2026.10.29

会社設立

就業規則は会社設立時に必要?10人未満でも作るべき理由

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読了目安時間:約 11分

目次

会社設立時、就業規則はいつから必要になる?

会社を設立しただけで、直ちに就業規則の作成義務が生じるわけではありません。一方で、初めて従業員を雇う予定がある新設法人は、採用前から労働条件や職場のルールを文書化する準備を検討すると安心です。

就業規則とは、始業・終業時刻、賃金、休暇、退職など、事業場における労働条件や職場規律を定める規程です。常時10人以上の労働者を使用する事業場では、作成し、所轄の労働基準監督署長へ届け出る義務があります。人数には正社員だけでなく、パートタイム労働者やアルバイトも含まれます。

ただし、従業員が10人未満の段階でも、就業規則を作る意味はあります。採用時に示す労働条件と社内の運用をそろえ、勤務時間、休暇、賃金、服務規律などをあらかじめ明確にすることで、認識の行き違いによるトラブルを防ぎやすくなるためです。

就業規則は「10人になってから急いで作る書類」ではなく、採用計画と事業場ごとの従業員数を踏まえて、早めに準備時期を判断する規程です。

本記事では、作成・届出義務が発生する条件、10人未満でも整備を検討したい理由、作成する時期の目安を解説します。さらに、規則に記載する事項、作成から届出・従業員への周知までの流れ、会社設立時に並行して確認したい労務手続きも確認します。

雇用形態や勤務制度、将来の採用計画によって必要な規定は変わります。自社の実態に合う内容かを確認したうえで、必要に応じて社会保険労務士などの専門家へ相談してください。

1. 就業規則は会社設立時に必須?作成義務が生じる基準

会社を設立した時点で、直ちに就業規則の作成が義務になるわけではありません。判断基準は法人か個人事業かではなく、事業場で常時使用する労働者が10人以上いるかです。

新設法人が採用を始める際は、本社・支店・店舗など、勤務場所ごとの人数と雇用形態を確認してください。人数が増える計画がある場合は、義務が生じる前から準備を進めると負担を抑えやすくなります。

事業場の労働者数 作成義務 労基署への届出
常時10人未満 法定義務なし 法定義務なし
常時10人以上 義務あり 義務あり

作成・届出が義務になるのは「常時10人以上」の事業場

労働基準法上、就業規則の作成と届出が必要になるのは、常時10人以上の労働者を使用する事業場です。会社全体の従業員数ではなく、原則として本社、支店、店舗、工場などの事業場ごとに判定します。

一時的に10人を超えたかではなく、継続的・常態的に10人以上を使用しているかが判断の対象です。義務がある事業場では、就業規則を作成したうえで、労働者代表の意見書を添付し、所在地を管轄する労働基準監督署長へ届け出ます。厚生労働省系の案内も、事業場単位での確認を示しています。

パート・アルバイトも10人のカウントに含まれる

10人の人数判定は正社員だけでは行いません。パート、アルバイト、契約社員なども、常時使用する労働者に該当する場合は人数に含めます。

一方、役員だけで事業を運営し、労働者を雇用していない会社は、通常は作成義務の対象になりません。採用計画を立てる段階で、雇用形態を分けずに事業場ごとの人数を集計しておくと、届出漏れの防止につながります。

  • 本社・支店・店舗ごとに人数を数える
  • パート・アルバイト・契約社員も集計する
  • 常態として10人以上になる予定を確認する

10人以上なのに作成・届出をしない場合の罰則

常時10人以上の事業場が就業規則を作成・届出しない場合、労働基準法第89条違反となり、同法第120条により30万円以下の罰金の対象となります。罰則の規定は、労働基準法で確認できます。

また、労働基準監督署の調査、従業員との労働条件に関するトラブル、助成金の申請時などに不備が表面化する可能性があります。10人に達した時点で慌てないよう、採用数が増える見込みの会社は、社会保険労務士などの専門家に早めに確認するとよいでしょう。

