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公務員の副業が禁止されていた背景とは?許可を得やすい副業や始める際のポイントも紹介
読了目安時間:約 7分
公務員の副業は原則として制限されていますが、内容によっては許可されることもあります。近年は、自治体ごとに一部の副業を認める動きが広がり、公務員の働き方も少しずつ見直されてきています。本記事では、「公務員の副業が禁止されていた背景」についてだけでなく、「公務員が許可を得やすい副業」や「公務員が副業を始める際のポイント」についても解説していきます。ぜひこの記事を参考に、公務員の副業について理解を深めてください。
目次
公務員の副業が禁止されていた背景

公務員の副業が禁止されていた背景については、以下の3つが挙げられます。
- 背景①:守秘義務
- 背景②:職務専念義務
- 背景③:信用失墜行為の禁止
それぞれの背景について解説していきます。
背景①:守秘義務
住民の個人情報や公表前の施策内容などの機密情報を取り扱うことから、公務員は守秘義務を負っています。副業を通じて外部と接点を持つことで、こうした情報が意図せず外に出る可能性を最小限に抑える必要があります。例えば、行政の内情に詳しい職員が民間でコンサルティング業務を行った場合、会話の流れで内部情報に触れてしまう可能性があるのも事実です。地方公務員法第34条では、在職中はもちろん、退職後もその義務が継続することが規定されており、情報を守る責任が課されています。
参考:地方公務員法 第34条
背景②:職務専念義務
職務専念義務とは、勤務時間中は本来の業務に全力を尽くすべきだという原則を指します。公務員の給与は税金によって支えられているので、本業以外の活動が原因でパフォーマンスが落ちたり、勤務中に私的な仕事へ意識が向いたりすることは、市民へのサービス水準を損なう行為となります。
実際に、副業で夜遅くまで働くことで翌日の業務に支障が出るケースや、勤務時間中に副業関連のやり取りを行うといった行為が問題視されています。こうした考え方は、地方公務員法第35条に根拠があり、公務に専念することを求める法的義務として厳格に規定されています。。
参考:地方公務員法 第35条
背景③:信用失墜行為の禁止
公務員には、国民の信頼を裏切らない行動が常に求められており、信用失墜行為は禁じられています。職務の内外を問わず節度ある振る舞いを心がけることや、特定の立場や利益に偏らず、公平・中立な姿勢を貫くことが前提です。副業の内容次第では、公務員としての評価を下げてしまうリスクがあるため、活動内容には慎重さが求められます。
公務員の副業を制限している法律

制限している法律については、以下の2つが挙げられます。
- 法律①:地方公務員法における兼業の制限
- 法律②:国家公務員法における兼業の制限
それぞれの法律について解説していきます。
法律①:地方公務員法における兼業の制限
地方公務員法では、国家公務員法と同様に、職員の兼業について一定の制限が設けられています。特に第38条(営利企業への従事等の制限)では、営利目的の会社や団体の役員を兼ねること、自ら事業を営むこと、さらには報酬を得て他の業務に携わることについて、原則として禁止する旨が定められています。
ただし、「任命権者」の許可を得た場合は例外として認められます。地方公務員における任命権者とは、一般的に都道府県知事や市町村長、あるいはその権限を委任された教育長などを指します。そのため、公務員が副業を行うには、こうした権限者の正式な承認が不可欠です。
参考:地方公務員法 第38条
法律②:国家公務員法における兼業の制限
国家公務員法では、国家公務員の兼業について明確な制限が設けられています。第103条では、営利を目的とする企業の役員や顧問などを兼ねること、あるいは自ら会社を経営することを原則として禁止しています。第104条では、営利企業以外の団体であっても、報酬を受け取って役職に就いたり、何らかの事業や業務に携わったりする場合には、内閣総理大臣および所轄庁の長の許可が必要とされています。
これらの規定から分かるように、国家公務員は営利企業の運営に関わることは原則禁止ですが、一定の条件を満たし、正式な承認を得た場合に限り、報酬を伴う活動が認められる余地があります。ただし、本来の職務に支障が生じないことや、公務への信頼を損なわないことなどが重視されます。
参考:国家公務員法
公務員の副業解禁に関する最近の動向

