2025.05.13

創業融資

【飲食店向け】融資審査に通過する創業計画書の書き方と記入例をどこよりも詳しく解説

飲食店開業

読了目安時間:約 6分

飲食店を開業するためには、まとまった初期費用が必要となりますが、自己資金だけでなく資金調達をして準備するケースが多いです。

新規事業を開始するにあたり、創業融資を受ける際に必要な書類のひとつが「創業計画書」です。

創業計画書は融資審査の重要な判断材料のひとつであり、その内容が結果に影響を与えることがあります。

本記事では、創業融資の審査に通過するための創業計画書の書き方のポイントを記入例も併せてご紹介します。

飲食店の開業には創業計画書が必要

創業計画書

そもそも創業計画書とは、新しく事業を始める際に、事業内容や経営計画、資金計画などを具体的に記載した文書です。

創業計画書は、融資審査において重要な参考資料のひとつです。自身の事業計画を可視化して目標を明確にしたり、ビジネスの方向性を明確にし、事業の立ち上げ準備を具体的に進めるうえでも有効です。

特に、中小企業や個人事業主への支援を強化している政府系金融機関の日本政策金融公庫に創業融資を申請する際には、事業内容をはじめとする詳細な創業計画書の提出が求められます。

創業計画書は定型のフォーマットがあり、日本政策金融公庫の場合は公式サイトからダウンロードが可能です。なお、融資の条件や内容は随時変わるため、最新情報の確認をおすすめします。

参考:各種書式ダウンロード|日本政策金融公庫

飲食店の創業融資を受けるための創業計画書の戦略

創業計画書の戦略

飲食店を開業するにあたって、資金調達がうまくいかなければ事業が立ち行かなくなってしまいます。

そのため、創業融資の審査において重要視される創業計画書について、書き方のポイントをしっかり押さえ内容の充実した説得力のある計画書を作成しなければなりません。

ここでは、飲食店の融資を成功させるための創業計画書の戦略について説明します。

飲食業での経験年数やスキルのアピール

飲食業での経験やスキルがあることは、創業計画の実現可能性を高める要素として評価される傾向があります。

そのため、飲食店勤務の経験年数だけでなく、専門知識や所有している資格、創業の手助けとなる人脈など、事業を成功させるためのスキルや知識を持っている点を具体的にアピールすることが重要です。

経験や実績が少ないと感じるならば、経歴・実績についてどのようなことをしたのか、そこで何を学んだのかを具体的に記入しましょう。

事業計画を現実的に立て、根拠のある数字で裏付ける

創業計画書に金額などを記載する際には、信憑性を持たせるためにも、実現性のある数字を使うようにしましょう。

そのため、事前にできるだけ多くのデータを集め、根拠のある数字を用いて、審査担当者にとって理解しやすく、納得のいく計画書となるよう、事実に基づいた丁寧な記載を心がけましょう。

計画書の数値に根拠を持たせるには、できる限り各種データを集め、根拠のある数字で計画書を作成することが望ましいです。正確性や完成度の高さを求めるなら、税理士などの専門家に創業計画書のサポートを依頼するのがおすすめです。

要点をおさえ、端的に分かりやすくまとめる

創業計画書は熱意を伝えることが大切ですが、長文で長々と書いてしまうと相手に伝わりづらくなってしまいます。

そのため、計画書の内容は要点をおさえたうえで、無駄な表現を控え、できるだけシンプルに記入することが重要です。

そのうえで、箇条書きや具体例を示して分かりやすくまとめるように心掛けましょう。

飲食店向け創業計画書の書き方のポイントと記入例を解説

飲食店向け創業計画書の書き方のポイントと記入例

では、実際に飲食店の経営者は創業融資を受けたい場合に、どのように創業計画書を作成すれば良いのでしょうか。

ここからは、日本政策金融公庫の創業計画書フォーマットに沿って、飲食店向けの書き方のポイントを記入例も交えて項目別に解説します。

創業計画書の主な項目は以下の通りです。

  1. 創業の動機
  2. 経営者の略歴等
  3. 取扱商品・サービス
  4. 従業員
  5. 取引先・取引関係等
  6. お借入の状況
  7. 必要な資金と調達方法
  8. 事業の見通し
  9. 自由記述欄

