2025.09.1

確定申告の仕方が全くわからない人でも大丈夫!手続き方法を徹底解説

読了目安時間:約 7分

確定申告は、1年間の所得を計算し、所得にかかる税金を算出して申告・納税をする一連の手続きのことです。会社員の場合、原則として確定申告は不要ですが、副業で所得を得ている方は確定申告をしなければなりません。また、個人事業主として事業を営んでいる人も確定申告が必要です。

しかしながら、副業を始めたばかりの方や事業を開始してすぐの方などは、確定申告のやり方や流れが全くわからないというケースは少なくありません。

そこで今回は、確定申告の仕方が全くわからないという方でも確定申告の手続き方法を把握できるよう、確定申告の流れについてわかりやすくご説明します。

 

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確定申告とは

では早速、確定申告の基本から確認していきましょう。

 

確定申告は所得税の納税手続きのこと

確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年の間に生じた所得を計算し、所得にかかる税金の算出・納税をする手続きのことです。個人事業主の場合は、確定申告によって所得税の納税を行います。また、源泉徴収をされている人や予定納税額がある人は、確定申告によって年間の所得額に課される所得税との過不足を精算します。さらに、会社員の方は年末調整では適用できない控除を受けたい場合や副業をしている場合に、確定申告が必要です。

 

確定申告が必要な理由

確定申告が必要な理由は、所得税には申告納税制度が採用されているからです。会社員の場合は毎月の給与から所得税が天引きされ、個人に代わって会社が納税をしています。しかし、個人事業主の場合や会社員でも副業分の収入がある場合、得た所得から税金が引かれることはありません。そのため納税者が自ら税額を申告し、納税をしなければならないのです。

 

確定申告が必要になる人は?

納税は国民の義務ですが、全員が確定申告をしなければならないわけではありません。確定申告が必要になる人を会社員の場合と会社員以外の場合に分けてご説明します。

 

会社員で確定申告が必要な人

会社員の方は、次のいずれかに当てはまる場合に確定申告が必要です。

 

・年収が2,000万円以上である

・副業で年間20万円以上の所得を得ている

・年末調整を受けていない

 

給与収入が2,000万円を超える場合は、年末調整の対象外となるため、確定申告が必要になります。また、本業で源泉徴収を受けている人でも、副業などで本業以外に20万円以上の所得を得ている人は、確定申告をし、副業の所得にかかる税金の納税をしなければなりません。さらに、年末調整を受けていない人は、所得税の額を確定するため、確定申告が必要です。

 

会社員以外で確定申告が必要な人

会社員以外の個人事業主やフリーランスの人、公的年金を受給している人は、以下のいずれかに該当する場合、確定申告が必要です。

 

・個人事業主で年間95万円以上の所得がある

・不動産所得や株取引などで年間95万円以上の所得がある

・一定額以上の公的年金を受給している

 

個人事業主やフリーランスとして活動し、年間95万円以上の所得を得ている場合、課税所得が発生するため、確定申告をしなければなりません。また、公的年金の収入額が400万円を超えている人、公的年金が400万円以下でも年金以外に20万円以上の所得がある人は確定申告が必要です。

 

確定申告によって還付を受けられるケース

確定申告は、所得税額を確定し、正しい額を納税するために必要な手続きです。そのため、確定申告をしなければならない義務があるわけではないものの、確定申告をすることで、納税額が還付されるケースもあります。次のようなケースに該当する場合は、納め過ぎた税金が還付される可能性もあるため、確定申告をした方がよいでしょう。

 

・1年間の世帯全体の医療費が10万円以上になった

・住宅ローン控除の適用対象となっている

・ふるさと納税のワンストップ特例を申請していない

・ふるさと納税をした自治体が6ヶ所以上にのぼる

・災害や盗難、横領で生活に必要な資産を失った

・年の途中で退職し、年内に再就職をしていない

・退職所得の受給に関する申告書を提出していない

 

確定申告の手続きの流れ

確定申告が必要な人または確定申告をした方がよい人の中にも、初めて確定申告をするため、手続きが全くわからないという方もいらっしゃるでしょう。ここでは、確定申告の手続きの流れを順にご説明します。

 

