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赤字会社にも法人住民税はかかる?均等割の金額と納付時期
読了目安時間:約 6分
目次
導入文
決算が赤字で法人税がかからない場合でも、法人住民税の均等割は原則として申告・納付が必要です。法人住民税の均等割とは、所得の有無にかかわらず、資本金等の額や従業者数などに応じて課される地方税です。
設立初年度の赤字を見込んでいる起業家にとって、利益がなくても発生する税負担は資金計画上の見落としやすい項目です。小規模法人では年額7万円と説明されることが多いものの、これは資本金等の額が1,000万円以下、従業者数が50人以下の場合の標準的な金額です。
実際の法人住民税の均等割は、資本金等の額や従業者数に加え、事務所の所在地・数、事業年度中に事務所を有していた月数によって変わります。自治体によって税率や休業時の取扱いが異なる場合もあるため、「自社は必ず7万円」とは限りません。
この記事では、均等割の仕組みと金額早見表、設立初年度の月割計算、申告・納付時期、赤字・売上ゼロ・休業時の注意点を順に整理します。自社の正確な税額や休業時の取扱いは、所在地の自治体や税理士へ確認してください。
赤字会社にも法人住民税の均等割はかかる?
会社が赤字でも、自治体内に事務所、事業所または寮等があれば、法人住民税の均等割は原則として発生します。法人税が0円でも、法人住民税の申告まで不要になるわけではありません。
赤字でも均等割は原則として納付が必要
設立初年度に赤字となった場合でも、事務所等を有して事業を行っていれば、原則として均等割の申告・納付が必要です。利益が出なかったことだけを理由に、自動的に免除される仕組みではありません。
大阪市も、赤字の場合には法人市民税の確定申告書を提出し、均等割を納付する必要があると案内しています。赤字決算だから申告不要と判断せず、所在地を管轄する自治体への申告を確認しましょう。
法人住民税は法人税割と均等割で構成される
法人住民税は、法人税額を基礎に計算する「法人税割」と、所得の有無にかかわらず資本金等の額や従業者数で決まる「均等割」で構成されます。赤字で法人税額が発生しない場合、法人税割は原則0円ですが、法人住民税の均等割は原則として残ります。
なぜ利益がなくても課税されるのか
均等割は、法人が道路、消防、ごみ処理など自治体の行政サービスを受けることとの応益関係に基づく税です。神戸市も、行政サービスに必要な経費の一部を求めるものと説明しています。
つまり、赤字そのものへの課税ではなく、地域で法人活動を行うことに伴う一定の負担という位置付けです。設立時の資金計画では、利益が出ない年度にも均等割の支出を見込んでおく必要があります。
- 法人の所在地を管轄する都道府県・市町村を確認する
- 赤字でも法人住民税の申告を決算業務に含める
- 個別の課税関係は自治体や税理士へ確認する

法人住民税の均等割はいくら?資本金・従業者数別の早見表
法人住民税の均等割は、資本金等の額と従業者数に応じて決まります。標準税率では、小規模法人に多い区分の年額は7万円です。
法人住民税の均等割の標準税率はいくら?
標準税率による年額は、次の早見表で確認できます。道府県分と市町村分の合計額であり、具体的な税率は東京都主税局の税率表や大阪市の法人市民税でも確認できます。
| 資本金等の額 | 従業者数 | 内訳 | 合計年額 |
|---|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 50人以下 | 2万円+5万円 | 7万円 |
| 1,000万円以下 | 50人超 | 2万円+12万円 | 14万円 |
| 1,000万円超~1億円以下 | 50人以下 | 5万円+13万円 | 18万円 |
| 1,000万円超~1億円以下 | 50人超 | 5万円+15万円 | 20万円 |
| 1億円超~10億円以下 | 50人以下 | 13万円+16万円 | 29万円 |
| 1億円超~10億円以下 | 50人超 | 13万円+40万円 | 53万円 |
| 10億円超~50億円以下 | 50人以下 | 54万円+41万円 | 95万円 |
| 10億円超~50億円以下 | 50人超 | 54万円+175万円 | 229万円 |
| 50億円超 | 50人以下 | 80万円+41万円 | 121万円 |
| 50億円超 | 50人超 | 80万円+300万円 | 380万円 |
小規模法人は年7万円になる?
資本金等の額1,000万円以下、従業者数50人以下で、1つの市町村内にのみ事務所があり、事業年度の全期間にわたって事務所を有する法人は、標準税率なら年7万円です。計算は「道府県分2万円+市町村分5万円=7万円」となります。
資本金等の額がちょうど1,000万円の場合も、最低区分に含まれます。一方、1,000万円を超えると、従業者数50人以下でも「5万円+13万円=18万円」へ上がります。
法人住民税の均等割は全国どこでも7万円?
