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共同創業の株式比率はどう決める?創業者間契約も解説
読了目安時間:約 7分
目次
導入|共同創業の株式比率に一律の正解はない
共同創業の株式比率に一律の正解はなく、出資額だけでなく、経営上の役割や将来の資金調達まで踏まえて決める必要があります。株式比率は単なる利益の分配割合ではなく、会社の意思決定権を左右するためです。
共同創業の株式比率とは、各創業者が会社の株式をどの割合で保有するかを示すものです。「平等だから50対50」「出資額だけで決める」といった決め方では、意見の対立や役割の変化が生じた際に経営が停滞するおそれがあります。
普通株式1株につき1議決権とする株式会社では、50%超、3分の1超、3分の2以上が重要な基準です。普通決議や特別決議への影響が変わるため、比率ごとの権限を理解しておかなければなりません。
株式比率だけでは、創業者同士の対立や一方の退任、株式譲渡などには十分対応できないため、創業者間契約も重要です。この記事では、比率ごとの議決権への影響、50対50のリスク、出資額・貢献度を踏まえた決め方、契約事項、設立前後の進め方を整理します。実際の設計は定款や事業計画によって異なるため、弁護士や司法書士、税理士などへの確認もご検討ください。
共同創業の株式比率で押さえたい議決権の基準
共同創業の株式比率を決める際は、50%超・3分の1超・3分の2以上という議決権の基準を押さえる必要があります。普通株式1株につき1議決権を前提とすると、経営上の決定を主導できる範囲が大きく変わります。
| 議決権割合 | 実務上の位置づけ |
|---|---|
| 50%ちょうど | 普通決議を単独可決できない |
| 50%超 | 普通決議を主導しやすい |
| 3分の1超 | 特別決議を阻止しやすい |
| 3分の2以上 | 特別決議を主導しやすい |
50%超で主導しやすい普通決議とは?
会社法309条1項上、普通決議は原則として、議決権を行使できる株主の議決権の過半数を持つ株主が出席し、出席株主の議決権の過半数で可決します。対象には取締役の選任、役員報酬、剰余金の配当、計算書類の承認などがあります。
50%ちょうどは「過半数」ではないため、単独では可決できません。なお、取締役選任には特則があり、定款や決議事項によって要件が異なる可能性もあるため、個別確認が必要です。
3分の1超・3分の2以上で何が変わる?
特別決議は原則として、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要です。したがって、3分の1を超える議決権を持って反対すれば、定款変更、株式併合、事業譲渡、組織再編、解散、一定の募集株式発行などを阻止しやすくなります。
反対に3分の2以上を保有すれば、普通決議に加えて特別決議も主導しやすくなります。ただし、66%と3分の2は同じではなく、3分の2は約66.67%なので、100議決権なら67議決権以上が必要です。
設立時は持株比率の表示だけでなく、株式数と議決権数を使って計算してください。定足数、種類株式、定款の規定によって結論が変わる場合があるため、最終的には司法書士や弁護士などの専門家へ確認することが重要です。

【読む価値:早見表・計算例】50対50・51対49・67対33では何が変わる?
共同創業の株式比率では、50%超と3分の2以上が重要な境目です。普通株式1株につき1議決権を前提とすると、持株比率により普通決議・特別決議への影響力が変わります。
| 比率 | 多数側の権限 | 少数側の立場 |
|---|---|---|
| 50対50 | 双方が同等 | デッドロックが生じやすい |
| 51対49 | 普通決議を主導しやすい | 特別決議を阻止しやすい |
| 60対40 | 普通決議を主導しやすい | 特別決議を阻止しやすい |
| 67対33 | 特別決議まで主導しやすい | 単独では阻止しにくい |
| 70対30 | 経営支配が明確 | 法定の拒否ライン未満 |
51対49・60対40は日常経営を担う代表者を明確にしつつ、定款変更などの重要事項を共同合意にしたい体制に適します。60対40は、創業者間の貢献度の差も比率に反映しやすいでしょう。
100株を発行すると議決権はどう計算する?
