2025.11.6

創業融資

創業計画書の記入例と書き方のポイント!税理士が解説する融資に通る作成法とは

創業融資

読了目安時間:約 8分

創業計画書は、金融機関や日本政策金融公庫への融資申請、補助金申請の際に必要になるなど重要な書類です。

本記事では、具体的な記入例を交えつつ、文章の書き方や数字の根拠の示し方、競合分析や資金計画のポイントまで、審査に通りやすい創業計画書作成の方法をわかりやすく解説します。

初めて創業計画書を作成する方も、ひとつずつ整理しながら形にしていきましょう。

創業計画書とは?提出する目的と使われ方

創業計画書とは?提出する目的と使われ方

創業計画書は、創業時に作成する事業に関する計画書で、事業を始める人が「どんなビジネスを行うのか」「どれくらいの売上や利益が見込めるのか」などを整理して示すものです。

金融機関や行政は創業計画書も参考にしながら、事業の実現可能性や返済能力を判断します。特に日本政策金融公庫などで融資を受ける場合は、計画書の内容が審査結果に直結するため、正確で説得力のある作成が求められます。

ここでは、創業計画書が必要になる場面や、金融機関や行政がどのポイントを重視するのかを説明しますので、書き方の全体像を押さえましょう。

創業計画書が必要になるシーン

創業計画書は、融資申請だけでなく、補助金の申請など、事業を始める際のさまざまな場面で提出を求められることがありますが、主な提出先は金融機関で、融資申請の際に必要になる場合が多いです。

特に日本政策金融公庫の融資申請においては、計画書を提出することで「この事業は返済可能か」「リスク管理は十分か」といった審査が行われます。

また、商工会議所や自治体の創業支援プログラムでも、計画書を基に専門家からのアドバイスや支援が受けられる場合があるため、創業計画書を作成しておくことが創業準備をスムーズに進めるためのポイントです。

参考:日本政策金融公庫|融資制度を探す

金融機関はどこを見ている?審査のポイント

金融機関は、単に売上や利益の予測が現実的かどうかだけでなく、自己資金の額、借入希望額とのバランス、返済計画の具体性、そして事業の独自性や実現可能性を総合的にチェックします。

数字の根拠や市場調査の内容が明確であるほど信頼性が増し、融資担当者の評価も得られやすいです。

また、「なぜ自分がこの事業を行うのか」という経営者の意欲や経験も重視されるため、事業への熱意が伝わる文章を創業計画書に盛り込むことでプラスに働きやすくなるでしょう。

事業のアイデアを整理するのにも役立つ

創業計画書は資金調達の際に最も重要な資料ですが、事業の成功可能性を高めるためにも作成しておくことが有効です。計画を整理しておくことで開業後の事業運営や資金管理の指針として非常に役立ちます。

さらに、補助金申請や創業セミナーへの参加時にも計画書の提出が求められることがあり、事前に作成しておくことで手続きをスムーズに進めやすいというメリットがあります。

なお、創業計画書は税務上の手続きに必要な書類ではないため、原則として税務署に提出する必要はありません。

創業計画書以外に必要となる主な書類

融資の申請では、創業計画書のほかに以下のような書類が必要になることがあります。

種類例・内容
本人確認書類運転免許証・マイナンバーカード・パスポートなど
見積書厨房設備や内装工事など、設備資金の借入時に必要
許認可関係の書類飲食店営業許可、理美容業、保育事業など、業種により提出
法人関係書類(法人の場合のみ)履歴事項全部証明書・登記簿謄本
不動産書類(担保提供時)登記簿謄本または登記事項証明書

事前に揃えておくと、融資面談や提出後の手続きがスムーズになるため、確認しておきましょう。

参考:日本政策金融公庫|必要書類とお手続きの流れについて

創業計画書のテンプレートはどこで手に入る?

