2026.06.25

会社設立

自分で電子定款を作るのは損?ICカードリーダー等にかかる実質費用と作成手順

自分で電子定款を作るのは損?ICカードリーダー等にかかる実質費用と作成手順のアイキャッチ画像

読了目安時間:約 16分

目次

はじめに:電子定款の自作で費用は本当に安くなるのか?

会社設立において避けて通れない手続きの一つが、会社の基本ルールを定める「定款(ていかん)の作成」です。紙の定款を作成して公証役場で認証を受ける場合、日本公証人連合会の規定により収入印紙代として4万円が必要になります。起業時の初期費用を少しでも抑えるため、この印紙代が不要になる「電子定款」を自作しようと考える方は少なくありません。

しかし、印紙代が0円になるからといって、完全に無料で手続きが完了するわけではありません。実は、電子定款を自作するためには専用の機材やソフトウェアを自力で揃える必要があり、隠れた費用や高い技術的ハードルが存在します。

これから法人化を目指す個人事業主やスタートアップの担当者の中には、以下のような疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。

  • 電子定款を自作すると本当に安くなる?
  • 必要な機材やソフトの費用はいくらかかる?
  • 自作の具体的な手順や注意点を知りたい

「電子定款 自作 費用」と検索して本記事にたどり着いた方は、おそらく専門家に頼まず自力で手続きを進めたいとお考えのことでしょう。しかし、パソコンでマイナンバーカードの電子証明書を読み取るためのICカードリーダライタや、電子署名を付与するためのAdobe Acrobat(有料版)などを揃えるために、約5,000円から最大で25,000円程度の実質的な初期費用が発生するケースがあります。

本記事では、電子定款の自作にかかる「実質費用」の内訳と、「具体的な手順・難易度」について、実務的な観点から詳しく解説します。表面的な印紙代の節約だけでなく、機材の購入費やソフトウェアの契約料を含めたトータルコストと手間を把握することが重要です。

記事を最後までお読みいただくことで、必要な準備や手続きの全体像が明確になり、ご自身で電子定款を作成すべきか、それとも専門家や設立代行サービスに依頼すべきかの明確な判断基準が得られます。ご自身の資金やリソースの状況に照らし合わせながら、最適な会社設立の方法を見つけていきましょう。最終的な手続きの判断に迷われた際は、税理士や司法書士などの専門家へご相談されることをお勧めいたします。

そもそも電子定款とは?紙の定款との違いとメリット

会社を設立する際、必ず作成しなければならないのが「定款(ていかん)」です。定款とは、会社の商号(社名)や事業目的、本店の所在地、出資される資本金の額など、会社の基本的なルールを定めた最重要書類であり、いわば「会社の憲法」にあたります。

従来、定款は紙に印刷して作成し、公証役場で認証を受けるのが一般的でした。この「紙の定款」の場合、印紙税法に基づき4万円の収入印紙を貼付して国に納める義務があります。

一方で、近年主流となっているのが「電子定款」です。電子定款とは、紙ではなくPDFデータとして作成し、電子署名を付与した定款のことを指します。

最大のメリットは、電子データであるため印紙税の課税対象外となることです。これにより、法定費用である収入印紙代4万円を合法的に0円に抑えられるという大きな利点があります。

紙の定款と電子定款の比較

比較項目 紙の定款 電子定款(PDF)
媒体 紙に印刷 PDFデータ
収入印紙代 40,000円 0円(非課税)
必要な準備 実印での押印 電子署名環境の構築

電子定款を自作する際の実質費用と必要なもの

会社設立の初期費用を極力抑えるために、「専門家に頼まず、自力で電子定款を作りたい」と考える方も多いでしょう。たしかに印紙代の4万円は不要になりますが、電子定款 自作 費用が完全に無料になるわけではありません。

電子定款に法的な効力を持たせるためには、マイナンバーカードに格納された電子証明書を読み取り、PDFファイルに「電子署名」を付与する特殊な環境を整える必要があります。

