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税務調査に入られる確率が高い個人事業主の所得はいくらからなの?

読了目安時間:約 13分

「個人事業主は税務調査に入られる確率が少ない」と耳にすることがあります。裏を返せば、個人事業主でも税務調査がやって来る可能性はゼロではないということです。実際、特定の条件や傾向に当てはまる場合、税務調査の対象になりやすくなる傾向にあります。

ここでは、所得がいくらになれば個人事業主でも税務調査を受ける確率が高まるのか、また税務調査に入られやすい個人事業主の特徴、税務調査に入られたときの流れなどについて解説しています。

すでに税務調査が入っている個人事業主の方は、いますぐ税理士法人松本までご相談ください。

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税務調査とは

税務調査とは、税務署などが納税者の申告内容に誤りがないか、税金が正しく計算・納付されているかを確認する調査です。個人に対する税務調査について、「売上や所得がいくら以上なら対象になる」という一律の基準は公表されていません。

税務調査は、大きく「任意調査」と「強制調査」に分けられます。ただし、事前通知のない調査がすべて強制調査に当たるわけではなく、任意調査でも一定の場合には事前通知なしで実施されることがあります。

個人の税務調査はいくらから行われる?

個人の税務調査には、売上・所得・申告漏れの金額について「いくらから」という明確な基準はありません。金額だけで税務調査の対象になるかどうかを判断することはできず、売上や所得が少ない場合でも調査対象になる可能性があります。

反対に、売上や所得が一定額を超えたからといって、必ず税務調査が行われるわけでもありません。税務署から連絡が来た場合は、金額の大小だけで判断せず、対象となる税目や期間、準備を求められている帳簿・書類などを確認することが重要です。

任意調査

一般的な税務調査の多くは「任意調査」です。通常は事前通知が行われ、調査日時や場所などを調整したうえで実施されます。

事前通知は書面に限らず、税務署から納税者または税務代理を依頼している税理士への電話などで行われることがあります。通知を受けた日程で対応することが難しい場合は、正当な理由を伝えたうえで日程を調整します。

ただし、現金を取り扱う事業者など、事前に知らせることで正確な事実確認が難しくなると判断された場合には、任意調査であっても事前通知なしで調査が行われることがあります。突然調査官が訪れた場合も、身分証明書の提示を求め、調査の対象や目的を確認したうえで対応することが大切です。

「任意」という名称でも、税務調査を自由に拒否できるという意味ではありません。質問検査権に基づく質問に正当な理由なく答えない、虚偽の回答をする、帳簿書類の検査を拒むといった行為には、国税通則法により1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が定められています。そのため、任意調査の連絡を受けた際は、税理士とも連携しながら必要な帳簿や資料を準備し、適切に対応しましょう。

根拠法令:国税通則法第128条

当事務所に寄せられるご相談の傾向として、追徴税額そのものよりも「確定した税金を払えるかどうか」への不安が大きい方が少なくありません。調査で追加の税額が生じた場合でも、納付に関する相談を含め、税額確定後に検討できる対応があります。

強制調査

「強制調査」は、悪質で重大な脱税が疑われる場合に、裁判官の許可状に基づいて強制的に行われる調査です。一般的な個人事業主などに行われる任意調査とは、目的や手続きが異なります。

強制調査は、国税局の査察部などが脱税事件として刑事責任を追及するために実施するもので、通常は事前通知がありません。査察官は捜索差押許可状に基づいて事務所や自宅などを捜索し、必要に応じて帳簿、書類、パソコン、スマートフォンなどを差し押さえます。

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個人事業主へ実施される税務調査の割合

個人事業主への税務調査の割合は、申告件数全体から見ると1%前後とされています。ただし、すべての事業者が同じ確率で調査対象になるわけではなく、売上や所得が「いくらから」であれば調査されるという一律の金額基準も、この割合からは判断できません。

毎年公表される申告件数や税務調査等の件数をもとに、法人と個人事業主への税務調査の実態を確認していきます。

国税庁では法人の4%程度の法人に税務調査を実施

令和5事務年度の法人税等に関する調査・簡易な接触の件数を、法人税の申告件数と単純に比較すると、約4%に相当します。ただし、簡易な接触を含む数値であるため、約4%のすべてが実地調査を受けたという意味ではありません。

