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会社設立
会社設立前に知っておくべき「解散・清算」の手続きと費用!出口戦略の重要性
読了目安時間:約 17分
目次
会社設立前に知っておきたい「終わらせ方」の現実
会社設立に向けて準備を進める際、多くの方は「どのように事業を立ち上げ、売上を伸ばしていくか」というスタートダッシュに意識が集中しがちです。夢や目標に向かって計画を練ることはもちろん大切ですが、経営をより安全で確実なものにするためには、あらかじめ「会社の終わらせ方(解散・清算)」についても目を向けておく必要があります。
なぜなら、会社は設立するときよりも、事業をたたんで解散・清算するときの方が、時間や費用、そして労力の負担がはるかに大きくなるという現実があるからです。起業時に将来の廃業リスクや出口(M&Aや解散など)まで見据えて慎重に事業計画を立てておくことが、リスク管理の観点からも非常に重要となります。
例えば、個人事業主が事業を辞める場合は、国税庁の規定に従い税務署等へ「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出するだけで手続きが完了します。しかし、法人(会社)を法的に消滅させるためには、債権者を保護するための厳格なプロセスを踏まなければなりません。法人の場合、手続きを完了させるまでに最低でも2ヶ月以上の期間を要し、決して即日で終わらせることはできないのです。
さらに見落としがちなのが、会社 解散 費用の存在です。法人をたたむ際には、法務局での登記費用や官報への公告費用といった法定費用が必ず発生し、最低でも約7万〜8万円が必要となります。そこに税務申告や登記手続きを代行する税理士・司法書士などの専門家報酬が加わると、数十万円の出費になることも珍しくありません。
| 項目 | 個人事業主の廃業 | 法人の解散・清算 |
|---|---|---|
| 手続きの難易度 | 税務署や都道府県税事務所へ届出のみ | 株主総会決議、登記、官報公告、複数回の税務申告など |
| 費用の目安 | 0円(無料) | 法定費用約7〜8万円+専門家費用 |
| 完了までの期間 | 即日廃業が可能 | 最低2ヶ月以上(債権者保護手続きのため) |
本記事では、これから会社設立を検討している起業家に向けて、解散・清算に必要な具体的な費用(法定費用・専門家費用の内訳)や手続きの全体的な流れを詳しく解説します。また、個人事業主との明確な違いを比較しながら、設立時から準備すべき「出口戦略(イグジット)」の考え方についても体系的にまとめました。
事業が順調に成長した際のM&Aによる売却であれ、万が一の際の解散であれ、最終的な着地点をあらかじめイメージしておくことで、現在の事業計画はより強固なものになります。会社設立の手続きを進める前に、ぜひ本記事を通じて「会社をたたむ際の実務とコスト」をしっかりと理解し、後悔のない起業準備にお役立てください。
会社設立前に知っておくべき「解散」と「清算」の基礎知識
会社を設立する際、多くの方は事業の成長や成功に目を向けますが、経営には常に「廃業」というリスクも伴います。いざという時に慌てないためにも、出口戦略として会社をたたむ際の手続きやコストを事前に把握しておくことは、堅実な経営計画の第一歩です。
会社を辞める際によく混同されがちな言葉として「解散」と「清算」がありますが、これらは法律上全く異なる手続きです。ここでは、それぞれの意味と、将来を見据えて知っておくべき実務的な知識を解説します。
「解散」とは?営業活動を終了し、会社を消滅させる手続きの開始
解散とは、会社が本来の営利目的の営業活動を止め、会社を消滅させるための手続きに入ることを指します。多くの場合、株主総会の決議などによって解散が決定されます。
注意すべき点は、解散の手続きを行っただけでは会社は完全に消滅しないということです。解散の登記を行った後も、法人格は「清算目的の範囲内」で存続し続けます。
つまり、解散はあくまで「これ以上の新しい商売はしません」という宣言であり、会社を終わらせるためのスタートラインに立った状態と言えます。その後は、会社に残された財産や負債を整理するフェーズへと移行します。
「清算」とは?会社の財産や債務を整理する具体的な後処理
清算とは、解散した会社に残った売掛金の回収、保有する資産の売却、債務(借金や未払い金など)の返済を行う、具体的な金銭的後片付けのプロセスです。
