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合同会社は1人で設立できるのか?メリット・デメリットや設立する際のポイントも紹介

読了目安時間:約 6分
合同会社は、1人でも設立することが可能です。
しかし、合同会社を1人で設立する際には、メリットとデメリットの両方を十分に理解した上で、自身の事業に最適な形態かどうかを慎重に見極めることが大切です。
本記事では、合同会社は1人で設立できるのかについて紹介します。
他にも「合同会社を1人で設立するメリット・デメリット」や「合同会社を1人で設立する際のポイント」についても解説していきます。
ぜひこの記事を参考にして、合同会社の設立を検討してみてください。
目次
合同会社は1人で設立できるのか?

合同会社は一人でも問題なく立ち上げることが可能です。
実際に、法律的にも全く支障はなく、むしろ起業を目指す個人にとって有効な選択肢の一つとなっています。
また、合同会社は、設立にかかる費用が比較的低く抑えられること、定款の公証人による認証が不要であることなどの理由から、シンプルかつ実用的な方法として選ばれることが増えています。
さらに、個人事業としての収入がある一定の水準を超える場合、法人を設立することで節税が可能です。
合同会社を1人で設立するメリット

合同会社を1人で設立するメリットについては、以下の4つが挙げられます。
- 社会的信用度が高まる
- 節税につながる
- 社会保険への加入が可能になる
- 有限責任になる
それぞれのメリットについて解説していきます。
社会的信用度が高まる
合同会社を1人で設立するメリットとして、一般的に個人事業主よりも社会的信用度が高まることが挙げられます。
会社を設立するには、会社名や所在地、出資金額などを明記した書類を法務局に提出し、法人登記を行います。
この登記情報は一般に公開されるので、たとえ代表者が一人であっても、外部からは「法人」としての信頼性が認識されます。
また、法人でなければ取引を控える企業も存在するので、合同会社として登記することで、そうした企業との取引機会が広がる可能性もあります。
さらに、法人格を持つことによって、銀行などの金融機関からの融資審査においても有利になることが期待されます。
このように、資金調達を視野に入れている方にとっては、法人化がおすすめと言えます。
節税につながる
合同会社を1人で設立すると、法人としての支出を経費計上できるため、結果として効率的な節税につながる場合があります。
例えば、個人事業では必要性が認められにくい支出であっても、法人として事業運営に必要であると認められれば、法人の損金(経費)として処理できるケースがあります。
特に、役員報酬や従業員への給与は法人の損金に算入可能であり、これにより法人の課税所得を減らすことができます。一方で、給与を受け取る側(役員や従業員)は給与所得控除の対象となるため、個人側の税負担軽減にもつながります。
また、個人事業主の事業利益は個人所得として課税され、累進課税により所得が増えるほど税率が上昇します。法人化することで役員報酬を適切に設定し、法人と個人に分散させることで、トータルの税負担を抑えられる可能性があります。
ただし、法人設立後は社会保険の加入義務や法人住民税均等割など、個人事業にはない固定的なコストも発生します。節税効果だけでなく、これらのコストを含めたトータルでの比較・検討が必要です。法人化を検討する際には、事業規模や将来の収益見込みを踏まえて、税理士に相談しながら最適な形を検討することをおすすめします。
社会保険への加入が可能になる
1人で合同会社を設立するメリットの一つに、社会保険への加入資格が生じる点があります。
法人を設立すると、たとえ代表者1人だけの会社であっても、健康保険や厚生年金保険といった各種社会保険制度への加入義務が生じます。
特に、厚生年金保険は、個人事業主が対象とする国民年金よりも将来の年金受給額が増える可能性があり、老後の生活資金面で安心材料となります。
しかし、法人としての社会保険料の支払いには、企業側の負担分も生じるため、そのコストについては事前に考慮することが必要です。
有限責任になる
個人で合同会社を設立する際の大きなメリットの一つは、有限責任になるので経営に伴うリスクを抑えられることが挙げられます。
個人事業として事業を営む場合、万が一経営に行き詰まったときには、仕入れ先への未払い代金や金融機関からの借入、未納の税金などについて、事業主本人が全額を責任もって返済する「無限責任」が課せられます。
しかし、法人格を持つ合同会社を設立すれば、仮に一人だけで運営していても、原則として会社の債務については出資した範囲内での責任に限定されます。
そのため、万が一会社が倒産しても、原則として個人の財産が差し押さえられることはありません。ただし、金融機関からの融資に個人保証を付けている場合などは、個人の財産も責任を負う可能性があるため注意が必要です。
参考:有限責任 | 会社法 | 用語解説 | CIAC.JP
合同会社を1人で設立するデメリット

