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役員変更登記とは?株式会社・合同会社について徹底解説
読了目安時間:約 7分
役員の就任や退任などがあった際には、「役員変更登記」という手続きを法務局で行う必要があります。役員変更登記は法律で義務付けられており、期限内に適切に対応する必要があるため、事前に正確な流れやルールを理解しておくことが重要です。
本記事では、「役員変更登記」についてだけでなく、「株式会社・合同会社の役員変更登記に必要な書類」や「株式会社・合同会社の役員変更登記にかかる費用」についても解説していきます。ぜひこの記事を参考にして、役員変更登記について理解を深めてください。
目次
役員変更登記とは何か?

会社の役員に就任や退任、再任といった異動があった際には、その情報を法務局へ届け出る「役員変更登記」が必要です。一般的に、代表取締役・取締役・会計参与の任期は2年、監査役は4年と法律で定められています。しかし会社の定款によって、これらの期間を短縮または延長することも認められています。
役員構成に変化が生じた際には、定款と任期を正確に把握したうえで、管轄の法務局に速やかに申請手続きを行う必要があります。登記の遅延を防ぐためにも、事前の確認と準備を徹底することが重要です。
参考:会社法第332条
株式会社・合同会社の役員
合同会社と株式会社では、それぞれの役員に対する呼び方や役割に違いがあります。株式会社の場合、会社の代表者は「代表取締役」と呼ばれますが、合同会社では「代表社員」という名称が使われます。株式会社では経営を担う役員を「取締役」と表現しますが、合同会社では同様の立場にある人物を「業務執行社員」と呼びます。
合同会社において業務執行社員となるには、まず出資を行う必要があり、出資をした人が「社員」となり、その中で実際に経営に関与する立場の者を「業務執行社員」として位置づける形です。業務執行社員を決める際には、株式会社での取締役と同様に登記申請が必要となり、定款にもその旨を記載する必要があります。
役員変更の種類

役員変更の種類については、以下の5つが挙げられます。
- 種類①:就任(新任)
- 種類②:重任
- 種類③:退任
- 種類④:辞任
- 種類⑤:解任
それぞれの種類について解説していきます。
種類①:就任(新任)
就任とは、新たに取締役や監査役などの役職に就くことを指します。これまで役員経験のない人物が経営陣として加わることを意味しており、就任の背景には社内での昇格や、外部から専門性や実務経験を持った人材を登用するケースが多く見られます。新規プロジェクトの立ち上げや会社の組織再編、定款の変更、合併などに伴って役員の人数が増加する際にも発生します。
新任の役員が決定した場合、その決議が株主総会で承認された後、原則として2週間以内に法務局への登記手続きが必要です。また、就任の手続きは、役員の変更の中でも特に頻繁に行われるもので、任期の終了や辞任に伴って次の役員を選任する場合にも含まれます。
種類②:重任
重任とは役員が任期を終えたあと、同じポジションに再び選出されることを指します。経営陣の継続性や組織の安定を重視して選ばれるケースが多く、「再任」という表現が使われる場合もあります。重任が株主総会で正式に承認された場合は、新たに役員に就く「就任」と同様に、登記手続きを行う義務が生じます。申請は、決議日から2週間以内に法務局で手続きを完了させる必要があります。
なお、取締役の任期は一般的に2年、監査役は4年と定められていますが、株式の譲渡制限がある非公開会社の場合、会社の定款によってその期間を最長10年まで延長することが認められています。
種類③:退任
退任とは任期満了や辞任、解任などによって役員の職を離れることを指し、再選されない場合も自動的に退任となります。退任する際には、改めて株主総会で退任を決議する必要はありません。しかし経営の空白を防ぐための措置として、正式に後任が選ばれて就任するまでは、退任した役員が引き続き一定の権限を持って業務を遂行するケースがあります。
退任が確定した後は、原則として2週間以内に法務局にて登記手続きを行う必要があります。株式会社ではこの手続きを怠ると法的なリスクが生じることがあるので、特に注意が必要です。一方、合同会社には任期の規定がなく、任期満了による退任は発生しません。
参考:会社法第346条
種類④:辞任
辞任とは、役員が任期満了前に、自らの意思で職を退くことを指します。理由として、経営理念とのずれや他企業との兼務、健康上の問題、責任を取る判断など多岐にわたります。本人が辞意を示すだけで効力を持ち、株主総会での決議や承認は必要ありません。しかし法務局への登記手続きは必須であり、会社が辞任の意思表示を受け取った日から2週間以内に登記申請を行う義務があります。
種類⑤:解任
解任とは会社の判断によって役員の職務を終わらせることを指します。主な理由としては、健康上の支障や不正行為の発覚、職務に対する不適格さなどが挙げられます。株主総会の普通決議によって、いつでも実行することが可能ですが、正当な理由がないまま解任した場合には、解任された役員から損害賠償を請求される可能性があるので注意が必要です。
解任が決議された場合には、他の役員変更手続きと同様、決議日から2週間以内に法務局で登記申請を行う義務があります。解任には感情や判断の誤りが絡むこともあるので、事前に確かな証拠や説明を整えておくことが重要で、慎重な対応が求められる手続きです。
参考:会社法第339条
株式会社の役員変更登記に必要な書類

