2025.05.14

創業融資

【建設業必見】日本政策金融公庫の創業計画書の書き方や記入例を解説

建設業

読了目安時間:約 6分

建設業は開業する際に多くの資金の準備が必要となるため、日本政策金融公庫をはじめとする創業融資の申請を検討している方も多いでしょう。

創業融資の審査では創業計画書の内容を確認し、それを踏まえた面談を行うなどして融資の可否を決定します。では、審査に通過するためにはどのような点に気をつけて創業計画書を記入すれば良いのでしょうか。

本記事では、建設業の創業計画書の書き方のポイントを記入例も交えて紹介していきます。

建設業での起業・開業を目指している方はぜひ参考にしてみてください。

建設業の資金調達に有効な創業融資とは

創業融資とは

そもそも創業融資は、起業や開業の際に事業者が受けられる融資を指します。

建設業の場合は、登記許可に関連する費用や、機材・備品の購入費用などで創業初期から多額の資金が必要になるほか、受注から入金までの時間が比較的長く、安定した資金繰りが難しい傾向にあるため、資金調達の方法として創業融資を申請するケースが多いです。

創業する際に利用できる創業融資として、日本政策金融公庫が提供している融資制度と、自治体と信用保証協会、金融機関によって実施されている融資があります。

ここでは、建設業の資金調達に利用できる融資制度について見ていきましょう。

日本政策金融公庫の「新規開業資金」

日本政策金融公庫は、国民生活の向上に貢献することを目的とした政府系金融機関です。

日本政策金融公庫の新規開業資金は、新たに事業を始めようとしている方、もしくは事業開始後7年以内の方を対象に、幅広い人の創業・スタートアップを支援する融資制度で、設備資金や運転資金を調達する際に利用することができます。

新規開業資金を申し込むにあたって担保や保証人が必要なく、自己資金要件もないことから、創業したばかりの企業であったとしても、有望なビジネスであれば、多額の資金を受けやすいという点がメリットです。

信用保証協会の「保証協会付き融資」

信用保証協会は、創業者の債務を保証する公的機関です。

信用保証協会の保証協会付き融資は、信用保証協会が創業者の債務を保証することで、民間の金融機関から融資を受けやすくなり、万が一返済不能になった場合に、信用保証協会が創業者の代わりに金融機関へ借入金を返済する仕組みとなっています。

信用保証協会は、創業者向けの保証制度を多く用意しているので、創業融資を受けたい人は保証制度の概要を確認してみると良いでしょう。

建設業向け創業計画書の書き方を解説

創業計画書の書き方

創業計画書の定型フォーマットは日本政策金融公庫の公式サイトからダウンロードができるので、各項目の書き方を把握して作成してみましょう。

日本政策金融公庫 国民生活事業 各種書式ダウンロード

創業計画書の主な項目は以下のとおりです。

  1. 創業の動機
  2. 経営者の略歴等
  3. 取扱商品・サービス
  4. 取引先・取引関係等
  5. 従業員
  6. お借入の状況
  7. 必要な資金と調達方法
  8. 事業の見通し
  9. 自由記述欄

それぞれの書き方のポイントや記入例について説明していきます。

①建設業経営者の創業の動機

起業に対する熱意が見られる項目です。

建設業界は独立して開業するケースが多いため、創業の熱意とともに、これまでの経験や起業するまでにしてきた準備、創業に対する思いを分かりやすくまとめましょう。

また、家族や周囲からのサポートを得られているかも重要なポイントです。

創業期は経営が安定していないことも多く、資金面で苦労するケースもあるため、以下のように周囲のサポートが得られているかも、融資審査において事業継続が可能かを判断する材料になるため、計画書に盛り込むと良いでしょう。

  • 創業に関して家族が応援している
  • 知人や友人から社員として一緒に働いてくれる
  • これまで関わりがあった企業との取引が約束されている

②建設業経営者の略歴等

この項目では、これまでの建設業での経験や実績、保有する資格などについて記入します。

創業者の能力や信用性を判断する上で大切な要素となるため、融資担当者に専門性をアピールできる経験や資格があれば漏れなく記入してください。

【融資審査に有利な建設業許可と資格】

  • 一般建設業許可
  • 特定建設業許可
  • 施工管理技士
  • 土木施工管理技士
  • 建築士
  • 建設業経理士
  • 宅地建物取引士
  • ファイナンシャルプランナー