負債をすべて清算し、それでもなお手元に残った財産(残余財産)があれば、最終的に株主へ分配されます。これらの後片付けがすべて終わり、法務局で「清算結了」の登記を行うことで、初めて会社は法的に完全に消滅します。
清算手続きにおいては、会社法に基づき、債権者に対して「会社が解散したこと」を知らせるために、最低2ヶ月間は官報に公告を掲載する義務があります。そのため、手続きを急いでも一定の期間が必ずかかる点に留意が必要です。
会社をたたむ際にかかる費用と個人事業主との違い
会社を法的に消滅させるためには、国への登記や公告などの「会社 解散 費用」が必ず発生します。個人事業主が廃業する場合とは異なり、法人をたたむには厳格な法的プロセスと相応のコストが求められます。
まず、手続きに最低限必要な法定費用は以下の通りです。登録免許税や官報公告代を含め、約7万〜8万円程度が必要となります。
| 費用の種類 | 内訳・目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 合計 41,000円 | 解散登記3万円、清算人選任9千円、清算結了2千円 |
| 官報公告代 | 約3万〜4万円前後 | 掲載文字数によって変動 |
| 法定費用合計 | 約7万〜8万円 | 自分で手続きした場合の最低費用 |
さらに、解散・清算の手続きは非常に複雑で専門知識を要するため、税理士や司法書士などの専門家へ依頼するのが一般的です。
司法書士への登記代行費用の相場は約4万〜8万円、税理士への確定申告(解散時および清算時)の依頼費用は約8万〜20万円が目安です。そのため、専門家費用を含めると、合計で約15万〜30万円前後の支出を見込んでおく必要があります。
個人事業主の廃業手続きと比較すると、その違いはより明確になります。
| 比較項目 | 個人事業主の廃業 | 法人の解散・清算 |
|---|---|---|
| 手続きの難易度 | 税務署等へ廃業届を提出するのみ | 株主総会決議、登記、官報公告、税務申告など複雑 |
| コスト(法定費用) | 0円(無料) | 最低約7万〜8万円(専門家費用は別途発生) |
| 完了までの期間 | 即日廃業が可能 | 債権者保護手続きのため最低2ヶ月以上が必要 |
会社法第499条では、清算株式会社は解散後遅滞なく、債権者に対して一定の期間内(2箇月を下ることができない)にその債権を申し出るべき旨を官報に公告しなければならないと定められています。これにより、法人の解散・清算には必ず時間的な制約が生じます。
このように、法人化すると社会的信用や節税メリットを得られる一方で、事業を辞める際のハードルは個人事業主よりも高くなります。将来の出口戦略を見据え、以下のポイントを事前に確認しておくことが重要です。
- 事業撤退時の解散・清算にかかる費用(約15万〜30万円)を予備費として想定しておく
- 解散してもすぐに会社は消滅せず、最短でも2ヶ月以上の期間がかかることを理解する
- 清算手続き中に発生する税務申告(解散確定申告・清算確定申告)の義務を把握する
- 複雑な手続きを円滑に進めるため、設立当初から信頼できる税理士や司法書士を見つけておく
会社の解散や清算は、経営状況や債権債務の有無によって最適な進め方が異なります。将来的に会社をたたむ、あるいはM&Aなどで事業を譲渡するといった選択肢を検討する際は、自己判断を避け、必ず税理士や司法書士などの専門家にご相談ください。

会社の解散・清算にかかる「法定費用」の内訳
会社を設立する際、将来の出口戦略(M&Aや解散など)まで見据えておくことは、経営者にとって非常に重要です。もし事業を畳む決断をした場合、会社 解散 費用は決して無料ではありません。
個人事業主であれば、税務署や都道府県税事務所へ廃業届などを提出するだけで完了し、法定費用はかかりません。即日での廃業も可能です。
しかし法人の場合、会社を法的に消滅させるためには厳格な手続きが求められます。たとえ事業が赤字であったり、休眠状態であったとしても、国への登記や公告にかかる「法定費用」が必ず発生することを理解しておきましょう。
国に支払う「登録免許税」:合計 41,000円
会社を解散し、最終的に法人格を消滅させるまでには、法務局において複数回の登記手続きを行う必要があります。この登記申請の際に国へ納める税金が「登録免許税」です。
