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起業・開業
借金があっても起業はできる?起業に必要な融資を利用できるケースについても解説

読了目安時間:約 6分
借金があっても起業は可能ですが、資金調達の際には不利になるリスクがあります。
借金があっても融資を利用できるケースを把握し、準備を整えることで、資金調達の選択肢を広げることができます。これにより、起業準備をより現実的かつ堅実に進めることが可能となります。
本記事では、借金があっても起業はできるのかについて紹介します。
また、「借金があっても起業に必要な融資を利用できるケース」や「借金があっても利用できる融資」についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
借金があっても起業はできる?

借金がある場合でも、状況によっては起業が可能なケースもあります。
しかし、借金がある状態で融資を受けるのは、審査が厳しくなる傾向があります。
借金がある状態で起業する際のハードルとなる要因について、以下で解説します。
融資審査には不利になる
事業を始める前の段階で、すでに借金がある場合、新たな資金調達時の融資審査では不利になる可能性があります。
一般的に、無借金の状態で申請をおこなった方が、融資の承認を得やすくなる傾向にあります。
また、既存の借入額が大きい場合は、その分だけ審査もより厳密におこなわれてしまうので、あらかじめ注意が必要です。
借金の返済負担が過度に大きい
借金の返済負担が現在および将来の収入から見て過度に大きいと判断された場合、融資審査は厳しくなります。
新たに事業を始める際には、申込者の返済能力が重要な判断材料となります。過去にローンの返済遅延があったり、既に多額の借り入れがある場合は、信用評価に影響する可能性があります。
なお、消費者金融などの貸金業者が行う個人向け貸付には「総量規制」があり、年収の3分の1を超える借り入れが制限されます。事業資金はこの規制の対象外ですが、金融機関の審査においては、返済能力を超える過剰な借り入れがあると判断されれば、創業融資でも通過は難しくなる傾向があります。
参考:貸金業法のキホン|金融庁
既存の借入があっても、審査を通過する余地があるケース

既存の借入があっても、審査を通過する余地があるケースについては、以下の3つが挙げられます。
- 返済能力が高い
- 自己資金を多く持っている
- 事業計画書を入念に作成する
それぞれのケースについて解説していきます。
返済能力が高い
借金がある状態で自己資金が少ない状態でも、安定した収入がある場合は、返済可能と見なされることがあります。
借金をした理由が一時的な出費への対応であり、将来的な収入によって着実に返済が見込めると判断されれば、創業時の融資審査にも大きなマイナスにはならない可能性があります。
返済能力が高ければ、借金があっても融資を受けられる可能性があります。
自己資金を多く持っている
借入があっても、手元に十分な自己資金があれば、日々の返済をこなしながらも資産を着実に形成してきたと評価される可能性が高まります。
このような場合、金融機関は返済の見込みが高いと判断し、融資を利用できる可能性が高くなります。
一方で、借入総額が自己資金を大きく上回っていると、単純に返済能力があるとは評価されにくくなります。
このような場合は、収支状況や将来の見通しなど、さまざまな観点から慎重に審査されます。
そのため、借金がある状態で融資を利用したい場合には、自己資金を可能な限り準備しておくことが、審査通過につながります。
事業計画書を入念に作成する
借金がある場合でも、しっかりと練り上げられた事業計画書を用意すれば、融資審査を通過させる可能性を高めることができます。
融資の審査では、提出する事業計画書が極めて重要な判断材料となります。
過去の経験や実績、他店との差別化、そして将来に向けた展望などが明確に記載する必要があります。
実際に、これまでの取り組みや成果は、事業継続の信頼性を裏付ける要素になります。
さらに、将来の売上や支出の予測も、過去のデータを踏まえて合理的に説明することで、現実的な計画として審査担当者に評価されやすくなります。
借金がなくても、融資審査で不利になる可能性があるケース

借金がなくても、融資審査で不利になる可能性があるケースについては、以下の5つが挙げられます。
- 滞納や遅延がある
- 自己資金が少ない
- 信用情報に問題がある
- 事業目的があいまい
- 資金使途が不適切
それぞれのケースについて解説していきます。
滞納や遅延がある
借金が資産を上回っていたり、債務超過の状態や各種支払いに遅れが出ている状態だと融資の審査で不利になるケースがほとんどです。
債務超過とは、手元にある全ての資産をもってしても借入金などの返済が難しい状態を指し、金融機関は返済能力に深刻な懸念があると判断する傾向にあります。
さらに、税金や公共料金の未払いがある場合、たとえ信用情報機関に記録されていなくとも、納税証明や決算書などの書類から、その事実が読み取られる可能性があります。
そのため、支払いに遅延がある企業は、金融機関から融資を断られるリスクが高まることを認識しておく必要があります。
自己資金が少ない
自己資金が不十分な場合、銀行からの融資を受ける際に審査が通りにくくなる傾向があります。
自己資金とは、自らが自由に使える現金などの資産を指し、他者から借り入れた資金は含まれません。
例えば、預貯金のほか、解約すれば返金される保険の返戻金や保有している株式などが該当します。
特に新たに事業を始める際に必要な資金を融資してもらうケースでは、自己資金の割合が審査において重要とされます。
一般的には、希望する融資額の3割程度の自己資金を用意しておくと、審査を通過しやすくなると考えられています。
信用情報に問題がある
借入額が多かったり、複数の金融機関から借り入れを行っている場合には、新たな融資が受けにくくなることがあります。
また、現在借金がなくても、過去に支払いの遅延があった場合には、その履歴が信用情報に残っている可能性があります。
このような信用情報の記録は、通常完済後5年ほどで消去されるとされていますが、申込み時点でその情報が残っていると、審査を通過するのが難しくなってしまうので注意が必要です。
事業目的があいまい
事業目的があいまいだと、融資を受ける際に不利になることがあります。
事業目的とは、企業の活動内容を外部にわかりやすく伝えるための記述です。
フランチャイズを開業する際には、この事業目的を定款にしっかり明記する必要があります。
そのため、事業目的があいまいだと、信頼性に疑問を持たれることがあるので注意が必要です。
資金使途が不適切
銀行から融資を受ける際には、希望する融資額とその必要性を明確に伝える必要があります。
特に、資金の具体的な使い道や金額の根拠があいまいなままだと、審査で不利になる可能性が高くなります。
実際に、資金の使途がはっきりしていない場合、別目的での使用を懸念され、融資が見送られるリスクがあるのも事実です。
また、申請する融資額が事業の規模と比べて不自然に大きい場合も、融資が認められにくくなります。
必要な資金がどのように収益に結びつくのか、その返済財源をどう確保するのかといった説明を、具体的かつ説得力のある形で示すことが重要です。
借金があったとしても利用できる可能性がある融資