パソコンでマイナンバーカードの電子証明書を読み取るための機器や、指定のソフトウェアを準備するため、以下のような実質的な初期費用が発生します。

必要なもの 費用の目安 備考
マイナンバーカード 無料 電子証明書付きのもの
ICカードリーダライタ 約3,000円〜5,000円 PCでの読み取りに必須
Adobe Acrobat Pro 月額約2,000円〜3,000円 有料版の契約が必須
PDF署名プラグイン 無料 法務省が提供するソフト

無料の「Adobe Acrobat Reader」では、法的な効力を持つ電子署名の付与機能が制限されているため、有料版の契約が必須となります。単月契約や無料体験版をうまく活用できれば数千円に抑えることも可能ですが、年契約が必要になった場合は約25,000円以上の機材・ソフト投資が必要になるケースもあります。

電子定款の作成・認証手順

自力で電子定款を作成し、公証役場で認証を受けるまでの主な流れは以下の通りです。あらかじめ手順を把握しておくことで、スムーズに手続きを進めることができます。

  • 定款の原案作成(Word等を使用して作成)
  • 公証役場での事前確認(原案を送り、内容に不備がないか無料チェックを受ける)
  • PDF変換と電子署名の付与(ICカードリーダーとAdobe Acrobat等を使用)
  • オンライン申請(法務省の「登記・供託オンライン申請システム」を利用)
  • 公証役場での認証(公証役場に出向き、データ提出と認証手数料の支払い)

電子定款の作成・認証には、専用ソフトの導入やパソコンの環境設定など、ITに関する一定の知識が求められます。事前に法務省の電子公証制度についてを確認し、ご自身の環境で対応可能か検討することが重要です。

このように、電子定款の自作には一定のコストと労力がかかります。ご自身のITスキルや確保できる時間を考慮し、場合によっては会社設立を専門とする行政書士や司法書士など、専門家への依頼も検討してみてください。

専門家に依頼した場合の代行手数料と、自力で行う場合の電子定款 自作 費用や手間を比較し、ご自身の状況に合った最適な方法を選択することをおすすめします。最終的な判断や具体的な手続きについては、専門家へご相談ください。

紙の定款と電子定款のコスト・特徴比較表

【費用シミュレーション】電子定款の自作にかかる実質費用

会社設立時の初期コストを抑えるため、電子定款を自作して費用を節約したいと考える方は少なくありません。紙の定款で必要な収入印紙代4万円が不要になるのは大きなメリットです。

しかし、電子定款を完全に自力で作成し、電子署名を行ってオンライン申請するためには、専用の機材やソフトウェアを揃える必要があります。印紙代が0円になっても、環境構築のための実質的な初期費用が発生する点には注意が必要です。

ここでは、電子定款を自作する際にかかる具体的なコストと、最終的な実質費用について詳しくシミュレーションしていきます。

自作に必要な機材・ソフトの費用内訳

電子定款の作成および電子署名の付与には、主に以下の4つのアイテムが必要です。それぞれの費用目安と注意点を確認しましょう。

必要な機材・ソフト 費用の目安 備考
マイナンバーカード 0円 電子証明書付きのもの
ICカードリーダライタ 約3,000円〜5,000円 PC接続用・スマホ代替は非推奨
Adobe Acrobat Pro 月額約2,000円〜3,000円 有料版の契約が必須
PDF署名プラグイン 0円 法務省が提供する無料ソフト

まず、電子署名を行うための「マイナンバーカード(署名用電子証明書付き)」が必要です。すでに取得済みであれば費用はかかりませんが、未所有の場合はお住まいの市区町村役場で発行手続きを行う必要があります。

次に、パソコンでマイナンバーカードの電子証明書を読み取るための「ICカードリーダライタ」が必須となります。費用は約3,000円〜5,000円程度です。

最近はスマートフォンを読み取り機として代用できるケースもありますが、PCでの定款への署名作業においてはエラーが頻発しやすいため、専用のリーダライタを用意することを強くおすすめします。

さらに、定款のPDFファイルに法的な効力を持つ電子署名を付与するためには、有料版の「Adobe Acrobat Pro」が必要です。無料のAcrobat Readerでは法務省指定の署名プラグインが正常に動作しません。費用は契約形態によりますが、月額約2,000円〜3,000円程度かかります。