国税庁は、法人税の申告件数や、法人税・消費税に関する実地調査、文書・電話による簡易な接触などの件数を毎年公表しています。

令和5事務年度は、法人税や消費税に関する実地調査と簡易な接触を合わせて約12万9,000件でした。これに対し、同年度の法人税の申告件数は約318万件であるため、両者を単純に比較すると約4%となります。

もっとも、この数値は法人全体のおおまかな状況を確認するためのものです。実地調査と簡易な接触では確認の方法や範囲が異なるため、税務署の職員が事業所を訪れる税務調査の確率として、そのまま受け取らないよう注意が必要です。

参照元:国税庁「令和5事務年度 法人税等の申告(課税)事績の概要」「令和5事務年度 法人税等の調査事績の概要」

個人事業主への税務調査の割合は?

個人事業主が主な対象となる申告所得税等の実調率は0.8%とされており、おおむね1%前後です。ただし、これは申告者全体を基礎にした割合であり、個々の事業者に税務調査が入る確率を直接示すものではありません。

1%前後という数字だけを見ると、税務調査を受ける可能性は低いように感じられるかもしれません。しかし、税務署は申告者の中から調査の必要性を検討して対象を選定するため、すべての個人事業主が一律に約1%の確率で選ばれるわけではありません。

また、「売上が1,000万円を超えたら」「所得がいくら以上なら」といった一つの金額だけで、税務調査の有無を判断することはできません。公表されている実調率は全体の割合を示すものであり、税務調査が始まる売上・所得・利益の一律の基準額を示したものではないためです。

従来は、この約1%という割合をテレアポの成功率などと比較して説明されることもありました。テレアポでは初心者から中級者の成功率が0.1~2%程度といわれることがあり、身近に感じにくい割合でも、実際に起こり得ることを示す例として用いられていました。

なお、0.8%という数値は、申告された所得税等に対する実地調査の割合です。申告自体をしていない無申告者への調査や、文書・電話などによる簡易な接触は、同じ割合だけでは把握できません。そのため、税務署から何らかの確認を受ける可能性まで含めると、実調率だけで全体像を判断することはできません。

税務署では特定の事業者をマークしている

税務署は、すべての申告者を同じように調査するのではなく、申告内容などを踏まえて調査対象を選定しています。そのため、「個人事業主全体では約1%」という数字よりも、自身の申告内容を正確に確認することが重要です。

令和5年分の申告所得税の申告件数は約2,324万件です。一方で、税務署の職員や調査を担当する職員の数には限りがあるため、すべての申告について同じ範囲・深さの調査を実施することは困難です。

そのため、一定の情報や申告内容をもとに対象を選定し、必要に応じて詳しい確認や税務調査を行っていると考えるのが現実的です。ただし、対象を選定する具体的な基準が一律に公表されているわけではなく、特定の売上額や所得額を下回れば調査されないとは限りません。

税務署から連絡が来た場合は、金額の大小だけで判断せず、対象となる税目や年度、求められている帳簿・請求書などを確認する必要があります。事前に申告内容と保存資料を照合しておくことで、確認すべき点を整理しやすくなります。

参照元:国税庁「令和5年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について」

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個人に税務調査がくる理由

個人に税務調査がくる理由は、申告した所得や税額に確認すべき点がある場合や、本来必要な申告が行われていない可能性がある場合です。税務調査に「所得がいくら以上なら必ずくる」という一律の基準はなく、個人事業主だけでなく、副業をしている会社員や相続を受けた方も対象になり得ます。

個人への税務調査はいくらからくる?