2. 従業員10人未満なら就業規則は不要?作成をおすすめする理由

会社設立後、従業員が10人未満の段階では就業規則の作成・届出は法律上義務付けられていません。ただし、初めて従業員を雇う新設法人ほど、採用時から勤務条件と職場のルールを書面でそろえておくことをおすすめします。

10人未満の事業場には、原則として作成・届出義務はない

常時使用する労働者が10人未満の事業場では、労働基準法上の就業規則の作成・届出義務はありません。人数は正社員だけでなく、パートタイム労働者やアルバイトも含めて、事業場ごとに判断します。

ただし、義務がないことは、ルールを定めなくてよいことを意味しません。採用直後から労働条件や職場規律を明確にし、後から認識違いが生じないようにしておく必要があります。

小規模な会社ほど、労働条件の認識違いがトラブルになりやすい

口頭説明や慣習だけで運用すると、始業・終業時刻、休憩時間、残業指示と残業代、有給休暇の扱いについて、会社と従業員で理解が分かれるおそれがあります。遅刻・欠勤・無断欠勤、退職時の引継ぎや貸与物の返却も、あらかじめ基準を示したい事項です。

SNS利用、情報漏えい、ハラスメントへの対応も、事業内容に応じてルール化を検討するとよいでしょう。少人数の会社では、1人の退職や労務紛争が日常業務や資金繰りに与える影響が大きくなり得ます。

  • 勤務時間・休憩・休日の扱い
  • 残業の指示方法と賃金の取扱い
  • 欠勤時の連絡、退職時の引継ぎ・返却物
  • 情報管理、SNS利用、ハラスメントの相談先

就業規則を周知すれば、労働契約を補う基準になり得る

労働契約法第7条では、合理的な労働条件を定めた就業規則を労働者に周知している場合、その内容が労働契約の内容となり得ます。この考え方は、作成義務のない10人未満の事業場で定めた就業規則にも適用され得ます。

作成した規則は、従業員がいつでも確認できる状態にして初めて、労務管理の基準として機能しやすくなります。

会社に一方的に有利な内容や、実際の勤務実態と異なる規定では、紛争の予防にはつながりません。雛形を使う場合も自社の勤務形態に合わせ、必要に応じて社会保険労務士などの専門家へ確認すると安心です。

従業員10人未満でも就業規則を作成するメリット

3. 会社設立後、就業規則はいつ作るべき?従業員数・採用予定別の判断

就業規則を作る時期は、設立からの経過期間ではなく、従業員数と採用予定で判断します。常時10人以上の労働者を使用する事業場には作成・届出義務がありますが、初めて採用する前から準備しておくと労働条件の説明が円滑です。

従業員をまだ雇っていない会社

役員だけで事業を開始する場合、原則として就業規則の作成を急ぐ必要はありません。従業員を使用していない段階では、作成・届出義務は生じません。

ただし、数か月以内に採用する予定があるなら、求人開始前または雇用契約の締結前に準備することをおすすめします。雇用契約書や労働条件通知書に示す勤務時間、賃金、休日などと、就業規則の定めを整合させる必要があるためです。

従業員が1〜9人の会社

従業員が1〜9人の事業場には、労働基準法上の作成・届出義務はありません。それでも、初めて従業員を雇う時点で、簡易的でも労働条件と職場のルールを文書化しておくことが望まれます。

特に、シフト・交替勤務、残業や休日出勤、パート・アルバイトの雇用、テレワーク、直行直帰がある会社は早めの作成を検討してください。個人情報・顧客情報・機密情報の取扱い、退職時の手続き、勤怠をめぐる行き違いが起きやすい場合も同様です。

10人未満でも、合理的な内容の就業規則を労働者へ周知している場合には、労働契約の内容を補う効力が認められ得ます。

従業員が10人以上、または近く10人に達する会社

常時10人以上の労働者を使用する事業場は、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署長へ届け出る必要があります。人数には正社員だけでなく、パートタイム労働者やアルバイトも含まれます。厚生労働省の案内も確認してください。