創業計画書のテンプレート

創業計画書は、事業内容や売上の見通しを整理し、金融機関に事業の実現性を伝えるための重要な書類です。しかし、ゼロから作ろうとすると「何を書けばいいのか」「どの程度まで詳しく書くべきか」で行き詰まってしまうことも多いでしょう。

そのため、まずは テンプレート等を使って作成を進める のがおすすめです。インターネット上にWord・Excel形式のテンプレートが無料で公開されているため、自分の事業内容に合わせて書き込むことで効率的に作成できます。

ここでは、主な入手先を紹介します。

①日本政策金融公庫のテンプレート

日本政策金融公庫の公式サイトでは、創業者向け融資の申請にそのまま使える創業計画書フォームが配布されています。

公庫は政府系金融機関のため、創業間もない個人事業や新規法人でも相談しやすく、無担保・無保証で利用できる制度がある点が特徴です。初めて融資を利用する人は、まずここをチェックしておくと良いでしょう。

参考:日本政策金融公庫|各種書式ダウンロード|国民生活事業

②自治体(制度融資)を利用する場合

自治体が提供する制度融資を利用する場合、創業計画書は 都道府県・市区町村・信用保証協会 のいずれかから入手します。

Webからダウンロードできる自治体もありますが、窓口で直接受け取る形式のところもあるため、申請先の案内を事前に確認しておくことが大切です。

③民間金融機関(銀行・信金など)

銀行や信用金庫から借入を検討する場合は、各金融機関の融資担当者から所定の計画書を受け取ります。

ただし、創業直後は実績がないため、民間金融機関は審査が厳しい傾向があります。そのため、最初の融資は、公庫や自治体制度融資からスタートするケースが一般的です。

創業計画書にはどんな記入項目がある?書き方のコツ&記入例

ポイント

創業計画書は、金融機関や行政に提出する際、事業内容や資金計画、売上予測などを整理して示すための重要な書類です。

各項目を正確かつ具体的に記入することで、事業の実現可能性や返済能力を明確に伝えることができ、融資審査や補助金申請で高評価を得やすくなります。

ここでは、特に日本政策金融公庫向けに押さえておきたい主要項目と書き方のポイントを記入例を交えて解説します。

参考:日本政策金融公庫|創 業 計 画 書

①創業の動機

創業の動機は、「なぜ自分がこの事業を始めるのか」を金融機関や行政に明確に伝える重要な項目です。

単なる個人的な夢や思いだけでなく、社会的なニーズや地域課題、ターゲット層の悩みを解決する視点を入れると説得力が増します。例えば「地域の高齢者向けに栄養バランスの取れた弁当を提供し、食事の不安を解消する」というように、誰にどんな価値を届けるのかを具体的に記載するのが有効です。

動機が具体的で現実的であるほど、金融機関は事業の必要性や実現性を理解しやすく、融資や支援の判断材料として評価されやすくなります。

【創業の動機の記入例】

地域の働く世代や子育て世代に向けて、手作りランチや健康志向のメニューを提供するカフェを開業します。忙しい日常の中でも栄養バランスの取れた食事を楽しめる場所を作りたいという想いが創業の動機です。駅近でアクセスの良い物件を確保できたことも開業の後押しとなりました。

②経営者の略歴

経営者の略歴は、事業遂行能力と信頼性を示す項目です。

学歴や職歴、資格、過去の実績、事業経験などを簡潔にまとめ、事業との関連性を示すと効果的です。例えば飲食店開業で「調理師免許取得」と記載することで、事業の実現可能性を裏付ける材料となります。

また、過去の成果や経験を簡単に数字で示すと、金融機関は具体的に能力をイメージしやすくなります。信頼性を明確に伝えることで、審査担当者の安心感につながるでしょう。

【経営者の略歴の記入例】

年月内容
〇年〇月△△カフェでアルバイト(3年勤務)
〇年〇月〇〇大学卒業
〇年〇月××カフェ勤務(シェフ兼店長)
〇年〇月店舗運営・売上管理担当
〇年〇月退職予定

③取扱商品・サービス

取扱商品やサービスは、具体的な種類、価格帯、提供方法、数量などをできるだけ明示します。

「何を」「誰に」「どのように」提供するのかを具体化することで、金融機関は事業の収益性や差別化ポイントを理解しやすくなります。例えば、「ランチ・テイクアウト・配達を中心に、1日50食を提供予定」といった具体例を示すと説得力が増します。