発行株式が100株なら、持株数と比率が一致するため境目を確認しやすくなります。特に66株と67株では、会社法上の特別決議に対する立場が変わります。
| A | B | 議決権への影響 |
|---|---|---|
| 51株 | 49株 | Aが普通決議を主導しやすい |
| 60株 | 40株 | Bが特別決議を阻止しやすい |
| 67株 | 33株 | Aが3分の2以上を確保 |
| 66株 | 34株 | Aは3分の2未満、Bは3分の1超 |
66対34と67対33は、わずか1株の差でも特別決議に対する主導権が変わります。100株以外の場合は整数比だけで判断せず、実際に行使できる議決権数から割合を確認してください。
50対50は対等性を最優先し、重要事項を共同決定したい場合に向く反面、単独で普通決議を成立させにくいため、第三者判断や株式買取条項などのデッドロック対策が必要です。67対33・70対30は経営責任者へ最終決定権を集めやすいため、少数側について契約上の事前同意権などを検討します。
決議要件は定款や出席状況によっても異なります。最終的な比率と保護条項は、設立前に司法書士や弁護士などの専門家へ確認してください。

共同創業の株式比率はどう決める?
共同創業の株式比率は、現金の出資額だけでなく、現在までの実績と将来の役割を数値化して決めます。さらに、増資やストックオプションによる希薄化まで試算することが重要です。
現金の出資額を基準にする
同じ1株当たり払込金額で株式を発行し、出資額に応じて配分する方法です。例えば、Aが700万円、Bが300万円を出資する場合、株式比率を70対30とします。
この方法は計算根拠が明確で、金銭的なリスク負担を反映できます。一方、稼働時間や技術、営業力を評価しにくく、資金を出した人と事業を動かす人の権限が逆転する可能性があります。
現在と将来の貢献度を整理する
共同創業の株式比率を検討するときは、抽象的な熱意ではなく、評価項目と配点を決めて比較します。将来への期待を過大評価せず、予定した貢献が実現しなかった場合の扱いも話し合っておきましょう。
- 現金出資額、勤務形態、創業前の準備期間
- アイデアやビジネスモデルへの貢献
- 技術、ソフトウェア、特許権、顧客開拓実績
- 役職上の責任、今後の稼働時間
- 報酬額や無報酬で働く期間
将来の労働や営業活動そのものを、設立時発行株式の払込みに代えることはできません。技術、ソフトウェア、特許権などを現物出資する場合は、定款への記載や財産価額の調査などが問題になるため、手続要件を専門家へ確認してください。
将来の希薄化まで試算する
投資家への増資により、創業者の持株比率は低下する可能性があります。役員・従業員向けストックオプション、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルからの調達を見込む場合は、資本政策表で調達後の比率を試算しましょう。
経営権を維持したい場合は、必要な資金額と発行株式数を複数のケースで比較します。現物出資や将来の資金調達を含む最終設計は、税理士や司法書士、弁護士などへ相談するのが適切です。

共同創業で50対50にするとどうなる?
共同創業の株式比率を50対50にすると、対等な関係を表現できる一方、意見が割れた際にデッドロック(意思決定の行き詰まり)が起きやすくなります。双方の出資・貢献が同程度の場合や、一方へ権限を集中させたくない場合に選びやすい比率ですが、紛争時への備えが欠かせません。
50対50では何が止まる可能性がある?
双方が株主総会に出席して反対すれば、どちらも過半数を確保できず、普通決議が成立しにくくなります。一方が欠席した場合も、定款に別段の定めがなければ、会社法上の原則的な定足数を満たさない可能性があります。
停止し得る事項には、取締役の選任、役員報酬、利益配当、増資のほか、定款変更、事業譲渡、合併、解散などがあります。必要な決議要件は事項や定款によって異なりますが、対立が長引けば通常業務だけでなく、資金調達や事業再編にも影響しかねません。
代表取締役を決めれば解決する?
