メニュー
会社設立
会社設立時の役員任期は何年?決め方と重任登記を解説
読了目安時間:約 7分
目次
会社設立時の役員任期は何年?
株式会社の役員任期は、原則として取締役が2年、監査役が4年です。ただし、発行するすべての株式に譲渡制限がある非公開会社では、定款に定めることで最長10年まで伸長できます。
役員任期とは、選任された取締役や監査役が、その地位に在任できる期間のことです。会社設立時の役員任期を何年にするか迷う場合は、まず次の基本ルールを押さえておきましょう。
| 役員 | 原則の任期 | 短縮 | 非公開会社 |
|---|---|---|---|
| 取締役 | 原則2年 | 1年などに短縮可 | 最長10年 |
| 監査役 | 原則4年 | 自由な短縮は不可 | 最長10年 |
会社法第332条による取締役の任期は、原則として「選任後2年以内に終了する事業年度のうち、最終の事業年度に関する定時株主総会の終結時まで」です。定款または株主総会決議により、1年などへ短縮できます。
任期2年は、設立日や選任日から単純に2年間という意味ではありません。事業年度と定時株主総会の開催時期を基準に満了時点を判断します。
監査役は、会社法第336条により、原則として「選任後4年以内に終了する事業年度のうち、最終の事業年度に関する定時株主総会の終結時まで」です。取締役とは異なり、任期を自由に短縮する一般的な規定はありません。
非公開会社は、定款の規定によって取締役・監査役の任期を最長10年まで伸長できます。取締役については監査等委員会設置会社と指名委員会等設置会社が対象外であり、10年への伸長には株主総会決議だけでなく定款の定めが必要です。
なお、合同会社の社員や業務執行社員には、株式会社の取締役と同じ法定任期は原則としてありません。本記事は主に株式会社を対象として、任期満了時期の考え方や会社に合った年数の判断に必要な疑問を整理します。個別の機関設計や定款内容は、司法書士などの専門家にも確認してください。
役員任期はいつまで?事業年度を使った計算例
会社設立時の役員任期は、役員の選任日、会社の事業年度・決算日、定時株主総会の開催日の3要素から計算します。「2年任期=選任日の2年後まで」ではない点に注意が必要です。
会社法上、取締役の任期は原則として、選任後2年以内に終了する事業年度のうち、最終の事業年度に関する定時株主総会の終結時までです。例えば、次の条件で計算します。
| 確認項目 | 具体例 |
|---|---|
| 決算日 | 3月31日 |
| 取締役の選任日 | 2026年9月7日 |
| 任期 | 2年 |
| 最終事業年度 | 2028年3月期 |
この場合、2年以内に終了する最終事業年度は、原則として2028年3月31日終了事業年度です。したがって、任期満了は2028年3月期に関する定時株主総会の終結時であり、2028年9月7日まで在任するという意味ではありません。
設立時取締役についても、定款の任期規定と事業年度を基に計算します。設立月と決算月の組み合わせや、初年度が1年未満となることにより、実際の在任期間が想定より短くなる場合があります。
会社設立後に役員任期を管理するときは、次の資料を照合し、定時株主総会の開催予定日まで確認しましょう。
- 定款の役員任期規定
- 株主総会議事録
- 設立時の役員選任書類
- 履歴事項全部証明書
- 株主総会の開催予定表
履歴事項全部証明書だけでは、任期年数そのものを確認できません。規定や選任時期が不明な場合は、任期満了を見落とさないよう司法書士などの専門家へ確認することをおすすめします。

役員任期は何年にする?会社の状況別の決め方
会社設立時の役員任期は、株主・役員が固定される会社なら5~10年、役員構成が変わりやすい会社なら1~2年が目安です。登記費用だけでなく、将来の増資、事業承継、役員交代の可能性から判断します。
| 会社の状況 | 任期の目安 | 判断時の注意点 |
|---|---|---|
| 一人会社・同族会社 | 5~10年 | 役員追加や承継も考慮 |
| 共同創業会社 | 1~2年 | 役割変更に備える |
| 外部株主・投資家あり | 1~2年 | 推薦役員の交代を考慮 |
| 社外役員あり | 短め | 定期的に構成を見直す |
