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代表取締役の住所非表示制度とは?メリットや申請手続きを解説
読了目安時間:約 12分
これから株式会社を設立しようと準備を進めている方の中には、ご自宅を本店所在地として登記することを検討されている方も多いのではないでしょうか。しかし、これまで株式会社の設立登記を行うと、代表取締役の自宅住所が登記事項証明書(登記簿謄本)に詳細に記載され、法務局やインターネットを通じて誰でも閲覧できる状態になっていました。
そのため、自宅住所が公開されることによるプライバシーの侵害や、見知らぬ人物の不審な訪問、迷惑な営業活動、さらにはストーカーやDV被害といったリスクが懸念されてきました。このような安全面への不安から、自宅での起業をためらったり、やむを得ず高額なバーチャルオフィスを契約したりするケースも少なくありませんでした。
こうした起業家の心理的ハードルを下げるため、法務省の新たな取り組みとして、2024年(令和6年)10月1日より「代表取締役等住所非表示措置」という制度が開始されました。この制度を活用することで、登記簿上に公開される代表取締役の住所を最小行政区画(市区町村名など)までに留め、番地やマンションの部屋番号などを非表示にすることが可能になります。
「代表取締役 住所非表示」の措置は、個人のプライバシー保護と防犯性を高め、安心してビジネスに専念できる環境を整えるための画期的な仕組みです。自宅を拠点とするスタートアップやスモールビジネスの経営者にとって、非常に実用的な選択肢となるでしょう。
この記事では、新たに導入された制度の詳しい概要をはじめ、利用する上で知っておくべき実務上のポイントを分かりやすく解説します。本記事をお読みいただくことで、以下の内容について深く理解することができます。
- 代表取締役等住所非表示措置の基本概要と対象となる役員
- 自宅住所を非表示にするメリットと防犯上の具体的な効果
- 融資審査や銀行口座開設など、実務において直面しやすいデメリットと注意点
- 会社設立時などに非表示措置を申し出るための具体的な手続き方法
制度のメリットだけを見るのではなく、事業運営や金融機関との取引に与える影響など、経営面でのリスクも正しく理解することが重要です。自社にとって最適な選択をするための参考としてご活用いただき、実際の申請や経営への影響に関する最終的な判断は、司法書士や税理士などの専門家へ事前にご相談されることをお勧めします。
目次
代表取締役の住所非表示制度(代表取締役等住所非表示措置)とは?
自宅を本店所在地として会社設立を検討している起業家にとって、登記簿謄本(登記事項証明書)に自宅住所が公開されることは、大きな懸念事項の一つでした。
この課題を解決するため、2024年(令和6年)10月1日より、新たに「代表取締役等住所非表示措置」という制度が施行されました。一定の要件を満たすことで、登記簿上の代表取締役の住所非表示が可能になる画期的な仕組みです。
ここでは、新しく始まった住所非表示制度の概要や、対象となる法人、導入された背景について詳しく解説します。
住所はどこまで非表示にできる?
