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起業・開業
フランチャイズに必要な開業資金とは?資金調達する方法やポイントについても解説

読了目安時間:約 7分
フランチャイズによる開業をご検討中の方にとって、必要な初期資金を正確に把握し、無理のない資金計画を立てることは非常に重要です。
そのためには、開業時に必要となる費用の内訳を事前に明確に理解し、計画的な資金調達を行う必要があります。開業資金の見積もりが不十分なまま事業をスタートすると、資金繰りの悪化を招くリスクが高まります。
本記事では、フランチャイズに必要な主な開業資金の項目とその内容について詳しく解説するとともに、資金調達の方法や、その際に注意すべきポイントについてもご紹介します。
これからフランチャイズでの開業を目指される方は、ぜひ本記事を参考に、適切な資金計画の策定と準備を進めていただければ幸いです。
目次
フランチャイズに必要な開業資金とは?

フランチャイズに必要な開業資金については、以下の5つが挙げられます。
- 加盟金
- 保証金
- 物件取得費
- 工事費
- 研修費
それぞれの開業資金について解説します。
加盟金
フランチャイズで開業をする際には、まず本部と契約を締結する必要があり、その際に初期費用として求められるのが加盟金です。
加盟金とは、本部から提供されるビジネスモデルや運営ノウハウ、さらにブランドの使用権などを得るための対価として支払われるものです。
金額はフランチャイズの業種や規模によって大きく異なりますが、中小規模のケースでは100万円から300万円程度が相場とされています。
加盟金が不要なプランも存在しますが、別の名目で費用が発生する可能性があるため、契約条件を事前によく確認しましょう。
保証金
フランチャイズは加盟金の他にも保証金が必要となる場合もあります。
保証金とは、本部が一定期間預かる形式の金銭で、平均的にはおよそ100万円程度が目安とされています。
加盟店がロイヤリティなど契約上の支払いを滞納した場合、本部が保証金から未払い分を差し引くことが契約で定められていることがあります。
そして、その差額がある場合については、後日改めて加盟店が補填する義務があります。
保証金は預かり金とされ、多くの場合、契約終了時に返金されますが、契約違反や未払いがある場合は返金されないこともあるため、契約書を確認しましょう。
物件取得費
フランチャイズでの開業を検討される際、物件取得にかかる費用は、初期投資の中でも特に大きなウエイトを占めることが一般的です。
物件取得費には、土地や建物の購入費用に加え、賃貸契約を行う場合は敷金・礼金・仲介手数料などの契約関連費用が含まれます。これらの費用は、取得形態(購入・賃貸)や契約内容によって大きく異なります。
店舗の立地や規模によっても必要資金は大きく変動し、特に広いスペースや設備を必要とする業態では、初期費用が数千万円にのぼるケースも珍しくありません。
一方、オンライン型のビジネスや、物理的な店舗を必要としない業種であれば、こうした物件取得費を大幅に抑えることも可能です。
また、フランチャイズ本部が物件取得にかかる費用を一部または全額負担するケースもあり、このような契約形態を採用している業態では、比較的少ない自己資金で開業できる可能性があります。契約前に、本部のサポート内容や費用負担の範囲について十分に確認しておくことが重要です。
工事費
店舗を開業するにあたって必要となるのが、内装および外装の工事にかかる費用です。
工事費は、営業可能な状態に整えるために必要な以下のようなものが対象となります。
- 建物の屋根の補修
- 外壁の補修・修繕費用
- 床材や天井、照明といった内装工事費など
ただし、通常の屋根や外壁補修は設備範囲外の場合もあるため、契約内容を確認してください。また、取得した物件に電気や水道といったライフラインが未整備の場合、それらの設置工事も別途おこなう必要があります。
前の店舗設備が残されている「居抜き物件」を活用すれば、改装にかかる費用を抑えられる場合もありますが、衛生面や法的基準への適合を図るための改修が求められることもあるので注意が必要です。
研修費
フランチャイズで独立開業を目指す場合、多くの本部では開業前に店舗運営や商品知識などの基本を学べる研修制度を設けています。
中には、何度でも無料で研修を受講できるところもあり、一方で研修費用が別途必要なケースも存在します。
その費用がロイヤリティの中に含まれている場合もあり、内容は本部によって異なります。
フランチャイズの開業資金を調達する方法