| 役員交代の予定なし | 長め | 期限管理を徹底する |
| 事務・登記費用を抑えたい | 長め | 期限管理と併用する |
| 事業承継を予定 | 承継時期に合わせる | 後継者の就任時期を確認 |
一人会社や家族会社では、株主と役員が固定され、交代の可能性が低ければ5~10年を検討できます。重任決議、議事録作成、変更登記の回数を減らせますが、事業承継や役員追加の予定、長期間の期限管理も確認しましょう。
共同創業会社や外部投資家がいる会社は、経営方針や役割分担が変わりやすいため、1~2年が適しやすいでしょう。投資家の推薦役員や社外役員がいる場合も、任期満了の機会に役員構成を見直しやすくなります。
任期満了による退任と、任期途中の解任は扱いが異なります。取締役を正当な理由なく途中解任すると、会社法第339条第2項に基づく損害賠償請求を受ける可能性があり、長期任期ほど残存期間が長くなり得ます。
近い将来に増資や資本提携を予定している場合は、新しい株主が経営に関与する可能性を踏まえ、役員構成が固まるまで短めに設定する方法があります。その後、必要に応じて定款を見直すとよいでしょう。
費用だけを理由に10年を選ばず、役員交代の可能性と経営計画を優先してください。長期任期を設定できるのは原則として非公開会社であり、会社の機関設計による制限もあるため、最終的には司法書士などの専門家へ確認することをおすすめします。

役員任期を10年にするメリット・デメリット
役員任期を10年にすると、再任手続きの負担を減らせる一方、任期途中の交代が難しくなります。株主と役員が固定された会社には向きますが、共同創業者や外部役員がいる会社では慎重な判断が必要です。
| 比較項目 | 1~2年の短期任期 | 5~10年の長期任期 |
|---|---|---|
| 役員構成 | 定期的に見直しやすい | 固定しやすい |
| 再任手続き | 回数が多い | 回数を減らせる |
| 途中交代 | 任期満了を待ちやすい | 解任リスクが高まる |
役員任期を10年にするメリットは?
長期任期では、株主総会での再任決議、株主総会議事録・登記申請書の作成、重任登記の回数を減らせます。その結果、登録免許税や司法書士報酬を抑えやすい点がメリットです。
一人会社や家族会社など、株主と役員が長期間変わらない会社では、事務負担を抑えながら継続的に経営しやすくなります。会社設立時の役員任期を長くする効果が特に表れやすいケースです。
役員任期を10年にするデメリットは?
最大の注意点は、役員を途中で交代させにくくなることです。正当な理由なく解任すると、会社法第339条第2項に基づき損害賠償を請求され、残存期間の役員報酬などが争点になる可能性があります。
共同創業者や外部役員との関係が変わる可能性がある会社は、1~2年の短期任期も検討すべきです。また、任期満了が遠いほど重任登記を忘れやすいため、定款と役員台帳で期限を管理し、長期間登記がない株式会社は休眠会社整理にも注意します。
10年任期は定款にどう定める?
非公開会社では、会社設立時の原始定款に次のような任期規定を盛り込めます。
取締役:「取締役の任期は、選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする」
監査役:「監査役の任期は、選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする」
設立後に任期を伸長する場合は、原則として株主総会の特別決議による定款変更が必要です。任期規定自体は登記事項ではないため通常は変更登記を要しませんが、任期短縮により現任役員の任期が満了すると、役員変更登記が必要になり得ます。
会社の機関設計や将来の役員交代も踏まえ、定款変更前に司法書士などの専門家へ確認すると安心です。

任期満了から重任登記まではどう進む?
任期満了前に役員の任期を確認し、定時株主総会で再任を決議したうえで、管轄法務局へ役員変更登記を申請します。同じ人物が引き続き役員を務める場合でも、登記手続きは必要です。
重任とは、任期満了した役員と同じ人物を、間を空けずに再任することです。法律上は任期満了による退任と再度の就任が生じるため、登記上は「重任」として扱われます。
重任登記はどのような順序で進める?