合同会社を1人で設立するデメリットについては、以下の3つが挙げられます。
- 事務手続きの負担が重くなる
- 赤字でも納税が必要になる
- 設立に手間や費用がかかる
それぞれのデメリットについて解説していきます。
事務手続きの負担が重くなる
合同会社を一人で設立する場合には、日々の事務作業の負担が大きくなる点に注意が必要です。
特に、法人としての決算や申告業務は、個人事業主の確定申告に比べて手続きが複雑で、準備しなければならない書類も多くなります。
そのため、すべてを一人で対応するのは現実的に難しい場面が出てくるのも事実です。
また、決算業務などを専門家である税理士に依頼する場合は、それなりの報酬が発生するため、事前にその費用面も踏まえて計画を立てることが大切です。
赤字でも納税が必要になる
1人で合同会社を設立するデメリットの一つに、赤字であっても税金の支払い義務が発生することが挙げられます。
法人形態では、たとえ収支がマイナスであっても支払わなければならない税金が存在します。
個人事業主であれば、所得が赤字となった場合、所得税や住民税は発生しません。
また、消費税についても、取引先や顧客から預かる形の税金であるため、たとえ自社が赤字であっても納税する責任が生じます。
しかし、法人であっても一定の条件を満たせば、設立からしばらくの間は消費税の免税事業者となります。
免税を希望する場合は、自身の会社がその条件に当てはまるかどうか、事前にしっかり確認しておくことが大切です。
参考:納税義務の免除|国税庁
設立に手間や費用がかかる
1人で合同会社を設立することのデメリットとして、設立に手間や費用がかかることが挙げられます。
具体的に、合同会社の設立には最低でも約6万円が必要になり、1人で会社を立ち上げる場合、その費用はすべて自分で負担しなければなりません。
一方、複数人で設立する場合は、初期費用を人数で分担できるため、個々の負担は軽減されます。
実際、設立準備に手が回らず、合同会社の設立が遅れてしまうというケースも少なくありません。
合同会社を1人で設立するタイミング

合同会社を1人で設立するタイミングについては、以下の2つが挙げられます。
- 年間売上が800万円以上になるタイミング
- 事業拡大をしたいタイミング
それぞれのタイミングについて解説していきます。
年間売上が800万円以上になるタイミング
年間の所得が800万円を超え始めた頃は、合同会社の設立を検討する一つの目安といえます。
もちろん、すべてのケースで法人化による節税効果が出るとは限らず、1000万円を超えたあたりからの方が現実的という意見もあります。
しかし、各種の控除や経費の使い方次第では、800万円台でも有利になる可能性がありますので、早めに検討を始めることをおすすめします。
法人化が有利となるかどうかは、経費や役員報酬の設定など個々の状況によって異なるため、税理士等の専門家に確認することをおすすめします。
事業拡大をしたいタイミング
合同会社を1人で設立するタイミングとして、事業拡大をしたいタイミングが挙げられます。
ビジネスが安定し、次のステップとして規模の拡大を検討している場合、法人化することで資金の確保や契約手続きが個人事業主のままよりもスムーズになることが多くあります。
また、将来的に取引先を増やしたり、新たにスタッフを採用したりといった拡大戦略を視野に入れているなら、法人化を前向きに考える価値があります。
現時点では一人で経営していたとしても、リスクを取りつつ事業の成長を目指すのであれば、法人化によって得られるメリットは大きいと言えます。
具体的に、以下のような施策を進める上で、法人化が有利になるケースが多く見られます。
- スタッフの採用による体制強化
- 金融機関や投資家からの資金調達
- 取引先企業との信用構築(BtoBビジネスの場合)
- ブランド力の向上による顧客獲得(BtoCビジネスの場合)
- マーケティング費用への柔軟な投資
これらを実現するには、法人という形態のほうが有利になる場面が多くみられます。
合同会社を1人で設立する際のポイント