採用後に規程作成、労働者代表からの意見聴取、届出を急ぐ事態を避けるため、8〜9人程度になった段階で作成に着手すると進めやすいでしょう。本社・支店・店舗など複数の事業場がある場合は、会社全体ではなく事業場ごとに人数を確認します。

本社が10人未満でも、店舗が常時10人以上であれば、その店舗について義務が生じ得ます。届出時には、過半数労働組合または労働者の過半数代表者の意見書を添付します。

判断の早見表

まずは、各事業場の従業員数と今後の採用計画を確認してください。採用形態や勤務方法が増える会社ほど、義務の有無にかかわらず早めに規程案を用意する判断が適しています。

状況 作成・届出義務 対応の目安
役員のみ・従業員なし なし 採用予定なら雛形を準備
従業員1〜9人 なし 労働条件・服務規律を文書化
常時10人以上 作成・届出が必要 意見書を添えて届出
支店・店舗で10人以上 事業場ごとに必要 各拠点の人数を確認

就業規則の内容は、実際の勤務形態や雇用条件に合わせることが前提です。採用計画が急に変わった場合や、複数拠点の人数判定に迷う場合は、社会保険労務士などの専門家へ確認すると安心です。

従業員数と採用予定に応じた就業規則作成の判断フローチャート

4. 会社設立時に整備したい就業規則の内容

会社設立時に就業規則を作る場合は、法律上の記載事項を満たしたうえで、採用する人材や働き方に合うルールを定めます。就業時間や給与、退職時の扱いを早い段階で明文化しておくと、入社後の認識違いを抑えやすくなります。

就業規則の記載事項には、必ず書く絶対的必要記載事項と、制度を設ける場合に書く相対的必要記載事項があります。制度設計と規則の記載内容が一致しているかを確認してください。

必ず記載する「絶対的必要記載事項」

必ず記載する事項は、労働時間、賃金、退職に関する3区分です。始業・終業時刻、休憩、休日、休暇、交替制勤務を行う場合の就業時転換を定め、勤務の基本条件を明確にします。

賃金については、決定・計算・支払方法、締切日・支払日、昇給を記載します。さらに、退職に関する事項には解雇事由も含まれるため、退職や解雇の扱いを曖昧な表現のままにしないことが必要です。記載事項は厚生労働省の案内でも確認できます。

  • 始業・終業時刻、休憩、休日、休暇
  • 交替制勤務を採る場合の就業時転換
  • 賃金の計算方法、締切日、支払日、昇給
  • 退職および解雇の事由・手続

設立初期は、残業が発生した場合の扱い、給与の締日と支払日、退職時に必要な手続を特に明確にしておくとよいでしょう。雇用契約書の内容とも矛盾しないよう、作成前に勤務形態と給与体系を整理します。

制度を設ける場合に記載する「相対的必要記載事項」

退職金や賞与などの制度を設けるなら、その内容を相対的必要記載事項として就業規則に記載します。制度がない項目まで設ける必要はありませんが、実施する制度を規則に書かない状態は避けるべきです。

  • 退職手当
  • 賞与などの臨時の賃金、最低賃金額
  • 食費、作業用品などの労働者負担
  • 安全衛生、職業訓練
  • 災害補償、業務外の傷病扶助
  • 表彰、懲戒の種類・程度
  • 全従業員に適用するその他の定め

たとえば賞与を支給する方針や、業務用備品の費用負担を定める場合は、対象者・条件・内容を確認できる記載にします。退職金、表彰、懲戒などは労働条件や職場規律に影響するため、導入時には社会保険労務士などへ確認すると安心です。

設立初期に優先して決めたい実務上のルール

設立初期には、日常的に判断が必要になる勤怠・情報管理・服務規律のルールを優先して定めます。すべてを最初から細かく盛り込む必要はありませんが、自社の働き方に合わない雛形をそのまま使うことは避けてください。

  • 年次有給休暇の申請先と申請方法
  • 欠勤、遅刻、早退、無断欠勤の連絡方法
  • 服務規律、秘密保持、個人情報の取扱い
  • ハラスメント防止に関する方針
  • 懲戒の対象行為と処分内容
  • 副業・兼業を認める条件や届出
  • テレワーク、私物端末、SNS利用のルール

