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起業・開業
中古車屋を開業する手続きの流れとは?必要な準備や成功させるポイントも解説

読了目安時間:約 6分
中古車販売業の開業は、特定の国家資格や実務経験が必須とされないため、他の専門業種と比べて開業手続き自体は比較的シンプルです。
ただし、営業を開始するためには、「古物商許可」の取得をはじめとする各種の行政手続きが必要となります。
また、車両の仕入れ費用や展示スペースの確保など、一定の初期投資が求められる点も踏まえて準備を進める必要があります。
本記事では、中古車販売業の開業を検討されている方に向けて、必要な手続きや資金計画のポイント、事業運営における留意点などを解説いたします。
開業に向けた基本的な流れを把握するための参考として、ぜひご活用ください。
目次
中古車屋を開業する手続きの流れとは?

中古車屋を開業する手続きの流れについては、以下の通りです。
- 古物商許可の取得
- 自動車リサイクル法取引業の登録
- 自動車リサイクルシステムの登録
- 税務署に届出
- オートローン代理店登録
廃車の引取や解体車両の取り扱いを行う場合には、自動車リサイクル法に基づく引取業登録や自動車リサイクルシステムへの登録が必要です。中古車の販売のみを行う場合は、これらの登録が不要なケースもありますので、事業内容に応じて確認しましょう。以下、それぞれについて解説します。
古物商許可の取得
中古車販売業を始める際には、事前に「古物商許可」を取得することが法律で義務付けられています。
無許可で営業を行うと、「古物営業法第31条」により、最長で3年の懲役または最大100万円の罰金が科されるリスクがあります。
この許可を得るためには、営業予定地を管轄する警察署に申請を行い、古物商許可証の発行を受ける必要があります。
申請手数料は一般的には約19,000円ですが、各都道府県で異なる場合があるため、申請前に管轄警察署で確認を行うことをおすすめします。
申請から許可交付までの期間は約40日が目安ですが、警察署の混み具合や書類の不備等により遅延することがあります。
参考:古物商許可申請|警視庁
自動車リサイクル法取引業の登録
自動車の販売業務に加えて廃車の引き取りを行う場合には、自動車リサイクル法に基づく引取業の登録が求められます。
この登録は、都道府県の行政機関や市区町村役所、保健所内に設置されているリサイクル法の窓口などで受け付けています。(地域により異なる)
申請の際は、所定の申請書に加えて住民票などの必要書類を添えて提出する必要があります。
申請にかかる費用は地域によって異なりますが、おおよそ5,000円前後の費用が必要になります。
また、登録手続きには数カ月かかることもあるため、余裕を持って早めに対応することをおすすめします。
自動車リサイクルシステムの登録
自動車リサイクル法取引業の許可・登録を受けた事業者は、自動車リサイクルシステムにも事業者として登録します。これは、使用済自動車の適正な処理とリサイクルの流れを管理するために必要な手続きです。
具体的な申請手続きや要件については、各事業を行う都道府県の環境担当窓口にお問い合わせいただき、最新の情報を確認するようにしてください。窓口では、必要な書類や申請方法、許可・登録の基準などについて、詳しく説明を受けることができます。
参考:自動車リサイクル業務を新しく担当される方へ|自動車リサイクルシステム
税務署に届出
中古車屋を開業する際には、税務署への各種手続きが必要になります。
具体的に、必要な届出書類については、以下のように個人事業と法人によって異なります。
個人事業 | 法人 | |
必要届出書類 | ・個人事業の開業に関する届出書 ・青色申告の承認申請書 ・納税地を変更する場合の届出書(所得税・消費税) | ・法人設立届出書 ・給与支払事務所等の設置に関する届出書 ・源泉所得税の納期に関する特例申請書(必要に応じて) |
これらの書類の中には、法的に提出が義務付けられているもののほか、提出することで税制上の恩恵を受けられるものも含まれています。
書類作成に不慣れな場合は、事前に税務署に相談するか、税理士などの専門家にサポートを依頼することをおすすめします。
オートローン代理店登録
中古車販売業を開業する際には、オートローンの代理店登録を行う事業者も一定数存在します。
自動車の購入時にローンを利用する消費者は一定数いるため、自社でオートローンの取り扱いがない場合、購入希望者は外部の金融機関を利用する必要があり、その手続きに時間や労力を要する可能性があります。
一方で、商談とあわせて資金面の相談に対応できる体制を整えることにより、購入希望者の意思決定を後押しできる場面も考えられます。
そのため、事業運営の選択肢として、オートローン代理業務の導入を検討する事業者も少なくありません。
中古車屋の開業に必要な準備

中古車屋の開業に必要な準備については、以下の4つが挙げられます。
- 市場調査
- 事業計画を作成する
- 資金調達
- メンテナンス体制の構築
それぞれの準備について解説していきます。
市場調査
中古車屋を始める際の第一歩として欠かせないのが市場調査です。
顧客のニーズに合致したサービスを展開し、コストを抑えた効率的な営業方法を設計するためには、関連する情報やデータを幅広く集める必要があります。
また、集客力の高いエリアを見極めて店舗を構えるには、出店候補地やその周辺環境についての分析も重要です。
事業計画を作成する
中古車屋を始めるには、まず最初にしっかりとしたビジネスプランを練ることが重要になるので、事業計画を作成しましょう。
どのようなサービス内容を展開するか、店舗の規模や必要となる資金の準備方法など詳細まで考える必要があります。
資金調達
中古車屋を開業する際には、車両の仕入れや店舗の整備などの初期投資に加え、継続的に発生する運転資金も事前に確保しておく必要があります。
毎月発生する費用には、以下が挙げられます。
- スタッフの給与
- 備品の補充
- 水道光熱費
- 店舗の賃料
資金を用意する際は、開業時の出費だけでなく、収益が安定するまでの運転資金まで見越して計画を立てることが重要です。
地域によっては起業支援の制度が整っていることもあるので、あらかじめ自治体のサポート内容を確認しておくようにしましょう。
メンテナンス体制の構築
中古車を取り扱う際には、車両のメンテナンス体制をしっかりと整えておくことが重要です。
販売前には車両の状態を整えるための点検や整備が求められ、販売後も納車時の整備やアフターケアといった対応ができると良いでしょう。
整備士資格は必須ではないものの、整備工場との連携体制確保は営業上必要です。
中古車屋の開業を成功させるポイント