最後に、Adobe Acrobatに組み込んで使用する「PDF署名プラグイン」は、法務省の登記・供託オンライン申請システムから無料でダウンロードして使用します。

  • 署名用電子証明書の暗証番号(英数字6〜16桁)を確認する
  • 購入するICカードリーダライタがマイナンバーカード対応か確認する
  • Adobe Acrobat Proの動作環境(OSバージョン等)を満たしているか確認する
  • 法務省のサイトから最新のPDF署名プラグインをダウンロードする

実質的な初期費用の合計はいくら?

これらの機材やソフトウェアをすべて揃えた場合、実質的な初期費用はどのくらいになるのでしょうか。手続きがどれくらいスムーズに進むかによって、合計金額は大きく変わってきます。

もし、Adobe Acrobat Proの無料体験期間や単月契約をうまく活用し、短期間で一気に電子定款の作成から認証までを完了できた場合、費用は約5,000円〜(主にICカードリーダライタ代とソフトの単月分)に抑えることが可能です。

定款の記載内容に不備があり公証役場での修正指示が重なるなど、セットアップや手続きが長引くケースは珍しくありません。無料期間を過ぎて年間契約や複数月契約が必要になった場合、トータルの出費は約25,000円以上になることもあります。

このように、電子定款の自作にかかる費用は、事前の準備状況やITスキルの有無によって変動します。機材トラブルや申請エラーで時間を浪費してしまうリスクも考慮しなければなりません。

会社設立時は、定款作成以外にも事業計画の策定や資金調達など、経営者としてやるべき重要な業務が山積みです。ご自身の貴重な時間を時給換算した場合、結果的に専門家へ依頼した方が総合的なコストパフォーマンスが高いケースも多々あります。

自力での作成に不安がある場合や、手続きに時間をかけられない場合は、会社設立を専門とする税理士や行政書士、司法書士などの専門家に一度相談してみることをおすすめします。

電子定款の自作にかかる必要機材と費用の内訳イラスト

自分で電子定款を作成・申請する5つの手順

会社設立の初期費用を極力抑えるために、専門家に頼まず自分で定款を作りたいと考える方も多いでしょう。特に、紙の定款で必要な収入印紙代4万円を0円にできるのは大きなメリットです。

しかし、完全に無料で作成できるわけではなく、電子定款を自作する際の実質費用について正しく理解しておく必要があります。パソコンで電子署名を行うための環境を自力で整えるために、機材やソフトウェアの購入コストが発生します。

必要な機材・ソフト 費用の目安 備考
マイナンバーカード 無料 電子証明書付きのもの(取得済みの場合)
ICカードリーダライタ 約3,000円〜5,000円 PCでマイナンバーカードを読み取るために必須
Adobe Acrobat Pro 月額約2,000円〜3,000円 無料版では署名不可のため有料版が必須
PDF署名プラグイン 無料 法務省が提供するソフトを組み込んで使用

実質的な初期費用は、Adobeの単月契約などをうまく活用できれば約5,000円程度に抑えられます。しかし、年契約が必要になった場合などは、約25,000円以上の機材・ソフト投資が必要になることもあります。

ここからは、実際に自分で電子定款を作成し、公証役場で認証を受けるまでの5つのステップを詳しく解説します。

ステップ1:定款の原案作成(Word等)

会社の基本ルールとなる定款の文章を作成します。まずは、商号(会社名)、事業目的、本店所在地、資本金、発起人などの基本情報を決定しましょう。

これらが決まったら、Wordなどのワープロソフトを使って定款の原案を作成します。日本公証人連合会の公式サイトなどでは、一般的な株式会社や合同会社の定款ひな形が公開されています。それらをベースに自社の内容に合わせて修正していくとスムーズです。

定款の記載事項には、絶対に記載しなければならない「絶対的記載事項」と、記載することで効力を持つ「相対的記載事項」などがあります。内容に不備があると後の手続きで修正が必要になるため、慎重に作成を進めてください。