具体的には、株主総会等で解散の決議をした旨を登記する「解散登記」、清算手続きの責任者を定める「清算人選任登記」、そしてすべての清算が完了したことを報告する「清算結了登記」の3段階に分かれます。
これらの一連の登記にかかる登録免許税は、合計で41,000円となります。登記手続きの概要については、法務局の法人登記に関する案内ページでも確認できます。
| 登記の種類 | 登録免許税 | 手続きの目的 |
|---|---|---|
| 解散登記 | 30,000円 | 会社が解散した事実を公に登記する |
| 清算人選任登記 | 9,000円 | 残務処理を行う清算人を選任したことを登記する |
| 清算結了登記 | 2,000円 | すべての清算が完了し会社が消滅したことを登記する |
法律で義務付けられている「官報公告代」:約3万〜4万円前後
登記費用に加えて必ず発生するのが「官報公告代」です。会社法では、会社が解散する際、会社の債権者(お金を貸している金融機関や未払い代金がある取引先など)を保護するための手続きが厳格に定められています。
そのため、解散を決議した後は、政府が発行する「官報」に「会社が解散したため、債権があれば一定期間内に申し出てください」という内容を掲載して知らせる義務があります。
会社法に基づく債権者保護手続きとして、解散した会社は遅滞なく、債権者に対して最低2ヶ月間、その債権を申し出るべき旨を官報に公告しなければならないと定められています。
この官報への掲載には実費がかかり、掲載する文字数や行数によって変動しますが、おおむね3万円から4万円前後が相場となります。詳細な掲載料金や申し込み手順については、独立行政法人国立印刷局の官報公式サイトをご参照ください。
自分で行う場合の最低コスト(合計:約7万〜8万円)
ここまで解説した「登録免許税」と「官報公告代」を合わせると、会社の解散・清算にかかる法定費用は約7万〜8万円となります。
専門家に頼まず、すべての書類作成と申請を経営者自身で行ったとしても、物理的にこの約7万〜8万円という金額は絶対に避けて通れません。
個人事業主の廃業コストが無料であることと比較すると、法人をたたむ際の手間とコストのハードルは非常に高いと言えます。さらに、実際の解散・清算手続きは債権債務の整理や残余財産の分配など、非常に複雑で専門知識を要します。
そのため、司法書士(登記手続きの代行)や税理士(解散・清算に伴う複数回の確定申告)に依頼するのが一般的です。専門家へ依頼した場合、司法書士へ約4万〜8万円、税理士へ約8万〜20万円ほどの報酬がかかり、法定費用と合わせると総額で約15万〜30万円前後の資金が必要になるケースが多くなります。
- 解散にかかる最低限の法定費用(約7万〜8万円)をあらかじめ確保しておく
- 官報公告には最低2ヶ月の期間が必要なため、スケジュールに余裕を持つ
- 解散確定申告と清算確定申告の2回の税務申告が必要なことを理解する
- 手続きの複雑さを考慮し、早めに司法書士や税理士へ相談を打診する
会社設立を検討する際は、事業が順調に成長したケースだけでなく、万が一事業を閉じる際のコストや期間も事前にシミュレーションしておくことが、堅実な経営計画に繋がります。具体的な手続きの進め方や自社の状況に合わせた正確な費用については、必ず税理士や司法書士などの専門家にご相談ください。

専門家(税理士や司法書士)へ依頼する場合の費用相場
会社をたたむための解散・清算手続きは、単に事業を停止するだけでは完了しません。債権者保護の手続きや残余財産の分配など、会社法に基づいた厳格な法的プロセスを踏む必要があります。
これらの手続きには、法律や税務に関する高度な専門知識が求められます。そのため、経営者自身ですべての書類作成や申告を行うのではなく、司法書士や税理士といった専門家に依頼するのが一般的です。
ここでは、手続きを専門家に依頼した場合にかかる費用の相場について詳しく解説します。最終的な会社 解散 費用は、会社の規模や債権債務の状況によって大きく変わるため、事前にしっかりと把握しておくことが重要です。
司法書士の費用相場(登記手続きの代行):約4万〜8万円
会社の解散や清算に関する法務局への登記申請は、法務の専門家である司法書士に依頼することになります。司法書士への報酬相場は、おおよそ4万〜8万円程度です。
この費用には、法務局への解散登記、清算人選任登記、そして最終的な清算結了登記の申請書類の作成と提出代行が含まれます。法人の登記手続きは厳密な要件が定められており、書類に不備があると手続きが遅れる原因となります。