公務員の副業解禁に関する最近の動向については、以下の2つが挙げられます。
- 働き方改革
- 一部の自治体で副業解禁
それぞれの項目について解説していきます。
働き方改革
厚生労働省は、「働き方改革実行計画」を背景に、副業・兼業をしやすい環境づくりを進めています。2018年には「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を公表し、企業に対しても、従業員が副業を希望する場合は、前向きに検討する姿勢が求められるようになりました。
こうした国全体の動きは公務員にも波及しており、国家公務員の兼業規制が一部見直されるなど、従来よりも柔軟な運用が模索されており、地方自治体でも副業を認めるケースが増加傾向にあります。今後は、地方公務員の副業に対する理解がさらに深まり、制度面の整備も進んでいくと考えられます。
一部の自治体で副業解禁
これまで公務員の副業は、利益を目的とする活動については原則として認められていませんでした。しかし近年では、地域の活性化や職員の能力向上を目的に、一定の条件のもとで副業を認めている自治体も増えています。このような自治体では、副業で得たスキルや人脈・民間での実務経験を本来の業務に還元することや、地域の課題解決につなげることが期待されています。ただし、無条件で自由に認められるわけではなく、本業に悪影響を及ぼさないことや、職務上知り得た情報を厳格に守ることなどが前提です。
公務員が許可を得やすい副業

公務員が許可を得やすい副業については、以下の5つが挙げられます。
- 副業①:不動産投資
- 副業②:株式投資
- 副業③:家業の手伝い
- 副業④:小規模農業
- 副業⑤:執筆活動
それぞれの副業について解説していきます。
副業①:不動産投資
公務員であっても、不動産投資については一定の範囲内であれば認められるケースがあります。例えば、規模が小さく副収入も限定的な場合には、特別な手続きを要しないことがあります。一方で、賃貸収入が年間500万円を超えるなど、事業性が高いと判断される規模の場合は、事前に許可を得なければなりません。そのため、収益や物件数が基準を上回りそうな場合は、自己判断せず、必ず上司や担当部署に相談しましょう。不動産投資を始める前に、自治体ごとの具体的な基準や条件を確認し、ルールを把握したうえで進めることが重要です。
副業②:株式投資
公務員は副業に一定の制限がありますが、株式投資やFX・仮想通貨といった資産運用については、原則として認められています。これらは、個人の資産管理の範囲と考えられていることが理由として挙げられます。しかし、勤務時間中に売買を行うなど本来の業務と重なる形で投資活動をすることは許されておらず、あくまで職務に支障を与えないことが前提です。また、職務上知り得た未公表の情報を利用して株式などを売買する「インサイダー取引」は法律で厳しく禁じられています。公務員という立場上、特に疑念を持たれないよう慎重な対応が求められます。
副業③:家業の手伝い
実家が農業や飲食店などを営んでいる場合、報酬を受け取らずに手伝うのであれば、副業とみなされず認められるケースがあります。しかし、対価を受け取る場合は、事前に上司や所属部署へ相談し、所定の手続きを経て許可を得なければなりません。たとえ許可が下りたとしても、公務員に求められる基本原則は守る必要があります。具体的には、職務に支障を与えないことや信用を損なわないこと、守秘義務を徹底することなどが挙げられます。このように、副業が認められても、あくまで本業を最優先に考える姿勢が重要です。
副業④:小規模農業
公務員であっても、生活のための自家消費を目的とした小規模な農業であれば、兼業として問題にならないことが一般的です。しかし、販売収入が発生するなど一定の事業規模に達する場合には、事前に承認を受ける必要があります。農業が盛んな地域では、公務と農業を両立しているケースも少なくなく、比較的規模の大きい営農活動が認められているケースも多く見られます。
副業⑤:執筆活動
原稿執筆や講演活動は、本来の業務に影響を与えない範囲であれば、比較的認められやすい副業です。具体的には、単発の依頼に応じて謝礼を受け取る程度であれば、継続的な業務とは評価されにくく、いわゆる「兼業」には当たらないと判断される場合があります。
一方、書籍の出版に伴う印税のように、継続的に収入が発生する仕組みの場合は扱いが異なり、事前に許可を得る必要があります。さらに、内容面にも注意が必要で、公務員としての信用を損なうおそれがある表現や、職務上知り得た情報を含む内容は認められません。そのため、守秘義務や信用保持義務に抵触する場合、活動自体が制限される可能性があります。
公務員が許可を得づらい副業

