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創業融資
創業の動機とは?創業の動機に必要な要素と書き方についても徹底解説

読了目安時間:約 8分
創業計画書には、「創業の動機」に関する記述が求められる項目があります。
創業の動機では、「どのような思いで事業を始めるのか」や「今後どのような展望を持っているのか」、「現在抱える課題」なども簡潔に述べるのが一般的です。
しかし、記入スペースには限りがあり、融資担当者も多くの申請者と日々対応していることから、要点を絞って読みやすくまとめることが重要です。
本記事では、創業の動機について解説していきます。
ぜひこの記事を参考にして、創業の動機について理解を深めてみてください。
目次
創業の動機とは?

創業計画書の中で、特に注目されるのが「創業の動機」です。
「創業の動機」は、融資審査の際に事業計画の信頼性を評価する重要な要素のひとつです。
創業の動機は、融資担当者が資金を提供する相手の事業計画への真剣度や信頼性を判断する重要な材料となっています。
明確なビジョンや目標があることで、事業の継続性や信頼性が高まり、結果として融資審査にも良い印象を与える可能性があります。
「なぜこの事業を始めたいのか」「どんな未来を描いているのか」がはっきりしていれば、金融機関にも伝わりやすく、自身も事業の方向性を確認しやすくなります。
また、動機が明確であれば、商品やサービスへの思いも伝わりやすくなり、結果として顧客からの共感を得やすくなる可能性があります。
創業の動機に必要な要素

創業の動機に必要な要素については、以下の4つが挙げられます。
- 創業を決意した理由
- 社会への影響度
- 過去の経験が役立つか
- 周囲の理解が得られているか
それぞれの要素について解説していきます。
創業を決意した理由
創業の動機に必要な要素の一つとして、「なぜこのタイミングで事業を始めるのか」などの創業を決意した理由が挙げられます。
融資を申し込む際には、創業を決意した背景や理由を、説得力を持って担当者に伝えることが重要です。
例えば、「これまでの業界経験を活かしたい」「目標としていた自己資金が確保できた」など、創業を決意した背景を自身の言葉で整理しておくことが、説得力のあるアピールにつながります。
このように、「なぜ今なのか」という問いに対する自分なりの答えを明確にし、文書として整理しておくことが大切です。
社会への影響度
創業の動機には、最初にその事業が目指す方向性や基本的な理念をはっきりさせることが不可欠です。
事業が社会にもたらす影響を的確に把握するためには、市場環境や競合他社の状況をしっかりと調査し、自社の提供する価値が、どのようなニーズや問題に応えうるのかを明らかにすることが求められます。
また、企業としての社会的責任(CSR)や持続可能な開発目標(SDGs)にも着目するケースも増えています。
自社のビジネスがどのように社会貢献に結びつくかを整理し伝えることで、企業としての信頼性や社会的評価を高めることができます。
参考:厚生労働省|労働政策全般:CSR(企業の社会的責任)/SDGsとは? | JAPAN SDGs Action Platform | 外務省
過去の経験が役立つか
創業の動機に必要な要素として、過去の経験が役立つかどうかも重要な要素になります。
ある分野において既に習得しているスキルや知識を持って事業に取り組むことは、他者に対する競争上の強みになります。
例えば、飲食業での勤務経験がある人が飲食店を始める際には、調理技術や接客のノウハウを効果的に活かすことができるので、質の高い商品やサービスを提供しやすくなり、市場での優位性を築ける可能性が高くなります。
これまでの経験が具体的にどのように新たなビジネスに役立つのか、そしてどのような独自の価値を提供できるのかを明確に説明することが大切です。
周囲の理解が得られているか
創業の動機や計画を考える際には、ご自身の事業に対する想いや準備状況に加え、必要に応じて家族や周囲の方々の理解や協力についても整理しておくと良いでしょう。
起業は大きな決断であり、時には多くの時間や労力を要する場面も想定されます。そのため、身近な方々の理解や支援がある場合は、精神的な安心感や事業運営の安定につながることもあります。
特に、家族の協力や周囲のサポートが得られている場合には、その旨を創業計画書等で具体的に示すことで、計画全体の信頼性を高める一助となる場合があります。
一方で、家庭環境やご事情は人それぞれ異なりますので、必ずしも家族の支援が必要不可欠というわけではありません。ご自身の状況に合わせて、無理のない範囲で計画を立てていくことが大切です。
【業種別】創業の動機の書き方