税務調査は、売上や所得が一定金額を超えたことだけを理由に行われるものではありません。そのため、「年収や所得がいくら以下なら税務調査はこない」と判断することはできません。

税務調査の対象となるかどうかは、申告内容と税務署が把握している情報との違い、売上や経費の変動、無申告の可能性などを踏まえて判断されます。所得が少額でも申告漏れが疑われれば確認を受ける可能性があり、反対に所得が多いという理由だけで必ず税務調査が行われるわけでもありません。

個人事業主が税務調査の対象になる理由

個人事業主は、自ら売上や経費を集計して所得を申告するため、申告内容の確認を目的として税務調査を受けることがあります。確定申告が必要かどうかは、年間の売上ではなく、売上から必要経費を差し引いた所得や所得控除などを踏まえて判断します。

年間所得が基礎控除などの所得控除を上回る場合や、青色申告特別控除の適用を受ける場合などには、確定申告が必要になることがあります。売上の計上漏れ、私的な支出の経費計上、帳簿や領収書との不一致などがあれば、税務署から内容の確認を受ける可能性があります。

副業所得が20万円を超えている

年末調整を受けている会社員でも、副業による所得が年間20万円を超える場合は、原則として所得税の確定申告が必要です。ここでいう20万円は副業の「収入」ではなく、基本的には収入から必要経費を差し引いた「所得」で判断します。

会社員は勤務先で年末調整を受けますが、それによって副業を含むすべての所得の申告が完了するとは限りません。次のような取引から所得が生じている場合も、申告の要否を確認する必要があります。

  • フリマアプリやインターネットオークションを利用した継続的な販売・転売
  • ブログ、動画配信、SNSなどによる広告・報酬収入
  • 業務委託やアルバイトなどによる副業収入
  • 暗号資産(仮想通貨)などの取引による所得

フリマアプリでの売上がすべて課税対象になるわけではなく、取引の内容や利益の有無によって扱いが異なります。一方、継続的な転売などで利益を得ているにもかかわらず申告していない場合は、税務署から確認を受ける可能性があります。

当事務所に寄せられるご相談の傾向として、フリマ・転売・配信・投資などのネット取引による所得が税務署に把握されるのか、不安を感じている方が増えています。取引履歴や入出金記録が残る取引ほど、収入と必要経費を整理し、申告が必要かどうかを早めに確認することが大切です。

相続税の申告が必要なのに申告していない

相続した財産の課税価格が相続税の基礎控除額を超える場合は、相続税の申告が必要になる可能性があります。申告が必要であるにもかかわらず無申告のままになっていると、個人でも税務調査の対象となることがあります。

相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。ただし、相続税の申告義務は、預貯金や不動産などの相続財産だけでなく、債務、葬式費用、生前贈与なども含めて計算した課税価格を基に判断します。

相続財産の全体を把握できていない場合や、不動産・非上場株式など評価が必要な財産がある場合は、基礎控除額を超えるかどうかを単純な預金残高だけで判断できません。申告の要否が分からないときは、財産と債務の資料を整理したうえで税理士へ確認することが重要です。

個人事業主以外の個人にも税務調査がくる可能性はあります。申告していない所得や相続財産に心当たりがある場合は、税務署から連絡が来る前に申告の要否を確認し、必要に応じて期限後申告や修正申告を検討しましょう。

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税務調査の対象となりやすい個人事業主の特徴

税務調査には「売上や所得がいくらから対象になる」という一律の基準はありません。売上規模だけでなく、申告内容の不自然な変動、事業の成長、取引形態、無申告の有無などを総合的に見て対象が選ばれると考えられます。以下では、税務調査の対象となりやすい個人事業主の特徴を紹介します。

税務調査は個人の売上・所得がいくらから行われるのか

個人事業主に対する税務調査は、売上や所得が一定額を超えたら必ず行われるものではありません。反対に、売上や所得が少なければ税務調査を受けないとも限らないため、金額だけで判断しないことが大切です。

税務署は、提出された申告書だけでなく、過去の申告との比較や取引先から得た情報なども踏まえて確認します。売上の計上漏れや私的支出の経費計上などが疑われる場合には、事業規模にかかわらず確認の対象となる可能性があります。

起業・開業後3年以上が経過している

起業や開業から数年が経過し、複数年分の申告内容が蓄積されている個人事業主は、税務調査の対象となる可能性があります。年度ごとの売上や経費の変化を比較できるようになるためです。

