2025.08.21

起業・開業

30代からの起業は遅い?メリットや会社設立までの流れ、成功のためのポイントを解説

会社設立

読了目安時間:約 7分

30代になると、キャリアや将来の働き方を見直し、起業を検討する人も少なくありません。一方で、「30代からの起業は遅いのではないか」と不安に感じる方もいるでしょう。

結論として、30代で起業する人は多く、その年代ならではのメリットもあります。しかし、焦って起業を進めてしまうと失敗するリスクが高いため、あらかじめ計画を練り、準備をしてから起業に臨むのが有効です。

本記事では、30代で起業を目指す方向けに、30代で起業するメリットや起業の流れ、成功させるためのポイントをご紹介します。

30代からの起業は決して遅くない

30代での起業

日本の実態をみると、30代での起業は決して遅くはありません。

ここでは、起業年齢の実情や注意点について解説します。

起業に年齢制限はない

起業するのに特に年齢制限はないため、何歳からでも起業することが可能です。学生のうちから起業して会社を経営する人もいれば、定年退職をしてから起業を目指す人もいます。

ただし、会社を設立するのには印鑑証明の提出が必須となり、印鑑証明を発行するには15歳以上でなければ受け付けられないため、実質、自分自身で会社を立ち上げるのは15歳以上からとなります。

また、未成年者が個人事業を始める場合には、親権者の同意が必要です。

起業する人が多い年代は「40代」

日本政策金融公庫総合研究所の「2023年度新規開業実態調査」によると、開業時の年齢は「40代」が全体の37.8%と最も多く、次いで「30代」が30.1%となっています。

このことからも、30代で起業を考えることは十分一般的であり、「遅い」と考える必要はありません。

ただし、30代は一般的に結婚や出産、子育てなどのライフイベントと重なりやすいため、体力面への考慮はもちろん、資金や時間の確保を計画的に進めることが重要です。

参考:日本政策金融公庫総合研究所「2023年度新規開業実態調査

スキルなしでも起業は可能

30代で特別な専門スキルがなくても起業自体は可能です。

趣味や得意分野を生かした事業、初期投資が比較的少ない業種、フランチャイズなどを選ぶことで、リスクを抑えながら始めることもできます。

ただし、事業を安定させるためには、会計・税務・マーケティングなどの基礎的な知識を習得しておくことが望まれます。オンライン講座や実務経験を通じて、起業前後にスキルを補強していくと安心です。

30代で起業するメリット

30代で起業するメリット

起業には年齢制限がなく、定年退職もないため、起業に対する強い意志やアイデア、行動次第で何歳からでも起業できます。

しかし、一般的に30代の場合は気力や体力が十分にある年齢であり、その経験やスキル・活用できる融資や支援など、年代ならではの強みを活かした起業をスピード感を持って実行できる可能性があります。

30代で起業する具体的なメリットは以下の3つです。

  • 社会人の経験を活かせる
  • これまでの人脈を活かせる
  • 起業するための資金を準備しやすい

それぞれ詳しく説明します。

社会人の経験を活かせる

30代は、ある程度の社会人経験やスキルなどが身につく年代です。

そのため、20代から30代までで培ったキャリアや学びを起業の土台とすることができるので、成功の可能性を高められます。

新入社員の頃から社会常識を身につけ、実務面でも営業・事務・専門職などの経験を積み重ねていけば、開業後もその経験に基づきながら経営判断ができるでしょう。

特に、自分が得意とする業務や専門性を活かせる分野で起業すれば、より有利に進められます。

これまでの人脈を活かせる

社会人としての活動が増える30代は、取引先や相談できる人脈が広がりやすい時期です。

起業すると、予期せぬトラブルが生じる場合や、取引先が見つからない場合など、困る場面も出てきますが、そのようなときにこれまで培ってきた人脈が役立つ可能性があります。

起業の成長とリスク回避を実現するためには、会社を立ち上げる前から業界内の人脈を広げ、経験豊富な人からの助けやアドバイスを受けられる状態にしておくのが有効です。

起業するための資金を準備しやすい

起業資金を準備しやすいのも30代で起業するメリットの一つです。

一般的に30代は社会人経験を積み、一定の貯蓄や信用力を築いている場合が多く、資金準備や調達の面で有利に働くことがあります。

また、起業に必要な資金を自己資金で賄えない場合は、金融機関からの融資や自治体からの補助金・助成金を活用する必要がありますが、30代は資金調達が比較的しやすい年代といえるでしょう。