全国一律で必ず7万円になるわけではありません。超過課税を行う自治体では標準税率を上回る場合があるため、本店所在地の自治体が公表する税率を確認してください。
複数の市町村に事務所等があれば、それぞれで均等割が発生する可能性があります。政令指定都市では区ごとの事務所等の状況が計算に影響する場合があり、東京23区では東京都が道府県分と特別区分をまとめて法人都民税として課税します。
拠点が複数ある法人や適用区分に迷う場合は、各自治体または税理士へ確認すると安心です。
均等割を決める「資本金等の額」と「従業者数」はどう判定する?
法人住民税の均等割は、税法上の「資本金等の額」と、原則として事業年度末日現在の従業者数で判定します。登記簿の資本金や正社員数だけで判断すると、税率区分を誤る可能性があります。
登記上の資本金だけで決まるとは限らない
均等割の区分に用いるのは、単純な登記上の資本金ではなく、税法上の資本金等の額です。無償増資や無償減資などがある場合は、一定の加算・減算を行います。
調整後の資本金等の額が「資本金と資本準備金の合計額」を下回る場合は、その合計額が判定基準です。たとえば、調整後が800万円でも資本金と資本準備金の合計が1,000万円なら、1,000万円で判定します。
増資・減資を行った法人は、登記簿だけでなく法人税申告書上の数値まで確認しましょう。詳しい判定方法は、町田市の案内なども参考になります。
従業者数は原則として事業年度末日現在で判定する
確定申告では、原則として事業年度末日現在の従業者数を用います。正社員だけでなく、アルバイトやパートも判定対象になり得ます。
複数の事務所がある法人は、各所在地の従業者数を分けて整理する必要があります。事業年度中に廃止した事務所がある場合や、従業者数が大きく変動した場合には別途取扱いがあるため、自治体の案内を確認してください。
判定時に確認したい資料は?
法人住民税の均等割を正しく判定するには、決算日を基準に資本関係と人員配置を照合します。少なくとも次の資料を準備しましょう。
- 決算日時点の資本金・資本準備金
- 法人税申告書上の資本金等の額
- 無償増資・無償減資の履歴
- 決算日時点の従業者名簿
- 各事務所の所在地と開設・廃止日
資本取引や拠点異動があると判定が複雑になります。最終的には、所在地の自治体や税理士へ確認することをおすすめします。

設立初年度の均等割は月割り?計算方法と具体例
設立初年度の法人住民税の均等割は、事務所等を有していた月数に応じて月割りするのが原則です。初年度は事業年度が12か月未満になることが多いため、通常は年額全額ではなく月割額を納めます。
事務所を有していた月数で計算する
計算では、均等割の年額に事務所等を有していた月数を掛け、12で割ります。都道府県分と市町村分をそれぞれ計算します。
月数は暦に従って計算し、1か月を超える期間に1か月未満の端数がある場合は、原則として切り捨てます。ただし、全期間が1か月未満なら1か月として扱い、計算後の100円未満は切り捨てます。
年額7万円の法人が6か月間事業を行った例
資本金等の額1,000万円以下、従業者数50人以下、事務所1か所で、保有期間が6か月の法人を想定します。標準税率による法人住民税の均等割は年額7万円です。
| 区分 | 計算式 | 税額 |
|---|---|---|
| 道府県分 | 2万円×6÷12 | 1万円 |
| 市町村分 | 5万円×6÷12 | 2万5,000円 |
| 合計 | 1万円+2万5,000円 | 3万5,000円 |
したがって、この例の設立初年度の均等割は合計3万5,000円です。自治体によって税率が異なる場合があるため、所在地の税率も確認してください。
月数を単純に営業した月で数えない
月数は売上が発生した月ではなく、事務所等を有していた期間を基準に判定します。開業準備中で売上がなくても、事務所等を有していれば計算期間に含まれる可能性があります。
- 設立日と事業年度の開始日
- 事務所等を実際に開設した日
- 初年度の決算日
- 自宅が事務所等に該当するか
自宅を本店や事務所として利用する場合も、事務所等への該当性は個別確認が必要です。判断に迷うときは、横浜市や町田市など所在地自治体の法人課税担当部署へ問い合わせ、必要に応じて税理士へ相談してください。

法人住民税の均等割はいつまでに納付する?申告から支払いまでの流れ
法人住民税の均等割は、原則として事業年度終了日の翌日から2か月以内に申告・納付します。法人税の確定申告とは別に、事務所等がある自治体への手続きが必要です。
原則は事業年度終了日の翌日から2か月以内
例えば3月31日決算の法人は、原則として5月31日が期限です。期限が土曜日、日曜日、祝日等に当たる場合の扱いは、申告先となる都道府県・市町村の案内を確認してください。
