2025.08.25

起業・開業

銀行からの開業資金の借り入れ条件とは?流れや通りやすくなるコツについても解説

開業 資金 借り入れ 銀行

読了目安時間:約 7分

銀行から開業資金の融資を受ける場合、金融機関ごとに審査基準や融資姿勢が異なるため、申込状況によっては審査に時間を要したり、条件が厳しくなる場合もあります。

そのため、あらかじめ必要書類や審査時に確認されやすいポイントを把握し、しっかりと準備を行うことで、銀行融資の審査に通る可能性を高める一助となります。

本記事では、銀行融資を受けるための基本的な条件や流れを解説します。

他にも「銀行の融資審査に通りやすくするコツ」についても解説していきますので、開業資金の調達を検討している方は、ぜひ参考にしていただき、事前準備に役立ててください。

銀行からの開業資金の借り入れ条件

銀行から開業資金の借り入れを受ける条件

銀行から開業資金の融資を受ける条件として、以下の3つが挙げられます。

  • 条件①:融資額
  • 条件②:返済期間
  • 条件③:金利

それぞれの条件について解説していきます。

条件①:融資額

銀行からの融資金額は、必要な事業資金の総額を上限に、申込者の自己資金の額によって左右されることがあります。

自己資金とは、創業準備期間中に蓄えた貯金などの資金を指し、一般的に希望融資額3分の1程度を用意していることが望ましいと言われています。ただし、これはあくまで目安であり、金融機関や制度融資の種類によって異なります。

そのため、自己資金がまったくない状態では融資の審査に通るのは難しく、自己資金が少ない場合には、綿密な事業計画書で売上予測や返済見込みを明確に示すことが重要です。

加えて、創業融資は制度ごとに融資の上限が定められているため、希望する金額がその上限を超える場合は、他の金融機関や、ベンチャーキャピタルなど、複数の資金調達方法を組み合わせることも検討しましょう。

参考:日本政策金融公庫|新規開業・スタートアップ支援資金

条件②:返済期間

銀行融資の返済期間は、借入金の用途や金額によって変動しますが、通常は1年以上、長期の場合は10年程度に設定されることが多いです。

例えば、不動産の購入費用や高額な設備投資などに充てるための資金であれば、返済期間は比較的長く、10年近くに設定されるケースもあります。一方、日常的な資金繰りの補填など短期的な用途である運転資金については、1年から3年といった短めの返済期間が適用されます。

ただし、利用する制度や金融機関によってはさらに長期の返済が認められる場合もあるため、希望する返済期間については事前に相談することが大切です。

条件③:金利

銀行融資の金利は、おおむね年1〜3%台に収まるケースが多いといわれていますが、実際には制度や金融情勢によって幅があります。

また、適用利率は、以下の要素によって変動します。

  • 事業の将来性・収益性
  • 返済期間
  • 保証人・担保の有無

保証人や担保は、金利を抑えるうえで有利な要素となりますが、融資制度や銀行によっては必須の場合もあるため、事前に確認が必要です。

できるだけ低金利で融資を受けたいと考えている場合は、金利の決定に関わるポイントを把握し、それに合わせて申請準備を進めるようにしましょう。

特に、保証人や担保を用意できない方は、事業計画の具体性が大きな判断材料となるので、説得力のある計画書を作成して審査に臨むことが重要です。

銀行から開業資金を借り入れする流れ

銀行から開業資金の借り入れする流れ

銀行から融資を受ける際の主な流れは、以下のとおりです。

  1. 相談・申込み
  2. 必要書類の提出
  3. 面談
  4. 現地調査
  5. 審査
  6. 契約

①相談・申込み

銀行から融資を受けるには、相談と申込が必要になります。

日頃から付き合いのある銀行担当者がいれば、必要書類の準備や融資制度の概要など、手続き面で参考になるアドバイスを受けられることがあります。

また、必要書類を事前に確認しておくことで、申し込み後の手続きがスムーズになります。

審査には時間を要するため、余裕を持って申込み手続きを進めることが望ましいです。一般には資金が必要となる1~2ヶ月前から準備を開始すると安心です。

参考:日本政策金融公庫|相談予約・融資相談・資料請求

②必要書類の提出

申込み完了後は、各金融機関が指定する書類を提出する必要があります。

求められる書類は銀行によって異なりますが、主に以下のような資料が求められます。

  • 本人確認書類
  • 印鑑証明書
  • 税金の納付状況を示す証明書
  • 銀行との取引履歴明細
  • 確定申告書の控え
  • 過去3期分の決算資料
  • 現時点での試算表
  • 資金の具体的な使用目的を記した明細書
  • 受注状況を示す明細
  • 今後の事業展開を示す計画書
  • 資金繰りを示す表
  • 法人登記簿の写し