本制度を利用した場合でも、代表取締役の住所が登記簿から完全に消去されるわけではありません。公開されるのは「市区町村名(最小行政区画)」までとなり、それ以降の町名や番地、マンション名や部屋番号などが非表示となります。
例えば、「東京都千代田区永田町一丁目1番1号」が代表取締役の住所である場合、登記簿上には「東京都千代田区」とだけ表示されます。政令指定都市の場合は「〇〇市〇〇区」まで、郡部の場合は「〇〇郡〇〇町(村)」までが公開範囲となります。
これにより、誰でも取得できる登記簿謄本から自宅の正確な場所を特定されるリスクを大幅に下げることができます。自宅をオフィスとして起業したい方にとっては、非常に実用的な制度と言えるでしょう。
本制度の対象者と対象外となる法人
注意が必要なのは、すべての法人や役員がこの制度を利用できるわけではないという点です。現時点で対象となっているのは「株式会社」の特定の役員のみに限定されています。
近年、設立件数が増加している合同会社や、NPO法人などは対象外となっているため、会社設立時の法人形態を選ぶ際にはこの点も考慮する必要があります。対象となる役職と法人形態の区分は以下の通りです。
| 法人形態 | 役職 | 住所非表示制度の対象 |
|---|---|---|
| 株式会社 | 代表取締役・代表執行役・代表清算人 | 対象(利用可能) |
| 株式会社 | 平取締役・監査役など | 対象外(住所登記自体が不要) |
| 合同会社 | 代表社員 | 対象外 |
| 一般社団法人 | 代表理事 | 対象外 |
| 特例有限会社・NPO等 | 代表取締役・代表理事など | 対象外 |
平取締役や監査役については、そもそも株式会社の登記簿に住所を登記する義務がないため、本制度の対象外となっています。また、合同会社で起業を検討している場合は、現行法では代表社員の住所が番地まで公開される点に留意してください。
制度が導入された背景と目的
この制度が導入された最大の背景には、インターネットの普及に伴うプライバシー侵害リスクの増大があります。現在、法人の登記情報はオンラインで誰でも簡単に取得・閲覧できるようになっています。
それに伴い、経営者の自宅へ不審な訪問営業(迷惑セールス)が来たり、悪意のある第三者によるストーカー被害やDV(ドメスティック・バイオレンス)被害のリスクが高まったりと、深刻な問題が指摘されていました。
自宅住所の公開リスクが、起業への大きな「心理的ハードル」となっていたため、国として起業を後押しする目的で導入されたのが本制度です。
【参考情報】
制度の詳細な要件や最新の運用状況については、法務省の公式サイトにて案内されています。手続きを検討される際は、必ず公的情報をご確認ください。
参照:代表取締役等住所非表示措置について(法務省)
このように、プライバシー保護の観点からは非常にメリットの大きい制度ですが、利用にあたっては一定の手続きルールが存在します。最終的な導入判断や具体的な登記手続きについては、司法書士などの専門家に相談しながら進めることをお勧めします。

代表取締役が住所を非表示にする3つのメリット
2024年10月1日より開始された「代表取締役等住所非表示措置」は、株式会社の代表取締役等の住所について、登記事項証明書(登記簿謄本)上で市区町村名までのみを表示し、番地以降を非表示にできる新しい制度です。
これまで、会社設立時には代表者の自宅住所が詳細に公開されることが原則でした。しかし、この新制度を活用して代表取締役が住所非表示を選択することで、経営者にとって具体的にどのような恩恵があるのでしょうか。ここでは、起業家や経営者が知っておくべき3つの大きなメリットを詳しく解説します。
1. プライバシーの保護と個人情報拡散リスクの軽減
会社の登記簿謄本は、法務局の窓口やインターネット上の登記情報提供サービスを通じて、手数料を支払えば誰でも簡単に取得・閲覧することができます。従来は、代表取締役の自宅住所が番地やマンションの部屋番号まで正確に記載されていたため、意図せず個人情報が広く公開される状態となっていました。
特に近年は、インターネット上で企業情報をまとめたデータベースサイトなどに登記情報が自動的に転載されるケースも少なくありません。一度ネット上に自宅住所が拡散されてしまうと、それを完全に削除することは非常に困難です。
新制度を利用して代表取締役の住所を非表示にすることで、一般に公開されるのは「最小行政区画(市区町村名)」までとなります。番地以降の正確な住所が登記簿から隠されるため、ネット上で自宅住所が晒されるリスクを大幅に軽減できるのが最大の利点です。