採用予定者がテレワークを行う、顧客情報を扱う、副業を認めるなどの事情がある場合は、実際の運用に沿った規定を用意します。

就業規則は、会社が実際に運用できる内容で作成することが大切です。採用条件や業務内容が固まった段階で、労働法令との整合性を社会保険労務士等の専門家に確認するとよいでしょう。

就業規則に記載する項目の分類

5. 就業規則の作成から届出・周知までの流れ

新設法人で就業規則を整える際は、勤務実態の確認、規則案の作成、労働者代表からの意見聴取、届出、周知の順で進めます。常時10人以上の労働者を使用する事業場では、作成後の届出と従業員への周知まで完了させる必要があります。

1. 事業場ごとの従業員数と勤務実態を確認する

まず、常時使用する労働者数を本社、店舗、営業所などの事業場ごとに数えます。人数には正社員だけでなく、パート・アルバイトなども含まれるため、雇用形態だけで判断しないことが必要です。

あわせて、就業形態、始業・終業時刻、休憩、休日、賃金体系を洗い出します。賞与、退職金、交替勤務などの制度がある場合も、実際の運用内容を確認してから規則に反映します。

2. モデル就業規則を参考に、自社向けの案を作る

規則案は、厚生労働省のモデル就業規則をたたき台にして作成できます。ただし、雛形をそのまま使うのではなく、自社の雇用契約書や実際の勤務方法と照らして文言を調整してください。

実際には運用できない服務規律や、不必要に厳しい制裁規定を置くと、採用後のトラブルにつながりかねません。労働時間、賃金、退職などの必要記載事項も確認します。

3. 労働者代表の意見を聴き、意見書を作成する

常時10人以上の事業場では、就業規則の作成・変更時に労働者代表の意見を聴き、意見書を作成します。過半数労働組合がある場合はその組合、ない場合は労働者の過半数代表者が意見聴取の相手です。

意見書は届出時に添付します。代表者から反対意見が示された場合でも、意見を聴いた事実と意見書の添付があれば、直ちに届出ができなくなるわけではありません。

4. 管轄の労働基準監督署へ届け出る

常時10人以上の事業場は、就業規則本体と意見書を、事業場所在地を管轄する労働基準監督署長へ届け出ます。就業規則を変更した場合も、原則として変更後の規則を届け出る必要があります。

本店と支店など複数の事業場がある場合、届出は原則として事業場ごとに必要です。届出先や必要書類は、事前に労働局の案内で確認するとよいでしょう。

5. 従業員がいつでも確認できるよう周知する

届出後は、従業員が就業規則をいつでも確認できる状態にします。届出済みであっても周知されていなければ足りず、入社時だけでなく改定時にも周知する運用が必要です。

  • 職場の見やすい場所に掲示・備え付ける
  • 従業員へ書面で交付する
  • 社内システム等で常時閲覧可能にする

電子データで公開する場合も、全従業員が常時確認できる環境を確保してください。

周知方法は、厚生労働省の案内で示される方法から、自社の勤務場所や利用環境に合うものを選びます。規則の内容や届出方法に迷う場合は、社会保険労務士などの専門家へ確認することをおすすめします。

就業規則の作成から届出・周知までの5ステップ

6. 就業規則を作るときの注意点|雛形の丸写し・未周知を避ける

新設法人が就業規則を用意する際は、雛形を自社の働き方に合わせて修正し、従業員がいつでも内容を確認できる状態にする必要があります。内容と運用が食い違うと、労働条件や職場規律をめぐる認識のずれにつながります。

雛形をそのまま使うと、実態と合わないおそれがある

厚生労働省のモデル就業規則やインターネット上のテンプレートは、記載漏れを防ぐ参考になります。ただし、会社の制度や日々の運用に合わせずに転載すると、実際にはない制度を約束したように読めるおそれがあります。