例えば、日本政策金融公庫が提供する新規開業資金のうち、女性や若者・シニア起業家支援の枠組みでは35歳未満の若年者が対象となり、最大7,200万円を設備資金や運転資金として利用できる可能性があります。

参考:日本政策金融公庫|新規開業・スタートアップ支援資金

30代での起業の進め方|事業開始までの6ステップ

起業の進め方

あらかじめ起業の流れを把握しておくと、起業準備が計画性を持ってスムーズに進められます。

30代の起業は、主に以下の6ステップで行います。

  1. 起業方法を考える
  2. 事業計画書を作成する
  3. 計画を家族に話し、理解を得る
  4. 資金調達する
  5. 会社を設立する
  6. 集客活動をする

それぞれ詳しく見ていきましょう。

①起業方法を考える

起業を検討している30代の起業方法として、大きく2つあります。

  • 在職しながら副業として起業する
  • 本業を退職して起業する

事業が軌道に乗らなければ、収入面で大きなリスクがあるため、それを考慮して在職しながら副業として起業するケースも多いです。

それぞれのメリット・デメリットを比較しながら、どのような起業方法が最適か検討しましょう。

なお、起業には会社を設立して法人としてはじめる方法と、個人事業主として事業をはじめる方法があるため、それも併せて考えましょう。

参考:会社法|e-Gov 法令検索

②事業計画書を作成する

事業計画書は、起業の目的や必要な資金と調達方法、事業の見通しなどを記載する計画書を指します。

作成の義務があるわけではありませんが、金融機関や投資家から融資や投資を受ける際に必要になるだけでなく、自身の行動指針としても役立ちます。

事業計画の主な記載項目と詳細は以下の通りです。

  • 事業の概要(会社概要、事業内容、商品・サービス、ターゲット顧客、競合状況など)
  • 事業戦略(経営理念、事業目標、差別化戦略、マーケティング戦略、販売戦略など)
  • 収益計画(売上予測、費用予測、損益計算、資金調達計画、収益性分析など)
  • 財務計画(資金調達方法、返済計画、キャッシュフロー予測など)
  • 組織体制(組織図、従業員構成、役割分担、経営体制など)
  • リスク分析(想定されるリスクとその対策、事業継続計画など)
  • 起業する目的や動機(起業に至った経緯や想い、事業にかける情熱などを具体的に記載)
  • 経営者の職歴や実績(過去の事業実績や関連する経験、スキルなどを記載)

参考:日本政策金融公庫|各種書式ダウンロード|国民生活事業

③計画を家族に話し、理解を得る

30代というと、家庭を持つ人も多くなる時期です。

独身の場合はそうではありませんが、結婚して配偶者や子どもがいるのであれば、家族の同意や協力なくして起業を成功させるのは難しいといえます。

生活を切り詰める必要がない程度に資金に余裕があれば、ゆとりを持って起業することができますが、起業によって金銭的な不安や生活スタイルの変化など、生活への影響を考慮すると、家族の理解を得たうえで準備をするのが良いでしょう。

そのため、家族の気持ちを尊重しつつ、起業に対する想いや事業計画を丁寧に説明して理解を得ることが重要です。

④資金調達する

起業するにあたっては、会社設立の手続きにかかる費用や設備資金、運転資金などが必要となるため、事業計画を立てたら資金調達方法を検討しなければなりません。

主な調達方法としては、以下が挙げられます。

  • 自己資金
  • 金融機関からの融資
  • 制度融資の利用
  • 補助金や助成金の利用
  • 日本政策金融公庫の創業融資
  • ベンチャーキャピタル
  • クラウドファンディング
  • 親子、友人、知人からの借入

起業する方が利用しやすいものに、日本政策金融公庫が提供する、新たに事業を始める方を対象とした融資があります。

融資や補助金・助成金を受ける場合などは、条件をあらかじめ把握して準備を進めましょう。

⑤会社を設立する

個人事業主として起業する場合は、開業届を税務署に提出するだけで比較的容易に済みますが、会社を設立する場合には、以下のような手順で進める必要があります。

  1. 会社概要の決定
  2. 会社用の実印作成
  3. 定款の作成・認証
  4. 資本金の払い込み
  5. 登記申請書類の作成
  6. 会社設立

会社設立に必要な法定費用の目安は、株式会社の場合約20万円~25万円程度、合同会社の場合は約6万円~10万円程度です。株式会社を設立する場合、定款認証の有無や方法(紙・電子)によって費用が異なります。