1.青色申告をするか白色申告をするか決定する

確定申告には、青色申告と白色申告の2つの申告方法があります。青色申告は、最大65万円の青色申告特別控除を受けられたり、赤字の繰り越しができるといった節税メリットを得られます。しかしながら、青色申告が認められるのは事業所得、不動産所得、山林所得の3つに限定され、複式簿記での記帳が必要になります。さらに、青色申告での申請を希望する場合には、税務署に青色申告承認申請書を提出しなければなりません。

一方、白色申告の場合、節税メリットはないものの、簡易的な記帳方法である単式簿記での記帳が認められており、決算書を作成する必要もありません。また、税務署への届出も不要です。

会社員の方で控除を受けるために確定申告をする場合や副業の所得が少ない場合、個人事業主でも事業所得が少ない場合などは、手間がかからない白色申告を選択した方がよいでしょう。しかし、長く事業を営む予定がある場合やある程度の所得を得ている個人事業主の方は、手間はかかるものの、青色申告を選択すると、節税や赤字の繰り越しといった点でメリットを得られます。自身の状況に合わせて最適な申告方法を選ぶようにしましょう。

 

2.確定申告書の作成方法を決定する

確定申告書の作成方法には、以下の4つの方法があります。

・国税庁の確定申告書作成コーナーを利用して作成する

・確定申告ソフトを利用する

・手書きで申告書を作成する

・税理士に申告書の作成を依頼する

 

国税庁の確定申告書作成コーナーを利用して作成する

確定申告書作成コーナーとは、画面の指示に従い、必要事項を入力するだけで確定申告書の作成ができる国税庁のWebサイトです。無料で利用でき、必要箇所を入力していくと、自動的に所得金額や税額などが計算され、簡単に確定申告書を作成することができます。

しかしながら、帳簿については自分で作成しなければなりません。

 

確定申告ソフトを利用する

確定申告ソフトを活用し、確定申告書を作成することも可能です。確定申告ソフトは帳簿や決算書の作成もできるため、確定申告が全くわからないという方でも使いやすく設計されています。ただし、機能が揃った確定申告ソフトは利用料がかかる場合があります。

 

手書きで申告書を作成する

確定申告書を税務署から入手するか、国税庁のWebサイトからダウンロードし、手書きで作成することも可能です。ただし、Web上で作成する場合に比べ、所得額や税額が自動で計算されることはないため、計算ミスが生じる恐れや作業に手間がかかる可能性があります。

 

税理士に申告書の作成を依頼する

確定申告を自分で行うことに不安がある場合や申告内容が複雑な場合などは、税理士に確定申告の作成を依頼することも可能です。正しく申告を行うことができ、節税などのアドバイスを受けられるといったメリットがあるものの、税理士報酬の負担が発生します。お金はかかっても手間なく、正しく申告を行いたいという方は税理士への相談を検討してみてもよいでしょう。

 

3.書類の準備を進める

確定申告書を作成するにあたっては、必要事項の入力や記入をしなければならず、以下のような書類の準備が必要です。

 

・確定申告書

・マイナンバー

・源泉徴収票(給与所得者の場合)

・領収書やレシート、請求書、帳簿など

・所得額がわかる書類(青色申告決算書、収支内訳書)

・医療費控除の明細書

・寄付金受領書

・金融機関の口座番号(還付を受ける場合)

 

個人事業主の方が確定申告書を作成する際には、収入の額を示すため、青色申告をする人は青色申告決算書、白色申告をする人は収支内訳書の提出が必要です。これらの書類は、1年間の収入と必要経費をまとめた書類であり、確定申告書作成コーナーや確定申告ソフトを利用する場合、青色申告決算書や収支内訳書も同時に作成することができます。ただし、確定申告書作成コーナーを使う場合や手書きで作成する場合、売上金額や売上原価、経費など、それぞれの項目の合計額を入力する必要があるため、こまめに売上や必要経費はまとめておいた方がよいでしょう。

 

4.確定申告書を作成する

確定申告書を作成する際は、まず、青色申告決算書または収支内訳書の作成が必要です。領収書や請求書などをもとに、売上や経費から1年間の所得額を計算し、その額を収支内訳書や青色申告決算書に記載します。給与所得者の場合は、源泉徴収票の額を記載すれば問題ありません。また、医療費控除の申請をする際には医療費控除の明細書が必要です。

