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外国人の会社設立手続き|経営・管理ビザの要件も解説
読了目安時間:約 7分
目次
導入|外国人でも日本で会社を設立できる
外国人の会社設立は、日本人と同様に株式会社・合同会社のいずれでも可能です。海外居住者も株主・発起人・取締役・代表取締役・合同会社の社員になれ、代表取締役全員が海外居住者でも設立登記を申請できます。
ただし、会社を設立できることと、日本に滞在して経営できることは別です。日本国内で継続して経営活動を行うには、「経営・管理」など活動内容に合った在留資格が必要になります。
そのため、外国人が日本で起業する際は、会社法・商業登記上の設立手続きに加え、「経営・管理」またはスタートアップビザ、外為法上の対内直接投資に関する届出・報告を並行して確認することが重要です。
なお、在留資格「経営・管理」の許可基準は2025年10月16日に改正されています。調査基準日である2026年9月6日時点では、従来の「資本金500万円」を前提とした情報ではなく、原則として資本金等3,000万円以上の新基準を踏まえる必要があります。本記事では、設立の流れや費用、在留資格、必要書類、外為法の手続きを整理しますが、個別の判断は司法書士・行政書士・税理士などへご相談ください。
外国人の会社設立は日本人の場合と何が違う?
外国人の会社設立も、日本人と同様に株式会社・合同会社のいずれを選択でき、国籍や居住地による原則的な制限はありません。ただし、会社を設立できることと、日本に在留して経営できることは別です。
会社法・商業登記上、外国人や海外居住者も、株式会社の株主・発起人・取締役・代表取締役、合同会社の社員・代表社員に就任できます。日本在住の代表取締役を必ず置く必要はなく、資本金も原則1円以上で設立可能です。
| 目的 | 主に確認する制度 |
|---|---|
| 海外から所有・管理する | 会社法・商業登記 |
| 日本国内で経営する | 会社法・在留資格 |
設立登記が完了しても、日本の在留資格が自動的に付与されるわけではありません。日本国内で経営活動を行う場合は、在留資格「経営・管理」やスタートアップビザ、または既に保有する就労制限のない在留資格を検討します。永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者などは、一般に就労活動の制限を受けません。
また、外国人特有の実務として、次の事項を設立前に確認する必要があります。
- 海外発行の署名証明書や宣誓供述書が必要か
- 外国語の証明書に日本語訳を添付しているか
- 海外送金による資本金の払込方法と証拠資料
- 業種や出資者の国籍に応じた外為法上の届出・報告の要否
登記・在留資格・外為法はそれぞれ別の制度であるため、計画段階から司法書士、行政書士、税理士などの専門家へ確認すると安心です。

外国人が会社を設立する実際の流れ
外国人の会社設立では、登記だけでなく、事務所契約、資本金の払い込み、在留資格申請の順番が重要です。会社設立からビザ申請、営業開始までを一体として計画しましょう。
ステップ1|在留資格と事業計画を先に確認する
まず、日本で自ら経営するのか、現在の在留資格で経営できるのかを確認します。「経営・管理」ビザを取得する場合は、その要件を満たせる事業計画が必要です。
- 資本金、事務所、人員の設計
- 事業に必要な許認可の有無
- 外為法上の届出・報告の要否
ビザ取得を前提とする場合は、これらを登記前から整理し、設立後に要件を満たせない事態を防ぎます。
ステップ2|株式会社か合同会社かを選ぶ
社会的な認知度や資金調達を重視するなら株式会社、設立手続きや経営の柔軟性を重視するなら合同会社が候補です。将来の出資受け入れや利益配分も踏まえて選びます。
| 項目 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 特徴 | 株式による調達を設計しやすい | 意思決定・利益配分が柔軟 |
| 定款認証 | 必要 | 不要 |
| 主な利用場面 | 認知度を重視する事業 | 小規模事業・子会社 |
| 登録免許税 | 21万円 | 21万円 |
資本金3,000万円の場合、登録免許税は株式会社・合同会社ともに21万円です。
ステップ3|会社の基本事項を決める
商号、本店所在地、事業目的、資本金、出資者、役員・代表者、事業年度を決定します。許認可事業では、許認可に対応する事業目的を定款に記載してください。
「経営・管理」を申請する場合は、契約前に独立した事業所として利用できる物件かを確認することが重要です。
ステップ4|定款作成、資本金払込、設立登記を行う
株式会社は「定款作成・認証→資本金払込→設立登記」、合同会社は「定款作成→資本金払込→設立登記」の順です。合同会社には公証人による定款認証がありません。
海外送金を利用する場合を含め、払込経路や送金記録を保存しておきます。書類や払い込み方法は個別事情で異なるため、登記前に司法書士へ確認すると安全です。
ステップ5|登記後の届出とビザ申請を進める
登記事項証明書と会社の印鑑証明書を取得し、税務署、都道府県、市区町村へ法人設立届を提出します。従業員を雇う場合は、社会保険・労働保険の手続きも必要です。
事業所や許認可を整えたうえで「経営・管理」ビザを申請し、外為法上の事前届出・事後報告の要否も確認します。在留資格・登記・税務を横断するため、最終的には行政書士、司法書士、税理士などへ相談してください。