なお、実際の報酬額は、役員の人数や株主構成の複雑さによって変動します。また、官報公告の手配まで一括して依頼する場合は、追加の代行手数料が発生することもあります。登記手続きの全体像については、法務局の商業・法人登記に関する案内も参考にしてください。
税理士の費用相場(解散・清算に伴う確定申告):約8万〜20万円
解散・清算手続きにおいて、税務面での処理は非常に複雑です。そのため、税理士への依頼費用として約8万〜20万円を見込んでおく必要があります。
会社を解散する場合、通常の決算とは異なり、特殊な税務申告が2回必要になります。まず、解散日を期末とした「解散確定申告」を行い、その後、残余財産が確定した段階で「清算確定申告」を行わなければなりません。
これらの申告では、資産の換価処分や負債の整理に伴う損益を正確に計算する必要があります。資産や負債の整理状況、帳簿の整理状態が複雑であるほど、税理士の作業量が増えるため費用は高額になる傾向があります。税務申告の規定については、国税庁の法人税に関する案内などで確認できます。
専門家費用の合計目安:約15万〜30万円前後
司法書士と税理士へ依頼する費用の合計目安は、約15万〜30万円前後となります。これに加えて、国へ納める登録免許税や官報公告代といった「法定費用」が必ず発生します。
法定費用の約7万〜8万円と専門家費用を合わせると、会社をたたむだけで総額23万〜38万円程度のキャッシュが必要になるという現実を理解しておく必要があります。事業が行き詰まり資金が完全に枯渇してからでは、正しい手続きを踏んで会社を閉じることができなくなってしまいます。
| 費用の種類 | 依頼先・支払先 | 目安となる金額 |
|---|---|---|
| 法定費用 | 法務局・官報販売所 | 約7万〜8万円 |
| 司法書士報酬 | 司法書士事務所 | 約4万〜8万円 |
| 税理士報酬 | 税理士事務所 | 約8万〜20万円 |
| 解散・清算の総額 | – | 約23万〜38万円程度 |
起業を検討している段階から、将来の廃業リスクやM&Aなどの出口戦略を見据えておくことは、経営者にとって非常に重要です。万が一事業を畳むことになった際にも、スムーズに手続きを進められるよう、一定の予備資金を確保しておくことをおすすめします。
専門家へ依頼する前に、以下の項目を整理しておくと、費用の見積もりや手続きの準備がスムーズに進みます。
- 現在の会社の資産および負債の明細リスト
- 直近の決算書および総勘定元帳のデータ
- 株主名簿および役員の一覧表
- 未回収の売掛金や未払いの買掛金の状況
- 会社の定款および登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
実際の会社 解散 費用や手続きにかかる期間は、個別の状況によって大きく異なります。最終的な判断や具体的な手続きの進め方については、自己判断せず、必ず信頼できる税理士や司法書士などの専門家に直接相談するようにしてください。

【徹底比較】個人事業主の廃業と法人の解散・清算の違い
起業や法人化を検討する際、多くの方が「設立時の手続きや費用」に注目しがちです。しかし、将来的に事業をたたむことになった場合の「出口戦略」も、あらかじめ理解しておくことが重要です。
個人事業主として事業を終了する場合と、法人(会社)を法的に消滅させる場合とでは、手続きの手間や期間に大きな差が生じます。特に会社 解散 費用をはじめとするコスト面での負担は、見落とされがちなポイントです。
ここでは、事業の出口におけるリスクや手間の違いについて、3つの重要な観点から詳しく比較していきます。
| 比較項目 | 個人事業主の廃業 | 法人の解散・清算 |
|---|---|---|
| 手続きの難易度 | 届出書の提出のみ(簡単) | 登記、公告、複数回の申告など(複雑) |
| 費用の目安 | 0円(無料) | 約7万〜30万円以上 |
| 完了までの期間 | 即日 | 最低3ヶ月 |
手続きの難易度(届出のみ vs 厳格な法的プロセス)
個人事業主が事業を辞める場合、手続きは非常にシンプルです。基本的には、所轄の税務署や都道府県税事務所へ「個人事業の開業・廃業等届出書」などの必要書類を提出するだけで完了します。
これに対し、法人の場合は会社法に基づいた厳格な法的プロセスを踏まなければなりません。単に営業を停止するだけでは法人は消滅せず、解散と清算という2つの大きな手続きを順番に行う必要があります。