また、資本金については、設立費用+数ヵ月分の運転資金が目安となります。資本金は1円以上あれば設立できますが、あまりに少額だと運転資金に不足が出たり、取引先や金融機関からの評価に影響する場合もあるため、よく検討しましょう。

参考:法務局|商業・法人登記申請手続

⑥集客活動をする

開業時の集客活動は、事業成功のためにも欠かせません。

まずはターゲットが誰かを明確にし、効果的な集客方法やマーケティング戦略を練りましょう。

限られた予算の中で集客できる方法としては、SNSによる宣伝や、チラシ・ポスティング、Googleマイビジネスへの登録などがあります。

ターゲットに合った集客活動を行うことで、限られた予算でも効果的な集客につなげられるケースがあります。

30代の起業を成功させるポイント

起業を成功させるポイント

経験やスキルを積んだ30代の起業は多くのメリットがあります。

しかし、人生の大きな決断をして準備したにもかかわらず、起業に失敗するケースもあり、中小企業庁の調査などでも、起業後数年以内に廃業に至るケースが一定数存在すると報告されています。

しかも、30代といえばライフイベントが集中しやすく、経済的な負担も大きくなる傾向にあるため、一度失敗してしまうと再度起業に挑戦するのが難しい場合も多いです。

ここでは、30代での起業を成功させるためのコツをご紹介しますので、十分な対策をしたうえで起業を成功に導きましょう。

参考:中小企業庁「中小企業白書2023

起業の目的を明確にする

30代での起業を成功させるための重要なポイントは、起業する目的を明確にしておくことです。

自分がなぜ起業するのか、何を実現したいかを明確にし、目的がビジネスとして成り立つか、持続的な成長が期待できるかをよく検証したのち、自分がどのように行動すべきか、課題をどのように解決すべきか、といった内容を具体的に考えながら目的に向かって進む必要があります。

起業は人生を変える大きな決断となり、時には勢いも大事ですが、勢いのみで起業準備を進めてしまうと、問題に直面した際に、具体的な改善策が見出せず、諦めてしまう場合もあるのです。

明確な目的があることにより、ビジネスモデルの作成や資金調達、マーケティング戦略の策定など、それぞれの意思決定を促すことができ、失敗のリスクを相対的に下げ、より計画的な起業を進めやすくなります。

綿密な資金計画を立ててから起業する

起業で失敗する人の中には、焦ってしまうあまり資金計画がしっかり立てられず、起業後に資金繰りが困難となり事業が続けられなくなるケースも多くあります。

起業には予想外の支出が出てくることが多いため、起業資金をどのように捻出するか、どのようにして資金を調達し、それをどう活用するか、といった戦略的な資金計画が成功を左右すると言っても過言ではありません。

そのため、焦らずにビジネスプランを練り、資金計画を立てたうえで起業に臨みましょう。

参考:日本政策金融公庫|資金計画

副業からのスタートでリスクを抑える

はじめから大きなリスクをとって起業するよりも、本業を続けながら副業として小規模で起業することで、事業リスクを抑えられるケースもあります。

事業が軌道に乗り、安定した収入を得られるようになってから事業を広げていけば、精神的にも金銭的にも余裕を持ちながら取り組めるでしょう。

特に、資金面が起業のネックになっている場合は、初期費用があまりかからないビジネスを選択すればリスクを抑えながらの起業に挑戦できます。ただし、本業の就業規則で副業が制限されていないか確認しておくことも大切です。

30代は起業に適した時期!焦らず準備をしよう

起業に適した時期

30代での起業は、体力面でもまだ余裕があり、これまでの社会人経験で培ってきた知識やスキル、人脈を利用して起業後の事業運営に役立てられるなど、20代や40代にはない強みを活かせるメリットがあります。

しかし、大きなライフイベントと重なりがちな年代のため、リスクを回避するためにも焦らずに事業計画を立て、しっかり準備を進めておきましょう。

初めての起業で何から始めたら良いか分からない方は、信頼のおける税理士などに相談するのがおすすめです。


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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

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