ステップ2:公証役場での事前確認(無料)

定款の原案ができあがっても、すぐに電子署名をしてはいけません。まずは、本店所在地を管轄する法務局に所属する公証役場へ連絡し、事前のチェックを依頼します。

作成したWordデータを、公証役場にメールやFAXで送付します。公証人が内容を確認し、法律上問題がないか、記載漏れや誤字脱字がないかを無料でチェックしてくれます。この段階で修正の指示があれば、Wordデータを修正して再度確認してもらいます。

事前確認が完了する前に電子署名を付与してしまうと、修正が発生した際に署名のやり直しとなり余計な手間がかかるため、必ず「署名・送信前」に確認を受けてください。

ステップ3:PDF変換と電子署名の付与

公証人からOKが出たら、いよいよ電子定款の作成作業の核心となる「電子署名の付与」を行います。ここが、自作する上で最もハードルが高く、パソコンの環境設定につまずきやすいポイントです。

  • マイナンバーカード(有効な電子証明書付き)
  • ICカードリーダライタ(パソコン対応機種)
  • Adobe Acrobat Pro(有料版ソフト)
  • 法務省提供の「PDF署名プラグイン」

まず、確定した定款のWordデータをPDF形式に変換します。次に、パソコンにICカードリーダーを接続し、マイナンバーカードを読み込ませます。スマートフォンの読み取り機能は、パソコンでの署名作業に非対応なケースが多いため、専用のリーダーを用意するのが無難です。

無料の「Adobe Acrobat Reader」では、法的な効力を持つ電子署名の付与機能が制限されています。そのため、電子定款の作成には必ず有料版の「Adobe Acrobat Pro」を契約して使用する必要があります。

さらに、登記・供託オンライン申請システムから無料でダウンロードできる法務省の「PDF署名プラグイン」をAdobeソフトに組み込みます。これらを連動させることで、PDF化された定款データに発起人の電子署名を付与することができます。

ステップ4:オンライン申請(送信)

電子署名が付与されたPDF定款が完成したら、公証役場へデータを送信します。送信には、法務省が提供している専用のオンラインシステムを利用します。

ご自身のパソコンに「登記・供託オンライン申請システム(申請用総合ソフト)」をインストールしてください。ソフトを立ち上げ、申請者情報の登録を行った後、指定された手順に従って電子署名済みのPDF定款をアップロードして送信します。

送信手続きが完了すると、システム上で受付番号が発行されます。この番号は後の手続きで必要になるため、必ず控えておきましょう。データの送信後、公証役場に電話を入れて、無事にデータが届いているか確認しておくと安心です。

ステップ5:公証役場での認証(受け取り)

オンラインでの送信が完了したら、指定した公証役場に直接出向いて「定款の認証」を受けます。電子定款であっても、最終的な認証手続きとデータの受け取りは対面で行う必要があります。

公証役場では、発起人の本人確認が行われます。マイナンバーカードや印鑑証明書などの必要書類を持参してください。また、この時に定款の認証手数料を現金で支払います。株式会社の場合、手数料は資本金の額に応じて約3万円〜5万円となります。

手続きが終わると、認証済みの電子定款データが保存されたCD-R等や、紙の謄本(控え)を受け取ることができます。これで電子定款の作成は完了です。

なお、合同会社を設立する場合は公証人による定款認証が不要なため、このステップ5はスキップされ、そのまま法務局での設立登記申請に進むことができます。

自力での環境構築やソフトの設定に不安がある場合や、手続きに割く時間を節約したい場合は、無理をせずに司法書士や行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。専門家に依頼することで、確実かつスムーズに会社設立の手続きを進めることが可能です。