2. 防犯・安全性の向上
自宅住所が公開されていることで生じる実害として、防犯面や安全性への懸念が挙げられます。会社を設立すると、新設法人の登記情報を取得した営業代行業者や不動産会社から、執拗なダイレクトメールが自宅に届いたり、迷惑な飛び込み営業を受けたりすることが珍しくありません。
また、悪意を持った第三者による不審な訪問や、ストーカー、DV(ドメスティック・バイオレンス)被害などの深刻なトラブルに発展する恐れもあります。経営者本人だけでなく、同居するご家族を危険にさらす可能性も否定できません。
代表取締役の住所非表示措置を活用すれば、こうした自宅への直接的な接触を未然に防ぎやすくなります。役員本人やご家族の安全と平穏な生活を守るための、有効な防衛策と言えるでしょう。
3. 自宅住所での起業・副業への心理的ハードルの解消
これまで、「自宅の住所を誰でも見られる状態にしたくない」という理由から、自宅を本店所在地とする起業や法人化を躊躇するケースが多く見受けられました。プライバシーを守るための代替案として、バーチャルオフィスや賃貸オフィスを借りる方法もありますが、創業期においては毎月の固定費が大きな負担となります。
この制度の導入により、バーチャルオフィスなどを無理に契約せずとも、安心して自宅住所で登記・起業ができる環境が整いました。初期費用やランニングコストを抑えたいスタートアップや、副業からのスモールスタートを検討している方にとって、起業への心理的・経済的なハードルが大きく下がったと言えます。
なお、本制度の詳細な要件や対象範囲については、法務省の「代表取締役等住所非表示措置について」のページでも確認できます。ご自身の状況に合わせて適用を検討してみてください。
以上のメリットを踏まえ、この制度の利用が特におすすめなのは以下のようなケースです。該当する場合は、会社設立や役員変更の登記申請時に制度の利用を検討してみてください。
- 自宅を本店所在地にして株式会社を設立したいが、家族のプライバシーは守りたい
- 女性起業家などで、防犯やストーカー対策を特に重視している
- 創業期の固定費を削るため、バーチャルオフィスやレンタルオフィスの契約を避けたい
- ネット上の企業情報サイトに自宅の番地まで掲載されるのを防ぎたい
ただし、住所非表示にはメリットだけでなく、金融機関での口座開設や融資審査の際に影響が出る可能性(デメリット)も存在します。制度の適用を決定する前に、自社のビジネスモデルや資金調達の計画に照らし合わせ、税理士や司法書士などの専門家に相談して慎重に判断することをおすすめします。

住所非表示制度のデメリットと注意点(知っておくべきリスク)
代表取締役等の住所非表示措置は、自宅を本店所在地にして起業する方にとって、プライバシー保護の観点で非常に魅力的な制度です。しかし、会社としての信用や実務面においていくつかのデメリットや注意点が存在します。
制度を利用する前に、事業運営においてどのようなリスクがあるのかを正しく理解しておくことが重要です。ここでは、特に知っておくべき4つのリスクについて詳しく解説します。
金融機関の融資や不動産取引への影響
会社の信用力を証明する登記簿謄本において、代表者の住所が市区町村までしか確認できないことは、金融機関や取引先にとって懸念材料となる場合があります。特に、法人口座の開設や融資の審査、オフィスの不動産賃貸契約などでは、犯罪収益移転防止法に基づく厳格な本人確認が求められます。
代表取締役 住所非表示を選択している場合、金融機関側が実態把握に時間を要し、審査が長引く可能性が高くなります。場合によっては、事業の実態が不透明と判断され、口座開設や融資が見送られるリスクもゼロではありません。
事業の立ち上げ期において、資金調達や口座開設の遅れは致命的なダメージになることもあります。制度の利用を検討する場合は、あらかじめ取引予定の金融機関に相談しておくことをおすすめします。
| 取引の場面 | 通常の登記(住所表示あり) | 住所非表示措置を利用した場合 |
|---|---|---|
| 法人口座の開設 | 登記簿謄本で代表者住所が確認でき、一般的な日数で審査が進む | 実態確認が厳格化され、審査に通常以上の時間がかかる可能性が高い |
| 金融機関の融資審査 | 代表者の本人確認がスムーズに完了する | 追加の面談や事業実態を証明する資料の提出が求められることがある |
| 不動産の賃貸契約 | 通常の法人契約として審査が行われる | 管理会社や保証会社の審査基準により、契約を慎重に判断される場合がある |