また、競合との違いやサービスの強みを簡単に添えると、事業の優位性が伝わりやすくなり、売上予測や事業計画との整合性も説明しやすくなるでしょう。

【取扱商品・サービスの記入例】

取扱商品・サービスの内容・ランチセット 800〜1,200円(売上シェア 60%)
・ドリンク 400〜700円(売上シェア 20%)
・デザート 400〜600円(売上シェア 20%)
セールスポイント飲食店での調理経験とカフェ店舗運営経験を活かし、素材の組み合わせや盛り付けにこだわった「少し特別な日常食」を提供。店内は落ち着いたトーンの内装にし、子ども連れでも過ごしやすいレイアウトにする。メニューは定番+季節替わりの構成とし、来店時に“選ぶ楽しさ”がある設計。地元産の野菜や食材を積極的に使用することで地域性と安心感を高める。
販売ターゲット・販売戦略メインターゲットは20〜40代の女性、近隣の会社員、子育て中のファミリー層。情報発信はInstagramを中心とし、日替わりランチ・季節メニュー・仕入れ食材の紹介などを定期的に投稿。写真の雰囲気と世界観で“来店動機”を作る。Googleマップの口コミ対策と地域の飲食情報サイトへの掲載も行い、検索からの流入を強化。週末はカフェ利用や子ども連れの来店が増えるため、イベント出店・ワークショップ開催など、地域との接点も積極的に作る。
競合・市場など企業を取り巻く状況出店エリアは駅から徒歩圏内で、周辺には既存カフェやチェーン店が複数ある。価格競争ではなく、「落ち着いて食事ができる」「素材にこだわったメニュー」「空間の居心地」の3点で差別化を図る。ランチ需要に加え、テイクアウトやカフェ利用、週末の家族来店を取り込むことで、時間帯ごとに安定した集客を見込む。SNSによるブランド作りと、地域密着でのファンづくりを同時に進め、市場の中でのポジションを確立する。

④取引先と取引関係

取引先や仕入先、契約状況、販売経路を整理して示すための項目です。

どこから仕入れて誰に提供するのかといった取引の流れを明確にすることで、事業の実現性が伝わりやすくなります。

創業前は、具体的な会社名や契約条件がまだ確定していない場合もありますが、現時点で想定している取引先や、口頭でのやり取り・見込みベースの情報でも記入して構いません。

可能な範囲で詳細を記載することで、計画に具体性が出て、金融機関にとっても安心材料になります。

【取引先と取引関係の記入例】

取引先名株式会社〇〇、△△商店
売上(仕入)シェア株式会社〇〇:売上の50%(後払い)△△商店:売上の30%(掛取引)
掛取引の割合全体の 80%
回収・支払条件株式会社〇〇:月末締め・翌月末払い△△商店:15日締め・翌月10日払い
人件費の支払条件毎月25日締め・翌月30日払い(ボーナス支給:7月・12月)

⑤必要な資金と調達方法

開業に必要な資金の総額と、その調達方法を明確に示す項目です。

自己資金、借入希望額、補助金・助成金の活用も具体的に記載すると説得力が増します。

資金の用途ごとに内訳を表形式で整理すると、無駄がなく現実的な計画であることが伝わり、金融機関も納得しやすくなります。

また、自己資金の割合が高い場合は信用力の裏付けとして評価されるため、資金計画は数字の根拠と一緒に記載することが重要です。

【必要な資金と調達方法の記入例】

必要な資金調達方法
・内装・設備工事 350万円
・厨房設備 150万円
・運転資金 200万円
・広告宣伝費 100万円
・自己資金 300万円
・親族借入 200万円
・日本政策金融公庫 融資希望額 300万円
合計 800万円合計 800万円

⑥事業の見通し

事業の見通しでは、創業後の売上・経費・利益の見通しを数字で示します。

売上高は「平均客単価 × 1日あたりの客数 × 営業日数」のように、算出根拠が明確な計算式を用いて記載することが重要です。支出についても、人件費、家賃、原材料費、光熱費、広告費などを細分化し、実際の取引条件に基づいて算出します。

借入を行う場合は、月々の返済額と売上予測のバランスが無理のない計画であるかを示すことで、金融機関への説得力が高まります。反対に、見込みが甘かったり根拠が不十分と判断されると、融資審査に通らない可能性もあるため注意が必要です。