会社設立時に役員任期を長く設定した場合も、満了時には次の手順で進めます。選任日だけで判断せず、定款、過去の議事録、登記簿を照合することが重要です。
- 定款・議事録・登記簿で任期を確認する
- 定時株主総会の開催日を決める
- 株主総会で取締役・監査役の再任を決議する
- 必要に応じ、取締役会で代表取締役を選定する
- 議事録などの必要書類を作成する
- 管轄法務局へ役員変更登記を申請する
- 登記完了後、履歴事項全部証明書で内容を確認する
重任登記にはどの書類が必要?
主な必要書類は次のとおりです。ただし、会社の機関設計や役員の変更内容によって、提出書類は異なります。
| 区分 | 主な書類 |
|---|---|
| 申請書類 | 株式会社変更登記申請書 |
| 決議関係 | 株主総会議事録、株主リスト |
| 就任関係 | 就任承諾書 |
| 代表者関係 | 取締役会議事録または互選書 |
| 証明書類 | 本人確認証明書、印鑑証明書 |
| その他 | 委任状、収入印紙 |
重任時の就任承諾書は、株主総会議事録の記載方法によって別紙を省略できる場合があります。判断に迷うときは、法務局の申請様式・記載例を確認し、司法書士などの専門家へ相談すると安心です。

重任登記の期限と費用はいくら?
重任を含む役員変更登記は、変更事由が生じた日から原則2週間以内に申請します。重任では通常、定時株主総会で再任された日が期限計算の基準です。
期限の最終日が法務局の閉庁日に当たる場合などは、個別の期限計算に注意が必要です。株主総会の開催日が決まった段階で、司法書士や管轄法務局へ確認すると安心です。
重任登記の登録免許税はいくら?
役員変更登記の登録免許税は、資本金の額により次のとおりです。複数の役員を同一申請で変更しても、役員一人ごとに課税されるわけではありません。
| 資本金 | 登録免許税 |
|---|---|
| 1億円以下 | 1件につき1万円 |
| 1億円超 | 1件につき3万円 |
司法書士へ依頼する場合は、登録免許税とは別に報酬が発生します。報酬額は依頼先や役員数、書類作成などの手続き内容によって異なるため、事前に見積もりを取りましょう。
2週間を過ぎた場合はどうなる?
期限後でも登記申請はできますが、登記懈怠となります。登記を怠った代表取締役は、裁判所から100万円以下の過料に処される可能性があり、会社ではなく代表取締役個人に科される場合もあります。
期限を過ぎたことに気づいたら放置せず、速やかに申請してください。対応方法に迷う場合は、司法書士へ相談することをおすすめします。
登記忘れを防ぐには?
会社設立時に役員任期を決めた後は、次回の任期満了まで継続して管理することが重要です。10年任期であっても、毎年確認しましょう。
- 役員名簿に次回の任期満了予定日を記載する
- 株主総会の開催予定とともにカレンダーへ登録する
- 6か月前・3か月前・1か月前に通知を設定する
- 税理士や司法書士などの専門家と期限を共有する

会社設立時の役員任期に関するよくある質問
会社設立時の役員任期は、会社の機関設計や定款の定めによって調整できます。ただし、任期満了後に同じ役員が続投する場合も登記が必要なため、設立後の管理まで見据えることが大切です。
取締役の任期を1年にできますか?
取締役の任期は、定款または株主総会決議によって1年に短縮できます。毎年役員構成を見直せる一方、同じ取締役を再任する場合でも、毎年重任手続きが必要になる可能性があります。
取締役と監査役の任期をともに10年にできますか?
非公開会社では、定款に定めることで取締役と監査役の任期をともに最長10年まで伸長できます。ただし、監査役には取締役と同様の一般的な任期短縮規定がないため、自由に短縮できるわけではありません。
取締役についても、監査等委員会設置会社や指名委員会等設置会社は10年への伸長対象外です。詳しい要件は会社法を確認してください。
役員が一人だけでも重任登記は必要ですか?
役員が一人だけの会社でも重任登記は必要です。代表取締役本人が再任され、株主や役員の顔ぶれに変更がなくても、任期満了による退任と再就任が生じるため、登記を省略できません。
重任登記が2週間を過ぎた場合はどうなりますか?
