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日本政策金融公庫の面談は厳しい?審査落ちする理由と対処法を解説

読了目安時間:約 6分
政府系の金融機関である日本政策金融公庫では、中小企業や小規模事業者向けの融資を提供しており、起業や開業を検討している方にとっては非常に便利な資金調達先です。
日本政策金融公庫の融資審査では、書類による審査のほかに、融資担当者との面談も審査の通過可否を左右する重要な項目となります。
本記事では、日本政策金融公庫の融資審査で重要な面談の内容や審査落ちする理由、通過するためのポイントを詳しく解説します。
日本政策金融公庫の融資審査に落ちてしまった場合の対処法についても説明しますので、ぜひこの記事を参考に、事前の対策を行って融資審査に通過できるようにしましょう。
目次
日本政策金融公庫の融資審査には面談がある

日本政策金融公庫の融資を申し込むにあたって、担当者との面談は必須事項です。
基本的に、代表取締役(もしくは申請者)が一人で対応し、事業に対する熱意や返済能力を担当者が確認するため、代理人が面談を代行することは原則としてできません。
しかし、事前に許可を得ていれば、税理士や顧問弁護士などの専門家の同席が認められる場合もあります。
面談の質問内容
日本政策金融公庫の融資の面談では、一般的に1時間程度かけて行われ、創業計画書や事業計画書などをもとに、主に以下の項目について質問されます。
- 創業動機
- 事業計画
- 自己資金の有無
- 過去の経歴
- 借入状況
- 返済計画 など
これらの質問は、事業の実現可能性はもちろん、返済能力を判断するために必要なもので、融資審査通過の可否にも関わるため、担当者の質問に対して適切に答えられるようにしましょう。
質問には正直かつ分かりやすく説明する
日本政策金融公庫の面談では、事業の内容を説明するとともに、事業者の信頼性を十分にアピールする必要があります。
面談で好印象をつかむためにも、以下の点に注意しましょう。
- 必要書類を漏れなく準備する
- 事業者自身の言葉で回答する
- 質問に正直に答える
- 質問に分かりやすく的確に説明する
融資審査では、事業計画や返済計画について明確かつ具体的に説明できることが重要です。面談では、事業の将来性や経営者としての姿勢が問われることもあります。
また、日本政策金融公庫は事前に申請者の情報を把握しているため、嘘をついた場合に気づかれる可能性が高いです。
そのため、質問に対しては正直に熱意を持って答えましょう。
日本政策金融公庫の融資の面談は甘い?審査落ちする理由とは

日本政策金融公庫の融資は一般的な銀行融資と比較して、審査基準が比較的柔軟であることから、「審査の面談も甘いだろう」と考える方もいるでしょう。
しかし、融資ハードルが低いぶん、面談での事業者の対応を厳しくチェックしています。
日本政策金融公庫の審査通過率は50〜60%程度だとも言われており、面談をはじめとする、さまざまな理由で多くの企業が融資審査に落ちているのです。
融資が審査落ちする主な理由
面談で好印象を得られても、審査は書類や信用情報など複数の要素で総合的に判断されるため、審査落ちする可能性もあります。
日本政策金融公庫の審査基準は公開されておらず、審査に落ちた場合も、詳細な理由を明確に示されないケースが多いです。そのため、審査落ちの原因を正確に把握することは難しいといえます。
一般的に審査落ちする理由としては以下が挙げられます。
- 自己資金の不足
- 不正な資金操作
- 信用情報の問題
- 事業計画の不備
- 面談での対応
融資の審査は一つの要素だけでなく、総合的に判断するため、このうちどれか一つを改善したからといって審査に通過するとは限りません。
そのため、申請前に自社に当てはまるものはないか、それぞれ詳しく確認しておくことが重要です。
審査落ちしても再申請できる
日本政策金融公庫の融資は審査落ちしても、再申請が可能です。
しかし、前回落ちた際と同じ内容で再申請したとしても、結果は変わらないため、どうして審査落ちしてしまったのか、その具体的な理由を考え、改善したうえで再申請する必要があります。
制度上は再申請に明確な規定はありませんが、実務上は半年程度空けることが一般的です。
特に信用情報に問題があった場合は半年以上期間を空け、信用情報が回復してから申し込むことが推奨されます。
日本政策金融公庫の融資審査を通過するポイント