電子定款作成から申請・認証までの5つのステップを示すフローチャート

挫折者続出?電子定款の自作における高いハードルと注意点

会社設立の初期費用を極力抑えるために、紙の定款で発生する印紙代4万円を節約しようと、電子定款の自作に挑戦する方は少なくありません。

しかし、実際に作業を始めてみると、専用ソフトウェアの導入やシステム設定の複雑さから、途中で断念してしまうケースが多発しています。

電子定款 自作 費用を安く抑えるつもりが、想定外の時間と労力がかかり、結果的に設立スケジュールが遅れてしまう実態について、事前に把握しておくことが重要です。

パソコンの動作環境(OS・ブラウザ)の制限

電子定款を作成し、電子署名を付与するためには、法務省が提供する「PDF署名プラグイン」や「登記・供託オンライン申請システム」を利用する必要があります。

ここで大きな障壁となるのが、これらのシステムが基本的にWindows環境に最適化されているという点です。普段からWindowsパソコンを使用している方でも、指定されたOSバージョンやブラウザの設定を厳密に合わせる必要があります。

特にMacユーザーの場合、専用プラグインが正常に動作しない、または設定手順が極めて複雑になる傾向があります。ITに関する専門知識がない初心者にとっては、環境構築だけでほぼ不可能に近い難易度となることも珍しくありません。

OS環境 電子定款作成の難易度 主な注意点
Windows 法務省システムの推奨環境。事前設定ツールのインストールが必要。
Mac 極めて高 プラグインの動作保証外となるケースが多く、専門知識がないと困難。

推奨される動作環境の最新情報については、法務省の登記・供託オンライン申請システムの公式サイトにて事前に確認しておくことをお勧めします。

エラーの多発とトラブル対応の難しさ

パソコンの環境が整ったとしても、実際の作業中に予期せぬシステムエラーが頻発することがあります。

例えば、「ICカードリーダーがマイナンバーカードを正しく認識しない」「Adobe Acrobat Proのプラグイン設定がPDFファイルに反映されない」といったトラブルは、自作における典型的なつまずきポイントです。原因がハードウェアにあるのか、ソフトウェアの設定にあるのかを自力で特定し、解決しなければなりません。

さらに注意が必要なのが、マイナンバーカードに設定した電子証明書の暗証番号です。署名用電子証明書のパスワード(英数字6〜16桁)を5回連続で間違えるとセキュリティロックがかかり、市区町村の役所窓口まで直接赴いて初期化・再設定を行わなければなりません。

署名用電子証明書の暗証番号は、5回連続で間違って入力した場合、パスワードロックがかかってしまい、当該電子証明書は利用できなくなります。ロックの解除には、発行元の市区町村窓口での手続きが必要です。
出典:公的個人認証サービス ポータルサイト(地方公共団体情報システム機構)

会社設立を急いでいるタイミングでこのようなタイムロスが発生すると、法人口座の開設や事業開始のスケジュール全体に悪影響を及ぼす恐れがあります。自力で進める場合は、以下のポイントを事前に確認しておきましょう。

  • Windowsパソコンと対応するICカードリーダーが手元にあるか
  • Adobe Acrobat Pro(有料版)の契約や設定を行う時間的余裕があるか
  • マイナンバーカードの署名用パスワード(英数字6〜16桁)を正確に把握しているか
  • システムエラー発生時に自力で原因を調べ、解決できるITスキルがあるか

電子定款の作成は、単に文章をPDF化するだけでなく、法的な効力を持たせるための厳格なデジタル手続きが求められます。

もし環境構築やエラー対応に不安がある場合は、無理に自作にこだわらず、行政書士や司法書士などの専門家に依頼することを検討してみてください。専門家に依頼することで、確実かつスピーディーに会社設立の手続きを進めることが可能になります。

結論、自分で作るのは損?「自作」vs「外注」の判断基準

会社設立にあたり、紙の定款ではなく電子定款を選ぶことで、収入印紙代の4万円を節約できます。そのため、初期費用を抑えようとご自身で手続きを進める方は少なくありません。

しかし、いざ「電子定款 自作 費用」と調べてみると、パソコンの設定や専用ソフトの導入に意外なコストと手間がかかることがわかります。印紙代が0円になっても、環境構築のために数万円の出費が発生しては本末転倒です。

ここでは、電子定款の作成にかかる実質的な費用と手順を整理したうえで、「自分で作った方がお得な人」と「自分で作ると損をする人」の明確な判断基準を解説します。

電子定款を自作する際、最低限必要となる機材やソフトの費用目安は以下の通りです。スマートフォンの読み取り機能はPCでの署名作業に非対応なケースが多いため、専用の機器がほぼ必須となります。

