2026.09.7

会社設立

法人設立ワンストップサービスの使い方と対象手続きを解説

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読了目安時間:約 7分

目次

導入文

法人設立ワンストップサービスを利用すれば、法人設立に伴う対象手続をオンラインでまとめて申請できます。ただし、申請を円滑に進めるには、マイナンバーカードや対応端末、電子署名済みの添付ファイルなどの事前準備が必要です。

法人設立ワンストップサービスとは、法人設立に関する複数省庁の手続を一括してオンライン申請できる、デジタル庁運営の無料サービスです。会社を設立する際は、法務局や公証役場だけでなく、税務署、地方自治体、年金事務所など、複数の機関への申請・届出が発生します。

窓口や個別のオンラインシステムを行き来する負担を抑えられる一方、すべての準備や判断が自動化されるわけではありません。利用前には、対象となる手続と申請環境を確認し、必要な書類や電子署名の有無を整理しておくことが重要です。

この記事では、2026年9月6日時点の公的情報に基づき、対象手続、必要な端末・アプリ、申請から結果確認までの流れ、電子署名の扱い、利用時に失敗しやすい点を解説します。個別の期限や提出内容は申請先によって異なる場合があるため、不明点は税理士や司法書士などの専門家にもご確認ください。

法人設立ワンストップサービスとは?できることと基本情報

法人設立ワンストップサービスは、法人設立に関係する複数省庁への手続きをまとめてオンライン申請できる、デジタル庁運営の無料サービスです。法務局や税務署などへ個別に出向く負担を抑えたい方に適しています。

どのような手続きをオンライン化できる?

設立登記をはじめ、設立に伴う税務・社会保険関係などの手続きをオンラインで申請できます。各機関の窓口を順番に訪れる代わりに、一つのサービス上で必要な申請を進められる点が主なメリットです。

2020年1月20日に定款認証・設立登記以外の手続から利用が始まり、2021年2月26日には定款認証、設立登記、GビズID発行も対象となりました。現在は、会社設立前後の手続きをまとめるための窓口として利用できます。

利用時間と料金は?

サービス利用料は無料で、メンテナンスなどを除き原則24時間利用できます。営業時間中に窓口へ行きにくい経営者でも、自宅や事務所から申請を進められます。

項目 基本情報
サービス利用料 無料
利用可能時間 原則24時間
運営 デジタル庁

無料になるのはサービス利用料であり、登録免許税や定款認証手数料などの法定費用は別途必要です。費用の要否や金額は、選択する法人形態や申請内容に応じて確認してください。

設立登記の完了後でも利用できる?

設立登記がすでに完了していても、法人設立ワンストップサービスから設立に伴う税務・社会保険関係の手続だけを申請できます。登記と同時に利用する方だけのサービスではないため、未提出の届出がある場合も活用を検討できます。

ただし、必要な届出や期限は法人の状況によって異なります。判断に迷う場合は、税理士や司法書士などの専門家へ確認すると安心です。

複数の行政機関への法人設立手続をオンラインで一元化するイメージ

法人設立ワンストップサービスの対象手続はどこまで?

法人設立ワンストップサービスでは、定款認証・設立登記から、設立後の税務、社会保険等の届出までをオンラインで申請できます。ただし、必要な手続は法人形態、役員報酬、従業員の雇用状況などで異なるため、「かんたん問診」で対象手続を確認することが重要です。

登記・定款に関する対象手続

株式会社の原始定款は公証人の認証が必要ですが、合同会社は定款認証を受けずに設立登記を行います。公式FAQで確認できる主な申請区分は次のとおりです。

  • 商業登記電子証明書の発行同時申請用
  • 株式会社の定款認証・商業登記電子証明書の発行同時申請用
  • 合名会社・合資会社・合同会社用
  • 株式会社の定款認証同時申請以外用
  • 株式会社の定款認証同時申請用

税務・社会保険等に関する対象手続

設立後の届出も、次の分野に分けて法人設立ワンストップサービスから申請できます。設立登記が完了している場合でも、税務・社会保険関係の手続のみを選択できます。

  • 国税関係
  • 地方税関係
  • 健康保険・厚生年金保険関係
  • 労働保険・雇用保険関係
  • GビズIDの発行申請

すべての法人に同じ届出が必要になるわけではありません。特に地方税関係の期限は自治体ごと、労災保険率は業種ごとに異なるため、申請先の案内を個別に確認してください。

株式会社と合同会社で対象手続はどう違う?

主な違いは、公証人による定款認証の要否です。税務・社会保険関係は法人形態だけでなく、事業や雇用の状況に応じて必要性を判断します。

手続 株式会社 合同会社
定款の作成 必要 必要
公証人の定款認証 必要 不要
設立登記 必要 必要
税務・社会保険 状況に応じて必要 状況に応じて必要

法人形態に対応した申請区分を選ぶ必要があるため、迷う場合は司法書士や税理士などの専門家へ確認すると安心です。

法人設立ワンストップサービスの対象手続を行政機関別に整理した一覧表

利用前に必要なものは?対応端末・アプリ・添付書類

法人設立ワンストップサービスの利用前には、対応端末、マイナンバーカードと暗証番号、必要なアプリ、添付ファイルを準備します。申請途中のエラーややり直しを防ぐため、次の項目を事前に確認してください。