初めての融資申請で失敗したくない方や、一度審査に落ち、再度申し込みを行いたい場合は、以下のポイントを押さえて対策をとりましょう。
- 自己資金を用意する
- 事業計画書を見直す
- 信用情報に問題がないようにする
- 面談の事前対策を行う
日本政策金融公庫は創業融資に積極的であっても、準備や対策を怠ると審査に落ちる可能性が高いので、最後までチェックしてみてください。
自己資金を用意する
日本政策金融公庫の融資審査において、自己資金の額が重視されると言われています。
自己資金が少なければ、返済能力に不安を持たれてしまう可能性が高いからです。
そのため、起業のために融資を申し込む場合、十分な自己資金を用意するのが有効です。
日本政策金融公庫の融資を利用するためには、一般的には創業資金の10%程度の自己資金が目安とされていますが、20〜30%を用意できれば、より安心して審査に臨めるケースもあります。
事業計画書を見直す
事業計画の甘さから融資審査に落ちるケースもあるため、事業計画書に説得力を持たせるよう、計画書の見直しを行いましょう。
事業計画書では、市場規模や事業を取り巻く環境の説明、他社との差別化、収支計画の根拠などを盛り込みます。
審査に通過するためには、いかに計画の内容が妥当であり、実現の可能性が高いかをわかりやすく表現する必要があるため、十分に資料を用意したうえで、具体的な数字を入れながら作成するようにしてください。
信用情報に問題がないようにする
信用情報は融資の返済能力を判断するためのポイントとなるため、信用情報に問題がある場合、日本政策金融公庫の審査に落ちる可能性があります。
日本政策金融公庫では、融資審査の際に信用情報機関から、さまざまな情報を把握しており、特に、以下の場合は信用情報に傷が付いていると言えるため、審査落ちする危険性が高いです。
- 滞納歴がある
- 債務整理の経験がある
- 自己破産の経験がある
- カードローンやキャッシングの債務がある
信用情報に傷があっても融資が受けられないわけではありませんが、返済能力に疑問を残してしまう恐れがあるため、支払い忘れには注意が必要です。
面談の事前対策を行う
日本政策金融公庫の融資審査では、事業者が用意した事業計画書や創業計画書などをもとに、担当者と事業者が面談を行いますが、事業計画書の出来が良くても、担当者との面談がうまくいかなければ、審査落ちする可能性があります。
担当者からの質問にうまく回答できなければ、「本当に融資しても大丈夫か」と不安に思われるため、事前に質問が想定される内容をまとめておき、担当者からの質問に適切に答えられるようにしましょう。
融資の面談では、中長期的な事業計画や資金回収の予定など、書類のみでは把握できない箇所についても聞かれるため、自社の強みをアピールし、融資を獲得するためにも、事前に万全な対策をしておくことが重要です。
日本政策金融公庫の融資を断られた場合の対処法

日本政策金融公庫の融資を断られた場合、再審査を申し込むことも可能ですが、資金調達方法として以下も検討してみましょう。
- 他の金融機関や融資制度を利用する
- 家族や親戚から援助を受ける
- クラウドファンディングを活用する
- 補助金や助成金を活用する
- 専門家に相談する
それぞれ詳しく説明します。
他の金融機関や融資制度を利用する
日本政策金融公庫の融資を断られてしまった場合でも、他の金融機関の融資を利用できる可能性があります。
融資申込先の選択肢としては以下のとおりです。
- 銀行
- 制度融資
- 信用金庫
- 商工会議所(マル系融資)
それぞれにメリット・デメリットがあるため、よく比較し、自社に合った資金調達方法を選択しましょう。
融資申込先 | メリット | デメリット |
---|---|---|
銀行 | ・金利が低い | ・審査が厳しい ・審査期間が長い ・創業融資が通りにくい |
制度融資 | ・審査が比較的優しい | ・信用保証協会への保証料の支払いが発生する ・審査期間が長い |
信用金庫 | ・金利が低い | ・地域が限定される ・会員になる必要がある |
商工会議所 | ・金利が低い | ・審査期間が長い ・商工会議所に参加する必要がある ・半年以上経営指導を受ける必要がある |
家族や親戚から援助を受ける
融資が受けられない場合、家族や親戚から借りたり、贈与を受けたりするのを検討してみるのも良いでしょう。
たとえ家族であっても、多額の金銭のやり取りは関係性が悪化する原因にもなりますので、事前にお金が必要な理由の説明や、契約書の準備が必要です。
贈与を受ける場合、贈与契約書を作成すれば、贈与契約を証明できますが、年間110万円を超える贈与の場合は、贈与税が課されるので注意しなければなりません。
契約書の作成や贈与税の申告が必要なケースもあるため、税理士などの専門家にご相談ください。
クラウドファンディングを活用する
クラウドファンディングとは、インターネット上で不特定多数の人から資金を募る方法で、新しい資金調達手段として近年注目されています。
プロジェクトの概要や目的をインターネット上に公開し、それに共感した人々から資金を募る方法で、資金調達が目標金額に達すると資金を受け取ることができ、調達した資金はプロジェクト実現のために役立てられます。
クラウドファンディングを通じて、会社や提供する商品・サービスの認知度を高められるという点もメリットです。
補助金や助成金を活用する

国や地方自治体などが、創業や新規事業を支援するために給付する補助金や助成金を活用するのも方法の一つです。
融資とは異なり、返済義務は原則ありませんが、規定に違反した場合は不正受給とみなされ、返金を命じられるケースもあります。
また、補助金や助成金は種類によって資格や要件が定められており、該当しない場合は申込が行えないため、それぞれの要件を満たしているか、事前に確認しておきましょう。
なお、補助金や助成金は入金までに時間がかかるため、急な資金調達には向いていないといえます。
専門家に相談する
日本政策金融公庫の融資を断られた場合、税理士や会計士、ファイナンシャルプランナー、融資コンサルタントなどの融資の専門家にサポートを依頼するのも有効です。
経験豊富な専門家に依頼すれば、事業計画書の作成を支援してもらえたり、面談時の受け答えに関するアドバイスを受けられたりと、融資に関する知識やノウハウをもとに、審査通過のための対策を立ててもらえます。
さらに、なぜ審査に落ちたのか、具体的に明確になり、改善しやすくなるため、審査に通る可能性が高まるでしょう。
また、日本政策金融公庫以外の資金調達方法についてもアドバイスしてもらえるため、資金調達の実現性が高まります。
対策を万全にして融資審査に通過しよう

日本政策金融公庫の融資審査に通過するためには事前の準備や対策が不可欠です。
面談では、事業計画書の数値を基に事業内容や返済計画について分かりやすく説明できているかなどが確認されます。事業計画書を入念に作りこむとともに、自己資金を用意したり、面談対策を行ったりするなどして、融資希望額を確実に調達できるようにしましょう。
融資や資金調達に関して不安がある方は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
日本政策金融公庫での融資以外の融資制度や資金調達方法もありますので、ぜひ自社に合った方法で資金調達を行い、事業を成功させましょう。
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この記事の監修者

税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。