①飲食店経営者の創業の動機

「創業の動機」という項目では、なぜ飲食店の創業を決意したのか、その理由を記入します。

融資審査に通過するための記入ポイントは、具体的な行動を盛り込み、開業前の計画性や開業後の経営方針を適切に伝えることです。

飲食店を創業するための知識やスキルが身についている点をアピールするのも有効です。

【創業の動機の記入例】

父親が飲食店を経営していたことから、自身も幼い頃から料理人になるのが夢でした。高校卒業後は調理師専門学校へ進学、その後レストランで10年間勤務し、自己資金を貯めつつ調理や接客を学び、独立のための自己資金が目標に達したことに加え、好立地の居抜き物件が見つかったため、創業を決意しました。 
今回作る店舗においては、30〜40代をターゲットとした大人の寛げる空間を目指し、地元の野菜や肉をメインに使った料理を提供し、地域活性化にもつなげていきたいと考えております。

②飲食店経営者の略歴等

「経営者の略歴等」の項目には、ただ自身の職歴を書き連ねるのではなく、飲食店に関連する経験や資格にフォーカスして記入します。

特に、過去の事業経験や資格取得、知的財産権等の有無に関する欄は、事業者が本当に飲食店を開業できるかどうかを融資担当者が判断するうえで大切な要素です。

飲食店の経営者であれば、調理師免許やソムリエなどの資格が該当します。

経営した店が廃業したなどのネガティブな経歴がある場合でも、経歴を隠すことは信用を損ね、審査にマイナスの影響を与える可能性があります。経歴を隠さずに失敗の経験から学んだことを述べ、新規事業で同じ失敗をしないよう対策をしっかり記入しましょう。

【経営者の略歴等の記入例】

◯年月と内容

年月内容
◯年◯月〇〇専門学校 卒業
◯年◯月〇〇ホテルの料理人として10年勤務
◯年◯月スーシェフとして調理業務や厨房管理、人材教育を担当(5年)
◯年◯月退職予定(退職金100万円見込み)

◯取得資格

  • 調理師
  • ソムリエ
  • 製菓衛生師
  • 食品衛生責任者
  • 防火管理者
  • 接客サービスマナー検定 など

③飲食店の取扱商品・サービス

「取扱商品・サービス」の項目には、開業する飲食店で実際に提供しようと考えてる料理やお酒などのメニューやセールスポイント、販売戦略、企業を取り巻く状況などについて記載します。

融資を受けるには事業の収支を把握する必要があるため、ただメニューを載せるのではなく、売値のほか、原価や原価率を入れることが重要です。

また、メニューはサラダ、刺身、肉料理、魚料理、といったように、カテゴリ別に細かく分類しておくと良いでしょう。

販売ターゲット・販売戦略の欄には、「誰に」「何を」「どのように販売するのか」「どのように集客するのか」をできるだけ絞り込み、戦略効果が高まるように設定するのが望ましいです。

【取扱商品・サービスの記入例】

◯取扱商品・サービスの内容
①ランチタイム(売上シェア30%) メニュー8種類:客単価1,400 円
②ディナータイム(売上シェア70%)
コース料理:5,000〜10,000円
一品料理:800〜1,500円
ドリンク:500〜1,500円

◯セールスポイント

  • ドリンクメニューを充実させ、ワイン、シャンパン、ビールなど100種類以上のアルコールを揃える。
  • 隠れ家的な雰囲気の店構えにし、大人が落ち着いて食事ができる空間を提供する。
  • 土日のディナータイムのみピアノ演奏を予定している。

◯販売ターゲット・販売戦略

  • 駅周辺に店を構え、ビジネスパーソンをターゲットにする。
  • SNSで料理や店舗の魅力を発信し、Web予約を可能にして女性を中心に集客に繋げる。
  • ランチはリーズナブルな価格で集客をし、認知度を高める。

◯競合・市場など企業を取り巻く環境

  • フレンチレストランは、○○駅周辺では競合が少ないため、差別化しやすい。
  • ターミナル駅周辺など、人通りが多くアクセスが良いため、市場価値が高い。

④飲食店の従業員

飲食店の従業員

「従業員」の項目では、飲食店で3ヶ月以上の継続雇用を予定している従業員の人数を記載します。

家族を含む場合や、パート・アルバイトの人数も記入しましょう。

なお、法人の場合は常勤役員人数の記載も必要です。

【従業員の記入例】

・常勤役員の人数 0人

・従業員数 10人 (うち家族従業員 1人、パート従業員 8人)