たとえば、フレックスタイム制を採用しているのに通常勤務用の始業・終業時刻だけを定める、賞与・退職金制度がないのに支給規定を残すといった不一致です。テレワークを認める場合は情報管理のルールを、懲戒規定を置く場合は対象行為や手続きを、実態に即して明確にしておくことが求められます。

  • 勤務時間・休日・休暇の運用が規定と一致しているか
  • 賞与、退職金、各種手当について実施する制度だけを記載したか
  • テレワーク時の情報管理や会社貸与物の取扱いを定めたか
  • 懲戒の対象行為、種類、程度を具体的に記載したか

雇用契約書・労働条件通知書との整合性を確認する

就業規則は、個別に交付する雇用契約書・労働条件通知書と矛盾しないよう確認してください。特に、賃金、労働時間、休日、試用期間、業務内容は、採用時に説明した内容と条文を照合する必要があります。

個別合意と就業規則の関係は一律に決まるものではないため、「就業規則が常に優先する」とは考えないことが大切です。労働条件を変更する場面を含め、どの文書に何を定めるかは、採用条件と実際の運用を確認したうえで決めましょう。

作成後も、制度変更や人員増加に合わせて見直す

就業規則は一度作成して終わりではなく、採用や制度変更に応じて改定を検討します。従業員数の増加、賃金・評価制度の変更、テレワークや副業制度の導入は、条文と実態を照合する機会になります。

育児・介護支援制度の変更、ハラスメント対策や情報セキュリティ対策の強化も見直しの契機です。常時10人以上の労働者を使用する事業場で就業規則を変更する場合は、労働者代表の意見を聴き、意見書を添付して所轄労働基準監督署長へ届け出る必要があります。変更後の規則も、掲示・書面交付・常時確認できる電子データなどにより従業員へ周知してください。詳細は労働局の案内で確認できます。

7. 会社設立時は就業規則以外の労務手続きも確認しよう

新たに従業員を雇う場合は、就業規則の準備と並行して、採用時の書類、労働時間・休暇の管理、保険手続きまで確認します。規程だけを作成しても、日々の雇用管理に必要な記録や届出が欠けると、運用上の負担や認識違いにつながります。

最初の採用前に、必要書類と担当者、手続きの時期を一覧化しておくと進めやすくなります。制度の内容や雇用形態によって必要な対応は異なるため、判断に迷う場合は社会保険労務士などへ相談してください。

採用時に必要となる主な書類・手続き

採用時には、労働条件を明示した労働条件通知書または雇用契約書を交付し、従業員ごとの情報を労働者名簿に記載します。給与を支払う会社は賃金台帳も作成し、出退勤時刻を把握できる勤怠管理の仕組みを用意します。

  • 労働条件通知書または雇用契約書の交付
  • 労働者名簿および賃金台帳の作成
  • 始業・終業時刻を記録する勤怠管理の整備
  • 年次有給休暇の付与日数・取得状況の管理
  • 労働保険・社会保険の加入手続きの確認
  • 残業・休日労働を行う場合の36協定の締結・届出

労働保険や社会保険の適用・加入に関する手続きは、法人の状況や雇用する人の働き方により確認事項が変わります。法人事業所の社会保険の適用については、日本年金機構の案内も確認し、採用日から漏れなく対応できるようにしましょう。

時間外労働または休日労働をさせる予定があるときは、事前に36協定を締結し、所轄労働基準監督署へ届け出る必要があります。採用後に業務量が増えてから検討するのではなく、勤務時間の設計段階で残業の有無を確認することが大切です。

就業規則と一緒に整備すると運用しやすい社内ルール

賃金や休業、テレワークなどに独自の制度を設ける場合は、就業規則の本則とは別に規程を作る方法があります。本則には全従業員に共通する基本事項を置き、制度ごとの詳細を別規程に分けると、制度変更時に見直す範囲を整理しやすくなります。

  • 賃金規程:給与、手当、賞与などの取扱い
  • 育児・介護休業規程:休業・休暇制度の取扱い
  • テレワーク規程:勤務場所、費用、連絡方法
  • 旅費規程:出張時の交通費や宿泊費の取扱い
  • 情報セキュリティ規程:情報機器・データの管理方法
  • ハラスメント防止方針・相談窓口の案内