具体的には、株主総会での解散決議に始まり、法務局への複数回の登記申請が求められます。さらに、債権者保護の手続きや残余財産の分配、解散時と清算結了時の2回にわたる確定申告など、多岐にわたる実務が発生します。
- 株主総会での解散および清算人の選任決議
- 法務局への解散登記・清算人選任登記の申請
- 官報での解散公告および知れている債権者への個別催告
- 解散日を区切りとした解散確定申告の実施
- 残余財産の確定・分配と清算結了登記、清算確定申告
コストの違い(0円 vs 数十万円)
事業をたたむ際にかかるコストにも、明確な違いがあります。個人事業主の場合、廃業にあたって登記や官報への公告は不要なため、税務署等への届出にかかる法定費用は0円(無料)です。
一方、法人の場合は、手続きをすべて自分で行ったとしても、必ず国に納める法定費用が発生します。解散・清算に関する登録免許税(合計41,000円)と、官報公告の掲載費用(約3万〜4万円前後)を合わせると、最低でも約7万〜8万円の支出が避けられません。
さらに、手続きの複雑さから、司法書士や税理士などの専門家に実務を依頼するのが一般的です。司法書士への登記代行(約4万〜8万円)や、税理士への特殊な確定申告の依頼(約8万〜20万円)を含めると、会社 解散 費用は総額で15万〜30万円前後になることも珍しくありません。
会社を法的に消滅させるためには、設立時と同様にまとまった資金が必要になります。経営状況が悪化してからでは解散にかかる法定費用すら捻出できないケースもあるため、資金に余力があるうちに出口を検討することが重要です。
期間の違い(即日 vs 最低3ヶ月)
手続きが完了するまでの期間についても、個人事業主と法人では大きく異なります。個人事業主であれば、事業を停止して廃業届を提出したその日から、実質的に即日廃業とすることが可能です。
しかし法人の場合、会社法によって「債権者保護手続き」が厳格に義務付けられています。会社が解散することを官報に公告し、債権者に対して「債権があれば申し出てください」と呼びかける期間を最低2ヶ月間設けなければなりません。
この2ヶ月間が経過するまでは、残余財産の分配や清算結了の手続きを進めることが法律上禁止されています。そのため、法人の解散・清算手続きは、どんなにスムーズに進行しても最短で3ヶ月程度の期間を要します。
このように、法人化には信用力の向上や節税効果といったメリットがある半面、事業を終了する際のハードルは高くなります。将来的なリスクやM&Aなどの選択肢も含め、最終的な方針については、あらかじめ国税庁の法人税申告手続き等で概要を確認しつつ、信頼できる税理士や司法書士へ相談して慎重に計画を立てることをお勧めします。

会社解散・清算の具体的な手続きの流れ(フロー)
事業の出口戦略としてM&Aや事業承継が選ばれる一方で、やむを得ず会社をたたむ選択をするケースもあります。個人事業主の廃業とは異なり、法人の場合は厳格な法的手続きと複数回の税務申告が義務付けられています。
将来を見据えて、事前に会社 解散 費用や手続きの全体像を把握しておくことは、起業家にとって重要なリスク管理となります。ここでは、実際に会社を法的に消滅させるまでの具体的なステップを時系列で解説します。
法人を完全に消滅させるには、最低でも2ヶ月以上の期間と数十万円単位の費用がかかる点に注意が必要です。計画的に準備を進めるためにも、全体像をしっかりと理解しておきましょう。
ステップ1:株主総会での「解散決議」と「清算人の選任」
株式会社を解散するためには、会社の最高意思決定機関である株主総会での特別決議が必要です。議決権の過半数を有する株主が出席し、その3分の2以上の賛成を得るという厳格な手続きが求められます。
同時に、解散後の清算実務を取り仕切る「清算人」を選任します。通常は、会社の資産や負債の状況を最も把握している代表取締役が、そのまま清算人に就任するケースが一般的です。
清算人は、これ以降のすべての清算手続きの責任者となります。会社の営業活動を終了させ、財産を整理していく重要な役割を担うことになります。
ステップ2:解散登記・清算人選任登記(解散から2週間以内)
株主総会で解散と清算人が決まったら、解散日から2週間以内に管轄の法務局へ登記申請を行います。具体的には「解散登記」と「清算人選任登記」の2種類を同時に申請することになります。
