2025.11.24

起業・開業

資金調達の方法とは?種類やポイントについても徹底解説

資金調達 方法

読了目安時間:約 7分

資金調達の方法にはさまざまな種類があり、それぞれに異なる特徴やリスクが存在します。

そのため、最適な調達方法を見極めるには、各手段の長所と短所を正しく把握した上で、自社の成長段階や資金の使途に合った資金調達方法を選ぶことが重要です。

本記事では、代表的な資金調達の方法を分かりやすく紹介するとともに、「資金調達方法の種類」や「調達を行う際の重要なポイント」についても詳しく解説します。

資金調達に関する理解を深め、自社に最適な選択ができるよう、ぜひ参考にしてみてください。

資金調達の方法

資金調達の方法

資金調達の方法については、以下の9つが挙げられます。

  • 方法①:自己資金
  • 方法②:融資
  • 方法③:社債の発行
  • 方法④:M&A(事業譲渡)
  • 方法⑤:増資による出資
  • 方法⑥:クラウドファンディング
  • 方法⑦:ファクタリング
  • 方法⑧:資産売却
  • 方法⑨:補助金・助成金

それぞれの方法について解説していきます。

方法①:自己資金

自己資金は、他人からの借入ではないため返済義務がないという大きなメリットがあります。

経営初期は資金繰りが不安定になりやすいので、返済を気にせず自由に使える資金があることは、精神的にも実務的にも大きな支えとなります。

また、自己資金であれば、使用用途に対する制限が基本的にありません。

さらに、他の資金調達方法と組み合わせる際にも、自己資金が多くあることで有利に働きます

例えば、金融機関からの融資を検討する場合、自己資金の額に応じて融資の可否や限度額が決定されるケースがあります。

そのため、実際に事業に使わないとしても、一定の自己資金を用意しておくことは信用力の面でも良い影響があります。

方法②:融資

融資は、法人が資金を確保する手段として、最も広く利用されている資金調達方法です。

特に、中小企業にとっては、比較的利用しやすく、安定的な資金調達方法として長年活用されており、企業が資金調達を検討する際には、まず融資を候補に挙げるのが一般的です。

融資は、これまでの経営実績や信用度がある企業にとって、運転資金の確保や設備の導入などさまざまな場面で活用できます

しかし、長期的に返済できる見込みが必要なので、ある程度の収益基盤や安定した業績が求められます。

主な融資元としては、銀行や信用金庫、日本政策金融公庫などの公的金融機関があります。

これらの機関からの融資は、他の資金調達手段に比べて金利が低く、資金の使い道にも柔軟性があるのが特徴です。

さらに、自治体などと連携した制度融資や利子補助などの支援制度が整備されています。

融資は、資金調達額の大きさや制度の多様さにおいて優れた選択肢ですが、実際に資金が振り込まれるまでに時間がかかる場合や信用情報への影響も考慮する必要があります。

方法③:社債の発行

社債を通じた資金調達は、一定の信用力を備えた企業が、短期間でまとまった資金を集める手段として活用されています。

特徴として、銀行などの金融機関を介さず、直接投資家や市場から資金を得られるので、柔軟な条件で資金調達が可能であり、場合によってはスピーディな対応も期待できます。

また、社債は借入と異なり株式のような出資ではないので、発行しても経営権が分散する心配がありません。

利息支払いに関しても、法人税の計算上損金として計上できるので、節税面でのメリットも挙げられます。

しかし、社債発行には事前の準備や発行にかかるコストが発生し、手続きもやや複雑になるので、一定規模の業績や信用を備えている法人でなければ活用が難しい側面もあります。

そのため、社債の発行は事業が安定し軌道に乗っている企業向けの資金調達手段と言えます。

方法④:M&A(事業譲渡)

M&Aは返済不要の資金を確保できる選択肢であり、資金調達に加えて経営資源の最適化にもつながる戦略的手法です。

特に、業歴の長い企業が不採算部門を整理したい場合や新たな事業展開のために非中核事業を手放す場面などで効果を発揮します。

単なる資金確保にとどまらず、経営資源の再配置によって、より効率的な体制を構築することが可能になります。

例えば、収益性の低い事業部門を第三者に売却することで、資金を得るだけでなく、人材や時間、資金といったリソースを成長が見込める分野に集中できるようになります。

赤字部門であっても、ブランド力や顧客基盤、人材などの無形資産が評価されれば、売却対象となるケースも少なくありません。

このように、M&Aは資金調達と経営効率化の両方を実現できる戦略的な手段です。

方法⑤:増資による出資

出資を通じた増資は、企業が財務の安定性を高めつつ、返済義務を負わずに資金を得られる資金調達方法です。

増資とは、投資家からの出資を受けて企業の資本金および資本準備金を増やすプロセスです。

借入とは異なり返済が不要なので、企業の自己資本比率を高め、健全な財務体質を築くことに直結します。

また、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家のような外部の専門家から支援を受けることで、人的資源やビジネス機会の広がりも期待できます。