すべての規程を設立直後に作成する必要はありませんが、制度を実際に導入する前にルールを定め、従業員に内容を知らせることが必要です。雛形を使用する場合も、自社の賃金体系、勤務場所、承認手続きと一致しているかを確認し、必要に応じて社会保険労務士や税理士へ相談すると安心です。

会社設立後に必要な雇用手続きのチェックリスト

まとめ|就業規則は「10人になってから」ではなく、採用前から準備すると安心

新設法人が従業員を雇用する予定なら、就業規則は採用前から準備を始めると安心です。常時10人以上の労働者を使用する事業場では、法律上、就業規則の作成と労働基準監督署への届出が必要になります。

10人未満の事業場には作成・届出の義務はありませんが、労働時間、休暇、賃金、服務規律、退職などのルールを明文化する意義があります。雇用契約書や労働条件通知書と内容を整合させておくことで、採用後の認識違いや労務トラブルを防ぎやすくなります。

  • 採用前に、雇用契約書・労働条件通知書と就業規則の内容を確認する
  • 従業員数、雇用区分、勤務形態、賃金制度に合う規定を設ける
  • テレワークを行う場合は、勤務場所や労働時間の扱いを自社方針に沿って定める
  • 作成・変更後は、労働者がいつでも確認できる方法で周知する
  • 採用増加や制度変更時には、規則の内容を見直す

常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則の作成・届出に加え、労働者への周知も求められます。人数には正社員だけでなく、パートタイム労働者やアルバイトも含まれます。

雛形をそのまま使うのではなく、自社で実際に運用できる内容に整えることが、設立直後の労務管理では欠かせません。賃金体系や休暇制度、テレワークの有無などが変わったときは、就業規則と個別の労働条件に矛盾がないか確認しましょう。

届出の要否、規定内容、労働条件通知書との整合性に迷う場合は、早い段階で社会保険労務士などの労務専門家へ相談する方法があります。法人設立手続や税務面を含めて確認したい場合は、税理士・司法書士・行政書士にも相談し、自社の採用計画に合わせて準備を進めてください。

よくある質問

Q. 会社設立時に就業規則は必ず作成しなければなりませんか?

会社を設立しただけで、直ちに就業規則の作成義務が生じるわけではありません。常時10人以上の労働者を使用する事業場では、作成と所轄の労働基準監督署長への届出が必要です。判断は会社全体ではなく、原則として事業場ごとに行います。

Q. パートやアルバイトも、就業規則の作成義務の人数に含まれますか?

正社員だけでなく、パートタイム労働者、アルバイト、契約社員なども、常時使用する労働者に該当する場合は人数に含まれます。雇用形態で分けず、本社・支店・店舗など事業場ごとに集計することが大切です。

Q. 従業員が10人未満なら、就業規則は作らなくてもよいですか?

常時10人未満の事業場では、就業規則の作成・届出は法律上義務付けられていません。ただし、勤務時間、休暇、賃金、服務規律などを文書化しておくことで、労働条件をめぐる認識違いを防ぎやすくなります。合理的な内容の就業規則を周知している場合は、労働契約の内容を補う効力が認められ得ます。

Q. 就業規則はいつまでに準備するのがよいですか?

作成時期は設立からの期間ではなく、従業員数と採用予定を基準に判断します。初めて従業員を採用する前や、常時10人に近づく段階から準備すると、雇用契約書や労働条件通知書との整合を取りやすくなります。複数の事業場がある場合や人数判定に迷う場合は、社会保険労務士などの専門家へ相談すると安心です。

Q. 就業規則を作成した後は、労働基準監督署への届出だけで足りますか?

常時10人以上の事業場では、就業規則本体に労働者代表の意見書を添付して届け出ます。届出後は、掲示・備え付け、書面交付、社内システムや電子データでの公開などにより、従業員がいつでも確認できるよう周知する必要があります。変更した場合も、意見聴取、届出、周知を行います。

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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

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