2025.08.14

法人化

1人社長は儲かるのか?1人社長のメリット・デメリットや儲かるためのポイントも徹底解説

1人社長 儲かる

読了目安時間:約 7分

1人で会社を経営する場合、その成果は取り組み方や事業内容によって大きく異なります。

一般的に、少人数での経営は固定費を抑えやすいため、効率的に利益を確保できる可能性があります。ただし、経営計画や業務設計が不十分だと、業務負担が増える一方で収益が伸びにくい状況に陥ることもあるのです。

本記事では、1人社長としてのメリット・デメリット、収益性を高めるための留意点について解説します。

1人社長は儲かるのか?

1人社長は儲かるのか?

1人社長が儲かるかどうかは、経営者自身のスキルやどのような事業内容であるかが重要です。

ただし、社員を雇わずに経営することで人件費などの固定費を抑えやすい点や、法人化することで個人事業主とは異なる税務上のメリットを得られる場合があり、一定の規模までは「1人社長の方が利益を確保しやすい」と考えられています。

さらに、経営者自身のスキルや日々の努力がそのまま成果に直結する点も強みの一つです。

1人社長としてのメリット

1人社長としてのメリット

1人社長のメリットとして、以下の6つが挙げられます。

  • コストを抑えることができる
  • 有限責任になる
  • 意思決定が早い
  • 自由な働き方ができる
  • 税制面で有利になる
  • 社会的信用が高まる

コストを抑えることができる

1人社長のメリットとして、人件費やオフィス維持費をほとんどかけずに済むため、スタート時のコストを最小限に抑えられる点が挙げられます。

例えば、自宅を仕事場として活用したり、必要最低限の機材だけを整えたりすることで、無駄を省きつつ利益率を高められます。ノートパソコンとスマートフォンのみでビジネスを始められる場合もあるでしょう。

そのため、従業員を複数抱えるよりも低いコストで、利益を得られる仕組みを作ることが可能です。

有限責任になる

個人事業主から法人化し1人社長になると、無限責任から有限責任へと変わります。

個人事業主の場合、事業上の負債や責任をすべて自分自身の財産で背負う必要がありますが、個人事業主から法人化し「1人会社の代表」となれば、自身の責任の範囲を限定できるようになります。

法律上「個人」と「法人」は別の存在とみなされ、会社の活動によって生じた債務は法人そのものが負担する仕組みとなっているためです。ですから、個人的な連帯保証をしていない限りは、会社に万が一のことがあっても、個人の資産が直接差し押さえられることはありません。

そのため、負債や責任を背負うリスクを防ぐ手段として、働き方自体は変えずに「法人化して1人社長になる」という選択肢は十分に検討の価値があると言えます。

ただし、金融機関からの借入に際して個人保証を求められる場合や、不正・違法行為に対する責任は別途問われる点には注意が必要です。

参考:有限責任と無限責任について教えてください。 | ビジネスQ&A

意思決定が早い

1人社長のメリットとして、意思決定が早い点も挙げられます。

組織規模が大きい場合、意思決定に多くの人が関わるため、結論に至るまでのスピードが遅くなり、結果としてチャンスを逃してしまう場合があります。一方、1人社長であれば、判断権限はすべて本人に集約されているので、社内の承認プロセスに時間がかかりません。

そのため、市場環境の変化や顧客の要望に対して柔軟かつ素早く対応でき、自社サービスの改良や新しい取り組みを即座に実行できる点が大きな競争優位性となります。

自由な働き方ができる

法人化して1人社長になると、自らの判断で仕事の進め方を決められるため、働く時間や場所の自由度が高まる場合があります。

特に、インターネットを活用する業種であれば、自宅やコワーキングスペースなど好きな場所で業務に取り組むことが可能です。また、収益性の高い仕組みを作り上げれば、長時間働かなくても利益を確保できる場合もあり、仕事と生活のバランスを取りやすいのも魅力の一つです。

このように、自分にフィットした柔軟な働き方を実現できる点は、1人社長ならではの強みと言えます。

税制面で有利になる

1人社長は、個人事業主と比較して、税制面で多様な優遇措置を受けられるメリットがあります。

法人は赤字を翌年度以降に繰り越せる年数が長く設定されていたり、経費として認められる範囲が広がったりするなどの特徴があります。また、利益が一定規模を超えると、法人税率の方が個人の所得税率よりも低くなるケースが多く、結果として税金の負担を軽減することが可能です。