必要な機材・ソフト 費用の目安 備考・注意点
マイナンバーカード 無料 電子証明書付きのものが必須(取得済みの場合)
ICカードリーダライタ 約3,000円〜5,000円 パソコンで電子証明書を読み取るために必要
Adobe Acrobat Pro 月額約2,000円〜3,000円 年間契約が必要な場合は約25,000円以上の出費に
PDF署名プラグイン 無料 法務省が提供するソフトをAdobeに組み込んで使用

また、自力で作成から認証までを行う場合、以下のようなステップを順番に踏んでいくことになります。書類の作成だけでなく、公証役場とのやり取りや専用システムでのオンライン申請が求められます。

  • Word等を使用して定款の原案を作成する
  • 作成した原案を公証役場に送り、不備がないか事前確認を受ける(無料)
  • 定款をPDF化し、ICカードリーダー等を用いて電子署名を付与する
  • 法務省のオンラインシステムを利用して電子定款のデータを送信する
  • 公証役場に出向き、認証手数料を支払って認証済みデータを受け取る

電子定款に付与する電子署名は、無料の「Adobe Acrobat Reader」では機能が制限されており対応できません。法的な効力を持たせるためには、必ず有料版の「Adobe Acrobat Pro」等を契約し、要件を満たす環境を整える必要があります。

自分で作った方がお得な人(自作推奨)

すでに必要なIT環境が手元に揃っている方は、電子定款を自作するメリットを最大限に活かすことができます。具体的には、普段から仕事で「Windows PC」や「Adobe Acrobat Pro(有料版)」を利用しており、「ICカードリーダー」も所有している方です。

これらの機材やソフトがすでに揃っていれば、追加の費用はほとんどかかりません。印紙代4万円の節約がそのままダイレクトな恩恵となるため、コスト面でのメリットは非常に大きくなります。

また、パソコンの操作やシステムのセットアップに慣れていることも重要な条件です。法務省が提供する登記・供託オンライン申請システムを利用する際、細かな設定エラーやプラグインの不具合につまずくことがあります。

そうしたマニュアルを読み解きながらのトラブル解決を苦にせず、むしろ自力で進めることを楽しめる方には自作が向いています。開業までのスケジュールに十分な余裕があり、とにかく1円でも設立コストを削りたいとお考えであれば、ご自身で挑戦してみる価値は十分にあります。

自分で作ると「損」をする人(外注・サービス利用推奨)

一方で、機材やソフトをゼロから買い揃える必要がある方は、自作による恩恵が大きく薄れてしまいます。ICカードリーダーの購入やAdobe有料版の年間契約などを合わせると、実質的な初期費用が2万5,000円以上かかってしまうケースも珍しくありません。

また、法務省の申請システムは基本的にWindows環境を前提としているため、Macユーザーの方は設定のハードルが格段に上がります。IT機器の操作が苦手な方が無理に進めようとすると、エラーの解決だけで何日も足止めされてしまうリスクがあります。

さらに経営者として意識すべきなのは、ご自身の「時間単価」です。慣れないシステム設定や定款の書式調整に何十時間も費やすことは、時給換算すると目に見えない大きな損失になりかねません。

起業時の貴重な時間は、売上を作るための営業活動や商品開発といった「本業の準備」に投資する方が、結果的に会社経営のプラスになります。

機材の準備に費用がかかる方や、設立手続きに時間を割けない方は、無理に自作しようとせず、行政書士などの専門家への依頼や会社設立サービスの利用を検討することをおすすめします。最終的な判断に迷う場合は、一度税理士や司法書士などの専門家に相談し、ご自身の状況に合った最適な方法を見つけてください。

電子定款の「自作」と「外注(専門家・支援サービス)」のメリット・デメリット比較表

専門家への依頼や「会社設立支援サービス」という賢い選択肢

会社設立の初期費用を極力抑えるために、専門家に頼まず自力で電子定款を作りたいと考える方は少なくありません。しかし、電子定款 自作 費用について正確に把握しておかないと、かえって時間とコストを浪費する可能性があります。