フランチャイズの開業資金を調達する方法については、以下の5つが挙げられます。
- 日本政策金融公庫
- 銀行融資
- 制度融資
- クラウドファンディング
- 補助金や助成金
それぞれの方法について解説します。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は、政府が全額出資している公的な金融機関であり、創業間もない事業者でも比較的低い金利で融資を受けやすい点が特徴です。
同公庫では多様な融資制度を用意しており、その中でも「新規開業資金」は創業間もない事業者が開業資金を調達する際に活用されることが多い制度です。
新規開業資金とは、創業を計画している方や創業から概ね7年以内の事業者を対象に、最高で7,200万円(そのうち運転資金として最大4,800万円)までの融資を受けることができます。
(融資条件や上限額は変更されることもあるため、必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。)
銀行融資
フランチャイズの開業資金を調達する方法として、都市銀行や地方銀行、信用金庫といった金融機関から資金を借りるプロパー融資という方法があります。
銀行融資は、開業初期には審査が厳しくなる傾向があるため、希望額や事業計画によっては融資が難しい場合もあります。
一方で、少額の借入であっても、返済をきちんとおこなうことで金融機関との信頼関係を構築できる可能性があります。
そのため、将来を見据えて銀行との継続的な取引を希望される場合は、300万円以下の比較的少額な融資から申請し、実績を積む方法も一つの選択肢として検討するとよいでしょう。
制度融資
フランチャイズを開業する際に利用できる資金調達の手段として、制度融資という仕組みがあります。
制度融資とは、地方自治体や金融機関、信用保証協会が連携して実施する公的な融資制度です。
信用保証協会が債務保証をおこなうことで、金融機関からの借り入れがしやすくなり、このように保証が付いた融資は「信用保証付き融資」と呼ばれています。
また、信用保証協会と金融機関の両方が審査をおこなうので、申し込みから融資の実行まで数か月の期間がかかる場合もあるため注意が必要です。
参考:初めての融資と信用保証
クラウドファンディング
クラウドファンディングとは、インターネット上で広く一般の人々から少しずつ資金を募る仕組みです。
実績のない事業でも、そのアイデアやコンセプトに共感してくれる支援者を集めることができれば、資金を得ることが可能です。
一般的に、クラウドファンディングの資金調達手法には以下の3種類が挙げられます。
種類 | 内容 |
購入型 | 製品やサービスをリターンとして渡す |
寄付型 | 見返りなしで資金を寄付してもらう |
金融型(投資型) | 利息などの金銭的利益を支援者に還元する |
プロジェクトの内容に応じて、適切な種類を選ぶことが重要です。ただし、金融型は規制や審査が厳しいため、事前に専門家に相談することをおすすめします。
補助金や助成金
補助金や助成金は、国や自治体が企業や個人事業主の支援を目的として提供している財政的支援制度です。
基本的に返済の義務がなく、事業運営の資金として活用できる点が大きな魅力です。
助成金は、指定された条件を満たしていれば比較的受給しやすい一方で、補助金については予算枠や申請数に応じた審査がおこなわれるので、全ての申請者が必ずしも受給できるわけではありません。
また、補助金や助成金に関する制度は頻繁に更新されるので、常に最新の情報をチェックし、タイミングを逃さずに活用することが重要です。
フランチャイズの開業資金を調達する際のポイント