事業を続けるなかで会計処理への慣れや気の緩みが生じていないか、誤った処理を継続していないかといった点が確認されることがあります。また、税務調査では複数年分の帳簿や申告内容を確認される場合があるため、過去の処理も整理しておく必要があります。

もちろん、開業から3年が経過する前に税務調査が行われるケースもあれば、10年以上にわたって調査の対象とならないケースもあります。開業後3年が一律の基準ではありませんが、数年が経過した段階で過去の申告書や帳簿、請求書などを改めて確認しておくとよいでしょう。

売上高が1,000万円を超える

売上高が1,000万円を超えたことだけで、直ちに税務調査の対象になるわけではありません。ただし、1,000万円という金額は消費税の納税義務の判定に関係するため、所得税だけでなく消費税の申告や処理にも注意が必要になります。

消費税の納税義務は、単純にその年の売上高だけで決まるとは限りません。そのため、「売上が1,000万円を超えた年から必ず消費税を納める」と自己判断せず、自身が課税事業者に該当するかを確認することが重要です。

また、売上高が毎年1,000万円をわずかに下回っている場合には、売上の計上時期や計上漏れがないかを確認される可能性があります。所得税についても「売上高1,000万円以上から課税される」という意味ではなく、収入から必要経費などを差し引いて所得を計算します。

海外投資やシェアリングエコノミーに関連する売り上げが多い

海外取引やシェアリングエコノミーに関する収入が多い個人事業主は、適正に申告しているかを確認される可能性があります。取引の仕組みが複雑になりやすく、収入の計上や消費税の処理に誤りが生じることがあるためです。

海外との取引は、従来の輸出入や不動産投資に限られません。オンラインサービスの普及により、さまざまな業種で海外企業や海外のプラットフォームを介した取引が行われています。

民泊事業やデリバリー業務などで海外企業との金銭のやり取りがある場合や、暗号資産の取引によって大きな利益が生じた場合には、収入や利益が適切に申告されているかを確認されることがあります。シェアリングエコノミーに関する事業についても、必要な届出、売上の計上、帳簿への記録が正しく行われているか注意が必要です。

海外取引が多い事業者は、取引ごとの消費税の処理が適切かどうかも確認しておきましょう。国外への資産移転や海外法人を利用した取引についても、実態に即して正確に申告することが重要です。

申告漏れ所得金額が高額な上位業種に該当している

国税庁が公表した「事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位10業種」に該当している場合は、申告内容を特に丁寧に確認しておく必要があります。ただし、該当するだけで必ず税務調査を受けるわけではなく、業種は対象選定に関係し得る要素の一つです。

令和6年に公表された令和5事務年度の資料では、次の業種が掲載されています。

順位 業種
1位 内科医
2位 経営コンサルタント
3位 ブリーダー
4位 歯科医
5位 よう接
6位 製図設計士
7位 施設園芸農業(果樹)
8位 システムエンジニア
9位 コンテンツ配信
10位 ダンプ運送

これらの業種に該当する場合は、毎年の確定申告を行うだけでなく、売上や必要経費の根拠となる資料を整理し、申告書と帳簿の内容が一致しているか確認しておきましょう。税理士による事前確認を受けておくと、税務調査が行われた場合にも、資料の提示や質問への回答を進めやすくなります。

参照元:国税庁「令和5事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」

現金で取り引きしている

現金取引が多い個人事業主は、売上が漏れなく計上されているかを確認されやすい傾向があります。銀行口座や決済サービスに取引履歴が残りにくいため、日々の帳簿と領収書などによって取引内容を説明できる状態にしておくことが重要です。

現金取引そのものに問題があるわけではありません。ただし、現金売上をまとめて記帳している場合や、売上の記録と手元の現金残高が一致しない場合には、申告内容の正確性を疑われる可能性があります。

申告漏れ所得金額が高額な業種に該当し、さらに現金での取引が多い場合は、売上日報、領収書、レジ記録などを整理し、日々の帳簿を正確かつ丁寧に作成しておきましょう。

急激に事業が成長している

売上や所得が短期間で大きく伸びている個人事業主は、申告内容を確認される可能性があります。事業が急成長すると取引件数や経費も増え、記帳漏れや税務処理の誤りが生じやすくなるためです。