外国人の会社設立費用はいくら?株式会社・合同会社の早見表
外国人の会社設立でも、法定費用は日本人の場合と同じです。主な費用は登録免許税、定款認証手数料、紙定款を利用する場合の印紙税で、合同会社のほうが定款認証を必要としない分、費用を抑えやすくなります。
| 費用項目 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 資本金×0.7% 最低15万円 |
資本金×0.7% 最低6万円 |
| 定款認証手数料 | 1万5,000円~5万円 | 不要 |
| 紙定款の印紙税 | 4万円 | 4万円 |
| 電子定款の印紙税 | 原則不要 | 原則不要 |
株式会社の登録免許税と合同会社の登録免許税は、資本金が大きいと最低額ではなく0.7%で計算します。株式会社の定款認証手数料は、資本金額や設立条件によって異なります。
電子定款なら4万円の印紙税を抑えられますが、電子署名環境や作成ソフト、専門家への依頼費用が別途かかる可能性があります。紙定款の印紙税は国税庁の案内も確認してください。
資本金3,000万円の株式会社では、登録免許税が3,000万円×0.7%=21万円です。定款認証手数料を5万円とすると、電子定款は少なくとも約26万円+謄本等の費用、紙定款は少なくとも約30万円+謄本等の費用となります。
同額の合同会社では登録免許税が21万円で、定款認証手数料は不要です。したがって、電子定款は少なくとも21万円、紙定款は少なくとも25万円となります。
これらの計算には、司法書士・行政書士・税理士等の報酬、翻訳費、署名証明書やアポスティーユの取得費、印鑑作成費、事務所の契約費用を含みません。外国語書類を使用する場合は、法定費用以外にも余裕を持った予算を組む必要があります。
認定市区町村の特定創業支援等事業について所定の要件を満たすと、登録免許税は株式会社が資本金×0.35%・最低7万5,000円、合同会社が資本金×0.35%・最低3万円に軽減されます。外国人も対象になり得ますが、市区町村ごとの要件と証明書の取得条件をご確認ください。
資本金3,000万円は、登記費用のように消費される「設立費用」ではありません。設立後は会社に帰属する事業資金として、事業目的に沿った賃料、給与、仕入れ、設備投資などに使用できます。
一方、不自然な返金や一時的な借入れによる「見せ金」は避ける必要があります。費用計算や資金の準備方法は個別事情で異なるため、実行前に司法書士、行政書士、税理士などへ相談すると安心です。

「経営・管理」ビザの要件は?資本金3,000万円の新基準
2025年10月16日から「経営・管理」の許可基準が改正され、法人には原則として資本金等3,000万円以上が必要です。2026年9月6日時点では、旧基準の「資本金500万円以上」は新規申請に原則使用できず、改正後の要件で審査されます。
3,000万円には何を含められる?
株式会社では払込済資本金、合同会社などでは出資総額が3,000万円以上であることを前提に判定されます。会社形態ごとの基準は次のとおりです。
| 会社形態 | 原則となる基準 |
|---|---|
| 株式会社 | 払込済資本金3,000万円以上 |
| 合同会社など | 出資総額3,000万円以上 |
資本準備金、資本剰余金、利益剰余金は判定に含まれません。従業員給与や事務所賃料・維持費も合算できないため、例えば資本金2,500万円と賃料等500万円を合わせても要件は満たしません。
会社法上は資本金1円でも設立できますが、「経営・管理」の取得を前提とする外国人の会社設立には別の基準が適用されます。
資本金以外に確認すべき要件は?
資本金だけで許可されるわけではなく、人員、申請者の能力、事業計画、事業所、事業の継続性なども審査対象です。申請前に次の項目を一体として整える必要があります。
- 常勤職員の雇用要件を満たしているか
- 申請者または常勤職員に求められる日本語能力があるか
- 申請者が所定の学歴または経営・管理経験を有するか
- 具体性・合理性のある事業計画を作成し、専門家の確認を受けているか
- 日本国内に独立性のある事業所を確保しているか
- 事業の安定性・継続性を説明できるか
個別の例外や必要書類は、申請時点の出入国在留管理庁の案内で確認し、行政書士などの専門家へ相談してください。
事務所はどのような物件を選ぶべき?
事業所としての実体と独立性を証明できる物件を選びます。バーチャルオフィスや短期利用スペースは実体が問題になりやすいため、法人名義の契約へ切り替えられるかも物件選定時に確認してください。
自宅兼事務所の場合は、居住部分と事業部分の区分、貸主の承諾、契約内容を確認します。写真、平面図、賃貸借契約書など、実際に事業を行えることを示す資料も準備しましょう。
スタートアップビザは利用できる?
対象者は、自治体や国の支援制度を利用して起業準備活動を行える可能性があります。ただし、最終的な「経営・管理」への変更を見据え、資本金、人員、事務所などの要件を整えなければなりません。
対象自治体、対象事業、在留期間、確認手続きは制度ごとに異なります。利用を検討する場合は、申請先自治体とスタートアップビザ制度の案内を確認してください。