この手続きには法定費用として登録免許税がかかり、解散登記に30,000円、清算人選任登記に9,000円の合計39,000円が必要です。登記申請書の作成は専門的な知識を要するため、司法書士へ代行を依頼するのが確実です。
手続きの詳細や必要書類については、法務省の商業・法人登記窓口などの公的情報を確認し、不備のないように準備を進めましょう。
ステップ3:官報公告の掲載(債権者への催告)
会社を解散する際、会社法によって債権者保護手続きが義務付けられています。これは、会社に未払い金や借入金がある場合、債権者が不利益を被らないようにするための重要なルールです。
具体的には、解散した事実と「一定期間内に債権を申し出てください」という内容を、官報に掲載して公告します。公告期間は法律で最低2ヶ月間と定められており、この期間を短縮することはできません。
官報への掲載には、文字数や行数に応じて約3万〜4万円前後の官報公告代が発生します。公告の手配から掲載まで時間がかかることもあるため、解散決議後速やかに申し込むことが推奨されます。
ステップ4:解散確定申告(解散から2ヶ月以内)
法人が解散した場合、通常の決算期とは別に税務申告を行わなければなりません。事業年度の開始日から解散日までの期間を一つの事業年度とみなし、「解散確定申告」を行うことになります。
申告期限は、解散日の翌日から2ヶ月以内と定められています。通常の決算業務に加えて、解散特有の複雑な税務処理が必要になるため、自力で行うのは非常に困難です。
申告漏れや計算ミスを防ぐためにも、正確な申告書の作成は税理士などの専門家に依頼することをおすすめします。税理士報酬の相場は、事業規模により異なりますが約8万〜20万円程度が目安となります。
ステップ5:清算事務(債権回収・債務弁済・残余財産の分配)
官報公告の2ヶ月間が経過し、債権者からの申し出をすべて受け付けた後、清算人は本格的な清算事務に取り掛かります。まずは会社の保有する設備や在庫などの資産をすべて売却して現金化し、売掛金などを回収します。
集めた資金をもとに、買掛金や金融機関からの借入金、未納税金などの債務をすべて弁済します。万が一、資産よりも負債が上回る(債務超過)場合は、通常の清算手続きではなく「特別清算」や「破産」の手続きに移行する必要があります。
すべての支払いを終えた後に残った財産(残余財産)があれば、持ち株比率に応じて株主に分配します。これで会社の財産は完全にゼロになります。
ステップ6:清算結了登記と清算確定申告
残余財産の分配まで完了し、会社の財産がゼロになった段階で、清算事務は終了となります。この残余財産が確定した日から1ヶ月以内に、最後の税務申告である「清算確定申告」を行います。
税務申告を終えた後、法務局へ清算結了登記を申請します。この最後の登記には、登録免許税として2,000円がかかります。
法務局で清算結了登記が完了して初めて、法人は法的に完全に消滅することになります。その後、税務署や自治体へ「異動届出書(清算結了)」を提出し、すべての手続きが完了します。
| ステップ | 手続きの概要 | 期限・期間の目安 | 法定費用の目安 |
|---|---|---|---|
| 1. 株主総会 | 解散決議と清算人の選任 | 随時 | なし |
| 2. 解散・清算人登記 | 法務局への登記申請 | 解散から2週間以内 | 登録免許税 39,000円 |
| 3. 官報公告 | 債権者への催告 | 最低2ヶ月間 | 約3万〜4万円 |
| 4. 解散確定申告 | 解散日までの税務申告 | 解散から2ヶ月以内 | なし(※税理士報酬別途) |
| 5. 清算事務 | 債権回収・債務弁済・分配 | 公告期間終了後 | 実費 |
| 6. 清算結了登記 | 最後の申告と消滅登記 | 残余財産確定後 | 登録免許税 2,000円 |
- 会社の資産と負債の正確な状況を事前に把握しているか
- 債務超過に陥っておらず、通常の清算手続きが可能か確認したか
- 官報公告の申し込み手続きを早めに手配する準備ができているか
- 登記手続きを依頼する司法書士の選定と見積もりを終えているか
- 複数回の税務申告に対応できる税理士へ事前に相談しているか

会社設立の段階から「出口戦略(イグジット戦略)」を考えるべき理由
会社設立という希望に満ちたタイミングで、「事業をやめるときのこと」を考えるのは縁起が悪いと感じるかもしれません。しかし、法人化において出口戦略(イグジット戦略)を事前に描いておくことは、健全な経営を行う上で最も重要なステップの一つです。