紙の定款で必要な印紙代4万円を節約できる点は魅力的ですが、自作するためには専用の環境を整える必要があります。具体的には、パソコンでマイナンバーカードを読み取るためのICカードリーダライタ(約3,000円〜5,000円)が必要です。

さらに、法的な効力を持つ電子署名を付与するための「Adobe Acrobat Pro」有料版(月額約2,000円〜3,000円)の契約が必須となります。無料のリーダーソフトでは署名機能が制限されているため、どうしてもソフトへの投資が避けられません。

これらを合計すると、実質的な初期費用は約5,000円〜25,000円程度かかります。さらに、定款の原案作成から公証役場での事前確認、法務省の「登記・供託オンライン申請システム」を利用したデータ送信まで、慣れない手続きをすべて自分で行う手間が発生します。

比較項目 自作(電子定款) 専門家への依頼 クラウドサービス
実質的な追加費用 約5,000円〜25,000円 1万〜3万円程度 0円〜5,000円程度
手続きの手間 非常に多い 少ない(丸投げ可能) 少ない(ガイド入力)
必要な機材・ソフト ICカードリーダー・Adobe有料版 不要 不要

このように、費用対効果や設立までのスピードを考慮すると、専門家への依頼や会社設立支援サービスを活用する方が賢明なケースが多々あります。それぞれの選択肢について詳しく見ていきましょう。

行政書士や司法書士などの専門家に依頼する場合

行政書士や司法書士といった専門家に電子定款の作成を依頼する場合、手数料の相場は1万〜3万円程度です。自作する場合の実質費用(約5,000円〜25,000円)と比較しても、金額的に大きな差がないことがわかります。

専門家に依頼する最大のメリットは、プロが書類を作成し申請を行うため、ミスがなく確実である点です。定款の内容に不備があると、後から修正や変更の手続きが必要になり、余計な費用と時間がかかってしまいます。

また、公証役場との事前のやり取りや内容のすり合わせも代行してもらえるため、経営者は事業計画の策定や資金調達など、本業の準備に専念できます。専門家はすでに電子署名に必要な専用ソフトや機器を揃えているため、依頼者が新たに機材を購入する必要もありません。

最終的な判断はご自身の予算や状況によりますが、確実性と安心感を重視するなら、専門家への相談を検討してみてください。設立後の法務・税務顧問として、そのままサポートを依頼できる点も魅力です。

クラウド会社設立サービス(実質手数料0円など)の活用

近年、起業家やスタートアップ担当者から高い支持を集めているのが「マネーフォワード 会社設立」や「freee会社設立」などのクラウド会社設立支援サービスです。

これらのサービスは、画面のガイドに沿って必要事項を入力するだけで、会社設立に必要な書類を自動で作成してくれます。さらに、電子定款の作成から電子署名の手続きまでを格安、あるいは実質0円で代行・サポートしてくれる仕組みが整っています。

自分で一から調べて環境を構築する手間が省けるだけでなく、専門的な知識がなくてもスムーズに手続きを進められるのが大きな特徴です。多くの場合、法人の銀行口座開設や会計ソフトの年間契約とセットで利用することで、設立費用が割引されるキャンペーンも実施されています。

クラウドサービスを利用する際は、以下のポイントを確認しながら進めると失敗を防ぐことができます。

  • 電子署名代行のオプション料金や、実質0円になる適用条件を確認する
  • 設立後の会計ソフト利用が必須かどうか、ランニングコストをチェックする
  • 定款の事業目的など、細かなカスタマイズが可能か確認する
  • サポート体制(チャットや電話相談など)が充実しているかチェックする