申告期限の延長が認められるケースでも、申告期限と納付期限が必ずしも同じ扱いになるとは限りません。資金繰りへの影響を避けるため、個別の期限は所轄自治体または税理士に確認しましょう。
決算日から納付までの実務上の流れ
まず、決算日時点の資本金等の額と従業者数を確認します。そのうえで、事務所等を有していた自治体と保有月数を整理し、法人税額を確定して法人税割を計算します。
- 資本金等の額と従業者数から法人住民税の均等割を計算する
- 都道府県と市町村それぞれの申告書を作成する
- 原則として決算日の翌日から2か月以内に申告・納付する
- 申告書、納付記録、税額の計算根拠を保存する
赤字で法人税額が発生しない場合でも、均等割の申告・納付手続きを忘れないことが重要です。
複数の自治体に事務所がある場合の注意点
原則として、事務所等がある都道府県・市町村ごとに申告します。本店所在地の自治体にだけ申告すればよいと思い込まないよう注意が必要です。
均等割は各事務所の所在地や保有月数に応じて計算し、法人税割は従業者数などを基準に分割計算が必要になる場合があります。利用可能な自治体ではeLTAXによる電子申告・電子納付も検討し、不明点は各自治体または税理士へ確認してください。

売上ゼロ・休業・休眠会社の均等割はどうなる?
6-1.売上ゼロや赤字だけでは免除されない
法人住民税の均等割は、売上がないことや利益が出ていないことだけでは自動的に免除されません。課税の判断では、法人が自治体内に事務所・事業所・寮等を有しているかが重要です。
広島市の法人市民税に関する案内でも、市内に事務所等がある法人には均等割が課されることが示されています。営業を停止して登記だけを残している場合も、無条件で非課税になるとは限りません。
6-2.休業法人の取扱いは自治体によって異なる
自治体によっては、休業届を提出して一定の要件を満たすと、休業日以後の均等割を課さない取扱いがあります。例えば、豊中市の法人市民税に関する案内では、休業届を提出した場合の取扱いが示されています。
ただし、税務署へ休業に関する届出をしただけで、地方税の均等割まで自動的に停止するとは限りません。登記上の休眠状態、税務署への届出、自治体における課税上の取扱いは分けて確認する必要があります。
6-3.休業時に自治体へ確認する項目
- 法人市民税・法人県民税について休業届が必要か
- 事務所等が廃止されたと認められる条件は何か
- 均等割が発生しなくなる日はいつか
- 休業中も申告書の提出が必要か
- 事業再開時にどのような届出が必要か
赤字や売上ゼロだけでは均等割は免除されません。休業法人の取扱いは自治体ごとに異なるため、休業届の要否と課税停止の条件を所在地の自治体に確認してください。
法人住民税の均等割は、資本金等の額や従業者数、事務所等を有していた期間などを踏まえて申告・納付します。設立初年度の赤字や休業を見込む場合も、必要額と手続きを事前に確認しておきましょう。
判断に迷うときは、まず都道府県と市区町村の担当窓口へ確認し、税務は税理士、登記は司法書士、届出手続きは行政書士などの専門家へ相談することをおすすめします。
よくある質問
Q. 赤字や売上ゼロでも法人住民税の均等割はかかりますか?
赤字や売上ゼロでも、自治体内に事務所・事業所・寮等があれば、均等割は原則として申告・納付が必要です。法人税額が発生しない場合でも、法人住民税の申告まで不要になるわけではありません。
Q. 法人住民税の均等割は必ず年7万円ですか?
全国一律で年7万円になるわけではありません。年7万円は、資本金等の額が1,000万円以下、従業者数が50人以下などの条件を満たす場合の標準税率による金額であり、所在地や事務所数などによって変わる可能性があります。
Q. 設立初年度の法人住民税の均等割は月割りできますか?
設立初年度は、事務所等を有していた月数に応じて月割りするのが原則です。年額に保有月数を掛けて12で割り、都道府県分と市町村分をそれぞれ計算します。
Q. 法人住民税の均等割はいつまでに申告・納付しますか?
原則として、事業年度終了日の翌日から2か月以内に申告・納付します。事務所等がある都道府県・市町村への手続きが必要で、複数の自治体に拠点がある場合はそれぞれへの申告を確認してください。
Q. 会社を休業すれば法人住民税の均等割は免除されますか?
休業しただけで均等割が自動的に免除されるとは限りません。休業届を提出して一定の要件を満たすと課税されない自治体もありますが、取扱いは異なるため、所在地の自治体や税理士へ確認してください。
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この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

