2025.07.11

夜職の税金ってどうなってるの?キャバ嬢やホステスの納税方法

読了目安時間:約 6分

何らかの収入を得ている人は、収入に応じた税金を支払わなければなりません。それは、キャバ嬢やホステスなど、夜職で働く方も同様です。会社員として働いている場合、会社から支給される給与からは、所得税や住民税などの税金が引かれています。では、夜職で働く方は税金をどのように納めているのでしょうか。

今回は、夜職で働く方と税金の関係、キャバ嬢やホステスの納税方法などについてご説明します。

 

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夜職と税金の関係とは?

キャバ嬢やホステスとして、夜の仕事に就いている方も、所得に応じた税金を納めなければなりません。しかし、夜職の方のほとんどは、個人事業主という形で仕事をしているため、自ら確定申告をし、税金を納める必要があります。

 

夜職は税金の申告漏れが多い業種

ホステスやキャバ嬢などの夜職は、税金を正しく納めていない、申告漏れが多い業種とされています。国税庁では、毎年、税金の申告漏れが多かった業種を公表しており、夜職は申告漏れの多い業種として、毎年のように挙げられています。では、なぜ夜職の申告漏れが多いかというと、夜職には、次にご紹介する2つの働き方があるからだと考えられます。個人事業主として働いている夜職の方は、自ら税金を納めなければならないのです。

 

夜職の2つの働き方

夜職の働き方には、お店の従業員として働くパターンと、お店と業務委託契約を結んで働くパターンの2つに区分できます。

お店の従業員として雇用契約を結んだ場合、お店から給与を受け取りますが、給与からは所得税や住民税などが天引きされます。お店と雇用契約を結ぶ場合は、会社員と同じように、お店側が従業員に代わって納税をしているため、従業員として働く方が税金を納めていないケースはほとんどありません。

また、所得税や住民税などの税金は、1年間の所得額に応じて変わってきます。そのため、お店では1年間の所得額が確定する時期の12月になると年末調整を行い、税金の額を調整し、正しい金額の納税を行う手続きをします。

一方、個人事業主として働いている場合、お店側が年末調整を行うことはありません。お店側は、雇用契約を結んでいない人の年末調整を行う義務はないのです。夜職の方は、個人事業主としてお店と業務委託契約を結んでいるケースがほとんどとなります。そのため、個人事業主の夜職の方の場合、自分で税金を納めなければなりません。

 

従業員と個人事業主の見極め方

お店で仕事をする際に店側と結んだ契約書を見ると、自身の契約形態を確認することができます。雇用契約と書いてある書類の場合、お店の従業員として働いていることになります。従業員の場合、お店から支払われるお金は給与となり、給与からは所得税や住民税が天引きされます。お店との雇用契約の締結方法は、正社員だけではありません。契約社員やアルバイト、パートもお店が直接雇用する際に用いられる働き方です。

お店と結んだ契約書が、業務委託契約と記載されている場合は、お店の従業員ではなく、個人事業主としてお店と契約を結んでいることになります。業務委託契約の場合、複数のお店を掛け持ちして働くことも、勤務日数などを自由に決めることも可能です。また、個人事業主として働く場合、お店から支払われるお金は、給与ではなく、報酬となります。

夜職で働く際に交わした契約書が見当たらないという場合は、お店からお金を受け取る際の明細書を確認してみましょう。従業員として働いている場合は、社会保険料が徴収されていたり、明細書に給与明細と書かれている可能性があります。一方、個人事業主として働いている場合、社会保険料が徴収されることはなく、明細書に給与と記載されていることもないはずです。

 

個人事業主として働いている夜職の税金の納付方法は?