特に、将来の成長に向けた投資を見据える企業にとって、長期的な資本形成の手段として効果的です。

単に資金を得るだけでなく、出資者から経営面でのアドバイスや業界ネットワークの提供といった支援も受けられるメリットも挙げられます。

方法⑥:クラウドファンディング

クラウドファンディングとは、特定の目標やアイデアを持つ個人や法人が、インターネットなどのオンラインプラットフォームを通じて、不特定多数の人々から支援を募る方法です。

具体的には、以下のように3つの形式があります。

項目内容
購入型支援者がお金を提供する見返りに製品やサービスなどのリターンを受け取る
寄付型見返りを求めず、プロジェクト自体を応援する目的で資金提供をおこなう
金融型融資や投資の形で資金を出し、将来的な利益の分配を期待する

クラウドファンディングは、従来の銀行融資や出資による資金調達が難しい場面においても活用可能で、多くの人々から小口で支援を得られるという特徴があります。

また、支援額や支援者数のデータを通じて、市場や一般消費者からの関心度を客観的に把握できるメリットもあります。

しかし目標金額に届かなければ資金を受け取れない形式(All or Nothing方式)もあり、計画通りに進まないリスクがあるのも事実です。

また、プラットフォーム運営会社への手数料が10~20%程度発生したり、プロジェクトの内容が公になることで、アイデアを模倣されるリスクがあるので注意が必要です。

参考:クラウドファンディングの仕組み|消費者庁

方法⑦:ファクタリング

ファクタリングとは、企業が保有する売掛債権を専門業者に売却し、期日前に現金化することで資金を調達する方法です。

この仕組みを活用することで、タイムリーに資金を確保することが可能です。

特に、取引先の入金サイトが長期化しがちな業種や企業にとっては、資金繰りの改善手段として有効です。

注意点として、債権を現金化する際には、事業者側が定める「割引率(手数料)」が適用されるので、売掛金の全額を手にすることはできません。

この手数料は利用頻度によって積み重なるので、繰り返しの利用にはコスト面でのデメリットがあります。

さらに、ファクタリングは売掛債権の存在が前提となるので、売却可能な債権の額によっては、希望する金額を全て調達できない可能性もあります。

参考:ファクタリング|金融|東京都産業労働局

方法⑧:資産売却

企業が資金を確保する方法の一つに、自社が保有している資産の売却があります。

例えば、現在使われていないオフィススペースや未利用の土地などを売却することで、まとまった現金を得ることが可能です。

また、これにより固定資産税などの維持コストも不要となり、経常的な支出を抑えることにもつながります。

しかし、資産の売却には希望するタイミングで買い手が見つからない可能性があるの注意が必要です。

実際に、売却したいと考えていても、すぐに買い手が現れるとは限らず、資金化が遅れるケースも少なくありません。

また、売却額が市場価格や相手の提示額に左右されるので、期待していた金額に届かないこともあるので注意が必要です。

方法⑨:補助金・助成金

国や自治体が提供する助成金や補助金は、中小企業やスタートアップ企業、地域の事業者などを支援する目的で設けられており、さまざまな分野で活用できる制度が整備されています。

特徴として、原則として返済の必要がありません。

そのため、創業間もない企業であっても、資金面の負担を増やすことなく資金調達が可能となる点は、大きなメリットと言えます。

しかし、あらかじめ定められた申請条件や対象となる費用、使用目的、申請期間などのルールがあり、全ての経費に対して交付が受けられるわけではないので、制度の詳細をよく確認する必要があります。

参考:小規模事業者持続化補助金について | 中小企業庁

資金調達方法の種類

資金調達方法の種類

資金調達方法の種類については、以下の3つが挙げられます。

  • 種類①:デットファイナンス
  • 種類②:エクイティファイナンス
  • 種類③:アセットファイナンス

それぞれの種類について解説していきます。

種類①:デットファイナンス

デットファイナンスは、企業が返済義務を伴う借入によって資金を調達する方法を指します。

具体的には、日本政策金融公庫の貸付制度や民間金融機関からの融資、地方自治体が提供する制度融資などが挙げられます。

この手法を用いると、資金を受け取った後には定期的な元本返済および利息の支払いが求められます

経営権に干渉されることがないので、外部の出資者を迎え入れることなく、経営方針や意思決定を自社の裁量で進められ、独立性を重視する経営者にとっては適した手段と言えます。

