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起業・開業
コンサルタントとして開業する流れとは?開業するメリット・デメリットや成功させるポイントも紹介

読了目安時間:約 7分
コンサルティング業は、業種にもよりますが、特別な設備投資や国家資格を必要としないケースも多く、一定の条件が整えば比較的始めやすい事業形態の一つと言えます。
ただし、実際に開業するにあたっては、適切な手続きや事業計画の策定、マーケティング戦略の検討など、事前に押さえておくべきポイントが多く存在します。
事前の準備を十分に行うことで、開業後のリスクを軽減し、より円滑に事業をスタートすることが可能になります。
本記事では、コンサルタントとして開業するまでの基本的な流れをはじめ、開業に伴うメリット・デメリット、そして成功に向けた実務上の留意点などを、税務の視点も交えながらご紹介します。
開業をお考えの方は、ぜひ本記事を参考にし、事業の方向性を明確にするとともに、安定した経営基盤を築いていきましょう。
目次
コンサルタントとして開業する流れ

コンサルタントとして開業する流れについては、以下の7つが挙げられます。
- 得意分野の棚卸しをおこなう
- 市場の分析をおこなう
- コンサルタントの経験を積む
- 事業計画書を作成する
- 資金調達をおこなう
- 開業届を提出する
- 集客をおこなう
それぞれの流れについて解説します。
得意分野の棚卸しをおこなう
コンサルタントとして独立・開業を目指すにあたり、最初に行うべきことは「自分のスキルや経験の棚卸し」です。これまで培ってきた専門知識や実務経験を整理し、自身がどの分野でコンサルティングサービスを提供できるのかを明確にすることが重要です。
コンサルティング業務は、経営戦略、IT、人事、財務、マーケティングなど、実に多岐にわたります。まずはそれぞれの領域における自分の強みや適性を見極めたうえで、最も成果を出しやすい分野を選定することが、事業の安定・成長につながります。
ただし注意したいのは、「やりたい分野」と「向いている分野」が必ずしも一致するとは限らない点です。市場のニーズや将来性、収益性といった客観的な視点も加味しながら、ビジネスとしての成長が見込める領域を見定めることが重要です。
市場の分析をおこなう
次のステップとして市場の動向を調べましょう。
どんなニーズがどの地域や層に存在するのか、価格帯の目安はどの程度か、自分が費やす労力に見合った収益が期待できるのか、そして競合となる企業や個人はどれほどいるのかをしっかり把握することが大切です。
市場の分析によって、ビジネスとして成り立つかどうか見極めることができます。
また、競合のビジネス戦略や運営の仕組みも確認しながら、自分の構想との違いや課題となりそうな要素を事前に洗い出しておくことをおすすめします。
コンサルタントの経験を積む
コンサルタントとして開業する場合、会社員としての実務経験は極めて重要な資産となります。
単にスキルを磨くだけでなく、信頼できる人脈の構築も重要です。
「どの企業に所属していたか」といった過去の経歴は、業界内での評価や信頼性に直結することもあるでしょう。
この業界では、自分自身がサービスそのものであるため、クライアントに対して「自分には何ができるのか」を明確かつ説得力を持って伝える力が求められます。
その際、過去に在籍していた企業名や実績は、信頼性を高める有効なツールとなります。
このように、コンサルティングという分野においては、他の職業以上にサラリーマンとしての経験がその後のキャリアを左右することもあるため、しっかりと実績を積むことをおすすめします。
事業計画書を作成する
将来のビジネス展開を見据えた事業計画書を作成しましょう。
事業計画書は、以下の項目を網羅する必要があります。
- 事業の目的
- 提供するサービス
- サービスの概要
- 収支の予測
- 競合他社との差別化ポイント
また、計画書を作成することで、事業の全体的なビジョンが明確になり、進むべき方向性も見えてきます。
さらに、資金調達や補助金の申請といった場面では、こうした事業計画書の提示を求められることが多く、信頼性や計画性を示す手段としても活用されています。
資金調達をおこなう
起業に必要な資金をすべて自己資金でまかなうのが難しい場合には、外部からの資金調達を検討する必要があります。
資金調達の例として、以下が挙げられます。
- 銀行などの金融機関からの融資
- エンジェル投資家などからの出資
- 国や自治体が提供する補助金・助成制度
また、新たな事業がすぐに収益を生むとは限らないので、開業資金に加え、数ヶ月分の生活費や営業にかかる経費も余裕を持って準備しておくことが重要です。
開業届を提出する
事業の方向性が定まったら、次に行うべきは正式な開業手続きです。個人で事業を始める場合、まず「個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)」を税務署に提出することで、法的に個人事業主としての開業が成立します。
開業届の提出には、以下のいずれかの方法を選ぶことができます:
- 税務署の窓口へ直接提出する
- 開業届を郵送で提出する
- e-Taxを利用してオンラインで提出する
なお、e-Taxを利用する場合には、マイナンバーカードとカードリーダー、もしくはマイナンバー対応のスマートフォンなどの準備が必要となります。
一方、法人として事業を始めるという選択肢もありますが、その場合は登記費用や定款認証費用などの初期コストに加え、赤字であっても毎年支払いが発生する「法人住民税(均等割)」など、一定の固定費がかかります。
そのため、初期段階ではリスクを抑える意味でも、まずは個人事業主として開業し、事業が軌道に乗ったタイミングで法人化を検討するのが、現実的かつ無理のない選択肢と言えるでしょう。
集客をおこなう
事業を立ち上げる上で、もっとも重要なのは顧客の存在になるので、効果的な情報発信と宣伝活動が求められます。
特に、ゼロからコンサルティング業をスタートする場合は、まず認知度を高め、顧客を獲得するための取り組みが必要です。
例えば、以下のような手段が考えられます。
- ホームページやSNSを通じた情報発信
- セミナーを開催して見込客を集める
特にSNSは手軽に始められるため、初心者にもおすすめです。
また、自分の専門分野に関連したセミナーを開き、参加者にサービスの魅力を伝えることで、より関心の高い顧客層にアプローチすることができます。
さらに、信頼性の高い「口コミ」も集客において大きな力を発揮します。
多くの人は、サービスを利用する前に他者の体験談を参考にするので、評判が良いとそれだけで関心を引きつけやすくなります。
コンサルタントとして開業するメリット