さらに、社長自身に役員報酬を支払うことで所得を分散させ、効率的に税額を抑える方法も取れます。

このように、1人社長は個人事業主よりも税制面で有利になり、収益の仕組みを整えやすい立場にあると言えるでしょう。

ただし、事業規模や利益水準によっては必ずしも法人化が有利になるとは限らないため、具体的なシミュレーションは税理士に相談することをおすすめします。

参考:国税庁|法人税の税率

社会的信用が高まる

法人は契約面や取引先との関係において、個人事業主より信頼を得やすい傾向があります。

社会的信用力を高めることができれば、銀行からの融資を受けやすくなったり、投資家からの資金提供を受けやすくなったりする点がメリットです。実際に、法人を対象とした補助金や助成金の制度は豊富に用意されています。

また、法人とのみ契約する方針を持つ会社も少なくないため、法人化することで新たな取引先を得やすくなるメリットもあります。そのため、1人社長になって社会的信用度を高めることができれば、新しい顧客やパートナー企業が増え、事業規模の拡大にもつながるでしょう。

ただし、融資や投資を受けやすくなるかどうかは、事業の実績や財務状況、経営者の信用力などにも左右されるため、法人化すれば必ずしも有利になるわけではありません。

参考:中小企業庁|小規模事業者持続化補助金について

1人社長としてのデメリット

1人社長としてのデメリット

1人社長の主なデメリットとして、以下の4つが挙げられます。

  • 会社設立に費用が発生する
  • 事業拡大が難しい
  • 事務処理の手間が増える
  • 会社と個人の資金は明確に分ける必要がある

会社設立に費用が発生する

1人で会社を立ち上げる際には、設立時はもちろん、廃業時にも一定の費用や手続きが必要になるデメリットがあります。

具体的に、会社を設立する際には、定款の認証料や登録免許税といったコストが発生し、以下のような費用が必要です。

項目必要な費用
株式会社を設立する場合22万〜25万円程度
合同会社を設立する場合10万〜12万円程度

このように、設立費用にかかるコストも見越して準備しておくことが大切です。

また、会社の設立や廃業の手続きは専門知識を求められることが多いため、スムーズに進めたい場合は税理士など専門家に相談することもおすすめです。なお、専門家へ依頼する場合、別途費用が発生します。

参考:法務局|商業・法人登記申請手続き

事業拡大が難しい

1人社長の場合、業務を担える人員が限られるため、体制次第では事業拡大のスピードに制約が生じやすい点がデメリットとして挙げられます。

事業を大きくしていくには、まず作業の効率化が欠かせません。売上は社長自身の労働量に大きく左右されるので、何も手を打たなければ成長し続けることは難しいです。

そのため、営業活動や事務処理など外部へ任せられる業務については、外注やフリーランスへの委託も検討しましょう。こうした仕組みを導入することで、実質的には1人であってもチームのような体制を築け、事業全体の生産性を高められる可能性があります。

事務処理の手間が増える

法人化に伴い、申告や届出など事務処理の種類は増える傾向にあります。

特に、一人で会社を切り盛りする場合、社内に事務を任せられる人材がいないため、効率化ツールを活用したり、税理士などの外部専門家へ依頼したりするケースが多く見られます。その際、利用料や顧問料といった追加の費用が発生します。

そのため、法人化による事務処理にかかる時間や、外部に依頼した場合の費用をあらかじめ見込んでおく必要があるでしょう。

会社と個人の資金は明確に分ける必要がある

1人社長は、法人が保有する資金を自由に扱うことは許されていないため、会社と個人の資金は明確に分けましょう。

会社の資金を私的な目的で使用したりした場合には、業務上横領罪などの刑法責任に問われる可能性があります。

1人社長が儲かるためのポイント

1人社長が儲かるためのポイント

1人社長が儲かるためのポイントとしては、以下の3つが挙げられます。

  • 外部リソースを活用する
  • 競合他社との差別化を図る
  • 複数の取引先を開拓する

それぞれのポイントについて解説していきます。

外部リソースを適切に活用する

1人で会社を経営していく場合、すべての業務を自分で抱えると負担が大きくなり、事業の成長を妨げることもあります。そのため、外注や業務委託をうまく取り入れて負担を軽くするのも有効です。

仮に社員を直接雇用すると、人件費や社会保険料といった固定的なコストが発生し、さらに従業員の生活を守る責任も伴います。一方、外部リソースを活用すれば、業務量に応じて柔軟に依頼でき、固定的な人件費を抑えながら効率的に事業を進めることが可能です。