お店と業務委託契約を結んで働いている夜職の方は、個人事業主になります。個人事業主は、一定以上の所得を得ている場合、確定申告をして税金を納める必要があります。また、副業として夜職に就いている場合は、年間20万円以上の所得を得ている際に確定申告が必要です。

 

確定申告とは

確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間に得た所得と税金の額を計算し、納税をする手続きのことです。確定申告は毎年、原則として2月16日から3月15日までの間に行う必要があります。

 

夜職の確定申告のポイント

確定申告では、所得額を算出します。なぜなら、所得税は、所得額に応じて課される税金だからです。所得額とは、収入から仕事のためにかかった費用を差し引くことで算出します。そのため、個人事業主として働くキャバ嬢やホステスの方は、仕事のために発生した支出を経費として収入から差し引くことが可能です。具体的には、次のような支出であれば、夜職の経費として認められます。

・仕事用の衣装代

・お客様へのプレゼント代

・営業用のスマートフォンの代金

・ヘアメイクの代金

・お店までの交通費

収入から必要経費を差し引くと、税金の課税対象となる所得額が低くなるため、負担する税金の額も抑えられます。そのため、夜職の人が確定申告をする際には、仕事のために使った支出を、確定申告の際に漏らさずに計上することが重要になります。

 

夜職が確定申告をする際に必要な書類

確定申告をする際には、確定申告書を作成しなければなりませんが、確定申告書を作る際には次のような書類の準備が必要です。

 

キャバ嬢やホステスの収入額がわかる書類や源泉徴収票

お店から受け取った報酬の明細書や報酬が振り込まれた預金通帳など、1年間の収入を算出できる書類の準備が必要です。

源泉徴収とは、給与や報酬を支払う際に、事業者があらかじめ所得税や復興所得税を差し引き、事業者から国に納税することです。ホステスやキャバ嬢に報酬を支払うときは、所得税と復興特別所得税を報酬から天引きしなければならないというルールがあります。そのため、個人事業主として働いている方に支払われる報酬からも、所得税と復興特別所得税が源泉徴収されている場合があります。

夜職の方の中には、源泉徴収がなされているため、税金を支払っているから確定申告をしなくても良いのではと思う方もいらっしゃるようです。しかし、ホステスやキャバ嬢の源泉徴収額の計算方法と所得税の計算方法は違いがあります。そのため、源泉徴収額だけでは、納めるべき税金が不足する場合や必要以上に税金を納め過ぎている場合がでてきます。したがって源泉徴収がなされている夜職の方が確定申告をする際には、源泉徴収額が記載された源泉徴収票などを準備する必要があります。

 

経費を証明できる領収書やレシート

確定申告の際には、仕事のために必要になった支出を収入から差し引くことができます。所得税や復興所得税は、所得額に課せられる税金であるため、収入から経費を差し引けば、課税対象となる所得額が低くなり、節税効果を得られます。

しかしながら、仕事のために使ったお金を経費として収入から差し引くためには、支出を証明できる領収書やレシートが必要です。領収書やレシートがなければ、経費として計上できる金額が正しい額であるかを証明することができません。また、そもそもその支出が発生したのかを証明できないため、税務調査時には経費として認められない可能性がでてきます。

所得は、収入から経費を差し引くことで算出します。そのため、納税者の中には、経費を不正に多く計上し、収入額を圧縮することで納税額を低く見せかけるケースがあるのです。したがって、領収書やレシートのない支出は、原則として、経費として計上することはできません。

確定申告で経費を漏れなく計上するためにも、仕事のためにかかった費用の領収書やレシートはしっかり保管しておくようにしましょう。

 

副業で夜職に就いている人は源泉徴収票

昼間は会社員として働き、夜にキャバ嬢やホステスとして働いている方は、昼間の所得と夜職の所得を合わせて納税額を算出します。そのため、昼間の仕事の所得額がわかる源泉徴収票の準備が必要です。

 

生命保険料や損害保険料、社会保険料の控除証明書

生命保険や損害保険に加入し、保険料を支払っている場合、所得額から一定額を差し引ける制度があります。また、健康保険や国民年金などの保険料も、社会保険料控除の対象です。保険料に応じた金額を所得額から差し引くと、所得額が圧縮されます。節税効果を得られるため、保険会社や行政から発行される控除証明書の準備も忘れずに行いましょう。

 

夜職が税金を納めていないとどうなる?