コンサルタントとして開業するメリットについては、以下の5つが挙げられます。
- 開業費用が比較的少なく済む
- 国家資格の取得が必須ではない
- 副業として起業できる
- 自分のスキルや経験を活かしやすい
- 利益率が比較的高い
それぞれのメリットについて解説していきます。
開業費用が比較的少なく済む
コンサルティング業は他の業種に比べて初期費用が比較的少なくて済むケースが多く、パソコンやインターネット環境など基本的なツールがあれば始められるのが特長です。
ただし、名刺作成やウェブサイト制作、広告宣伝費などの費用が発生することもあるため、事前に必要経費の見積もりを立てておくことが重要です。
国家資格の取得が必須ではない
コンサルティング業は、基本的に国家資格などの取得を必要としない分野であり、比較的自由度の高いビジネスとして開業することが可能です。
ただし、信頼性や専門性の証明として、一定の資格が有効に機能するケースも少なくありません。
たとえば、
- 経営支援や事業再生分野であれば「中小企業診断士」
- 会計や財務のアドバイザリー業務であれば「公認会計士」や「税理士」など
このような専門資格があることで、クライアントからの信頼を得やすくなるとともに、業務の幅を広げることにもつながります。
一方、資格を持たない場合でも開業は可能です。その場合には、これまでの職務経験や実績、具体的な支援事例などを分かりやすく提示する工夫が必要となります。
副業として起業できる
コンサルタントは、初期投資や継続的な固定費が少なく、場所に縛られずに活動できるので、副業として起業できるメリットが挙げられます。
起業にはリスクがつきものですが、最初から本業として取り組むのではなく、副業として少しずつ始めてみるのも安全な選択の一つと言えます。
コンサルタントとして実績を積み重ねながら、自信がついたタイミングで本格的な独立を目指す方法もあります。
しかし、副業をするには就業規則の確認が必要になるので、現在の勤務先で副業が禁止されている場合には注意が必要です。
自分のスキルや経験を活かしやすい
コンサルタントは、自分がこれまでに培ってきた知識や経験を最大限に発揮できる分野です。
例えば、公認会計士の資格を持っている方であれば、会計や財務を専門とする経営支援に特化したコンサルタントとして力を発揮できます。
自分の強みである専門知識やスキル、人脈といった資源を活かせる分野であれば、他社との差別化がしやすく、起業成功の可能性も高まります。
利益率が比較的高い
コンサルティング業は、物理的な商品の仕入れや在庫管理が不要であるため、固定費を抑えやすく構造的に高い利益率を実現しやすい点が大きなメリットです。
例えば、商品を仕入れて販売する小売業では、原価や在庫管理などのコストがかさみ、利益率が低くなってしまう傾向があります。
コンサルティング業は、物理的な商品仕入れや在庫管理が不要であるため、構造上は利益率が高い傾向にあります。
ただし、継続的な集客や成果提供が求められ、実際の収益性はサービス内容や営業力、顧客基盤に大きく左右される点には留意しましょう。
コンサルタントとして開業するデメリット