また、業務委託にかかる費用は、適切な契約や実態が伴っていれば経費として処理できるため、資金繰りの面でもプラスに働きます。

参考:厚生労働省|社会保険適用拡大特設サイト

競合他社との差別化を図る

1人社長が安定した収益を目指すには、自社ならではの強みを活かして競合と差別化することが大切です。

新しいアイデアを一から生み出すのは難しくても、既存のサービスに独自の工夫を加えることで、お客様に選ばれやすい仕組みを構築できます。また、簡単には模倣されにくい仕組みにすれば、高収益を維持しながら価格競争を避けられる可能性があります。

さらに、大手が参入しにくいニッチな分野に注力すれば、特定の顧客ニーズに応えやすくなり、長期的な成長基盤を築ける可能性があります。

複数の取引先を開拓する

1人で会社を経営して安定した収益を目指す場合、特定の取引先に依存しすぎると、万が一その取引がなくなった場合に経営への影響が大きくなります。そのため、複数の取引先を持ち、売上を分散させることで安定した経営につながります。

取引先と深い関係を築くこと自体はメリットもありますが、その相手が倒産したり契約を終了したりすれば、事業の売上が一気に途絶える危険性があるのも事実です。一方で、複数の取引先を確保しておけば、急な売上の落ち込みや経営上のリスクを軽減できるだけでなく、取引条件を交渉する際に優位に立ちやすくなります。

また、顧客基盤を広げることで新しいビジネスチャンスが生まれる可能性もあります。持続的に成長するためには、既存の取引先との関係を大切にしつつ、新しい顧客や販路を積極的に開拓していくことが重要です。

1人社長として法人化を検討するタイミング

1人社長として法人化するべきタイミング

個人事業主から法人化して「1人社長」として活動することは、節税や信用力の向上につながる可能性があります。ただし、最適なタイミングは事業の状況や将来の見通しによって変わります。

1人社長として法人化を検討するタイミングは、以下の3つです。

  • 年収が800万円を超えたとき
  • 年間売上が1,000万円を超えたとき
  • 事業拡大を検討しているとき

それぞれのタイミングについて解説していきます。

年収が800万円を超えたとき

一人社長として法人化を検討するタイミングとして、年間の所得(利益を含む)が 800万円を超えたころが挙げられます。

個人事業主の所得が800万円を超えるあたりから、累進課税の影響で税率が上がり、税負担が大きくなってきます。
しかし、法人化することで法人税率が適用され、役員報酬などを通じて所得分散を図れる場合もあり、結果的に節税につながるケースもあるのです。

こうした仕組みを活用すれば、より効率的に利益を確保できるようになるでしょう。

ただし、法人化には社会保険料の負担増や設立・維持コストが伴うため、メリット・デメリットを比較検討することが大切です。

年間売上が1,000万円を超えたとき

売上が年間で1,000万円を超えたあたりは、個人事業主から法人化して1人社長になることを検討するタイミングと言えます。

個人事業主の場合、売上が1,000万円を超えると、2年後から消費税の納税義務が発生します。

一方で、法人を設立すれば、一定期間は消費税の免税事業者としてスタートできる場合があり、結果的に税負担が軽くなり、利益を残しやすい状況を作れる可能性があります。そのため、手元資金に余裕を持たせながら事業を回すことが可能です。

しかし、インボイス制度により既に課税事業者として登録している場合は、このメリットを享受できないケースもあるので、法人化のタイミングは慎重に判断する必要があります。

参考:国税庁|納税義務の免除

事業拡大を検討しているとき

事業拡大を考え始める時期は、1人社長を検討する良いタイミングと言えます。

法人格を持つことで、資金調達の手段が増えるだけでなく、法人を対象とした補助金や助成金の申請が可能になることもあり、事業の成長を後押しする制度を活用しやすくなります。

また、法人であれば社会的な信用度も高まり、大手企業からの案件を受けやすくなります。その結果、新規の顧客や取引先とのつながりが生まれやすくなり、長期的に収益を拡大できる基盤を築くことも可能です。

1人社長として儲かる仕組みを構築しよう!

1人社長として儲かる仕組みを構築しよう!

今回は、1人社長は儲かるのかについて紹介しました。

1人会社の経営が利益を生みやすいと言われるのは、社員を抱えないために人件費や研修費といった固定費を大幅に抑えられる可能性がある点や、個人事業主よりも法人の方が税制上で優遇措置を受けやすいといった理由が挙げられます。

しかし、1人社長として成果を上げるためには、節税効果を最大限に取り入れる一方で、法人化によって生じる手間やリスクもあるため、これらを冷静に把握することも重要です。

長期間で事業の方向性を考え、自分の生活とのバランスを意識した経営計画を立てることにより、1人社長として儲かる仕組みを築けるようになるでしょう。


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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

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