提出書類に不備があると審査期間が延長されたり、融資が難しくなったりする場合があるため、正確に準備することが重要です。

このように、スムーズに融資を受けるためにも、事前の準備を丁寧に行い、必要な書類はすべて正確にそろえて提出するようにしましょう。なお、提出書類は銀行や融資制度によって異なりますので、あらかじめ確認することをおすすめします。

参考:法務局|会社・法人代表者の印鑑証明書を取得したい方

③面談

必要書類を提出した後は、面談が必要になります。

面談では、提出された書類だけでは把握しきれない情報について、銀行の担当者が直接質問を行い、状況や考え方を確認するのが一般的です。

例えば、融資の使途や返済の見通し、また申込者の人間性や事業への熱意といった点がチェックされます。

また、質問に対して答えにくい内容があった場合でも、事実を偽ってしまうと信用を損なう可能性があるので、見栄を張らずに誠実に答えることが大切です。

④現地調査

銀行から融資を受ける際には、担当者との面談だけでなく、会社や店舗を直接訪れる「現地調査」がおこなわれることがあります。

現地調査では、銀行の審査担当が実際に現場を見て、提出された情報と現実が一致しているかを確認します。例えば、事業開始に必要な準備が整っているか、オフィスや店舗の設備が機能しているかなどが確認されます。

現地調査は事前に日程が調整されるのが一般的ですが、場合によっては短期間での対応を求められることもあります。そのため、いつ調査が入っても対応できるよう、常に整った状態を保っておくことが大切です。

⑤審査

銀行審査では、融資の可否に加え、貸付可能な金額や金利の設定、返済スケジュールなどが総合的に検討されます。

希望する金額が大きかったり、条件が通常より厳しかったりする場合には、支店だけで判断できず、本部の承認が必要になるので、審査にかかる時間も延びてしまう傾向があります。

審査結果は電話やメールで通知されるのが一般的です。

⑥契約

審査合格の連絡を受けた後は、必要となる書類を整え、融資契約の手続きを進めていきます。

契約完了後、金融機関から指定口座に資金が振り込まれます。振込までの期間は書類作成状況や手続きの進行によって異なり、条件が整えば比較的短期間で着金することもあります。

銀行融資の審査期間

銀行から開業資金の借り入れを受ける際の審査期間

銀行融資の審査期間は、申込内容や金融機関によって異なりますが、一般的には、事業計画書や決算書などの確認を経て、おおむね2〜3週間程度で結果が出るケースが多いです。

また、不動産などを担保に設定する場合は、担保評価の手続きが追加されるため、全体で1ヶ月程度かかることもあります。

一方、信用保証協会を利用した融資の場合、保証協会と金融機関の両方で審査が行われるため、2〜3週間程度の期間をみておくようにしましょう。ただし、申込状況や書類不備などによっては、さらに長引く可能性もあります。

参考:一般社団法人全国信用保証協会連合会

銀行の開業資金の借り入れ(融資)の種類

銀行の開業資金の借り入れ(融資)の種類

銀行の借り入れ(融資)の主な種類として、以下の3つが挙げられます。

  • プロパー融資
  • 信用保証付き融資
  • ビジネスローン

プロパー融資

プロパー融資とは、銀行が自らの判断と責任のもとで企業に対して行う直接的な融資です。

信用保証協会といった外部の保証機関は一切関与せず、融資の可否は銀行内部の審査プロセスに基づいて決定されます。

具体的には、担当者が融資案を作成し、上長の確認を経て、最終的には支店長や本部の決裁権者によって承認される流れになります。

万が一、返済不能となった場合のリスクは全額銀行が負うことになるので、財務状況が健全で、一定の実績や信頼を築いている企業ほど有利になる傾向があります。そのため、創業間もない企業や業績に課題がある企業では、融資のハードルが高くなることがあります。

信用保証付き融資

信用保証付き融資は、信用保証協会が借入者の返済を保証することで、銀行からの融資を受けやすくする制度です。

保証付き融資は、信用保証協会による保証の審査を受け、それに合格した後で銀行の審査に進むという流れが一般的です。

メリットとしては、仮に借り手が返済できなくなった場合でも、一時的には信用保証協会が代わって金融機関に返済をおこなう点です。これにより、銀行側もリスクを抑えながら安心して融資をおこなうことができます。