収支内訳書や青色申告決算書、源泉徴収票などの情報をもとに、確定申告書の第二表、第一表を作成していきます。

 

5.確定申告書を提出する

確定申告書を作成し終えたら、税務署に申告書を提出します。確定申告書の提出期間は、毎年、2月16日~3月15日までです。ただし、申告期間の開始日や終了日が土日祝日にあたる場合は、翌平日に変更となります。提出には、次の4つの方法があります。

 

・e-Taxで電子申告をする

・税務署の窓口に持参し、提出する

・税務署に郵送する

・税務署の時間外収集箱に投函する

 

確定申告書作成コーナーや確定申告ソフトを使用した場合、e-Taxによって、電子申告を行うことができます。税務署に足を運ぶことなく、完成後、時間を選ばずにすぐに提出できるため、便利な提出方法です。税務署でもe-Taxによる申告を推奨しており、e-Taxによる申告の場合、青色申告特別控除を適用できる額も最大額である65万円に引き上げられています。

ただし、e-Taxを利用するためにはマイナンバーカードとマイナンバーカードの読み取りができるICカードリーダライタやスマートフォンが必要です。また、マイナンバーカードを取得していない場合には、利用者識別番号と電子証明書を事前に取得しておかなければなりません。

 

また、確定申告書類は信書に該当します。そのため、確定申告書は郵便物または信書便として郵送しなければなりません。宅配便やメール便などでの送付は認められていない点に注意が必要です。郵送する場合、消印に記載されている日付が申告期限内でなければなりません。申告期限当日にポストに投函しても、集荷が翌日となり、消印も翌日になると提出期限に遅れたとみなされる可能性があります。郵送する際には、必ず、期限最終日の消印に間に合うように提出することが大切です。

 

6.税金の納付をする、または還付を受ける

確定申告書を作成し、納税額が決定した場合、確定申告の期限最終日までに税金の納付が必要です。納付方法は、税務署や金融機関などで現金で納付する方法、インターネットバンキングやクレジットカードで納付する方法、事前に届出をした預金口座からの振替で納付する方法などがあります。そのほか、電子マネーでの支払いも可能です。

還付金が発生する場合は、預金口座や公金受け取り口座で受け取ることができます。また、ゆうちょ銀行や郵便局で受け取ることも可能です。還付金の入金までは1~2ヶ月程度の時間がかかりますが、e-Taxで申請した場合は比較的早く入金が行われます。

 

7.書類を保存する

確定申告に関連する書類には保管義務があります。保存期間は、対象の書類や申告の方法によって変わってきますが、青色申告の場合は原則として帳簿を7年間保存しなければなりません。また、白色申告の場合、法定帳簿は7年、任意帳簿は5年の保存が必要です。

そのほか、領収書、請求書など、確定申告に関係するその他の書類も併せて保存しておかなければなりません。

 

確定申告書の作成方法が全くわからないときは?

確定申告書の作成方法がわからず、不安に思う場合には、次のような場所で相談することも可能です。

・税務署

・自治体の相談窓口

・税理士

確定申告書の作成方法などがわからない場合、電話などで税務署に相談することができます。また、確定申告期間には、自治体が相談窓口を設置し、確定申告についての相談に応じているケースもあります。

税務署や自治体に相談しても確定申告書の作成に不安がある場合は、税理士へ相談し、確定申告書の作成を依頼してみるとよいでしょう。

 

まとめ

確定申告の仕方が全くわからないからといって、確定申告の必要があるにもかかわらず、確定申告をせず、納税しなかった場合、税務調査の対象となり、ペナルティを科される恐れがあります。また、確定申告をする義務はないものの、確定申告のやり方がわからないからと、確定申告をせず、控除の適用をしなかった場合には、税金の還付を受けることができません。

初めての場合、確定申告は複雑な処理が必要なように感じるかもしれません。しかし、控除の申請をする場合や少額の取引のみが発生している場合などは、それほど手間をかけずに確定申告書を作成することが可能です。また、確定申告ソフトを活用すれば、より簡単に書類の作成ができるでしょう。複雑な処理が必要になる場合や手間をかけずに申告を終わらせたい場合は、税理士に依頼することも可能です。自身の状況に合わせ、自分に合った方法で確定申告を行うようにしましょう。

 


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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

登録者16万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在14名常駐。
国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。
なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。

税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。

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