公務員が許可を得づらい副業については、以下の4つが挙げられます。
- 副業①:データ入力
- 副業②:イラストレーター
- 副業③:アフィリエイト
- 副業④:YouTuber
それぞれの副業について解説していきます。
副業①:データ入力
データ入力の仕事は、指定された情報をパソコンの文書作成ソフトや専用システムに打ち込む業務を指します。報酬を得ることを前提とした活動なので、営利目的の副業に該当し、原則として事前の許可がなければ行うことはできません。また、単純な入力業務は公益性が高いとは評価されにくいケースが多く、許可が下りにくい傾向があります。副業として検討する場合は、あらかじめ職場へ相談し、可否を確認することが重要です。
副業②:イラストレーター
公務員が許可を得づらい副業として、イラストレーターも挙げられます。イラストレーターとして活動する場合、SNSや専門のプラットフォームで作品を販売したり、依頼を受けて制作し対価を得たりする形が一般的です。このような活動は、「職員個人の能力や地域事情を踏まえた自営的な兼業」に当てはまる可能性があります。しかし、営利目的という理由だけで直ちに否定されるわけではないので、公務員法や各自治体が定める基準を確認し、それらを遵守することを前提に、正式な手続きを検討するようにしましょう。
副業③:アフィリエイト
アフィリエイトとは、ブログやSNSなどで商品・サービスを紹介し、そのリンク経由で購入や申し込みが発生した場合に報酬を受け取る仕組みのビジネスで、成果報酬型の収入モデルにあたります。単にアフィリエイト収益があるという理由だけで、直ちに「兼業」と判断されるわけではありません。趣味の延長として不定期にブログを書いたりSNS投稿をしたりする程度であれば問題になりにくいですが、安定的に収益を得ている場合は注意が必要です。兼業に該当すると判断されるケースでは、事前に許可を取得することが求められます。
副業④:YouTuber
YouTuberやインフルエンサーとして活動することは、広告収入を得たり、企業からのPR案件を受けたりすることで報酬が発生します。趣味の範囲で投稿するだけであれば問題になりにくいですが、継続的に収益を得るようになると、営利目的の活動と判断される可能性があります。特に注意すべきなのは、公務員としての信用に与える影響で、発言内容が誤解を招いたり、炎上騒動に発展したりするリスクが常に伴います。このような特性を踏まえると、YouTuberとして副業の許可を得ることは現実的にハードルが高いと考えられます。
公務員が副業を始める際のポイント

公務員が副業を始める際のポイントについては、以下の4つが挙げられます。
- 適切な手続きを行う
- 本業に支障をきたさない
- 違反行為がないように確認する
- 職場に理解してもらう
それぞれのポイントについて解説していきます。
適切な手続きを行う
公務員が副業に取り組む場合は、関係法令や各自治体の服務規程に基づいた正式な手続きを踏むことが前提となります。
ルールを十分に理解したうえで、以下のように適正な方法で手続きを進めることが重要です。
| ステップ1:服務規程を確認 | まずは所属する自治体・官庁の服務規程をチェックし、副業の可否や許可基準・申請方法を把握します。不明点があれば人事部へ確認しましょう。 |
| ステップ2:上司・人事へ事前相談 | 副業の内容や目的・勤務時間などを具体的に説明し、許可の可能性や必要な手続きを確認します。 |
| ステップ3:兼業許可申請書を作成 | 氏名・所属・副業内容・理由・本業に支障がない旨・副業先情報などを正確に記載します。 |
| ステップ4:提出・審査 | 申請後、本業への影響や法令違反の有無などが審査されます。審査期間や通知方法も確認しておきましょう。 |
| ステップ5:許可後の遵守事項 | 許可内容を守り、本業に支障を出さないようにしましょう。自治体によっては定期報告や有効期間の設定があるため、指示に従うことが重要です。 |
これらを順に進めることで、適切に副業を始められます。
本業に支障をきたさない
公務員が副業に取り組む際の大前提は、本来の業務に影響を与えないことです。スケジュール管理を徹底し、睡眠や休養を十分に確保するなど自己管理も欠かせません。万が一、本業に支障が出れば、職場からの信頼を損なうだけでなく、許可そのものが取り消される可能性もあります。このように、本業を最優先とする姿勢を常に保つことが、副業を継続するための重要なポイントになります。
違反行為がないように確認する
公務員の副業に関する取り扱いは、社会情勢や制度改正に応じて見直されることがあるため、違反行為がないように確認することもポイントとなります。一度確認して終わりにするのではなく、最新の法令や内部規程を随時チェックする姿勢が重要です。所属自治体の服務規程や人事担当部署から発信される通知・通達などを定期的に確認し、知らないうちに規則違反となってしまうことを防ぐようにしましょう。
職場に理解してもらう
公務員が副業に取り組む際は、職場の理解を得ることが欠かせません。事前に上司や同僚へ相談し、どのような活動を行うのか、どの時間帯に取り組むのかといった点を丁寧に説明しておくことで、不要な誤解を防ぐことができます。また、日頃から円滑なコミュニケーションを意識し、信頼関係を築いておくことも大切です。普段の姿勢が評価されていれば、副業に対する受け止め方も前向きになりやすいといえます。
副業を行う際にはリスク管理をしよう!

今回は、公務員の副業が禁止されていた背景について紹介しました。原則として、公務員の副業には一定の制約がありますが、適切な手続きを経れば可能となるケースもあり、働き方改革の影響を受けて柔軟な運用を始めている自治体も出てきています。
重要なポイントとしては、関連法令や各自治体の服務規程を正しく理解し、ルールに沿って進めることなどが挙げられます。無断で副業を行えば、懲戒処分の対象となる恐れもあるので、事前に確認が必要です。今回の記事を参考にして、副業を行う際にはリスク管理を行い、慎重かつ計画的に進めるようにしましょう。
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この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