株式会社の役員変更登記に必要な書類は、以下のように変更の種類によって準備すべきものが異なります。
| 項目 | 内容 |
| 就任 | •役員変更登記申請書 •株主総会議事録 •株主リスト •就任承諾書 •誓約書 •議長および議事録署名者の印鑑証明書 •定款 •本人確認書類 •印鑑証明書 •委任状(代理人が申請する場合) |
| 重任 | •役員変更登記申請書 •株主総会議事録 •株主リスト •議長や議事録署名者の印鑑証明書 •必要に応じて定款 •代理申請の場合は委任状 |
| 退任 | •役員変更登記申請書 •議長や議事録署名者の印鑑証明書 •必要に応じて定款 •委任状(代理人使用時) |
| 辞任 | •役員変更登記申請書 •辞任届 •代理申請用の委任状(該当する場合) |
| 解任 | •役員変更登記申請書 •株主総会の議事録 •定款 •株主リスト •委任状(代理人が手続きを行う際) |
それぞれの書類を下記にて解説していきます。
書類①:株式会社変更登記申請書
株式会社変更登記申請書は、株式会社の変更登記を申請する際に作成する書類で、重要な情報を正確に記載する必要があります。主な記載内容は以下のとおりです。
- 会社法人番号
- 商号(会社名)
- 本店所在地の住所
- 変更理由(登記の事由)
- 変更内容の詳細(登記すべき事項)
- 登録免許税の額
- 添付する書類の一覧
- 申請人(通常は代表取締役)の氏名と住所
- 連絡用の電話番号
上記の情報を漏れなく記入することが大切です。また、法務局の公式サイトには、実際の記載例が公開されており、参考資料として活用することをおすすめします。
書類②:株主総会議事録
株主総会の議事録には、会議の内容や出席者の状況などいくつかの基本的な情報を記録する必要があります。具体的に、株主総会議事録に記載すべき主な項目は以下のとおりです。
- 株主の氏名または名称
- 発行済株式の総数
- 会議に出席した株主の人数
- 出席株主が持つ議決権の数
- 採決された事項の内容
株主総会議事録には、議長とその場に同席した取締役の署名または記名押印が求められます。押印については、会社の代表印ではなく署名者個人の印を使用するのが一般的です。
書類③:株主リスト
株主リストとは、役員選任を議題とした株主総会において、議決権を多く保有している上位10名の情報を記載する文書です。それぞれの株主の氏名、住所、持ち株による議決権数、および全体に対するその割合が記載されます。基本的に代表取締役が作成しますが、必要に応じて司法書士へ作成を委任することも可能です。
書類④:就任承諾書
就任承諾書とは、新たに就任する代表取締役や取締役、監査役がその役職を引き受ける意思があることを文書で明確にするための書類です。原則として代表取締役として新しく選任される際には、本人の実印による捺印が求められますが、株主総会や取締役会の議事録で、本人が就任に同意していることが明示されていれば、実印の押印が省略されるケースもあります。
取締役会を設置していない会社の場合は、代表取締役だけでなく、新たに選ばれる取締役や監査役についても、全員の実印による就任承諾書の提出が必要です。
合同会社の役員変更登記に必要な書類

