2025.10.15

会社設立

会社設立に必要な準備とは?メリットや注意点についても徹底解説

会社設立 準備

読了目安時間:約 7分

会社設立には、定款の作成や法務局への登記申請など、さまざまな準備や手続きが必要です。

一見すると複雑に感じるかもしれませんが、必要な手順を理解し、計画的に進めればスムーズに会社を設立することができます。

本記事では、会社設立に必要な主な準備内容をわかりやすく紹介します。
あわせて、「会社設立のメリット」や「設立時に注意すべきポイント」についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

会社設立に必要な準備

会社設立に必要な準備

会社設立にあたっては、いくつかの重要な準備が必要です。一般的に必要とされる主な手順は、以下の5つです。

  • 会社の基本情報を決める
  • 必要に応じて法人用の印鑑(実印)を作成する
  • 定款を作成し、公証役場で認証を受ける
  • 資本金の払い込みをおこなう
  • 法務局へ登記申請をおこなう

それぞれの項目について解説していきます。

会社の基本情報を決める

会社を設立する際には、まず会社の基本事項を整理しておくことが重要です。
これらの内容は、後に作成する定款や登記申請書に反映される情報となるため、早い段階で検討しておくと手続きがスムーズに進みます。

主に検討すべき基本情報は以下のとおりです。

  • 項目①:社名(商号)
  • 項目②:所在地
  • 項目③:資本金
  • 項目④:設立日
  • 項目⑤:事業目的
  • 項目⑥:会計年度
  • 項目⑦:株主構成
  • 項目⑧:役員構成

それぞれの項目について解説していきます。

参考:日本公証人連合会|定款等記載例(Examples of Articles of Incorporation etc)

項目①:社名(商号)

会社の名称は「商号」とも呼ばれ、企業の顔ともいえる重要な要素です。

社名には、事業内容をイメージしやすいものや、会社の雰囲気や理念を表現するものなど、さまざまな決め方があります。

個人事業から法人化する際には、これまで使用していた屋号を継続して使用することも可能ですが、すでに他社が商標登録している名称や著名な企業名に類似する場合は注意が必要です。また、特定の団体や業界を連想させる名称を用いる際は、法的な制限や誤解を避けるため事前の確認が望ましいです。

そのため、社名を決定する前には、既存の商号や商標と重複していないかを確認しておくことが重要です。

項目②:所在地

所在地とは、会社や事業の拠点として登記上登録する住所を指します

法的な所在地として登記する場所であり、必ずしも実際の業務場所と一致している必要はありません。ただし、税務署や行政機関からの連絡、銀行口座の開設、各種契約などでは、実際に業務を行う場所が求められる場合があるため注意が必要です。

自宅を事務所として登録したり、レンタルオフィスやバーチャルオフィスの住所を利用することも可能ですが、それぞれ利用条件や信用上の制約があります。

また、事務所を移転する場合は、登記内容の変更手続きと登録免許税が発生しますので、将来的にも継続して業務を行う見込みのある場所を所在地として設定することが望ましいです。

さらに、同一の住所で同じ種類の法人形態において、既に同じ商号(社名)が登記されている場合は、新たに同じ商号で登記することはできません。事前に確認しておくことをおすすめします。

項目③:資本金

会社法上、資本金に最低額の規定はないため、1円から会社を設立することは可能です。

ただし、実務上は資本金の額が極端に少ない場合、金融機関での融資審査や取引先からの信用判断に影響することがあります。特に設立直後は決算書がないため、資本金の額は会社の資金的基盤の目安のひとつとなります。

そのため、将来的な事業展開や資金繰りを踏まえ、無理のない範囲で適切な金額を設定することが望ましいでしょう。

参考:国税庁|4 資本金等の額及び資本等取引

項目④:設立日

会社の設立日は、法務局に登記申請を行った日が正式な日付として記録されます。

設立日は任意に設定することができるので、記念日や縁起の良い日など特定の日付にしたい場合には、申請までのスケジュールを逆算して準備を進めるようにしましょう。

しかし、郵送時に希望の日付を記入しても、法務局の休業日や書類不備などの事情により、指定した日が設立日として認められない場合があるので、余裕をもって手続きをおこなうことが大切です。

参考:商業・法人登記申請手続 – 法務局 – 法務省

項目⑤:事業目的

事業目的とは、会社がどのような分野で、どのような活動を行うかを示すための項目です。

定款に記載する際は、事業内容を分かりやすく整理しておくことで、取引先や金融機関などに会社の活動内容を伝える際の参考となります。

事業目的は、一貫性や具体性を意識して記載すると良いでしょう。

また、事業内容を変更する場合は、定款の変更手続きと登記手続きが必要となります。登記申請の際には、登録免許税が発生する点にも注意が必要です。

項目⑥:会計年度

会社は、法律に基づき、一定期間ごとに決算書を作成する義務があります。決算書を作成するための期間を「会計年度(事業年度)」と呼び、原則として1年間の期間で設定します。