同業店舗の数値、仕入先の見積書、家賃の物件情報など、計画の裏付けとなる資料を準備しておくと信頼性が高まります。また、支援機関や専門家に相談しながら内容を固めていくことで、より現実的で実行可能な収支計画を作成できるでしょう。

【事業の見通しの記入例】

創業当初1年後
売上高①180万円/月210万円/月
売上原価②108万円/月126万円/月
経費③家賃15万円 + 人件費12万円 + その他8万円 = 35万円/月45万円/月

審査に通りやすくなる創業計画書の書き方のポイント

創業計画書の書き方のポイント

創業計画書は、金融機関や日本政策金融公庫への融資申請、補助金申請において重要な判断材料となる書類です。

単に項目を埋めるだけでは不十分で、文章の具体性や数字の根拠、事業の優位性や返済計画の現実性を示すことが求められます。

ここでは、審査に通りやすい計画書を作成するためのポイントを説明します。

文章は具体的かつ簡潔にまとめる

創業計画書では、事業の目的や提供価値、ターゲット層などを抽象的に書くのではなく、「誰に」「何を」「どのように提供するか」を具体的に明示することが重要です。

例えば、単に「飲食店を開業する」と書くのではなく、「20〜40代の働く女性を対象に、ランチとテイクアウトを中心とした栄養バランスの取れた弁当を提供する」といった具合に具体化します。

1項目につき1〜2文で簡潔にまとめることで、金融機関や公庫の担当者が内容を素早く把握でき、事業の方向性や優位性が伝わりやすくなります。反対に、文章が長すぎたり抽象的すぎたりすると、事業計画の信頼性が低く見られる可能性があるため、簡潔さと具体性の両立がポイントです。

数字や根拠を添えて信頼性を高める

売上予測や利益計画、資金計画には必ず数字と根拠を添えることが重要です。

例えば、売上は「客単価×客数×回転数」、費用は「原価率×売上」「家賃、人件費、光熱費の見積もり」といった計算式や具体的な金額を入れると、金融機関にとって現実的かつ信頼できる計画として評価されやすくなります。

根拠が曖昧だと、計画書全体の信頼性が下がり、融資審査に影響する場合があるので注意が必要です。また、数字に加えて表や箇条書きで整理すると、視覚的に理解しやすく、複雑な計画でも読み手がスムーズに確認できるため、計画の説得力を大幅に高めることにつながります。

創業計画書は税理士に相談すると通りやすくなる?

創業計画書は税理士に相談

創業計画書は、自分だけで作ることも可能ですが、数字の根拠や表現の説得力を高めるためには税理士に相談するのが有効です。

特に日本政策金融公庫への融資申請では、計画書の完成度が審査結果に直結するため、専門家のアドバイスを受けることで計画書の説得力を高められる可能性があります。

ここでは、税理士に依頼するメリットや範囲について解説します。

専門家にサポートを依頼するメリット

税理士に相談すると、売上・利益予測や資金計画など数字部分の作成をプロの視点でチェックしてもらえます。

また、融資担当者が重視する項目や表現のポイントを押さえられるため、説得力のある創業計画書に仕上がります。

さらに、開業後の税務や会計、助成金申請などのアドバイスも同時に受けられることもあるため、事業運営全体を安心してスタートできるというメリットがあります。

税理士に依頼できる範囲と費用

税理士に依頼できる範囲は、創業計画書の作成サポートだけでなく、売上予測の作成、資金繰り表の作成、融資用の添削など多岐にわたります。

費用は依頼内容によって変動しますが、数万円~十数万円が一般的です。

初めての創業で不安な場合は、部分的に相談しながら作成する方法もあり、予算や必要度に応じて柔軟に依頼できます。

融資につながる創業計画書を、丁寧に準備しよう

融資につながる創業計画書

創業計画書は、事業内容や資金計画、売上予測を整理し、金融機関に事業の信頼性を伝えるための重要な書類です。

記入例を参考に、文章は具体的に、数字や根拠は明確に示すことがポイントです。

より説得力のある計画書を作成したいと思っている方や、計画書を書くのが初めてだという方は、税理士のサポートを活用することも検討してみましょう。

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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

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