中古車屋の開業を成功させるポイントについては、以下の3つが挙げられます。
- 同業者とのつながりを持つ
- ニーズに合ったサービス提供をする
- 運転資金を抑える
それぞれのポイントについて解説していきます。
同業者とのつながりを持つ
情報を効果的に集めるためには、同じ業界で働く人々とのネットワークを築くことが重要になるので、同業者とのつながりを持つようにしましょう。
実際に、一人で得られる情報にはどうしても限りがあるため、定期的に他の業者と交流を持つ機会を設けることで、通常では手に入らない有益な情報を得ることにつながります。
また、業界団体や全国規模の組織に参加するなどもネットワークを広げる手段のひとつです。
ニーズに合ったサービス提供をする
中古車屋の開業で成功を目指すには、まず顧客が何を求めているかを的確に把握し、それに応じたサービスの展開が重要です。
例えば、安心して家族で利用できる車を求める層などターゲットによって適した車種やサービス内容は大きく異なります。
そのため、対象とする顧客層に応じたきめ細かなサービス設計がビジネスの成功を左右します。
運転資金を抑える
中古車販売事業を安定して継続させるためには、十分な運転資金が必要不可欠であるため、無駄な支出を抑える工夫が求められます。
車両の仕入れに関しては、1台あたりのコストが高いため、需要を見誤った仕入れや過剰な在庫は大きな損失につながります。
高額な車両ばかりを揃えるのではなく、顧客層に合った価格帯やニーズを見極め、在庫の回転を意識することが重要です。
中古車屋を開業するメリット

中古車屋を開業するメリットについては、以下の3つが挙げられます。
- 高収入を狙える
- 開業のハードルが低い
- 自らの裁量で経営判断ができる
それぞれのメリットについて解説していきます。
高収入を狙える
中古車屋は、一般的な小売業と比較して取引単価が比較的高いため、事業が軌道に乗れば安定した収益を期待できる可能性があります。
実際に、販売台数が順調に増えれば、その分収益も大きくなり、店舗を経営する立場の人にとっては高収入を目指すことも可能です。
状況によって異なりますが、中古車の売買における利益率は、10%から20%程度とされているので、200万円で販売した車であれば、1台あたり20万円から40万円ほどの利益が見込まれます。ただし利益率は経費や販売方法により大幅に変動します。
開業のハードルが低い
中古車販売業は、医療や士業のように国家資格を要する業種ではないため、他の専門業種と比べて開業手続き自体はシンプルです。
例えば、仕入れた中古車をそのまま販売するというシンプルなビジネスモデルであれば、必要な資金と最低限の手続きを済ませることで事業をスタートさせることが可能です。
学歴や業界経験が必須ではないため、未経験からでも開業を目指すことは可能ですが、事前の十分な準備と綿密な事業計画が成功のカギとなります。特に在庫管理や顧客対応には専門性が求められます。
しかし、初期投資や運転資金といった金銭的なハードルはあるので、事前に確認しておきましょう。
自らの裁量で経営判断ができる
中古車販売店として独立すれば、店舗運営やビジネスの進め方を自らの裁量で経営判断ができるようになります。
他人の指示に従って働くのではなく、経営方針や日々のスケジュールなど事業に関わる重要な決定を自分の意志で進めることができ、自立した働き方を実現できます。
中古車屋を開業するデメリット

中古車屋を開業するデメリットについては、以下の2つが挙げられます。
- 資金が必要になる
- 損失を被る恐れがある
それぞれのデメリットについて解説していきます。
資金が必要になる
中古車屋を開業するデメリットとして、事業を始めるための資金が必要です。
例えば、店舗の賃貸費用や従業員の給与、販売用の車両を仕入れるための資金など多岐にわたる費用が発生します。
実際に、中古車販売は扱う商品の単価が高いので、特に在庫確保にかかる費用の比重が大きいのも事実です。
そのため、自己資金だけではまかなえないケースも多く、金融機関などからの融資を活用する必要が出てくるケースが多いです。
損失を被る恐れがある
中古車市場は価格変動が激しく、在庫過多や需要減少により大きな損失が出る可能性があり、特に在庫を多く抱えている場合は、市場価格の下落に伴い大きな損失を被る恐れがあります。
さらに、購入後に不具合やトラブルが判明するケースもあり、そうした事態に対応するためには販売店側の十分な準備が求められます。
このように、中古車販売業者は、車の欠陥に関する責任を負う立場にあるので、常にリスクを見据えた経営判断が求められるのです。
中古車屋の開業を成功させよう!

今回は、中古車屋を開業する手続きの流れを紹介しました。
中古車販売業は、特別な資格を多く必要としないため、他の業種と比べて比較的スムーズに開業することが可能です。
しかし、事業として成功を収めるには、単に車に関する知識を持つだけでなく、常に市場動向を把握し、戦略的なマーケティング活動を継続していくことが不可欠です。
今回の記事を参考にして、中古車屋の開業を成功させましょう。
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この記事の監修者

税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。