個人事業主として夜職に就いている人の場合、自ら確定申告をしなければ、税金を納めていない状態となります。では、夜職の人が税金を納めていない場合、どのようなことが起きるのでしょうか。

 

無申告加算税の納税が求められる

税務調査とは、納税の義務がある人が正しく税金を納めているかをチェックする税務署による調査です。税務調査の際には、調査官が自宅などを訪れ、お店から受け取っていた報酬額などを調べます。報酬の額から納めるべき税金を計算し、不足分の税金の納税が求められますが、この際、確定申告をしなかったことのペナルティとして、無申告加算税も課される点に注意が必要です。

無申告加算税の税率は、税額が50万円以下の部分については15%、50万円を超え300万円以下の部分については20%、300万円超の部分については30%となっています。

 

延滞税が課される可能性もある

延滞税とは、期限までに税金を納めていない場合に課せられる税金です。夜職が確定申告をしていない場合、納税の期限までに税金を納めていないことになるため、無申告加算税だけでなく、延滞税も課される恐れがあります。

延滞税は、税金の納付期限の翌日から完納するまで、日割りで計算されるという特徴があります。納めていない税金の額が高く、未納の期間が長くなるほど、延滞税の額は高くなる点に注意が必要です。

 

脱税の疑いで告発される恐れがある

夜職でも確定申告をして、税金を納める必要があることを理解していながら、確定申告を怠り、納税してこなかった場合、無申告加算税よりさらに税率の重い重加算税が課されます。無申告加算税に代わって重加算税が課される場合の税率は、40%です。

さらに、多額の所得を得ていたにも関わらず確定申告を行わなかった場合、所得を隠蔽したとみなされます。その場合、税務調査ではなく、国税調査官による査察調査が実施され、検察に脱税の疑いで告発される恐れもあります。検察では、告発を受けると、脱税の容疑で取り調べを行い、脱税の証拠を押さえると裁判所に起訴し、刑事事件として裁判が実施されることになるのです。

ホステスやキャバ嬢が税金を納めていなかった場合、所得税法違反に問われます。裁判によって有罪が確定すると、1,000万円以下の罰金、10年以下の懲役、またはその両方が科せられます。さらに、有罪が確定した場合、前科が付くことも忘れてはいけません。

 

税金を納めていない夜職は早めに自主的な期限後申告を!

確定申告の必要性に気が付いていなかったという場合、重加算税が課される恐れはありませんが、その場合でも、税金を納めるという国民の義務を怠ったため、無申告加算税は課されます。不足分の税額と無申告加算税、延滞税をプラスした金額の税金を納めるとなると、その額は高額になる可能性もあるでしょう。

しかし、税務調査で指摘を受ける前に納税者が自ら期限後申告を行うと、無申告加算税の負担を軽減できます。税務調査の実施前には税務署から、事前通知と呼ばれる連絡が入り、税務調査に入る旨の通知が行われます。事前通知を受ける前に、自主的に期限後申告を行うと、無申告加算税の税率は、納税額に関わらず、一律5%に軽減されるのです。

無申告加算税の税率は、納税額が50万円以下の部分は15%、50万円超300万円以下の部分は20%、300万円超の部分は30%であるとご紹介しました。この税率がすべて5%に軽減されるとなると、加算税のリスクを大きく軽減できます。

夜職として働いてきたけれど、確定申告をしてこなかったという方は税務調査が入る前に期限後申告を行うようにしましょう。確定申告のやり方がわからない、報酬の明細などを保管していないという場合は、税理士への相談をおすすめします。

 

まとめ

キャバ嬢やホステスとして働く夜職の方の多くは、個人事業主としてお店と業務委託契約を結び、働いています。個人事業主の場合、お店が源泉徴収を行うケースはあるものの、確定申告をしなければ1年間の所得に対する正しい額の税金を納めることができません。

確定申告をせず、税金を納めなかった場合、無申告加算税や重加算税などを課される恐れがあり、本来よりも多額の納税が求められる可能性があります。また、多額の所得を得ているにも関わらず確定申告をしていなかった場合、脱税罪に問われる恐れもあるのです。

税金の未納リスクを最小限に抑えるためにも、これまで税金を納めてこなかった方は早めに期限後申告を行うようにしましょう。

 

 

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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計5,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。

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