③建設業の取扱商品・サービス

この項目では、どのような建設工事やサービスを提供するのかを詳しく記入します。

建設業においては、以下のように工事の種類や対象となる物件が企業によって異なります。

  • 新築工事(注文住宅、戸建て住宅、アパート、マンション、商業施設など)
  • 改修工事(住宅、店舗、オフィスビルなど)
  • リフォーム(キッチン、浴室、トイレ、店舗の内装など)
  • 土木工事(道路、橋梁、トンネルなど)
  • その他専門技術(耐震補強、省エネ対策、災害対策など)

そのため、サービスの内容と売上シェアを明確にして、事業の全体像を把握できるようにしましょう。

建設業における「取扱商品・サービス」の各項目のポイントや記入例について以下にまとめました。

取扱商品・サービスの内容具体的に提供するサービスと売上シェアを記入
記入例:住宅リフォーム(売上シェア100%)
セールスポイント事業の強み、競合他社と差別化できる点を記入
販売ターゲット・販売戦略ターゲットの属性やそれに合わせた販促方法を記入
競合・市場など企業を取り巻く状況市場の動向、競合他社と比較した自社の強みを記入

④建設業の取引先・取引関係等

建設業

この項目では、販売先・仕入先・外注先それぞれへの支払期日を記入します。

建設業では工事を請け負う相手だけでなく、原材料を仕入れたり、業務の一部を他社に外注したりするケースも多いですが、それに関しても取引先として適切に記載してください。

すでに見込み案件がある場合は、「工事受注見込み表」を作成し、発注書と一緒に融資申込先に提出すると、融資担当者に事業の安定性や資金回収可能性をアピールでき、融資の審査に有利に働く可能性があります。

⑤建設業の従業員

この項目は採用教育費や人件費と関わる部分で、事業の組織体制を記入します。

一人親方で業務をすべて一人で行う場合は必要ないですが、従業員を雇って運営する場合は人数を記入しましょう。

⑥建設業のお借入の状況

この項目では、創業者個人の現在の債務状況を記入します。

住宅ローン、車のローン、教育ローンなどは借入があったとしても、一度も延滞なく支払いを行っていれば、審査への影響は考えにくいでしょう。

しかし、消費者金融からの借入や、カードローンの利用は審査に不利に働く可能性があるため、なるべく完済してから、融資の申込をするのが望ましいです。

とはいえ、嘘をついていれば発覚したときに信用を失い、審査に悪影響を及ぼすため、嘘偽りなく記入しましょう。

⑦建設業の必要な資金と調達方法

資金調達

この項目は日本政策金融公庫が創業計画書の中で重視する部分で、創業に必要な資金額と、その調達方法について記入します。

設備資金と運転資金はそれぞれ必要なものを洗い出し、物品名と金額を入れていき、設備資金として計画書に記入したものに関しては見積書も併せて提出し、根拠を持たせるのが望ましいです。

なお、運転資金の融資金額は約3か月分が目安です。

そして、必要な資金と調達方法の金額の合計が必ず一致するようにします。

【建設業で必要な設備資金の例】

  • 事務所の敷金・保証金
  • 事務所の内装工事費
  • トラックや重機など車両購入費
  • 電話機、複合機、机、椅子、PC等の什器や備品の購入費 など

【建設業で必要な運転資金の例】

  • 人件費
  • 材料費
  • 外注費
  • 現場経費 など

⑧建設業の事業の見通し

この項目では、建設業の将来性をアピールします。

融資担当者は売上や収益などから毎月返済が行えるかをチェックするため、売上や収益の根拠を明確にすることが重要です。

売上の算出根拠を伝えるためには、根拠となる計算式を記入しましょう。

【建設業の売上の計算式(例)】

  • 1件の売上高×1か月の受注数
  • 1か月の売上高×原価率

※ 建設業の平均原価率は76.5%(令和2年度決算実績)