税務署は、多額の資産を保有している事業者や、売上が急激に伸びている事業者などについて、重点的に確認することがあります。前年までと比べて売上や利益が大きく変動した場合には、その理由を契約書、請求書、入出金記録などで説明できるようにしておきましょう。

事業の成長に経理体制が追いついていない場合は、売上の計上漏れや必要経費の重複計上などが発生することがあります。取引量に応じた記帳方法を整え、適切な申告書を作成・提出できる体制を構築することが重要です。

無申告事業者

申告義務があるにもかかわらず確定申告をしていない個人事業主は、税務調査や税務署からの確認の対象となる可能性があります。売上や所得がいくらであっても、申告が必要かどうかを確認せずに放置しないことが大切です。

無申告の事実は、金融機関への情報照会、取引先への税務調査、第三者からの情報提供などをきっかけに判明する場合があります。事業者本人が申告していなくても、取引先側の帳簿や支払記録に取引内容が残っていることがあるためです。

何年にもわたって無申告の状態が続き、悪質性が認められた場合には、最大で7年分遡って課税されるほか、重加算税などが課される可能性があります。無申告を続けている場合は、申告義務の有無、対象となる年分、帳簿や資料の状況を整理したうえで対応する必要があります。

税理士法人松本の見解では、実際のご相談は税務署から調査の連絡が来てから始まるケースが最も多いものの、連絡が来た後からでも初動の対応次第で結果は大きく変わります。連絡内容や対象年分を正確に確認し、推測で回答せず、過去の申告書や取引資料を整理することが重要です。

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個人事業主に税務調査が入ったときの流れ

個人事業主に税務調査が入る際は、事前通知から結果の通知まで、主に以下の5ステップで進みます。税務調査が「いくらから」入るのかを気にする方もいますが、事前通知を受けた後の基本的な流れは、売上や所得の金額にかかわらず同様です。

  1. 税務署からの事前通知が届く
  2. 事前準備
  3. 実地調査の開始
  4. 追加の資料提出や指摘事項への対応
  5. 税務調査の結果が届く

1. 税務署からの事前通知が届く

税務調査では、まず税務署から事前通知があり、調査日時や場所などの調整が行われます。税理士を税務代理人として選任し、所定の手続きをしている場合は、税理士に連絡が入ることがあります。

通知を受けた際は、調査対象となる税目や期間、調査場所、準備を求められている帳簿書類などを確認します。日程の都合がつかない場合は、事情を伝えたうえで税務署と調整することになります。

2. 事前準備

事前通知が届いたら、対象期間の帳簿や証憑を整理し、申告内容と一致しているかを確認します。税理士に立会いを依頼する場合は、早めに資料を共有し、質問が想定される取引について説明できるようにしておきましょう。

当事務所に寄せられるご相談の傾向として、調査の連絡から実際の調査日までの限られた期間に、何を準備すべきか分からないまま当日を迎えてしまう方が多いです。そのため、最初に準備の段取りを決め、優先順位をつけて確認することが重要です。

一般的に確認される書類の例は、以下のとおりです。

  • 総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳などの帳簿
  • 決算書、所得税・消費税などの申告書
  • 請求書、納品書、領収書、レシート
  • 契約書、見積書
  • 事業用の預貯金通帳や入出金の記録
  • 事業に関係する議事録などの記録
  • 社会保険関連の書類
  • 会計ソフトや電子取引データなど、電子的に保存している記録

実際に必要となる資料は、業種や申告内容、調査対象となる税目によって異なります。税務署から指定された書類を優先し、見つからない資料や不明点がある場合は、自己判断で作り直さず税理士へ相談することが大切です。

3. 実地調査の開始

実地調査では、税務職員が事業所などを訪れ、帳簿や証憑を確認しながら事業内容や取引について質問します。個人事業主の場合、実地での確認は1~2日ほどで終わることが一般的ですが、事業規模や確認事項によって異なります。

