達方法の提案まで、幅広い支援が受けられるのが特徴です。
また、これらの団体は単に相談窓口を開いているだけではなく、起業に必要な知識を体系的に学べるセミナーや人脈づくりに役立つ交流会、金融機関との融資相談など多彩なサポートメニューが用意されています。ただし、地域によって提供されるサービス内容が異なるため、事前に利用可能なサービスを確認しておくと良いでしょう。
さらに、起業後も利用できる支援サービスが多く、場合によっては税理士や司法書士など専門家に直接相談できる体制を整えている団体もあります。
窓口④:よろず支援拠点
よろず支援拠点は、中小企業庁が推進し国の支援を受けている、中小企業・小規模事業者向けの無料経営相談窓口です。
47都道府県すべてに拠点があり、経営課題や事業運営に関するあらゆる相談に応じています。従業員5名以下の事業者からの相談が全体の半数以上を占めており、経営者が抱える問題を継続的にサポートしています。原則として無料で、回数制限なく利用できる仕組みとなっていますが、詳細は各拠点でご確認ください。
提供される支援は多岐にわたり、創業支援や売上向上、経営改善、事業承継など幅広いテーマに対応しています。また、各分野の専門家が的確なアドバイスを実施しており、必要に応じて他の支援機関とも連携しながら、ワンストップでの課題解決を目指しているのが特徴です。
よろず支援拠点へ相談を希望する場合は、事前に電話・メール・FAXで申し込みが必要になるので、公式サイトをチェックしてから相談するようにしましょう。
参考:よろず支援拠点全国本部
窓口⑤:中小企業基盤整備機構
中小企業基盤整備機構は、日本の中小企業政策を実際に推進する中心的な役割を担う機関です。
創業直後から事業が軌道に乗る段階まで、企業の成長段階に合わせた幅広い支援をおこなっています。
また、経営に関する相談窓口としても機能しており、全国のよろず支援拠点と連携しながら、起業家や中小企業経営者をサポートしています。
ただし、中小機構が提供するサービスは多岐にわたりますので、まずは公式情報を確認し、自社に合ったサポートを探してみることをおすすめします。
窓口⑥:ワンストップ相談窓口
ワンストップ相談窓口とは、政府系の22機関が協力して立ち上げたスタートアップ支援の総合プラットフォーム「Plus」が運営している相談窓口です。
この窓口には、日本政策金融公庫や中小企業基盤整備機構、NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)をはじめ、医療機器分野やエコシステム分野を専門とする研究開発法人など多彩な支援機関が参加しています。
相談内容は起業に関するものだけでなく、技術開発や知的財産の実用化など幅広く対応しているのが特徴です。また、各分野に精通した専門機関が連携することにより、課題解決をワンストップでサポートできる体制を整えています。
利用を希望する場合は、StarT!Ps from NEDO の公式サイト内にある「Plus One」専用ページから申し込みが必要で、その際に、各参加機関が提供する支援メニューの詳細も確認することが可能です。
起業の相談ができる専門家

起業の相談ができる専門家として、以下の4つが挙げられます。
- 専門家①:税理士
- 専門家②:行政書士・司法書士
- 専門家③:弁護士
- 専門家④:社会保険労務士
専門家①:税理士
税理士とは、企業の会計処理や確定申告、税務に関する専門的なサポートをおこなっている専門家です。
税務書類の作成や提出を代行してもらえるので、業務が忙しく手が回らない場合でも大きな助けとなるでしょう。また、起業時には、開業届の提出や青色申告の準備、帳簿付けの方法など、初めての手続きに不安を抱える方をサポートします。
また、法人化の検討や資金繰りに関する税務上のアドバイスを受けられる点もメリットです。具体的な節税策については、法令の範囲内で個別事情に応じた助言を受けることが可能です。
最近では、多くの税理士事務所が起業家向けにセミナーや解説記事を公開しているため、事前学習にも役立ちます。初回相談を無料で行っている事務所もあるので、自分の事業規模や目的に合った専門家を探すと良いでしょう。
参考:日本税理士会連合会
専門家②:行政書士・司法書士
行政書士は、行政手続きを専門とする国家資格者で、官公庁に提出する許認可申請などの書類作成を中心にサポートします。
司法書士は、不動産登記や商業登記など登記業務を専門に扱い、会社設立時の登記申請を代理できる国家資格者です。
起業準備の段階では、事業内容によって許認可申請が生じることもあるため、必要に応じて行政書士に相談すると良いでしょう。一方で、法人設立登記を行う場合は司法書士のサポートがあると安心です。ただし、それぞれ業務範囲が異なるため、依頼内容に応じて専門家を選ぶのが有効です。
行政書士や司法書士に依頼すれば、起業時にかかる事務的な負担を大幅に軽減できる可能性があります。
業種によっては、創業後も行政とのやり取りが欠かせず、行政書士や司法書士への継続的な依頼が必要となる場合もあるため、起業準備の段階から自社と相性の良い専門家を見つけておくことが、スムーズな事業立ち上げにつながります。
専門家③:弁護士
弁護士は、法律に関する業務を専門に行う国家資格者であり、民間企業においては契約書の起案や著作権問題への対応、各種法的文書の確認業務などを担います。
実際に、起業後は法律知識が経営判断の土台となるほか、万が一コンプライアンス違反や取引先との紛争が発生した場合には、頼れる存在となります。そのため、リスク軽減の観点では事業開始の準備段階から顧問弁護士の選定を進めておくことが望ましいです。
中小企業向けの顧問弁護士契約は月額数万円〜十万円程度が一般的ですが、内容や地域差で異なるため、見積もりや契約条件は必ず確認しましょう。
専門家④:社会保険労務士
社会保険労務士は、社会保険や労務管理に関する専門家で、従業員を雇用した際の手続きや給与計算、就業規則の整備をサポートするほか、職場で発生する労務トラブルの解決にも対応しています。
創業直後は自社で手続きできるケースもありますが、従業員数が増えると労務管理は複雑化しやすいため、早い段階で社会保険労務士に依頼することが業務効率化につながります。
また、助成金制度に詳しい社会保険労務士も多く、条件を満たす場合には申請サポートを受けられる可能性があります。ただし、助成金制度の適用可否は事業内容や雇用状況により異なるため、専門家に早めに相談することが望ましいです。
起業相談する前にやっておくべきこと