しかし、保証協会が代位弁済を行った後でも、借入者の返済義務が消えるわけではなく、信用保証協会に対して返済していかなければならないので、あらかじめ注意が必要です。

参考:e-Gov法令検索|信用保証協会法

ビジネスローン

ビジネスローンとは、一般的な銀行融資の利用が難しい中小企業や個人事業主でも利用しやすい資金調達手段です。

ビジネスローンは銀行やノンバンクの両方で提供されており、一般的に銀行系はノンバンク系より低金利ですが、プロパー融資や信用保証付き融資と比較すると高金利になるケースもあります。

申し込み手続きはインターネットを通じて完結できるので、従来のような煩雑な手続きや対面でのやり取りは不要になるメリットがあります。

また、必要な書類の数も少なく、審査はスコアリングによる自動判定が中心で、その後に担当者による確認や判断が加わるという流れが一般的です。

銀行の融資審査において評価されやすくなるポイント

銀行借り入れの審査に通りやすくするコツ

銀行の融資審査において評価されやすくするためのポイントとして、以下の4点が挙げられます。

  • 税務申告を正確かつ適切に行う
  • 支払いや返済の遅延・滞納はしない
  • 短期間に複数の融資申込を控える
  • 説得力のある事業計画書を作成する

税務申告を正確かつ適切に行う

銀行からの融資をスムーズに受けるには、日頃から正しく申告・納税を行っておくことが重要です。

実際に、銀行が融資先を審査する際には、その相手が本当に返済能力のある人物や企業であるかを、過去の経営実績をもとに多角的に評価しています。

法人であれば「決算書」が、個人事業主であれば「確定申告書」が主な判断材料となり、そこから収支の状況や資金繰りの健全性を読み取っています。しかし、申告自体を怠っていたり、税金の滞納があったりする場合には、信用面で不利になることが多いため、あらかじめ注意が必要です。

支払いや返済の遅延・滞納はしない

支払いや返済の遅延・滞納がないことは、銀行融資の審査通過において非常に重要な要素となります。

金融機関は信用情報機関を通じて申込者の借入状況や返済履歴を確認することがあります。

ローンだけでなく、クレジットカードの利用代金やスマートフォンの端末料金などの分割払いなどの日常的な支払いも信用情報に反映されるので、遅延のない支払いを日頃から心がけることが、信頼の蓄積につながります。

参考:日本信用情報機構(JICC)指定信用情報機関

短期間に複数の融資申込を控える

銀行は貸し出した資金が確実に回収されるかどうかを重視します。そのため、短期間に複数の融資を申し込むと、金融機関から資金繰りに不安があると見られる場合があり、審査にマイナスの影響が出る可能性があります。

そのため、必要に応じて申込み先の優先順位を整理し、計画的に融資を検討することが望ましいです。

説得力のある事業計画書を作成する

事業計画書は、融資希望額の妥当性や事業の将来性を説明するうえで重要な資料です。銀行融資を受けるためには、この事業計画書の内容が融資を決める際の判断材料となります。

そのため、金融機関に提出する事業計画書には、会社をどのように成長・発展させていくかを、具体的かつ現実的に示す必要があります。

さらに、融資希望額の妥当性を示す資料としても、事業計画書は重要な役割を果たします。資金の用途は大きく「設備資金」と「運転資金」に分類され、どのような設備を、どの程度導入する予定かを明示することで、必要資金の妥当性を理解してもらいやすくなるでしょう。

詳細な収支計画を盛り込むことで、信頼性の高い事業計画書を作成できます。

参考:Net21 |中小機構事業計画書の作成例

しっかりと返済計画を立てよう!

しっかりと返済計画を立てよう!

今回は、銀行から開業資金を借り入れる際の一般的な条件について解説しました。

融資の条件は、日本政策金融公庫や信用保証協会付き融資などの制度、または金融機関ごとの商品によって異なります。そのため、実際に申請を検討する際には、必ず各金融機関や公的機関の情報を確認することが大切です。

また、希望する融資額が開業資金として適切かどうか、返済計画や金利負担に無理がないかを、事業計画書などを通じてあらかじめ整理しておくことが求められます。

さらに、どの銀行にも審査があり、準備を怠ると融資を受けられないこともあるので、事業と返済の見通しをしっかり立て、万全の準備をしたうえで審査に臨むようにしてください。

今回の記事を参考にして、融資を成功に導きましょう。


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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

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