⑤飲食店の取引先・取引関係等

「取引先・取引関係等」の項目では、顧客や食材の仕入れ先・産地、卸業者など、飲食店の取引先に関する情報を記入します。

信頼のおける業者と取引があることをアピールできれば信用度も高まるため、仕入れ先が決まっている場合はしっかり記入しましょう。

食材によって仕入れ先が細かく分けられている場合は、主要品目の仕入れ先に絞ると良いです。

【取引先・取引関係等の記入例】

◯販売先
一般個人(シェア:100%、掛取引の割合:0%、回収・支払いの条件:即金)

◯仕入先

  • 株式会社◯◯(シェア:50%、掛取引の割合:100%、回収・支払いの条件:末日〆翌月末日支払)
  • ◯◯酒店(シェア:50%、掛取引の割合:100%、回収・支払いの条件:末日〆翌月末日支払)

⑥飲食店のお借入の状況

「お借入の状況」の項目では、事業者個人の借入状況について記載します。

事業に関連するものだけでなく、以下のようなすべての借入が対象です。

  • 住宅ローン
  • 自動車ローン
  • 学資ローン
  • カードローン
  • 消費者金融からの借入 など

すでにある借入は融資審査に不利になると思い、隠そうとする人もいますが、審査の過程で隠した事実が発覚する方が問題があるため、記載漏れはもちろん、隠すこともしないようにしてください。

【お借入の状況の記入例】

  • お借入先名:◯◯銀行◯◯支店
  • お使いみち:車
  • お借入残高:50万円
  • 年間返済額:24万円

⑦飲食店の必要な資金と調達方法

「必要な資金と調達方法」の項目には、飲食店を創業するのに必要な資金額と、その調達方法について記入します。

必要な資金は設備資金と運転資金に分けて具体的に記入し、総額いくら必要なのかを算出しましょう。

飲食店を開業するにあたっては、店舗賃料や内装工事費、厨房設備費、仕入代金、消耗品費、運転資金など、さまざまな費用が必要です。

融資審査の際には、各費用の見積もりがきちんと取れているか、融資額は妥当か、自己資金を用意しているか、という点をよく見られるため、設備資金については有効な見積書の金額を記入するとともに、その見積書を添付するようにしてください。

【必要な資金と調達方法】

必要な資金項目金額
設備資金内装工事費
その他備品
300万円
350万円
運転資金仕入
人件費
宣伝広告費
100万円
100万円
150万円
合計1,000万円
調達の方法金額
自己資金300万円
親、兄弟、知人、友人等からの借入0円
日本政策金融公庫からの借入700万円
他の金融機関等からの借入0円
合計1,000万円

⑧飲食店の事業の見通し

飲食店の事業の見通し

「事業の見通し」の項目には、飲食店を開業した後の収益性を記入するところです。

融資担当者は飲食店事業の収益などから返済が可能かどうかを審査するため、「目標」ではなく、そう書き込んだ「根拠」や数値の「実現性」について説明できるものになっていることが重要です。

そのため、売上高や売上原価、経費については、根拠の欄に計算式もあわせて記入しましょう。

【事業の見通しの算出方法】

  • 売上高:客単価×席数×回転数×営業日数=1ヶ月の売上(飲食店の場合)
  • 売上原価:売上高×原価率=売上原価(飲食業の原価率相場:30~35%)

※立地などにより原価率は大きく異なるため、あくまでも目安にしてください。

⑨飲食店の自由記述欄

「自由記述欄」の項目には、これまで記入したことに追加して飲食業へのこだわりや今後の事業展開などについてアピールしたいことや、事業に関する悩みなどを自由に記入できます。

自由記述欄は、自身の飲食店の強みや今後の展望などを具体的に伝えられる貴重なチャンスです。熱意が伝わるよう具体的な言葉で伝えましょう。

参考:創業の手引+|日本政策金融公庫

精度の高い創業計画書を作成しよう

融資が成功する創業計画書

創業計画書は、融資の可否を左右する大切な要素のひとつです。

数多くの企業や店舗の融資を審査している担当者の心をつかむためにも、各項目のポイントをおさえながら計画書をしっかり作り込み、見直しやブラッシュアップを行いながら完成させましょう。

創業計画書の完成度を高めるなら、税理士などの専門家に相談するのがおすすめです。

ぜひ、この記事を参考に説得力のある創業計画書を作成し、創業融資獲得に繋げていただければ幸いです。


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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

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