起業相談する前にやっておくべきことについては、以下の4つが挙げられます。
- 起業目的を明確にしておく
- 起業の流れを把握する
- 事業計画を立てる
- 資金計画を明確にする
それぞれの項目について解説していきます。
起業目的を明確にしておく
起業を成功へと導くためには、まず「自分はなぜ起業したいのか」という動機を明確にすることが重要です。
目的が曖昧なままだと、専門家に相談しても的確で実践的な助言が得られない場合があります。
例えば、「会社組織の枠に縛られず、自由な働き方を実現したい」という理由で起業を目指す人の場合、自由度の高い働き方は魅力的ですが、その一方で収入の変動や取引条件の不安定さといったリスクも伴います。こうした点も踏まえて、目的を整理しておくことが大切です。
職種の需要や取引先の選び方といった外部環境によって、業績が大きく変動する可能性があります。
具体的には、以下のような観点から起業目的を整理してみましょう。
- 「事業を通してどのような成果を生みたいのか」
- 「社会にどんな価値を提供したいのか」
このように、起業目的を明確にすることで、より具体的で実効性のあるアドバイスが得られる可能性が高いです。
参考:中小企業庁 白書
起業の流れを把握する
起業相談する前には、起業の流れを把握しておくことも重要です。
実際に、起業と一口に言っても、株式会社と合同会社では、設立時に必要となる手続きや費用の内容が大きく異なります。
そのため、まずはそれぞれの特徴やメリット・デメリットを比較し、自社のビジネスに最適な形態を見極めたうえで、必要な準備や手順を整理しておくことが大切です。また、起業の流れを確認する中で生じた疑問や不明点は、事前にリスト化しておくと、専門家への相談もより具体的かつ効率的になります。
さらに、起業前は、事業計画の策定や会社設立の諸準備、資金集めなどで時間が限られることが多いので、計画的に行動し、限られた時間の中で理解を深められる工夫をすると良いでしょう。
事業計画を立てる
起業相談をおこなう際には、事業の方向性や収益モデルを具体的に説明できるよう、事業計画をあらかじめ整えておくことも大切です。
例えば、「どのような商品やサービスを」「どのターゲットに向けて」「どんな販売経路で提供するのか」などを整理しておくようにしましょう。
また、仕入れコストや人件費、生産体制、集客施策などを踏まえて資金計画を作成しておけば、専門家に事業の全体像を明確に伝えることにもつながります。
創業初期は売上が安定しないケースも多いため、開業資金に加えて、数か月分の運転資金を用意しておくのが望ましいとされています。必要額は業種や事業モデルによって異なるため、資金見積もりや計画が適切かどうかは、専門家に確認しておくと安心です。
限られた相談時間で有益なアドバイスを引き出すためにも、相談事項は可能な限り具体的にしておくようにしましょう。
資金計画を明確にする
起業を始める際には、事業を立ち上げるための資金が欠かせません。そのため、起業相談する前には、資金計画を明確にしておきましょう。
開業資金には、設備や備品の購入などの初期投資、そして事業を安定して運営していくための運転資金が含まれます。また、おおまかでも構いませんので、必要な総額を見積もり、自己資金の投入額も含めて整理しておくと、相談がスムーズに進みます。さらに、資金調達手段もあらかじめ検討しておくと良いでしょう。
こうした資金計画を詳細に立てておくことで、専門家や先輩起業家からの助言も、より具体的かつ実践的なものになります。
起業での不安を相談して解消しておこう!

今回は、起業の相談ができる窓口や専門家について紹介しました。
起業に関する不安や疑問がある場合は、公的な相談窓口や税理士などの専門家に相談することで、客観的かつ専門的なアドバイスを得られるでしょう。
特に、初めての起業では分からない点が多く、準備が思うように進まないケースも多いです。その際、基本的な起業の流れや資金計画の基礎を理解した上で相談すると、より具体的で実務に役立つ支援を受けやすくなります。
今回の記事を参考に、ご自身の課題や疑問を整理したうえで、専門家への相談も検討しながら、着実に準備を進めていきましょう。
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この記事の監修者

税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。