会計年度を設定する際には、まず決算月を決める必要があります。会社法上、会計年度は1年を超えない範囲であれば自由に設定可能です。

また、決算期には売上や経費の集計、在庫の棚卸などの業務が発生します。そのため、多くの企業では、業務の繁忙期を避けて決算月を設定する傾向があります。

項目⑦:株主構成

株主の構成とは、株式会社において「誰がどの程度の株式を保有しているか」を示すものです。

株主とは、会社設立時に資金を出資して株式を取得する人だけでなく、会社の存続期間中に株式を保有する権利者も含まれます。

設立準備段階では、出資者は「発起人」と呼ばれ、会社設立に必要な手続きを行います。発起人は取締役を選任する役割を担いますが、手続き上の条件を満たすことで、自分自身を取締役として選任することも可能です。

項目⑧:役員構成

役員とは、会社の経営や運営を担当する立場の人を指し、取締役・代表取締役・監査役などが該当します。

株式会社を設立する場合、最低でも1名の取締役を選任すれば手続きが可能です。個人で会社を設立する場合は、発起人である自分自身が取締役となるケースもあります。

発起人(株主)と取締役を兼任することも可能です。

また、取締役会を設置する会社や、資本金5億円以上または負債総額200億円以上の大規模株式会社では、法律により監査役等の設置が義務付けられています。

必要に応じて法人用の印鑑(実印)を作成する

会社を設立して法務局に登記申請を行う際には、会社の実印(会社代表者印)が必要になります。
社名が決まったら早めに実印を作成し、印鑑届書も準備しておくと手続きがスムーズです。

印鑑届書とは、会社の実印を法務局に登録するための書類であり、個人の印鑑登録証明のような役割を果たします。なお、2021年2月15日の法改正により、オンラインでの登記申請では実印の提出は任意となりました。ただし、書面で申請する場合は実印が必要です。また、会社設立後も契約書や公的書類への押印など、実印を使用する場面は依然として存在します。

さらに、実印とあわせて、法人口座開設に使用する「銀行印」や、請求書・納品書などに押印する「角印(社判)」も設立段階で作成しておくと、各種手続きを円滑に進めることができます。

参考:法務省|印 鑑 ( 改 印 ) 届 書

定款を作成し、公証役場で認証を受ける

定款とは、会社の基本情報や運営ルールをまとめた「会社の基本指針」となる書類です。

会社法では、定款に記載すべき事項が定められており、特に以下の項目は必ず記載する必要があります。

  • 事業の目的
  • 商号(会社名)
  • 本店所在地
  • 出資財産の価額または最低額
  • 発起人の氏名および住所

これらの情報が欠けている場合、定款として認められないことがありますので、注意して作成しましょう。

また、定款の認証手続きは、公証役場に提出して公証人による認証を受ける必要があります。ただし、認証が必要なのは株式会社・一般社団法人・一般財団法人で、合同会社は認証手続きが不要です。合同会社の場合でも、定款の内容は法的に効力を持つため、正確に作成することが大切です。

参考:日本公証人連合会|定款等記載例(Examples of Articles of Incorporation etc)

資本金の払い込みをおこなう

定款の認証手続きが完了したら、次に資本金の払い込みを行います。

この段階では、多くの金融機関で法人名義の銀行口座を開設できないため、一般的には発起人個人の口座を利用して資本金を振り込みます。

払い込みが完了したら、資本金の払い込みを証明する書類を準備します。

具体的には、通帳の表紙や銀行名・支店名・銀行印が確認できるページ、振込内容が記載されたページのコピーを必要な範囲で用意しておくと安心です。

参考:国税庁|4 資本金等の額及び資本等取引

法務局へ登記申請をおこなう

会社設立の登記申請は、法務局に必要書類を提出して行います。申請時に一般的に必要となる書類は以下の通りです。

  • 登記申請書
  • 登録免許税の納付書類(収入印紙を貼付した納付用台紙)
  • 定款
  • 発起人の決定書
  • 設立時取締役の就任承諾書
  • 設立時代表取締役および設立時監査役の就任承諾書
  • 設立時取締役の印鑑登録証明書
  • 資本金の払込みを証明する書類
  • 印鑑届出書
  • 登記すべき事項を記載した書面や電子媒体(CD-Rなど)

登記申請に不備がなければ、通常は1〜2週間程度で手続きが完了します。ただし、申請内容や法務局の状況によって期間は前後することがあります。もし書類に不備がある場合は、法務局から修正依頼が通知されます。登記完了の際に通知が届くかどうかは法務局によって異なるため、必要に応じて完了確認を行うことをおすすめします。

参考:商業・法人登記申請手続 – 法務局 – 法務省

会社設立にかかる費用

会社設立にかかる費用

株式会社を設立する際には、登記費用のほかに、定款の認証手数料や会社印の作成費用など、さまざまな手続き関連費用が発生します。

一方で、合同会社の場合は、定款認証が不要であるため、株式会社と比較すると設立費用を抑えやすい傾向があります。ただし、設立費用は資本金や手続きの依頼方法によって変動するため、あくまで目安として確認しておくことが重要です。