借金があったとしても利用できる可能性がある融資については、以下の2つが挙げられます。
- 日本政策金融公庫
- 制度融資
それぞれの融資について解説していきます。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は、国が運営する金融支援機関です。
新たにビジネスを立ち上げる方や創業から日が浅い事業者に向けて、比較的低い利率で資金の貸し付けをおこなっています。
この機関の主な役割は、民間ではカバーしきれない事業者への資金供給を補完することで、スタートアップや中小事業者が利用しやすい制度設計になっています。
また、一般の銀行よりも融資条件が緩やかで、金利も抑えられているので、創業初期の資金繰りに不安を感じている方におすすめの融資です。
制度融資
制度融資とは、地域の自治体と金融機関、信用保証協会が連携して提供する、事業者向けの融資制度です。
自治体が信用保証料の一部または全額を補助してくれるので、利用者の経済的な負担が軽減されます。
また、貸付にかかる金利も通常より低く設定されており、資金調達のハードルを下げることが可能です。
制度融資では、まず事業者が金融機関に申し込みを行い、その金融機関が保証協会に対して信用保証を申請します。
審査に合格すると、信用保証協会が事業者に代わって保証を提供するので、万が一返済が滞った場合でも、保証協会が代わりに返済を行う仕組みとなっています。
参考:東京都中小企業制度融資
融資審査に落ちてしまった場合の対処方法

融資審査に落ちてしまった場合の対処方法には、以下の4つが挙げられます。
- 審査に落ちてしまった原因を把握する
- 事業計画書を見直す
- 専門家に相談する
- 一定期間を空けてから再申請する
それぞれの対処法について解説します。
審査に落ちてしまった原因を把握する
融資審査に落ちてしまった場合の対処方法として、まず審査に落ちてしまった原因を把握するようにしましょう。
例えば、すでに借入がある方や返済の遅れが確認されている場合、または借入額が多い場合には、返済の見込みについて厳しく見られるので、審査に通らない可能性が高まります。
そのようなケースでは、まずは既存の借入を完済した上で新たな申込みを行うか、必要な資金を見直して借入希望額を抑えることで、創業融資の審査が通りやすくなります。
借入状況以外の理由で融資を断られた場合には、審査に落ちた要因を明確にし、その問題点を改善することが重要です。
事業計画書を見直す
融資審査に落ちてしまった際には、事業計画書を見直すことも重要です。
実際に、審査に通らない主な要因として、事業計画の内容が曖昧であったり、実現可能性が低いと判断されるケースが多く見られます。
そのため、既存の計画書を一から見直し、説得力のある情報に修正・追加することが不可欠です。
特に、収益の見通しや経費の管理について、客観的かつ具体的な根拠を示すことで、計画の信頼性を大きく向上させることができます。
このように、事業計画書の質を高めて読み手に「この事業計画書なら現実的に実行可能」と思わせることが重要です。
専門家に相談する
融資審査に落ちた際の対処法の一つとして、専門家への相談が挙げられます。
プロの視点から、審査で評価されにくかったポイントや改善すべき部分を明確にしてもらえるので、次の申請での通過率を高めることができます。
特に、金融に精通したコンサルタントや税理士などに依頼することで、自社の現状や課題を客観的に分析し、具体的な対応策を練ることが可能です。
一定期間を空けてから再申請する
融資審査に落ちてしまい同じ金融機関に再び融資を申請する際は、一定期間を空けるようにしましょう。
審査に落ちた場合、すぐに再申請すること自体は可能ですが、前回と同じ計画内容のままでは再度否決される可能性があります。公庫側が特定の再申請までの期間を設けているわけではありませんが、内容の改善が見られない申請は通過しにくいため、計画の見直しや準備期間として、一定の時間を空けることが望ましいです。
融資審査に落ちた場合は、十分な準備をして、およそ半年後を目安に再申請する方が多い傾向にあります。
借金があって融資を受けたい場合にはしっかりと対策をしよう!

今回は、借金があっても起業はできるのかについて紹介しました。
借入が残っている状況でも、起業資金の融資を受けることは可能なので、起業を目指すことができます。
しかし、自己資金をある程度準備しておくことが求められたり、負債がある場合には審査の難易度が上がってしまう傾向があるので、自力での対応が困難になるケースも少なくありません。
また、一定の条件を満たし、解決すべき課題を乗り越えておく必要があるのも事実です。
今回の記事を参考にして、借金があって融資を受ける際にはしっかりと対策をするようにしましょう。
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この記事の監修者

税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。