また、借入による調達では会社の資本構成が変動しないので、企業の所有権を保持しつつ、安定した中長期の事業運営ができる可能性があります。

参考:融資制度を探す|日本政策金融公庫

種類②:エクイティファイナンス

エクイティファイナンスとは、企業が株主資本を増やすことによって資金を調達する方法を指します。

新たに株式を発行することで資本を得るのが一般的です。

また、投資型クラウドファンディングもこのカテゴリーに含まれ、より幅広い投資家層からの出資を募ることが可能となります。

新株発行を通じて得られる資金は、借入とは異なり返済の必要がないので、企業にとっては財務的な圧迫を伴わずに資金を確保でき、自己資本の増加を通じて財務体質の強化にもつながります。

種類③:アセットファイナンス

アセットファイナンスとは、企業が自社の保有資産を活用して資金を調達する手法のひとつです。

具体的には、売掛金を早期に現金化する「ファクタリング」や、設備機器などを購入せずに使用できる「リース」や「レンタル」などが該当します。

この方法は、創業初期の企業やまとまった初期投資を避けたい事業者にとって、資産を手放すことなく資金繰りを改善できるメリットがあります。

このように、アセットファイナンスは、資産を最大限に活用しながら、キャッシュフローを効率的に維持・強化するための柔軟な金融戦略で、売却による損失を避けつつ資金ニーズに対応できる手段です。

資金調達する際のポイント

資金調達する際のポイント

資金調達する際のポイントについては、以下の3つが挙げられます。

  • 資金調達の目的を明確にする
  • 自社の信頼度を高める
  • 自社に合った資金調達方法を選ぶ

それぞれのポイントについて解説していきます。

資金調達の目的を明確にする

資金を調達する際には、まず何のために資金が必要なのか目的を明確にすることが重要です。

例えば、金融機関から融資を受けたいと考えている場合、その使途がはっきりしていなければ、金融機関側も「貸付にリスクがないか」「資金が適切に使われるか」などの判断ができません。

また、資金の用途を具体的にすることで、必要な金額の見積もり精度を上げることにつながります。

さらに、事業にどの程度の資金が求められているのかを明確に把握しておけば、資金調達計画全体の精度も高まり、無駄のない資金繰りが可能になります。

自社の信頼度を高める

資金を調達する際には、金融機関や支援機関など、申請先に対して自社の信頼性をどれだけ明確に伝えられるかが重要なポイントになります。

他社にはない強みや独自性をしっかりと訴求することで、他との差別化が可能になり、審査通過の可能性を高める効果が期待できます。

そのためには、まず自社の事業環境や競合企業の動向を丁寧に分析し、どのような点で優位性を持っているのかを明文化することが求められます。

また、その優位性が実際のビジネスにどのように役立っているのかを説明できるよう、数値データや過去の実績、信頼に足る根拠資料などを準備しておくことが大切です。

こうした信頼性の裏付けを備えた計画書やプレゼン資料を整えておくことで、支援側からの評価は高まり、資金調達の成功率を高めることができます。

自社に合った資金調達方法を選ぶ

資金調達を成功させるためには、自社の状況にもっとも適した資金調達方法を見極めることが重要です。

具体的には、資金がどの程度必要なのか、何のために使うのか、いつまでに調達が必要なのかといった要素を、事前に整理しておく必要があります。

実際に、起業直後のフェーズと事業が一定の期間を経て安定し始めたフェーズとでは、選ぶべき資金調達手段は異なるのも事実です。

また、会社の形態や事業の規模、資金の必要時期などによっても、適した方法は変わってきます。

このように、冷静に状況を分析し、目的に合った手段を選ぶことで、無理のない資金調達を成功させることにつながります。

自社の状況に適した資金調達方法を選ぼう!

自社の状況に適した資金調達方法を選ぼう!

今回は、資金調達の方法について紹介しました。

事業の状況に応じて、最適な資金調達の手段は異なります。

特に、開業間もない個人事業主や、創業初期の法人にとっては、選択できる資金調達の選択肢が限られるケースも少なくありません。

そのため、自分の経営フェーズや資金の必要性に応じて、費用対効果や時間的な負担を考慮しながら、最適な方法を選ぶことが大切です。

また、資金を借り入れる前には、返済スケジュールを含めた綿密な計画を立て、自社のキャッシュフローと照らし合わせながら、無理のない資金調達をおこなことが求められます。

今回の記事を参考にして、自社の状況に適した資金調達方法を選びましょう。


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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

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