契約時における追加書類の提出負担
会社設立後、新たな取引先と基本契約を結ぶ際や、各種行政手続きを行う際にも実務上の影響が出ます。通常であれば、会社の登記事項証明書(登記簿謄本)と印鑑証明書を提出することで、会社の代表者であることがスムーズに証明されます。
しかし、登記簿上の代表者住所が非表示になっていると、登記事項証明書の記載だけでは、印鑑証明書に記載された人物と同一であるかどうかの照合が難しくなります。そのため、取引先や行政機関から追加の本人確認書類を求められるケースが増加します。
結果として、契約締結までに余分な手間と時間がかかり、スピーディーな事業展開の妨げになる可能性があります。具体的には、以下のような追加対応が求められることが想定されます。
- 代表者個人の「住民票の写し」の提出
- 代表者の運転免許証やマイナンバーカードのコピーの提示
- 会社の印鑑証明書など、本来不要な書類の追加提出
- 取引先が独自に定める本人確認フォーマットへの記入と誓約
過去に登記された住所履歴は遡って消せない
すでに会社を設立し、代表取締役として登記されている経営者がこの制度を利用する場合に、最も注意すべき点です。住所非表示措置は、あくまで「新しく登記される住所」に対して適用される制度です。
制度が適用される「前」にすでに登記されている過去の住所履歴は、非表示にすることができません。そのため、過去の登記簿(閉鎖事項証明書など)を第三者が取得すれば、以前の自宅住所を知られてしまうリスクが残ります。
住所非表示措置は、過去の登記履歴まで遡って住所を隠すことはできません。
自宅を本店所在地にしてすでに登記が完了している場合、後から制度を利用しても完全なプライバシー保護にはならない点に留意してください。
住所を非表示にするためだけの単独申請は不可
この制度は、「代表取締役の住所を非表示にしたい」という理由だけで、いつでも単独で申請できるわけではありません。必ず、特定の登記申請のタイミングに合わせて、同時に申し出る必要があります。
具体的には、会社を新たに設立する際の「設立登記」や、役員の任期満了に伴う「重任登記」、あるいは代表取締役の引っ越しに伴う「住所変更登記」などを行うタイミングに限られます。申請の要件や詳しい手続きのタイミングについては、法務省の代表取締役等住所非表示措置に関する案内も併せて確認してください。
タイミングを逃すと、次の登記の機会まで住所を非表示にすることができなくなってしまいます。会社設立や役員変更の登記手続きは複雑になることもあるため、制度の利用を検討する際は、事前に司法書士などの専門家へ相談し、確実な手続きを進めることを推奨します。

住所非表示措置の登記申請手続きと必要書類
2024年10月1日より開始された代表取締役等住所非表示措置を利用するためには、「住所を非表示にしたい」と単独で申し出ることはできません。特定の登記申請のタイミングに合わせて、必要な書類を揃えて同時に申し出を行う必要があります。
ここでは、具体的にどのようなタイミングで申請が可能になるのか、また非上場企業と上場企業で異なる必要書類について詳しく解説します。手続きに漏れがないよう、事前にしっかりと確認しておきましょう。
申請ができる3つのタイミング
代表取締役 住所非表示の措置は、代表取締役の氏名や住所が新しく登記簿に記載される、以下の3つのタイミングでのみ申請が可能です。過去に登記された住所履歴を遡って非表示にすることはできないため、これから起業する方は最初の設立登記のタイミングが最も重要になります。
- 会社を設立するとき(設立登記)
- 役員が改選されるとき(就任登記・重任登記)
- 代表取締役が引っ越しをしたとき(住所変更登記)
自宅を本店所在地にして会社設立を検討している起業家にとっては、「会社を設立するとき」に同時に申し出を行うことで、設立当初から自宅住所(番地以降)を一般公開せずに済むという大きなメリットがあります。
すでに会社を設立している場合でも、役員の任期満了に伴う重任登記の際や、引っ越しによって代表取締役の住所変更登記を行う際に、併せて非表示措置を申し出ることが可能です。
注意:住所非表示措置の申出は、対象となる登記の申請と「同時」に行う必要があります。後から追加で申し出ることはできないため、登記申請の準備段階で必ず必要書類を揃えておきましょう。
非上場企業の場合の必要書類
日本の会社の大部分を占める非上場企業(スタートアップや中小企業など)が申し出を行う場合、登記申請書に加えて以下の書類を添付する必要があります。
これは、住所を非表示にすることで実態のないペーパーカンパニーが悪用するのを防ぐため、会社の実在性や代表者本人の身元を厳格に確認する目的があります。