一方を代表取締役にしても、株主総会の50対50状態は解消されません。代表取締役としての代表権と株主としての議決権は別であるため、日常の業務執行に関する役割分担と、株主間の最終決定ルールを分けて設計する必要があります。
50対50にする場合はどう備える?
「関係が良いから話し合えば解決できる」とは考えず、関係悪化後にも機能するルールを設立前後の早い段階で合意することが重要です。創業者間契約では、少なくとも次の事項を具体化します。
- 協議を続ける期間と、その間の事業運営方法
- 外部専門家や社外役員から意見を聴く手順
- 営業・技術・財務など分野ごとの最終決定者
- 一方が離脱する場合の株式買取手順と価格の決め方
- 解決できない場合の事業売却や会社清算の手順
契約内容は会社の機関設計や定款とも整合させる必要があります。50対50を採用する前に、デッドロック条項が実際に機能するかを弁護士などの専門家へ確認すると安心です。

創業者間契約には何を盛り込む?
創業者間契約には、役割と意思決定、退任時の株式買取、株式譲渡・追加出資、デッドロック、競業避止、知的財産などを盛り込みます。共同創業の株式比率だけでなく、関係が悪化した場合や一方が事業を離れる場合まで想定して定めることが重要です。
役割分担と重要事項の同意範囲はどう定める?
各創業者の役職・担当領域、最低限の稼働時間、経営目標や成果物、報酬の決定方法を具体化します。「営業全般」のような曖昧な表現を避け、誰が何に責任を負うかを確認できる内容にします。
- 増資・新株発行、多額の借入れ
- 重要な事業の譲渡、役員の選任・解任
- 創業者など関係者との取引
- 会社売却、合併などの組織再編
これらの重要事項については、全員または特定創業者の事前同意を必要とする条項を検討します。同意が必要な金額基準や回答期限も定めると、日常的な意思決定まで停滞する事態を避けやすくなります。
退任・離職時の株式はどう処理する?
早期退任した創業者が多くの株式を持ち続ける問題に備え、買取請求の発生条件、対象株式数、取得価格、フェアバリューの算定方法、支払方法と期限を定めます。円満退任と重大な契約違反による退任とで、条件を分ける方法も検討します。
無償取得や著しく低い価格での取得には法的論点があります。買取価格を一方的に決められる設計は避け、契約締結前に弁護士などへ確認してください。
将来の変化や対立にはどう備える?
第三者への株式譲渡制限、他の創業者の優先買取権、死亡・重病時の取扱い、相続人が株主となる場合の対応を定めます。追加出資の負担割合、応じない創業者の持株比率、将来の資金調達に協力する義務の範囲も明文化します。
意見対立時の協議・調停・株式買取手順を設け、デッドロックの出口を用意します。競合会社への転職や競合事業の開始、反社会的勢力との関係などの重大事由が生じた場合の処理も規定します。
さらに、創業前に作成したソフトウェア、特許、商標、顧客情報の帰属、秘密保持義務、違反時の対応を明確にします。契約内容は定款や会社法との整合性も関わるため、個別事情に応じて弁護士・司法書士・税理士へ相談してください。

株式比率を決めて契約するまでの実務的な進め方
共同創業の株式比率は、役割、出資、貢献度、議決権、将来の希薄化を順番に整理して決めます。合意内容だけでなく検討過程も記録し、契約書、定款、株主名簿などへ一貫して反映することが重要です。
- 役割と責任を言語化する
経営の最終責任者を決め、技術、営業、財務などの担当範囲と意思決定権限を整理します。 - 出資内容を確認する
各創業者が実際に払い込める現金額を確認します。知的財産などを現物出資する場合は、評価方法を含む必要な手続きを事前に調査します。 - 共通基準で貢献度を評価する
稼働時間、過去の貢献、将来負う責任などを同じ項目で点数化し、点数と評価理由を議事録や合意書に残します。 - 複数の比率を試算する
50対50、51対49、60対40、67対33などを比較し、普通決議と特別決議への影響を会社法および定款に照らして確認します。 - 将来の希薄化を反映する
増資やストックオプションの発行を資本政策表に組み込み、資金調達後に各創業者の持株比率が何%になるか試算します。 - 創業者間契約を作成する
退任、死亡、株式譲渡、追加出資、デッドロックの処理を定めます。見直し条項を置くなら、時期、発動条件、比率の算定方法まで具体化します。 - 専門家確認後に締結・反映する
会社設立前後に弁護士、司法書士、税理士の確認を受け、契約を締結したうえで株主名簿や設立書類へ反映します。
「比率は後で見直す」という口約束だけで設立せず、合意の根拠と変更方法を書面に残してください。創業者間契約と定款では効力や拘束される対象が異なるため、どの事項をどちらに定めるかは専門家と検討する必要があります。

共同創業の株式比率に関するよくある質問
共同創業者には必ず株式を渡すべきですか?