会社設立の初期費用を極力抑えつつ、手続きの手間も削減したいと考えている方は、こうした便利なクラウドサービスの活用を第一の選択肢として検討してみてください。

どの方法を選ぶべきか迷った際や、特殊な機関設計が必要な場合は、自己判断せず税理士や司法書士などの専門家に一度相談してみることをおすすめします。

まとめ:費用と手間のバランスを見て最適な方法を選ぼう

ここまで解説してきたように、会社設立時に紙の定款ではなく電子定款を選択することは、収入印紙代の4万円を浮かせることができる強力な手段です。初期費用を少しでも抑えたい創業期において、4万円の節約は非常に魅力的と言えるでしょう。

しかし、電子定款を自作する際の実質費用は決してゼロではありません。マイナンバーカードを読み取るためのICカードリーダライタ(約3,000円〜5,000円)や、法的に有効な電子署名を付与するためのAdobe Acrobat Proの有料ライセンス(月額約2,000円〜3,000円)など、環境を整えるために約5,000円〜25,000円程度の機材・ソフト代が発生します。

さらに、法務省の「登記・供託オンライン申請システム」を利用するための設定や、PDF署名プラグインの組み込みなど、慣れないIT作業には想定以上の時間がかかります。マニュアル通りに進まないエラー対応などのストレスを考慮すると、必ずしも「全員にとって自作がお得」とは言えないのが実情です。

起業準備の段階では、事業計画のブラッシュアップや資金調達、顧客開拓など、経営者としてやるべき重要な業務が山積みです。そのため、ご自身のITスキルや既に持っている機材、そして何より「時間価値」を天秤にかけて、最適な作成方法を選ぶことが重要になります。

作成方法 実質費用の目安 手間・時間 おすすめな人
完全自作 約5千円〜2.5万円 非常に多い ITスキルが高く、機材やソフトが既に揃っている人
会社設立サービス 数千円〜1万円程度 少ない 費用と手間のバランスを最も重視する人
専門家(司法書士等) 数万円〜(専門家報酬) 最小 手続きを丸投げして、本業の準備に集中したい人

自力で作成を進めるかどうか迷った際は、以下のポイントをご自身の状況と照らし合わせてみてください。

  • マイナンバーカードと対応するICカードリーダーを既に持っているか
  • Adobe Acrobat Pro(有料版)のライセンスを契約しているか
  • 複雑なシステム設定やエラー対処に数日間の時間を割く余裕があるか
  • 定款作成に時間をかけることで、本業の準備に悪影響が出ないか

もし、機材の購入やソフトの年間契約が必要になり、電子定款の自作にかかる費用が印紙代の節約額に近づいてしまうようであれば、会社設立サービスを利用したり、司法書士や行政書士などの専門家に依頼したりする方が、結果的にコストパフォーマンスが高くなるケースも多々あります。

起業の目的は「会社を設立すること」ではなく、「事業を軌道に乗せること」です。手続きにかける費用と手間のバランスを冷静に見極め、ご自身の状況に合った最適な方法を選択して、スムーズな起業のスタートを切ることをお勧めします。最終的な判断に迷う場合は、会社設立に強い税理士や司法書士などの専門家へ一度相談してみることも検討してみてください。

税務・労務等のバックオフィス支援から
経営支援まで全方位でビジネスをサポート

本気で夢を追い求めるあなたの会社設立を全力サポート

  • そもそも個人事業と会社の違いがわからない
  • 会社を設立するメリットを知りたい
  • 役員報酬はどうやって決めるのか
  • 株式会社にするか合同会社にするか
といったお悩みを抱えている方は、まずは初回電話無料相談をご利用ください。
会社設立の専門家が対応させていただきます。

税理士法人松本の強み

  • 設立後に損しない最適な起業形態をご提案!
  • 役員報酬はいくらにすべき?バッチリな税務署対策で安心!
  • 面倒なバックオフィスをマルっと支援!
  • さらに会社設立してからも一気通貫で支援

この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

あわせて読みたい記事

会社設立ブログをもっと見る

相見積もり大歓迎!
他社と比べても自信があります。

本気追い求める
あなたの会社設立全力サポート

月間先着10者限定

創業応援 無料キャンペーン

  1. 01

    有料相談11,000無料!

  2. 02

    会社設立報酬実質無料!

  3. 03

    届け出サポート22,000円が無料!

  4. 04

    会計サポート3ヶ月分無料!