費用項目金額の目安支払先
定款に貼付する収入印紙代約4万円公証役場
定款認証手数料約5万円公証役場
株式払込事務取扱手数料払込資本金の約0.25%銀行など
登録免許税払込資本金の約0.7%登記所
印鑑作成費5,000円〜5万円程度印章店など
司法書士等への依頼費用契約内容により異なる委託先

これらの費用は会社設立に必要なものであり、あらかじめ全体の予算を把握して準備することで、手続きをスムーズに進めることができます。

参考:国税庁|No.7191 登録免許税の税額表

会社設立をするメリット

会社設立をするメリット

会社設立には、主に以下のようなメリットが考えられます。

  • 社会的な信頼性の向上
  • 節税の可能性
  • 社会保険への加入

それぞれのメリットについて解説していきます。

社会的な信頼性の向上

会社を設立することで、個人事業主として活動する場合と比べ、対外的な信用や信頼性が高まる場合があります。

法人格を持つことで、取引先や金融機関から経営の安定性が評価されやすくなることもあり、取引先が法人に限定されている場合には、法人化が有利に働くこともあります。

また、組織としての信頼性が高まることで、優秀な人材の採用や確保がしやすくなる点も、会社設立のメリットの一つです。

節税の可能性

個人事業主の場合、所得に応じて課されるのが所得税で、累進課税制度により所得が増えるほど税率も上がります。最高税率は45%で、高所得ほど税負担が大きくなる仕組みです。

一方、法人の場合は法人税が課されます。資本金1億円以下の中小企業では、課税所得800万円までは概ね15%、800万円を超える部分には23.2%程度の税率が適用されます。

法人を設立すると、経営者は会社から「役員報酬」として給与を受け取る形になり、一定の条件を満たせば損金として扱われ、課税所得の計算上控除されます。さらに、法人では経費として計上できる範囲が広く、青色申告を活用すれば、欠損金(赤字)を最長10年間繰り越すことも可能です。

そのため、所得の規模や経営状況によっては、法人化による税務上のメリットを享受できる場合があります。ただし、実際の節税効果は個別の状況によって異なるため、具体的な判断は税理士に相談することが推奨されます。

参考:国税庁|No.2070 青色申告制度

社会保険への加入

会社を設立すると、法人として社会保険に加入できるようになります。

社会保険に加入すると、傷病手当金や出産手当金などの給付を受けられるほか、社員は労災保険に加入可能です。また、厚生年金に加入することで、国民年金のみの場合より将来受け取る年金額が増える場合があるのです。

健康保険・厚生年金・労災保険への加入は、従業員にとって安心材料となり、福利厚生の充実にもつながります。このため、社会保険制度の活用は、職場の信頼性向上や優秀な人材の採用・定着に寄与する可能性があります。

参考:日本年金機構|事業主の方 社会保険事務担当の方

会社設立する際の注意点

会社設立する際の注意点

会社設立する際の注意点として、以下の2つが挙げられます。

  • 登記完了までに期間がかかる
  • 赤字でも納税義務がある

それぞれの注意点について解説していきます。

登記完了までに期間がかかる

会社を設立して登記を行う際には、登記申請書や定款など複数の書類を準備して提出する必要があります。

手続きが完了するまでの期間は、書類の準備状況や法務局の処理状況により異なりますが、一般的には1〜2週間程度かかるケースが多いです。

そのため、設立日を計画する際は、余裕をもってスケジュールを立てることが重要です。

赤字でも納税義務がある

法人の場合、決算で赤字となった場合でも、地方自治体に対して一定の税金を納める必要がある場合があります。代表的なものが法人住民税です。

法人住民税は、大きく分けて2種類あります。ひとつは、法人税額をもとに算出される「法人税割」、もうひとつは資本金の額や従業員数に応じて定められる「均等割」です。

法人税割は、会社に利益が出た場合に課税されます。一方、均等割は赤字であっても課税対象となるため、法人として登録している限り、利益が出ていない年でも一定額の住民税が発生することがある点に注意が必要です。

参考:地方税制度|法人住民税 – 総務省

会社設立は計画的に準備しよう!

会社設立は計画的に準備しよう!

今回は、会社設立に必要な準備についてご紹介しました。

会社を設立する際には、定款の作成・公証人による認証、資本金の払込み、法務局への登記申請など、複数の手続きを順序立てて進める必要があります。これらの手続きには、一定の時間や費用がかかるため、事前に計画的に準備を進めることが大切です。

会社設立の手続きは複雑に感じるかもしれませんが、正確な知識を持ち、必要に応じて税理士や専門家のサポートを受けながら進めることで、スムーズに設立を進めることが可能です。

本記事を参考に、会社設立は計画的かつ確実に準備しましょう。


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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

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