共同創業者という名称だけで、株式を付与する義務はありません。役割、継続的な関与、出資額、負担する責任を踏まえて判断します。
株式の代わりに役員報酬やストックオプションを活用する選択肢もあります。一度付与した株式は簡単には回収できないため、退任時の譲渡・買取条件などを付与前に決めておくことが重要です。
51対49なら、51%側がすべて自由に決められますか?
51%側は普通決議を主導しやすい一方、定款変更などの特別決議には、原則として49%側の協力が必要です。また、取締役会、定款、種類株式、創業者間契約によって権限が制限される場合もあります。
したがって、51%は何でも単独で決められる割合ではありません。共同創業の株式比率は、議決権だけでなく会社の機関設計や契約内容と併せて検討する必要があります。
33%あれば特別決議を拒否できますか?
100株中33株は3分の1未満であり、67株側は3分の2以上を保有します。そのため、安全に特別決議を阻止できるラインは、原則として3分の1超と捉えるのが適切です。
総議決権数や端数によって必要株数は変わります。割合の表示だけで判断せず、実際の議決権数で計算してください。
創業者間契約はいつ結ぶべきですか?
株式を発行・取得する前後のできるだけ早い段階が望ましく、理想は関係が良好で利害対立が表面化していない設立前です。設立後も未締結であれば、早めに協議して整備しましょう。
株式比率、退任時の取扱い、意思決定のルールを合意し、書面に残すことが共同経営のトラブル予防につながります。判断に迷う場合は、税理士、司法書士、行政書士、弁護士などの専門家に相談し、定款や契約との整合性まで確認してください。
よくある質問
Q. 共同創業で株式比率を50対50にするのは危険ですか?
50対50は対等性を示せる一方、意見が割れると普通決議が成立しにくく、デッドロックが生じるおそれがあります。採用する場合は、第三者から意見を聴く手順や株式買取、事業売却などの解決方法を創業者間契約で定めておくことが重要です。
Q. 代表取締役を決めれば、50対50のデッドロックは解消できますか?
一方を代表取締役にしても、株主総会における50対50の状態は解消されません。代表権と株主としての議決権は別であるため、日常業務の役割分担と株主間の最終決定ルールを分けて設計する必要があります。
Q. 100株発行する場合、66株と67株では何が違いますか?
67株は議決権の3分の2以上となるため、特別決議を主導しやすくなります。一方、66株は3分の2未満であり、残る34株は3分の1超となるため、特別決議を阻止しやすい立場です。
Q. 将来の労働や営業活動を株式の払込みにできますか?
将来の労働や営業活動そのものを、設立時に発行する株式の払込みに代えることはできません。技術やソフトウェア、特許権などを現物出資する場合は手続上の論点があるため、専門家への確認をご検討ください。
Q. 資金調達をすると創業者の株式比率は下がりますか?
投資家への増資やストックオプションの発行により、創業者の持株比率が低下する可能性があります。資本政策表を作成し、必要な資金額や発行株式数を変えた複数のケースで調達後の比率を試算することが重要です。
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この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