税理士が立ち会う場合、税務上の専門的な質問や調査手続きへの対応は税理士が行い、取引の経緯や実際の業務内容は事業者本人が説明するのが基本です。質問に対してその場で確認できないことは、曖昧に答えず、資料を確認してから回答する旨を伝えます。

4. 追加の資料提出や指摘事項への対応

実地調査が終わった後も、必要に応じて追加資料の提出や、取引・経費などに関する説明を求められることがあります。回答期限や提出方法を確認し、税理士と相談しながら正確に対応しましょう。

税務署から申告内容の問題点を指摘された場合は、指摘の根拠と金額の計算方法を確認します。指摘された内容をそのまま受け入れるのではなく、契約書や請求書などの客観的な資料を基に、事実関係を整理して説明することが重要です。

5. 税務調査の結果が届く

税務調査の結果は、実地調査の終了後に税務署から示され、2~3週間程度で連絡されることがあります。ただし、追加資料の確認や税務署内での検討に時間がかかる場合は、結果が出るまでの期間が長くなることもあります。

結果は、主に次の3つに分けて考えられます。

  1. 申告是認:申告内容に問題がなく、修正が必要ない
  2. 修正申告:税務署からの指摘内容を納税者が認め、正しい内容に修正して申告する
  3. 更正:納税者が修正申告をしない場合などに、税務署が税額等を訂正する処分を行う

申告是認となった場合は、その調査による追加の納税は必要ありません。修正申告や更正によって税額が増えた場合は、本税に加えて加算税や延滞税が生じることがあるため、税理士と確認しながら申告や納付の手続きを進めます。

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税務調査に入られない対策も大切

税務調査を確実に避ける方法はありませんが、期限内の申告、適正な経費計上、帳簿や証憑の保存を徹底することで、申告内容を正しく説明できる状態にすることが大切です。個人の税務調査は「売上や所得がいくらから」と一律に決まるものではなく、申告内容や取引状況なども踏まえて判断されます。

ずっと無申告状態の場合は早急に確定申告を

無申告の状態が続いている場合は、そのままにせず、必要な年分の期限後申告を早急に行いましょう。税務署から連絡を受けてから対応するのではなく、自主的に売上や経費の資料を整理して申告することが重要です。

ずっと無申告を続けていても、「結婚することになり状況が変わった」「確定申告書の控えの提出を求められた」「副業先や取引先に税務調査が入った」など、年齢を重ねるにつれて環境や取引状況は変化していきます。

また、2023年10月からインボイス制度が始まり、取引先から適格請求書発行事業者の登録番号や申告状況に関する確認を求められることもあります。無申告を続けるのではなく、通帳、請求書、領収書、売上管理資料などを集め、実際の取引に基づいて申告してください。

期限後申告をすべて自分で行うことが難しい場合は、対象となる年分や必要資料を整理したうえで、無申告案件に対応できる税理士へ相談する方法があります。すでに税務署から連絡が来ている場合は、その事実や回答期限も正確に伝えることが大切です。

適正な経費計上を心がける

経費は、事業に必要な支出だけを根拠資料に基づいて計上することが重要です。売上や所得の金額にかかわらず、架空経費や私的な支出の混入があれば、税務調査で確認を受ける可能性があります。

架空経費は、事実の仮装や隠蔽があると判断された場合、重加算税の対象となる可能性があります。すでに誤った申告をしているときは内容を確認し、必要に応じて早めに修正申告を検討しましょう。

個人事業主は、仕事とプライベートの境目があいまいになりがちです。税務調査では、個人的な費用が事業経費に含まれていないか、支出の目的や領収書などの根拠とともに確認されます。

例えば、自宅の家賃を全額経費にしたり、プライベートと兼用している車両の費用やガソリン代を全額経費にしたりすると、その妥当性を説明できないことがあります。事業と私生活の両方に関係する支出は、合理的な基準で家事按分する必要があります。

  • 自宅家賃や光熱費は、事業で使用する面積や使用時間などを基準にする
  • 車両費やガソリン代は、事業で走行した距離や使用日数などを基準にする
  • 按分の計算方法と根拠資料を保存し、毎年一貫した基準で処理する