合同会社の役員変更登記に必要な書類については、以下の5つが挙げられます。
- 書類①:合同会社変更登記申請書
- 書類②:総社員の同意書
- 書類③:払込証明書
- 書類④:通帳コピー
- 書類⑤:増資に関する決定書
それぞれの書類について解説していきます。
書類①:合同会社変更登記申請書
合同会社で新たに役員が加わる際には、「合同会社変更登記申請書」の提出が必要です。該当する法務局に提出するもので、書式は法務局の公式サイトからダウンロードが可能です。申請書には、新たに就任する役員の氏名や住所、就任日などの情報を「登記すべき事項」として記入する必要があります。登記申請の際には、登録免許税を納付するための収入印紙を申請書に貼付する必要があるので、提出前に忘れずに確認しておきましょう。
書類②:総社員の同意書
合同会社で新たに役員(業務執行社員)を迎える場合には、「総社員の同意書」の提出が求められます。総社員の同意書は、会社に所属するすべての社員がその決定に同意していることを示す重要な証拠となるものです。特に、業務執行社員の追加によって定款の変更が必要となる場合、総社員の同意書は法務局への提出が必須となります。
総社員の同意書の内容としては、以下を明記する必要があります。
- 就任する役員の氏名・住所
- 出資金の額
- 役員報酬の有無
- 定款に加える条文の詳細
登記申請書と同様に法務局の公式サイトでテンプレートが提供されていますので、ダウンロードして利用することが可能です。
書類③:払込証明書
合同会社で新しい役員が就任し新たに出資を行う際には、払込証明書の提出が必要です。払込証明書は、就任予定の人物が会社に対して出資を行ったことを証明する目的で、会社側が作成するものです。具体的に払込証明書には、以下のような情報を明記します。
- 出資を行った役員の氏名
- 実際に払い込まれた金額
- 入金が確認された日付
これらの項目を正確に記載し、会社としての資本受け入れが適切に行われたことを明示する必要があります。
書類④:通帳コピー
実際に出資金が振り込まれたことを裏付ける書類として、銀行通帳のコピーの提出も必要です。払込証明書だけでは入金の事実を十分に確認できないので、客観的な証拠として通帳のコピーを添付することで、払込の事実を示すことが求められています。銀行口座のコピーでは、以下のページを印刷するようにしましょう。
- 表紙(銀行名・口座番号の記載があるページ)
- 裏表紙の内側(口座名義が記載されている場合)
- 入出金が記録されている明細ページ
また、文字がはっきり見える状態で印刷するようにしてください。
書類⑤:増資に関する決定書
増資に関する決定書とは、新しく役員として加わる人物が出資した資金が資本金に組み入れられることを記録し、会社の資本金が増加したことを正式に示す書類です。記載内容としては、出資金額やその払込日、現在在籍している業務執行社員の人数などが含まれます。これらの情報を正確に盛り込んだ上で、適切な形式での文書作成が重要です。
株式会社の役員変更登記にかかる費用

株式会社の役員変更登記には、法務局に納付する登録免許税が必要です。基本的には1件あたり1万円ですが、資本金が1億円を超える企業の場合は、税額が3万円に引き上げられます。印鑑証明書や住民票、戸籍謄本・抄本などの各種書類を取得する際の手数料、郵送による申請を行う場合には切手代などの実費も発生します。
これらの手続きを司法書士などの専門家に依頼する場合には、実費とは別に報酬が必要になります。司法書士報酬は業務の内容や手続きの複雑さ、会社の規模によって変わりますが、一般的には数万円前後が目安とされます。
参考:登録免許税法別表第一
合同会社の役員変更登記にかかる費用

合同会社に新たな役員が加わる際には、登記申請時に「登録免許税」の納付が求められます。資本金が1億円以下のケースでは1万円、1億円を超える場合には3万円の税額がかかります。この税金は、収入印紙の購入によって納付するのが一般的で、収入印紙は法務局や一部の郵便局で購入できます。取得した収入印紙は、登記申請書に貼付して提出することで納付の証明となります。
参考:登録免許税法別表第一
役員変更登記を怠った場合のリスク

正当な理由なく登記を行わなかった場合、会社法第976条に基づき、代表取締役には100万円以下の過料が科されるリスクがあります。このような法的制裁に加え、登記情報が最新の状態でないことは、取引先や金融機関からの信用を損なう原因にもなります。特に、融資の審査などにおいては大きな不利となることも想定されます。
さらに、長期間にわたり登記が放置されている場合、実態のない「休眠会社」と見なされ、最悪のケースでは法務局によって「みなし解散」の手続きが取られる可能性もあります。また、事業活動自体に支障が生じるリスクがあるのも事実です。このように、会社の信頼性を保つためにも、速やかな登記手続きが重要となります。
参考:会社法第976条
正確に登記手続きをしよう!

今回は、役員変更登記について紹介しました。会社における役員の変更登記は、単なる形式的な手続きではなく、会社としての信頼性や透明性を社内外に対して示すための重要な法的義務です。この義務を怠ると、過料といった罰則が科される可能性があるだけでなく、取引先や金融機関との関係にも悪影響を及ぼすおそれがあります。また、役員変更が発生した場合には、正確かつ迅速に登記手続きを進めることが求められます。
対応に不安がある場合や本業に専念したい場合には、専門家に相談してみるのもひとつの有効な選択肢です。今回の記事を参考にして、正確に役員変更登記の手続きをしましょう。
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この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