⑨建設業の自由記述欄

この項目には、追加でアピールしたいことや事業を行ううえでの悩み、ほしいアドバイス等を記入する部分ですが、効果的に利用すれば審査に有利に働きます。

融資に必要な情報は以前の項目までで記入済みですが、融資担当者にアピールできる場所なので、空欄にせず積極的に記入しましょう。

例えば、建築に関する自社のこだわり、地域貢献活動への積極的な参加、顧客満足度向上のための取り組みなど、創業者の事業に対する思いを伝えるのが効果的です。

建設業の融資を成功させる創業計画書作成のコツ

創業計画書作成のコツ

建設業は受注後入金されるまでの期間が長く、材料費や設備費用、人件費などの先行出費が多いため、創業期の資金繰りに苦労することが多いです。

そのため、創業融資の獲得は事業を継続していくために欠かせません。

ここでは、建設業の創業融資を成功させるための創業計画書の作成のコツをご紹介します。

すべて正確な情報を記入する

創業融資の融資審査において、創業計画書の内容や面談で虚偽の報告は絶対にしてはいけません。

日本政策金融公庫に限らず、すべての金融機関は計画書の数字や将来性だけでなく、事業者自身の人となりも重要視しています。

そのため、嘘が発覚した場合は融資審査に落ちるだけでなく、2回目以降の審査も通過しなくなる可能性が高いです。

担当者からの信用を得るためにも、創業計画書は抽象的な言葉を避け、見せ金で自己資金を大きく見せようとせず、すべて正確な情報を記入するようにしてください。

事業内容を明確にし他者との差別化を図る

競合他社との差別化を図り、融資機関に「この会社に融資したい」と判断してもらえるよう事業内容を明確にしてアピールすることが重要です。

特に建設業は、ターゲットや請け負う範囲によって売上や収益が大きく変わるため、事業内容や計画が曖昧だと収益性に疑問を持たれる可能性がある点に注意が必要です。

建設業でいうと、以下のように自社の強みをアピールできます。

  • デザイン性に優れた建築物を得意としている
  • IoTやAIを活用した施工技術を導入している
  • 地域貢献活動を行い、地域住民からの信頼を得ている
  • 省エネ性能の高い建物の設計など、SDGsへの取り組みを強化している

このように他社と差別化した自社の強みを分かりやすくまとめることで、融資担当者の心をつかむ創業計画書が作成できるでしょう。

説得力が増す書類を併せて提出する

創業計画書だけでは、開業予定の建設業の事業内容や事業計画を十分に伝えられない可能性があります。

より説得力を持たせるためにも、創業計画書に併せて関連する資料を提出するのが有効です。

建設業の融資審査で説得力が増す資料としては、以下があります。

  • 建設業関連の許認可・資格の証明書のコピー(建設業許可証、施工管理技士や建築士の資格証など)
  • 資金繰り表・月別収支計画書
  • 設計図、施工事例の写真など事業を説明する資料
  • 市場調査・競合分析資料 など

審査担当者は、添付資料もしっかりと目を通して判断材料とするため、融資の成功率を高めるためにも有効な資料を用意しましょう。

建設業に詳しい専門家のサポートを受ける

建設業は創業時に多くの資金を必要する事業であるため、創業融資の獲得は不可欠と言えます。

創業計画書はすべて自分自身で作成可能ですが、融資の成功率を高めるためには、税理士や経営コンサルタントなどの専門家に相談し、アドバイスや計画書作成のサポートを受けるのが有効です。

創業計画書の作成を専門家に依頼することで、以下のメリットがあります。

  • プロの視点でアドバイスがもらえる
  • 作成の手間や時間を省ける
  • 融資担当者への適切なアピールができる
  • 融資成功率が高まる

特に、建設業の融資に強みを持つ専門家であれば、どのような創業計画書で融資が成功しやすくなるのか熟知しているため、安心して任せられるでしょう。

建設業の創業融資を成功させよう

創業融資を成功させよう

建設業で開業するにあたって、設備資金に加え、売掛金を回収するまでの運転資金を準備しておかなければならないため、創業融資を獲得するためにも事前に創業計画書の書き方を確認し、説得力を持たせる内容となるよう作り込む必要があります。

今回ご紹介した各項目の要点をおさえ、創業後に事業を継続させ、十分に返済が可能であることを金融機関にアピールしましょう。

創業計画書作成に不安がある場合は、税理士をはじめとする専門家に相談するのがおすすめです。


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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

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