海外居住者が準備する必要書類と資本金の払い込み
海外居住者による外国人の会社設立では、印鑑登録証明書または署名証明書を準備し、資本金の送金経路を資料で説明できる状態にします。必要書類や払込方法は国籍、居住地、会社形態などで異なるため、手続き前の確認が重要です。
印鑑証明書を取得できない場合はどうする?
日本で印鑑登録をしている場合は、市区町村が発行する印鑑登録証明書を利用できます。書面で会社代表印を届け出る場合などは、通常、作成後3か月以内の証明書が必要です。
登記内容や就任する役職によって必要部数が変わるため、管轄法務局や司法書士へ事前に確認しましょう。日本の印鑑登録証明書を取得できない場合は、本国の官公署や公証人などが発行する署名証明書を使用する方法があります。
- 公証や領事認証の要否を確認する
- アポスティーユの要否を確認する
- 日本語訳を作成し、翻訳者の氏名などを記載する
- 原本や必要部数を管轄法務局へ照会する
証明制度は国ごとに異なります。取得後に書類の不足が判明しないよう、法務省の案内も確認し、登記を担当する法務局や専門家へ事前照会してください。
海外から資本金を払い込むときの注意点は?
海外送金を行う前に、会社形態や発起人の居住地に応じた払込手順を確定する必要があります。出資者、送金者、受取人の関係と、資金の流れを一貫して説明できるようにしてください。
海外送金明細、銀行口座の取引履歴、払込金額と入金日が分かる資料、為替換算の根拠を保存します。加えて、預金形成の経緯など資金の出所を説明する資料も整理しておきましょう。
資金の出所は設立登記だけでなく、在留資格の審査や法人口座開設でも確認される可能性があります。送金後の修正が難しい場合もあるため、実行前に司法書士、行政書士、税理士などへ相談することをおすすめします。

外為法の届出と設立後に必要な手続き
外国人の会社設立では、登記や在留資格だけでなく、外為法の確認も欠かせません。外国投資家が日本法人の株式・持分を取得する場合は対内直接投資に該当する可能性があり、投資家の属性や業種に応じて、事前届出・事後報告・免除制度のいずれが適用されるかを判断します。
指定業種では、会社設立前に事前届出が必要になる場合があります。登記後では間に合わないケースもあるため、事業目的と出資者が決まった段階で外為法上の取扱いを確認しましょう。最新情報は、日本銀行の外為法に関する案内や所管省庁の公表資料で確認してください。
設立登記が完了した後は、次の手続きを事業開始の準備と並行して進めます。会社を設立しただけで、直ちに営業できるとは限りません。
- 税務署へ法人設立届出書を提出し、必要に応じて青色申告の承認申請や給与支払事務所等の開設届を行う
- 都道府県・市区町村へ法人設立届を提出し、社会保険の新規適用手続きを行う
- 従業員を雇う場合は労働保険・雇用保険の手続きを行い、業種に応じた営業許可・登録を取得する
法人口座の開設に備え、事業内容、実質的支配者、資本金の出所を説明できる資料も整えます。あわせて、事務所の実体、取引先、事業計画、代表者の在留資格、日本での連絡先を示せるようにしておくことが重要です。
外国人の会社設立は、商業登記、在留資格、外為法、税務・社会保険を並行して確認する必要があります。判断に迷う場合は、手続きを進める前に税理士・司法書士・行政書士などの専門家へ相談し、事業内容と出資関係に合った進行計画を立てましょう。
よくある質問
Q. 海外在住の外国人だけで日本に会社を設立できますか?
海外居住者も株主・発起人・取締役・代表取締役・合同会社の社員になれ、代表取締役全員が海外居住者でも設立登記を申請できます。ただし、日本国内で継続して経営するには、活動内容に合った在留資格が別途必要です。
Q. 外国人が会社を設立すれば「経営・管理」ビザを取得できますか?
会社を設立しても、在留資格が自動的に付与されるわけではありません。「経営・管理」の審査では、原則として資本金等3,000万円以上に加え、人員、申請者の能力、事業計画、事業所、事業の継続性なども確認されます。
Q. 外国人の会社設立では株式会社と合同会社のどちらがよいですか?
社会的な認知度や資金調達を重視する場合は株式会社、設立手続きや経営の柔軟性を重視する場合は合同会社が候補です。合同会社は定款認証が不要なため、その分の設立費用を抑えやすいとされています。
Q. 海外居住者が日本の印鑑登録証明書を取得できない場合はどうしますか?
本国の官公署や公証人などが発行する署名証明書を使用する方法があります。公証、領事認証、アポスティーユ、日本語訳の要否は国や手続きによって異なるため、法務局や司法書士へ事前に確認してください。
Q. 外国人が日本法人へ出資する場合、外為法の届出は必要ですか?
外国投資家による日本法人の株式・持分の取得は、対内直接投資に該当する可能性があります。投資家の属性や業種によって事前届出、事後報告、免除制度の扱いが異なり、指定業種では設立前の届出が必要な場合もあるため、事業目的と出資者が決まった段階で確認することが重要です。
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この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