コンサルタントとして開業するデメリットについては、以下の3つが挙げられます。
- 競合が多い
- 営業力が必要になる
- 収入が安定しないリスクがある
以下、それぞれ解説します。
競合が多い
コンサルタントの分野によっては、従事する専門家の数が多いため、競争が激しくなりやすい傾向があります。
特に、経営全般や情報システム分野は、スキルを持つ人材が豊富なので、競合が多くなってしまうのも事実です。
一方で、法律に関する専門的かつ高度な知識が求められる分野やニッチで特化された領域においては、他の参入者が少ないことから、一定のポジションを確立しやすい場合もあります。
競合が多い状況の中で活躍するには、取得できる資格がある場合には積極的に取得し、資格が求められない分野であれば、これまでの経験や成果を効果的にアピールする工夫が必要です。
営業力が必要になる
コンサルタントとして開業するデメリットとして、営業力が求められることが挙げられます。
具体的には、自ら営業活動をおこない、信頼関係を築きながら交渉を進めていくことが求められます。
実際に、一人で開業する際には、営業面での対応も、すべて自分自身でおこなう必要があります。
このように、コンサルタントとして開業するには、経営知識や問題解決力に加えて、営業力や交渉力といったビジネススキル全般が必要と言えます。
収入が安定しないリスクがある
コンサルタントとして開業するデメリットとして、収入が安定しないリスクがあることが挙げられます。
受注できた仕事の数やその報酬の単価に大きく左右されるため、収入が不安定になりやすい傾向があります。
仕事をたくさん獲得することができれば、その分だけ収益を伸ばすことも可能ですが、反対に仕事が取れなければ、その月の収入が大幅に下がってしまうケースもあります。
また、体調を崩して仕事ができない期間があれば、その間はまったく収入が得られないリスクもあります。
コンサルタントとして開業を成功させるポイント

コンサルタントとして開業を成功させるポイントについては、以下の3つが挙げられます。
- 無料相談を実施する
- 適切な料金設定をする
- 集客に力を入れる
それぞれのポイントについて解説していきます。
無料相談を実施する
実績が少ない段階では、一定の条件下で無料相談を行うことで、サービス内容を理解してもらうきっかけとして有効です。
実績や利用者からの声が集まってくることで、徐々にサービスへの信頼も高まり、より多くの人に利用してもらいやすくなります。
また、成果に満足したクライアントが継続的に依頼してくれたり、新たな顧客を紹介してくれる可能性もあるでしょう。
ただし、無料という言葉が過度に強調されると誤解や不信感につながることもあるため、目的や範囲を明示したうえで丁寧に案内することが大切です。
適切な料金設定をする
コンサルタントの開業を成功させるポイントとして、料金の設定も重要な要素です。
市場価格よりも高めの設定をすると、よほどの信頼や実績がなければ、集客するのが難しくなってしまいます。
一方で、相場より安すぎる価格では、手間や労力に見合った収益を得るのが難しくなるリスクがあります。
料金相場は、サービスの内容や契約のスタイルによっても異なるので、自身が提供する内容に見合った価格を見極める必要があります。
そのため、市場の動向をよく把握し、バランスのとれた価格設定を心がけることが重要です。
集客に力を入れる
コンサルタントとして開業を成功させるポイントとして、効果的な集客戦略を立てることが挙げられます。
集客をおこなう具体的な方法として、以下が挙げられます。
- SNSの運用(X:旧Twitter、Instagramなど)
- ブログやホームページでの情報発信
- チラシやダイレクトメール(DM)の活用
- セミナーや勉強会の開催
さらに、口コミを通じた集客も非常に重要な要素になります。
実際に利用した人の声を参考にする人は多く、広告に頼らずに信頼を得やすいというメリットがあります。
費用を抑えつつ、成果の見込める集客施策を戦略的に組み合わせることが重要です。
自分の強みを活かしてコンサルタントとして開業しよう!

今回は、コンサルタントとして開業する流れを紹介しました。
コンサルタントとして開業を成功させるには、開業する流れを把握するのはもちろん、集客に力を入れることが欠かせません。
自分の専門分野を明確にし、自分の能力や経験、これまでの成果を積極的に伝えることで信頼を得られ、自然と顧客を増やすことにつながります。
まずは、自分の得意分野や実績を丁寧に整理し、小さな成功体験を積み重ねていくことが重要です。
今回の記事を参考にして、自分の強みを活かしてコンサルタントとして開業をしましょう。
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この記事の監修者

税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。