創業の動機を書く際には、なぜこの事業を始めたのかという背景や想いを、読み手に納得してもらえる形で伝えることが必要です。
しかし、業種によって伝えるべきポイントや強調すべき内容は異なります。ここでは、代表的な以下の3つの業界それぞれの「創業の動機」の書き方のポイントを解説します。
- IT業界
- 飲食業界
- 美容業界
それぞれ見ていきましょう。
IT業界
IT業界では日々進化が続いており、他社との差別化を図りつつ、利用者の要望を的確に捉えたサービスを展開することが、成功の鍵と言えます。
例えば、変化の早い市場において、新たな技術やサービスの登場をいち早く捉え、「その分野にはまだ十分なサービスが存在しない」などの創業の動機が挙げられます。
または、社会課題の解決にテクノロジーを活用しようとする意欲が、IT業界の創業動機として挙げられます。
このように、自分の思いやビジョンを明確に言語化し、創業計画にしっかりと落とし込むことで、金融機関や投資家の信頼を得ることに成功しています。
飲食業界
飲食業界での創業の動機の書き方として、単に収益を上げるためではなく、「自分の料理で人々の心を動かしたい」「サービスを通じて特別な時間を提供したい」など意図が挙げられます。
例えば、「地元の人々に本格的な味を届けることで地域社会を活性化させたい」という想いから、自らの店舗を立ち上げたいというケースもあります。
飲食業界では、事業への強い想いや独自性が、競争の中での差別化要因となることがあります。
競争が激しいこの分野で成功するためには、自分ならではのストーリーや考えが求められます。
そのため、情熱と独自のビジョンを持つことで、他にはない魅力を生み出し、顧客の心をつかむことにつながります。
美容業界
美容業界の「創業の動機」を書く際には、「長年にわたり培ってきた経験を活かして一人ひとりに寄り添った質の高い施術を提供したい」など自身の経歴と目的を結びつけることが求められます。
また、起業の動機には、自店ならではの強みや他店との差別化の視点も加えることで、融資担当者に良い印象を与えることができます。
美容業界は競争が激しいため、他と一線を画す特徴を明示することが成功への鍵となります。
創業計画書を作成する際の準備項目

創業計画書を作成する際には、まずは事業の計画そのものをしっかりと練り上げることが大切です。
創業計画書を作成する際の準備項目は、以下の3つが挙げられます。
- 理想の将来像の設定
- 現状の整理
- 課題の洗い出し
それぞれの項目について解説していきます。
理想の将来像の設定
創業計画書を作成する際には、「これからどのような将来を描くか」などの理想の将来像を考えることが重要です。
将来のビジョンを明確に描くことで、目指す方向性や行動の指針を具体的に創業計画書へ反映させることができます。
例えば、事業の形態も重要な検討項目になります。
個人事業主として始めるのか、法人化してチームで事業展開するのかなど自身の状況や目標に合わせた形を選ぶことが、計画書の充実にもつながります。
このように、創業計画書を作成する第一歩として、自分が思い描く未来像をじっくりと考えてみることをおすすめします。
現状の整理
創業計画書を作成する準備として、現在の状況を整理することは重要なステップです。
現状の整理をおこなうことで、自身の強みやこれまでの成果を明確にし、それを計画書に反映させることができます。
例えば、「得意とする専門分野は何か?」「自信を持って対応できる作業内容は?」「所有している資格や認定は?」などが挙げられます。
また、これまでの経験や取得資格など、過去の実績も重要な要素です。
このように、得意な領域と今後改善が必要な領域を客観的に把握することで、より現実的で実行可能な創業計画を立てることにもつながります。
課題の洗い出し
創業計画書を作成する前に重要な準備として、どのような課題が存在するかを明確にすることが挙げられます。
課題を洗い出すことで、それぞれに適した対応策や戦略を具体的に創業計画書に反映できます。
例えば、資金面で課題がある場合には、「必要な設備資金の規模」「自己資金でどの程度対応可能か」など課題を事前に把握することで、それに対応する具体策を立てることが可能です。
このように、事業の準備段階ではまず、直面しうる課題を丁寧に分析しましょう。
創業計画書の項目別に書くコツ