| 必要書類 | 具体的な書類の例・概要 |
|---|---|
| 住所非表示の申出書 | 登記申請書と一体化して記載することが可能です。 |
| 1. 本店の実在性を証する書面 | 会社宛ての郵便物の受取書、建物の賃貸借契約書など。 |
| 2. 代表取締役等の住所を証する書面 | 市区町村長が作成した住民票の写しなど。 |
| 3. 実質的支配者の本人特定事項を証する書面 | 株式会社の株主名簿(一定の要件を満たすもの)など。 |
「本店の実在性を証する書面」としては、簡易書留など追跡可能な郵便物の受領証や、本店所在地の不動産に関する賃貸借契約書のコピーなどが該当します。また、「実質的支配者の本人特定事項を証する書面」とは、会社の経営を実質的に支配している人物(多くの場合は主要株主)を特定するための書類であり、株主名簿などを提出します。
これらの書類準備には時間がかかる場合があるため、会社設立や役員変更のスケジュールに合わせて、余裕を持って手配を進めることが重要です。
上場企業の場合の必要書類
上場企業の場合は、金融商品取引法に基づく厳しい監査や情報開示が行われており、会社の実在性や透明性がすでに担保されています。そのため、非上場企業に求められる書類の一部が免除されます。
具体的には、「上場していることを証明する書面」を添付することで、非上場企業で必要となる上記1〜3の書類(本店の実在性を証する書面、住所を証する書面、実質的支配者の本人特定事項を証する書面)の提出は不要となります。
代表取締役等住所非表示措置の詳しい要件や、具体的な申出書の記載方法、最新の添付書面の詳細については、法務省の「代表取締役等住所非表示措置について」の公式案内を必ずご確認ください。
また、ご自身の状況に合わせた確実な手続きを行うためにも、最終的な判断や申請実務については、司法書士などの専門家に相談することを強くお勧めします。

代表取締役の住所非表示制度に関するよくある質問(FAQ)
2024年10月1日より開始された代表取締役等住所非表示措置について、起業家や経営者の方から寄せられる代表的な疑問にお答えします。
自宅を本店所在地として会社設立を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。なお、個別の状況に応じた具体的な手続きについては、司法書士などの専門家へのご相談をおすすめします。
Q1. 合同会社や一般社団法人の代表者は利用できますか?
結論から申し上げますと、合同会社や一般社団法人の代表者は本制度を利用できません。
この制度は、あくまで「株式会社」の代表取締役、代表執行役、代表清算人のみを対象として設計されています。そのため、合同会社の代表社員や、一般社団法人の代表理事などは、従来通り登記簿に自宅住所が原則として記載されることになります。
これから法人化を検討されており、どうしても自宅住所を公開したくない場合は、設立する法人形態を株式会社にすることも一つの選択肢となるでしょう。
Q2. 住所非表示を途中でやめて、元の表示に戻すことはできますか?
はい、一度非表示にした住所を途中で元の表示に戻すことは可能です。
代表取締役の住所非表示措置を利用したものの、金融機関からの融資審査や不動産契約などの実務において不都合が生じた場合、非表示をやめることができます。
手続きとしては、登記申請時に「住所非表示措置を希望しない旨の申出」を行うことで、元の表示に戻すことが可能です。ただし、単独でこの申出のみを行うことはできない点に注意が必要です。代表取締役の重任や住所変更など、何らかの登記申請のタイミングに合わせて申し出る必要があります。
Q3. 登記簿にはどのように記載されますか?
代表取締役の住所非表示措置を利用した場合、登記事項証明書(登記簿謄本)の住所欄には、最小行政区画である「市区町村名」までが記載されます。
例えば、東京都千代田区の場合、番地やマンション名などは省略され、「東京都千代田区」とのみ表示されます。さらに、その下部に「(代表取締役等住所非表示措置)」という注記が付加されます。
これにより、登記簿を閲覧した第三者に対して、詳細な自宅住所を知られるリスクを大幅に軽減できます。
| 項目 | 通常の記載例 | 住所非表示措置を利用した場合 |
|---|---|---|
| 住所欄 | 東京都千代田区〇〇一丁目2番3号 | 東京都千代田区 |
| 注記 | (なし) | (代表取締役等住所非表示措置) |
Q4. 郵送やオンラインでの申請は可能ですか?