合同会社を1人で設立する際のポイントについては、以下の3つが挙げられます。
- 自己資金を多く準備しておく
- プライバシーを考慮する
- 相続人を決めておく
それぞれのポイントについて解説していきます。
自己資金を多く準備しておく
一人で合同会社を立ち上げる際には、自己資金の準備が大きな課題となります。
出資金を誰かに頼ることができないので、設立に必要な資金は自分自身で準備する必要があります。
たとえ合同会社が1円の資本金から設立できるとはいえ、現実には事務所の賃貸契約費用や備品の購入など、まとまった初期投資が必要となる場面が多くあります。
目安としては、設立に必要な初期費用に加えて、少なくとも3か月分程度の運転資金を含んだ額を資本金として確保しておくのが望ましいでしょう。
また、事業のスタート時点で十分な資金的余裕を持つことが、安定した運営への第一歩となります。
さらに、手元資金が少なければそれだけで経営上のリスクが増します。
資金が足りなければ、業務が停滞する恐れがあるほか、融資を受ける際の信用力にも悪影響を及ぼしてしまうので注意が必要です。
プライバシーを考慮する
一人で合同会社を立ち上げる際には、プライバシーを考慮することもポイントと言えます。
具体的には、登記情報として本社住所は公開されるので、自宅を会社住所として登録すると、個人の住所が他人に知られてしまうリスクがあります。
そのため、自宅のプライバシーを守りたい場合は、自宅とは別にオフィススペースを確保する方法が安心です。
例えば、法人登記が可能なコワーキングスペースやバーチャルオフィスを活用することで、自宅住所を公開せずに会社を運営することができます。
相続人を決めておく
合同会社を一人で設立する際には、将来的な事業継承についての準備が重要になるので、相続人を決めておきましょう。
特に、注目すべき点は、定款にあらかじめ相続人の扱いを明記しておくことです。
一人で経営する会社の場合、自分に万が一のことがあった際、後継者がいなければ会社が自動的に解散してしまう可能性があります。
定款に相続や承継に関する定めがない場合、親族であっても合同会社の持分を引き継ぐことが困難になることがあるのです。
そのため、合同会社を立ち上げる段階で、事業の継続性を意識し、相続の方針についても明確にしておきましょう。
合同会社を1人で設立するメリット・デメリットを理解しておこう!

今回は、合同会社は1人で設立できるのかについて紹介しました。
1人で合同会社を立ち上げる際には、その利点と欠点の両方をしっかりと把握しておくことが重要です。
合同会社は、個人でビジネスを始める方や独立を目指す方にとって、多くの魅力があります。
法人としての信用力を活かしながら、設立コストを抑えつつ、スムーズにスタートできる点が特徴です。
しかし、順調な経営を目指すには、必要な書類の準備や税務戦略の策定、経理の仕組みづくりなど計画的な対応が求められます。
また、自分自身で設立手続きをおこなうことも可能ですが、法律的な制約や実際の運営に関する知識については、専門家の助言を受けることで、より確かな判断ができるようになります。
今回の記事を参考にして、合同会社を1人で設立するメリット・デメリットを理解しておきましょう。
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この記事の監修者

税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。