事業は必ずしも右肩上がりで成長し続けるとは限りません。将来、想定外の業績悪化や後継者不足に直面した際、どのように事業の幕引きを図るのかをあらかじめ想定しておくことで、経営の選択肢を広げ、リスクを最小限に抑えることができます。
特に個人事業主から法人成りする場合、事業をたたむ際の手間とコストには大きな違いがあることを理解しておく必要があります。
| 比較項目 | 個人事業主(廃業) | 法人(解散・清算) |
|---|---|---|
| 手続きの難易度 | 税務署等へ「廃業届」を提出するのみ | 株主総会決議、登記、官報公告、税務申告など |
| 費用の目安 | 0円(無料) | 法定費用と専門家報酬で約15万〜30万円前後 |
| 完了までの期間 | 即日廃業が可能 | 債権者保護手続きのため最低2ヶ月以上 |
事前のシミュレーションが不可欠な理由
将来的に事業の継続が困難になった際、何の準備もしていないと、経営者個人に多大な社会的・金銭的ダメージが降りかかります。事業を終わらせるための資金すら手元に残っていない状況に陥る前に、撤退ラインを決めておくことが重要です。
法人の場合、事業を完全に消滅させるためには厳格な法的手続きが必要です。ここで注意すべきなのが、会社 解散 費用の存在です。会社をたたむためだけでも、決して安くないコストが発生します。
具体的には、解散登記や清算人選任登記などの登録免許税(合計41,000円)や、債権者に対して解散を知らせる官報公告代(約3万〜4万円前後)といった法定費用だけで、約7万〜8万円が必要です。
さらに、手続きは非常に複雑であり、解散時と清算結了時の複数回にわたる税務申告も求められます。そのため、司法書士や税理士といった専門家へ依頼するのが一般的であり、専門家報酬を含めたトータルの会社 解散 費用は、約15万〜30万円前後を見込んでおく必要があります。
万が一の事態に備え、従業員の解雇や取引先への不義理といったトラブルを避けるためにも、以下のような準備をしておくことが推奨されます。
- 解散・清算にかかる費用(約15万〜30万円)を常に確保しておく
- 赤字が一定期間続いたら撤退する、という明確な基準を設ける
- 従業員の再就職支援や取引先への影響を最小限にする手順を想定する
選択肢1:会社を存続させ創業者利益を得る「M&A(事業売却・株式譲渡)」
出口戦略は、単に会社をたたむことだけではありません。近年、中小企業やスタートアップの有効な出口戦略として注目されているのが、第三者へ会社や事業を売却する「M&A」です。
M&Aによる事業売却や株式譲渡を選択すれば、会社を解散・清算する必要はありません。事業そのものは新しいオーナーの下で存続するため、従業員の雇用を守り、取引先との関係を維持することができます。
同時に、経営者自身も事業を育て上げた対価として売却益(創業者利益)を得ることができます。会社をたたんで多額の費用を支払うのではなく、利益を得て次のステップへ進める理想的な出口戦略と言えるでしょう。
将来のM&Aを選択肢に入れるためには、設立当初から公私混同のない透明性の高い会計処理を行い、会社の企業価値を高める経営を心がけることが不可欠です。
選択肢2:一時的に会社を休ませる「休眠」という選択肢
業績悪化などで事業活動を停止せざるを得ないものの、「将来的に事業を再開する可能性がある」あるいは「今は解散費用を捻出できない」という場合もあるでしょう。その際の現実的な選択肢となるのが、会社を「休眠」させる方法です。
休眠とは、税務署や都道府県税事務所などに異動届(休眠届)を提出し、会社を存続させたまま一時的に活動を休止する状態を指します。費用をかけて解散・清算手続きを行う必要がなく、法人住民税の均等割の免除を受けられる可能性があります(※自治体により取り扱いが異なるため確認が必要です)。
ただし、休眠中であっても法人が消滅したわけではないため、毎年の税務申告(ゼロ申告)が原則として求められます。また、最後の登記から12年が経過すると、法務局によって強制的に解散させられる「みなし解散」の対象となる点には注意が必要です。
休眠はあくまで一時的な措置であり、根本的な解決にはなりません。最終的に会社をどうするのか、解散・清算を進めるべきかについては、税理士や司法書士などの専門家に相談して慎重に判断することをおすすめします。

まとめ:会社設立から出口までを見据えた経営を