はい、郵送やオンラインでの申請にも対応しています。
本制度の申出は、通常の登記申請と同時に行う必要があるため、設立登記や役員変更登記などの申請方法に準じます。管轄の法務局窓口への持参はもちろん、郵送での提出や、法務省の申請用総合ソフト等を用いたオンライン申請も可能です。
特にオンライン申請は、法務局へ出向く手間を省けるため、多忙な起業家にとって便利な選択肢と言えます。ただし、オンライン申請であっても、必要な添付書類の提出が求められるため、事前の準備をしっかりと行いましょう。
- 申請方法(窓口持参・郵送・オンライン)の決定
- 登記申請書と併せて「住所非表示措置の申出書」の作成
- 株式会社の受取証書など、所定の添付書類の準備
- 管轄法務局への提出(オンラインの場合は電子署名等)
詳細な要件や最新の申請手続きについては、必ず法務省の「代表取締役等住所非表示措置について」をご確認いただくか、管轄の法務局および司法書士にご相談ください。
まとめ
2024年10月1日より導入された代表取締役等住所非表示措置は、自宅を本店所在地として起業を検討している方にとって、プライバシー保護や防犯対策として非常に有効な制度です。
近年、自宅兼事務所でスモールビジネスを始める起業家が増加していますが、これまでは登記簿謄本(登記事項証明書)を通じて代表者の自宅住所が誰でも閲覧可能になるという課題がありました。
本制度を活用して市区町村名(最小行政区画)までの表示にとどめることで、個人情報がインターネット上に拡散されるリスクを軽減し、起業に対する心理的なハードルを大きく下げることが期待できます。
一方で、代表取締役 住所非表示を選択することによって、実務上のデメリットや注意点が生じることも十分に理解しておく必要があります。
特に金融機関での法人口座開設や融資審査、不動産契約などの重要な取引においては、代表者の実在性や居住実態の確認が厳格に行われます。
登記簿上で詳細な住所が確認できない場合、審査に通常以上の時間がかかったり、住民票の写しや会社の印鑑証明書といった追加の本人確認書類の提出を求められたりするなど、事務手続きの手間が増加する可能性があります。
| 検討項目 | 具体的な影響と留意点 |
|---|---|
| メリット | プライバシー保護の強化、不審な訪問や迷惑営業の防止、起業の促進 |
| デメリット | 融資審査や法人口座開設への影響、取引時の追加書類提出による事務負担 |
| 制度の制約 | 過去に登記された住所履歴は非表示にできない、非表示のみの単独申請は不可 |
したがって、制度の利用にあたっては、自社の事業内容や今後の資金調達計画を踏まえ、メリットとデメリットを総合的に比較考慮して判断することが求められます。
また、本制度は「住所を隠すためだけ」の単独申請ができず、会社設立時や役員の重任時など、代表取締役の氏名・住所が新しく登記されるタイミングに合わせて申し出る必要がある点に注意が必要です。
これから会社を設立される方は、設立登記の準備段階で制度適用の有無を決定し、スムーズに手続きを進められるよう準備を整えておきましょう。
- 自宅住所を公開することによるプライバシーや防犯上のリスクを評価する
- 事業計画における資金調達(銀行融資など)への影響をあらかじめ想定する
- 取引先との契約手続きで生じる追加の書類手配の手間を許容できるか検討する
- 会社設立時や役員変更時など、登記申請と同時に申し出るタイミングを逃さない
制度の詳細な要件や最新の手続き方法、必要な添付書面については、法務省の「代表取締役等住所非表示措置について」の公式情報も併せてご確認ください。
会社設立時の登記手続きや、本制度を利用すべきかどうかの最終的な判断については、事業の状況によって最適な選択が異なります。手続き上のミスを防ぎ、円滑な会社設立を実現するためにも、登記の専門家である司法書士や、税務・経営に詳しい税理士へ事前にご相談されることをお勧めいたします。
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この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