期限の2週間を過ぎても申請はできますが、登記を怠った代表取締役に過料が科される可能性があります。期限超過に気づいた時点で速やかに申請し、長期間放置しないことが重要です。
必要書類や申請内容に不安がある場合は、司法書士への相談をご検討ください。役員変更登記の取扱いは法務省の案内でも確認できます。
会社設立後に役員任期を変更できますか?
設立後も、原則として株主総会の特別決議による定款変更で役員任期を変更できます。ただし、任期を短縮すると、現任役員の任期がその時点で満了する可能性があります。
- 定款変更の効力が生じる時期を確認する
- 現任役員の任期満了の有無を確認する
- 役員変更登記が必要か個別に確認する
会社設立時の役員任期を後から見直す際は、定款変更と役員変更登記の要否を分けて検討し、司法書士などの専門家へ確認すると安心です。
まとめ|会社設立時の役員任期は将来の役員交代まで考えて決めよう
株式会社の役員任期は、取締役が原則2年、監査役が原則4年です。非公開会社では、定款の定めによって取締役・監査役ともに最長10年まで伸長できます。
会社設立時の役員任期は、一人会社や家族会社など役員構成が安定している場合は長期、共同創業者や外部株主がいる場合は短期が一つの目安です。長期任期には登記の手間や費用を抑えられる利点がある一方、正当な理由のない任期途中の解任に伴う損害賠償や、任期満了を見落として登記を忘れるリスクがあります。
同じ人物を再任するときも重任登記が必要であり、原則として変更が生じた日から2週間以内に申請します。役員変更登記の登録免許税は、資本金1億円以下なら1万円、1億円を超える場合は3万円です。
現在の事務負担だけでなく、将来の資本提携、事業承継、役員追加や役員交代まで見据えて任期を決めることが重要です。設立後も任期満了時期を管理し、株主総会や登記の予定をあらかじめ確認しておきましょう。
会社設立時の役員任期に迷う場合や、機関設計・株主構成が複雑な場合は、登記を扱う司法書士を中心に、税務は税理士、定款や許認可は行政書士など、相談内容に応じた専門家への相談をご検討ください。
よくある質問
Q. 役員任期は選任日から数えて2年後に満了しますか?
取締役の任期2年は、選任日から単純に2年間という意味ではありません。選任後2年以内に終了する最終事業年度に関する定時株主総会の終結時までとなるため、事業年度や株主総会の開催日を基に判断します。
Q. 履歴事項全部証明書で役員の任期を確認できますか?
履歴事項全部証明書だけでは、役員の任期年数そのものを確認できません。定款、株主総会議事録、役員選任書類などを照合し、不明な場合は司法書士などへ確認すると安心です。
Q. 合同会社の業務執行社員にも役員任期はありますか?
合同会社の社員や業務執行社員には、株式会社の取締役と同じ法定任期は原則としてありません。この記事の任期に関する説明は、主に株式会社を対象としています。
Q. 役員任期を10年にすると登記費用を抑えられますか?
10年任期にすると、再任決議や議事録作成、重任登記の回数が減るため、登録免許税や司法書士報酬を抑えやすくなります。一方で途中交代や登記忘れのリスクもあるため、費用だけでなく将来の役員交代も踏まえて判断することが重要です。
Q. 役員任期を短縮すると、現在の役員はすぐ退任しますか?
任期の短縮により、現任役員の任期がその時点で満了する可能性があります。その場合は役員変更登記が必要になり得るため、定款変更前に司法書士などへ確認すると安心です。
税務・労務等のバックオフィス支援から
経営支援まで全方位でビジネスをサポート
本気で夢を追い求めるあなたの会社設立を全力サポート
- そもそも個人事業と会社の違いがわからない
- 会社を設立するメリットを知りたい
- 役員報酬はどうやって決めるのか
- 株式会社にするか合同会社にするか
会社設立の専門家が対応させていただきます。
税理士法人松本の強み
- 設立後に損しない最適な起業形態をご提案!
- 役員報酬はいくらにすべき?バッチリな税務署対策で安心!
- 面倒なバックオフィスをマルっと支援!
- さらに会社設立してからも一気通貫で支援
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