税務調査で質問されたときに説明できるよう、家事按分の比率を適切に定め、経費にできる支出とできない支出を区別してください。現場の実感として、調査当日の受け答え以上に、事前準備である帳簿・領収書の整理と説明の筋道づくりで結果の大半が決まります。

確定申告書に税理士の署名を入れる

税理士に申告書の作成や確認を依頼し、税理士が関与した申告であることを明らかにしても、税務調査が必ず避けられるわけではありません。ただし、帳簿や証憑を整理し、税務上の判断を確認したうえで申告することは、誤りや申告漏れを防ぐ対策になります。

税理士が申告書を作成した場合は、書面提出か電子申告かに応じた方法で、税理士が作成に関与したことが申告書等に表示されます。大切なのは表示の有無だけではなく、税理士に正確な売上、経費、資産、取引資料を提示し、実態に沿った申告書を作成してもらうことです。

税理士が関与していても、取引内容に確認すべき点がある場合や、取引先などほかの調査対象との関連がある場合には、税務調査が実施されることがあります。税理士への依頼を「調査に入られないための保証」と考えず、適正申告と資料保存を継続することが重要です。

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まとめ

個人事業主の税務調査は「売上がいくらから」と一律に決まるものではなく、売上1,000万円を超えただけで必ず対象になるわけでもありません。個人事業主全体で見れば税務調査を受けるケースは多くありませんが、売上規模だけでなく、申告内容や過去の申告状況などを総合的に見て調査対象が選ばれます。

売上1,000万円は税務調査の目安として意識されやすい金額ですが、税務調査の明確な基準額ではありません。売上が1,000万円に近い、またはそれ以上であっても、帳簿や申告内容に問題がなければ、金額だけを理由に税務調査が行われるとは限りません。

一方、売上が1,000万円未満でも、申告漏れが疑われる場合や、申告内容と税務署が把握している情報に差がある場合には、税務調査の対象となる可能性があります。特に、以下の特徴や傾向に該当する場合は、帳簿や証拠書類をあらためて確認し、必要に応じて税理士からアドバイスを受けるとよいでしょう。

  • 起業・開業から3年以上が経過している
  • 海外投資やシェアリングエコノミーに関する売上が多い
  • 申告漏れが指摘されやすい業種に該当する
  • 現金による取引が多い
  • 売上や利益が急激に伸びている
  • 確定申告をしておらず、無申告の状態にある

税務調査の事前通知が届いている場合は、通知内容と調査対象となる税目・期間を確認し、帳簿、領収書、請求書、通帳などを整理して実地調査に備える必要があります。税理士法人松本の見解では、税務署からの電話や書面を「様子を見よう」と置いてしまう方が少なくありませんが、連絡への応答が早いほど、その後の進め方に選択肢が残ります。

申告内容に誤りや不足が見つかった場合も、自己判断で資料を破棄・修正したり、事実と異なる説明をしたりせず、税理士に確認しながら適切に対応することが大切です。税務調査の準備や当日の立会いについては、税務調査対応を取り扱う税理士へ早めに相談する方法があります。

こちらの記事は幻冬舎GOLD ONLINEにも掲載されています。

お電話をいただいた後の流れ

税務署から調査の連絡が届いている方は、日程が決まる前のご相談をおすすめしています。

  1. お電話でお状況をお聞きします税務調査の対応を担当する者が直接お話をうかがいます。いつ・どこから連絡が来たか、申告の状況はどうかなど、分かる範囲でお答えいただければ大丈夫です。資料が手元に揃っていなくても構いません。
  2. 今の状況でできることをお伝えしますお聞きした内容から、まず何をすべきか、どのような進め方が考えられるかをご説明します。お電話の段階で費用が発生することはありません。
  3. ご依頼いただくかは、後日あらためてご判断くださいその場でお決めいただく必要はありません。ご相談の進め方や費用のご案内は、内容をうかがったうえで書面にてお示しします。

受付時間外やお電話が難しい場合は、LINE・メール相談もご利用いただけます。

この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

登録者20万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在15名常駐。
国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。
なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。

税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。

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税理士法人松本代表税理士 松本 崇宏

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