フランチャイズの開業資金を調達する際のポイントについては、以下の4つが挙げられます。
- 資金使途を明確にする
- 現実的な計画にする
- 自己資金比率を高める
- 自分に合った資金調達方法を選ぶ
それぞれのポイントについて解説します。
資金使途を明確にする
資金調達をスムーズに進めるには、資金使途を明確にすることが重要です。
調達額によっては金利の負担が変わったり、審査の通過率にも影響を及ぼしたりするため、返済計画にも大きな差が出る可能性があります。
開業直後は売上実績がないため金融機関の審査は厳しくなる傾向があり、必要資金の過剰な調達は返済負担を増やすリスクがあるため、できる限り調達額を抑える工夫が求められます。
基本的には本当に必要な資金に絞ることで、過剰なリスクを回避することが大切です。初期段階では無理のない金額設定を心がけるようにしましょう。
現実的な計画にする
フランチャイズの開業資金を調達する際のポイントとして、事業計画書を現実的な内容にすることが重要です。
事業計画書とは、起業にあたってのビジネスの概要、戦略、収益予測などを体系的に整理した資料です。
実際に、担当者が融資を検討する際には、「そのビジネスが実際に運営可能か」「継続的な利益を生み出せる仕組みがあるか」などを、この計画書を通じて判断します。
納得感のある計画書を作成するには、事業の実現可能性や持続力、収益性を客観的なデータや図表を活用して明確に示すことが重要です。
自己資金比率を高める
フランチャイズの開業資金を調達する際のポイントとして、自己資金比率を高めることが挙げられます。
自己資金比率とは、開業時に必要な資金全体のうち、自ら準備したお金がどの程度を占めているかを示す割合のことです。
多くの金融機関では、この比率が融資の可否に影響を与えるので、一定の基準を設けている場合があります。
明確な基準は明文化されていないことが多いですが、一般的には開業資金総額の10~30%程度の自己資金を用意しておくことが望ましいとされています。
ただし、具体的な必要額や条件は事業内容や融資の種類によって異なるため、詳細は公庫の公式情報や専門家にご相談いただくことをおすすめします。
自分に合った資金調達方法を選ぶ
フランチャイズ開業にあたっては、資金調達方法の選定が非常に重要です。
自社にとって最適な調達手段を選ぶためには、必要な資金の金額や使い道、いつまでに資金が必要かといった点を、事前にしっかりと整理しておくことが大切です。
また、法人か個人事業主かといった事業形態、事業規模、資金が必要となるタイミングなども考慮しながら、総合的に判断する必要があります。
資金が必要だと感じたときは、まず「何のために、いくら必要なのか」を明確に書き出すようにしましょう。
その上で、現在の状況を客観的に整理することによって、現実的かつ適切な資金調達を進めることにつながります。
フランチャイズの開業資金を調達する際の注意点

フランチャイズの開業資金を調達する際の注意点については、以下の2つが挙げられます。
- フランチャイズ本部によって融資審査が通りにくくなる
- 返済計画をしっかりと立てる
それぞれの注意点について解説していきます。
フランチャイズ本部によって融資審査が通りにくくなる
フランチャイズ本部の実績や経営状況によって、融資審査の通過可能性が左右される場合があります。
信用のあるフランチャイズ本部に参加することで、金融機関はより前向きに資金の貸し出しを検討する傾向があります。
信頼のあるフランチャイズの本部では、すでに成果を上げているビジネスモデルを踏襲することで、新規出店者の成功率が高まると考えられるからです。
一方で、実績が乏しいフランチャイズ本部や、経営状態に不安がある場合は、金融機関の審査を通過するのが難しくなることもあります。
このように、融資を受けることを視野に入れる際には、自分が選ぶフランチャイズブランドの信頼性やこれまでの成果を十分に確認することが大切です。
返済計画をしっかりと立てる
返済計画はキャッシュフローの持続可能性に直結するため、現実的かつ慎重に設定する必要があります。
返済額が毎月のキャッシュフローに見合っていないと、必要な運転資金が不足し、結果として経営に悪影響を及ぼすリスクもあります。
返済期間は短いほど利息の負担は軽くなりますが、無理な返済計画では途中で資金が回らなくなる恐れもあるため注意が必要です。
そのため、毎月の返済額が収支に対して適正かどうかを丁寧に見極め、無理のない計画を立てることが健全な経営につながります。
フランチャイズに必要な開業資金を把握しておこう!

今回は、フランチャイズに必要な開業資金を紹介しました。
フランチャイズで開業を目指す場合、まとまった初期費用を見込む必要がありますが、業種や条件により範囲が大きく異なるため、具体的な見積もりが重要です。
初期投資には加盟金や保証金、店舗物件の取得費用のほか、備品購入費や設備工事費、初期人件費など多岐にわたる費用が含まれます。
何にどれくらいの費用がかかるのかを、事前にしっかりと洗い出しておくことが重要です。
今回の記事を参考にして、フランチャイズに必要な開業資金を把握しておきましょう。
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この記事の監修者

税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。