創業計画書の項目別に書くコツについては、以下の8つが挙げられます。
- 項目①:創業の動機
- 項目②:経営者の略歴
- 項目③:取扱商品・サービス
- 項目④:取引先・取引関係等
- 項目⑤:従業員
- 項目⑥:お借入れの状況
- 項目⑦:必要な資金と調達方法
- 項目⑧:事業の見通し
それぞれの項目について解説していきます。
項目①:創業の動機
創業融資の審査では、事業に対する熱意や真剣な姿勢がどのように表現されているかも評価の対象となります。
特に、自己資金をコツコツと貯めてきた実績や、これまでの業界経験、そして創業動機に反映される本気度は、金融機関からの信頼を得るうえで重要な要素です。
創業動機の記載にあたっては、ご自身の実体験や将来のビジョンを率直に盛り込むことが大切です。他者の意見や定型的な表現に頼るのではなく、なぜその事業を始めたいのかを具体的に説明しましょう。
画一的な表現や借り物の言葉では、創業者ご自身の覚悟や独自性が伝わりにくくなるため、ご自身の言葉で体験や考えを率直に表現することが大切です。
項目②:経営者の略歴
経営者の略歴では、起業を予定している分野に関するこれまでの実務経験や以前に会社や事業を経営していた実績、関連分野に関する資格・特許の有無などが問われます。
業界での経験や関連資格がある場合、事業の知識や業界動向に対する理解が深いと評価されるので、説得力が高まります。
また、特許の保有などは事業の独自性や競争力を示す強みになると言えます。
記入する際のポイントとして、経験や資格、特許などがある場合は、できるだけ具体的に記載するようにしましょう。
直接的な経験がなくても、関係性のある内容を丁寧に掘り下げて書くことが重要です。
項目③:取扱商品・サービス
取扱商品やサービスの内容について、どれだけ具体的に示されているかが大切です。特に「セールスポイント」の欄は、他社との違いを明確にし、事業の将来性を見極めるうえで重要です。
この差別化の視点は、創業計画書を審査する際の大きな評価ポイントとなります。
万が一、セールスポイントが曖昧であれば、事業に競争力がないと判断され、資金調達や支援の面で不利になるリスクがあります。
取扱商品・サービスを書く際のコツとして、商品構成や販売方法が具体的に描かれているかを意識し、明確に記述するようにしましょう。
しかし、専門用語を多用しすぎると、かえって内容が伝わりにくくなってしまうので注意が必要です。
項目④:取引先・取引関係等
取引先・取引関係等では、取引相手やその条件がすでに決定しているかどうかを確認するための内容です。
この項目で仕入先や販売先が明確になっている場合、それは創業に向けてしっかりと準備を重ねてきた証と評価されやすくなります。
創業融資を申請する前に、できる限り具体的な情報を用意し、それを記入することが重要です。
具体性が高いほど、融資を受ける際に有利に働く可能性が高くなります。
このように、誰をターゲットとし、どんな価値を提供するのかが具体的に説明されている計画は、審査の際に高く評価されやすくなります。
項目⑤:従業員
創業計画書の「従業員」の項目は、「新創業融資制度」の適用条件である雇用創出の有無を判断するための項目です。
記述する際のポイントとして、正社員に限らず、パートやアルバイトの雇用を予定している場合も、その計画を明記するようにしましょう。
開業後に少なくとも一人以上の雇用を予定している場合は、条件によっては特別利率の融資を受けられることがあるので、積極的に記載することをおすすめします。
項目⑥:お借入れの状況
お借入れの状況の項目については、個人の生活費やローン返済といった固定的な支出額が、創業後の経営にどの程度影響を与えるかを判断しています。
生活にかかる出費が少なければ、事業から得る収入に頼る必要が小さくなり、経営が安定しやすくなります。
実際に、融資を申し込む際には、個人信用情報の照会に同意が必要になることがあります。
これに同意すると、全銀協やCIC、JICCなどの情報機関を通じて、住宅ローンや自動車ローン、クレジット契約の有無や残高、支払いの履歴などが確認されます。
そのため、記載内容に虚偽がある場合、信用照会の結果と矛盾が生じ、融資担当者の信頼を失うリスクがあるため正確な情報の記入が重要です。
項目⑦:必要な資金と調達方法
必要な資金と調達方法では、どのような資金が必要で、何に使うのか、そしてその資金をどうやって準備するのかを具体的に示す項目です。
創業計画全体の中でも特に融資判断において重視される部分で、自己資金の金額とその割合は審査に大きな影響を与えます。
例えば、事業所や店舗を借りる際には、その物件の概要がわかる資料を準備し、費用を明確にして記載することが大切です。
また、事業開始から売上が入金されるまでの間に必要となる運転資金についても、仕入れの見込み額や必要経費などの根拠をもとに正確に記載しましょう。
項目⑧:事業の見通し
事業の見通しでは、事業開始初期と安定運営以降における収支の変化や収益確保の道筋について具体的に説明する項目です。
事業者がどの程度数値に基づいて運営を把握・管理できているかも重要な評価対象となります。
記載する際のポイントとしては、主観的な見解や経験則に頼るのではなく、可能な限り客観的なデータや実績に基づいた根拠を明示することが大切です。
例えば、数値の裏付けとして、同業他社のデータや市場調査結果を活用すると、計画の信頼性を高めることができます。
また、当初の想定よりも低調な売上が続くケースも多くみられるので、リスクも織り込んだ現実的な予測が信頼性のある計画として評価されやすくなります。
創業の動機を通じて自分の熱意を伝えよう!

今回は、創業の動機について紹介しました。
新たにビジネスを始める際には、経営者自身の情熱と、しっかりと練られた計画が重要になります。
創業の動機を書く欄は、自分自身の情熱を相手に伝えるための重要な項目になります。
思い描いていることを文字にすることで、頭の中が整理され、より明確なビジョンとなって現れます。
今回の記事を参考にして、創業の動機で自分の熱意をしっかりと伝えるようにしましょう。
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この記事の監修者

税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。