会社設立は事業のゴールではなく、あくまでスタートラインに過ぎません。事業を成長させるための戦略を練るのと同時に、「どのように事業を終わらせるか」という出口(イグジット)までをデザインしておくことが、一流の経営者としての重要なリスクマネジメントです。
特に法人の場合、事業をやめる際の手続きは個人事業主と大きく異なります。いざという時に慌てないよう、あらかじめ会社 解散 費用や期間の目安を正しく理解し、計画的な経営を行うことが求められます。
会社をたたむ(解散・清算)重みとコストの再確認
法人の解散には厳格な法的手続きが必要であり、個人事業主の廃業とは比較にならないほどの手間とコストがかかります。個人事業主であれば税務署への届出のみ(法定費用0円)で即日廃業が可能ですが、法人の場合はそうはいきません。
会社法に基づき、債権者を保護するための官報公告義務や複数回の登記、税務申告など、最低でも3ヶ月以上の期間を要します。また、手続きにかかる費用も決して少なくありません。
| 項目 | 費用の目安 | 内訳・備考 |
|---|---|---|
| 法定費用 | 約7万〜8万円 | 登録免許税(41,000円)、官報公告代(約3万〜4万円) |
| 専門家報酬(司法書士) | 約4万〜8万円 | 解散登記、清算人選任・結了登記の申請代行 |
| 専門家報酬(税理士) | 約8万〜20万円 | 解散時および清算結了時の確定申告 |
| 合計目安 | 約15万〜30万円前後 | ※会社の規模や債権債務の状況により変動します |
このように、会社の解散には最低でも約8万〜30万円程度の費用がかかります。事業が立ち行かなくなってからでは、この解散にかかる法定費用すら捻出できなくなる恐れがあるため、経営状態に余裕があるうちに出口戦略を考えておくことが不可欠です。
解散や清算の手続きに関する法的な要件については、法務省の商業・法人登記に関する案内も併せて確認し、正しい知識を持っておきましょう。
M&Aや休眠を含めた多様な選択肢を視野に入れる
出口戦略は「解散・清算」だけではありません。事業に価値があれば、第三者へ会社や事業を売却する「M&A」も有力な選択肢となります。M&Aであれば、従業員の雇用を守りつつ、創業者利益を得られる可能性があります。
また、一時的に事業を停止したい場合は、税務署や自治体に異動届出書を提出して「休眠会社」にするという方法もあります。休眠中は法人住民税の均等割が免除される場合が多く、多額の解散費用をかけずに会社を存続させることが可能です。
ただし、休眠中も税務申告の義務が完全に無くなるわけではありません。また、最後の登記から12年が経過した株式会社は、法務局により「みなし解散」の手続きがとられるため注意が必要です。
休眠会社とは、最後の登記から12年を経過した株式会社を指します。法務大臣による官報公告後、2ヶ月以内に事業を廃止していない旨の届出や登記申請をしない場合、解散したものとみなされ、職権で解散の登記がされます。
出典:法務省:休眠会社・休眠一般法人の整理作業について
信頼できる専門家とのパートナーシップを築く
会社設立時から出口を見据えた経営を行うためには、法務や税務の専門知識が欠かせません。設立手続きの段階から、司法書士や税理士などの専門家とつながりを持っておくことを強く推奨します。
- 設立当初から自社の経営状況を把握してくれる税理士を見つける
- 登記や法務のトラブルに備え、相談しやすい司法書士と関係を築く
- 将来のM&Aや事業承継に関する情報収集を怠らない
- 解散費用(約8万〜30万円)を常に内部留保として確保しておく
専門家は、単なる手続きの代行者ではなく、経営の伴走者です。適切なタイミングでM&Aの提案を受けたり、解散・清算のベストな時期を相談したりすることで、経営のダメージを最小限に抑えることができます。
解散に伴う税務申告は非常に複雑です。事業年度の特例や残余財産の確定など、専門的な判断が求められるため、最終的な手続きや判断は必ず税理士へ相談してください。(参考:国税庁:解散確定申告書の提出)
会社設立は、大きな希望と同時に責任を伴う決断です。設立手続きに全力を注ぐだけでなく、将来のあらゆるシナリオを想定し、専門家のサポートを得ながら、持続可能で安全な経営を目指してください。
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この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