  • OSとブラウザが対応しているか確認する
  • マイナンバーカードと暗証番号を用意する
  • 必要なアプリ・ソフトをインストールする
  • 添付書類を指定形式で作成する
  • カードの読み取り方法を決める
端末 対応OS ブラウザ
Windows 10・11 Edge・Chrome
Mac macOS 13.0以降 Safari・Chrome
Android 6.0以降 Chrome
iPhone iOS 14以降 Safari
iPad iPadOS 14以降 Safari

Microsoft EdgeのIEモードでは、マイナポータルアプリを利用できません。対応状況は変更される可能性があるため、申請直前に公式の動作環境を確認しましょう。

申請時と申請状況の照会時には、実物またはスマートフォンのマイナンバーカードが必要です。iPhoneのマイナンバーカードを使う場合は、スマートフォン上のカードと実物のカードを両方用意し、必要な暗証番号も確認しておきます。

原則として法人代表者本人のカードを使用します。代表者以外が国税関係の届出を提出すると、税務署から問い合わせを受ける可能性があります。

PCではマイナポータルアプリとブラウザ拡張機能、iPhone・Androidではマイナアプリを準備します。登記書類の作成には法務省「申請用総合ソフト」、電子署名付きPDFにはAdobe Acrobat、PDF署名プラグイン、JPKI利用者ソフト、商業登記電子証明書の同時申請には商業登記電子認証ソフトを使用します。

ただし、これらがすべて必須とは限りません。選択する手続や書類の作成方法に応じて、必要なソフトを公式FAQで確認してください。

対応スマートフォンでPC画面のQRコードを読み取る方式なら、ICカードリーダーは不要です。PCにマイナンバーカードを直接読み取らせる場合は、対応するICカードリーダライタが必要です。

種類 対応形式
PDF .pdf
画像 .jpeg・.jpg
テキスト .txt・.csv

利用できる形式は添付書類ごとに異なります。スマートフォンで撮影した画像を添付できる場合もありますが、不鮮明な画像は申請先から確認を求められる可能性があるため、文字や印影を読める状態で保存しましょう。

法人設立ワンストップサービスの利用前チェックリストと対応環境表

【読む価値:実際の流れ】申請開始から結果確認までどう進む?

法人設立ワンストップサービスは、事前準備、問診、本人確認、入力・送信、結果確認の順に進めます。複数の手続をまとめて選べますが、提出後は申請先ごとに受付・審査されるため、すべての結果を個別に確認する必要があります。

申請前には何を準備する?

法人形態、商号、本店所在地、役員などの基本事項を決め、対応OS・ブラウザとマイナポータルアプリ等の利用環境を整えます。代表者のマイナンバーカードと暗証番号も手元に用意してください。

  • 定款、登記関係書類、各種届出に必要な情報をそろえる
  • 必要に応じて添付ファイルへ電子署名を付ける
  • 別経路で提出済みの届出を整理する

問診から送信まではどう操作する?

「かんたん問診」に回答し、提示された申請・届出を確認して、実際に提出する手続を選びます。問診結果をそのまま採用せず、雇用状況や税務上の選択事項が自社の実態と合うか確認することが重要です。

続いてマイナンバーカードから氏名等を読み取り、法人情報、代表者情報、申請内容を入力します。添付書類を登録し、提出先を確認したうえで電子署名を行い、申請データを送信します。

入力内容は端末へ保存して後から再開できます。180分以上操作しないと自動切断されるため、作業を中断する場合はこまめに保存しましょう。

送信後は何を確認する?

サービス上で申請状況と申請結果を確認し、補正や内容確認の連絡があれば案内に従って対応します。「送信完了」は「手続完了」ではないため、各提出先の結果確認まで行ってください。

登記前なら定款認証・設立登記を含む必要な手続を選び、登記済みなら税務・社会保険など未提出分だけを選択します。二重提出を避けるため、不明点は税理士や司法書士などの専門家へ確認すると安心です。

申請前の準備から結果確認までの時系列フローチャート

電子署名はどの書類に必要?電子定款の扱いも解説

法人設立ワンストップサービスでは、基本的に申請データの送信時にマイナンバーカード等による電子署名が必要です。これとは別に、設立登記や電子定款の認証などでは、添付ファイル自体にも事前に電子署名を付けます。

申請データと添付ファイルの電子署名はどう違う?

送信時の電子署名は、申請者本人の電子的な本人確認と、申請データが改ざんされていないことの確認に使われます。一方、添付書類への電子署名は、対象ファイルを作成した段階で付与しておくものです。

公式FAQによると、事前に電子署名した添付ファイルが必要となる主な手続は次のとおりです。

  • 電磁的記録の認証の嘱託(電子定款の認証)
  • 定款認証同時申請を含む株式会社の設立登記申請
  • 合名会社・合資会社・合同会社の設立登記申請
  • 定款認証同時申請以外の株式会社の設立登記申請
  • 電子署名付き委任状を使用する申請

対象書類を単にPDF化しただけでは、電子署名の要件を満たさない場合があります。送信前に、署名情報が正しく付与されているか確認してください。

電子署名済み添付書類にはどの形式がある?

添付書類には、PDFそのものに署名情報を付ける形式と、PDFとXML形式の署名情報を一組にする形式があります。両者はファイル構成が異なるため、取り扱いにも注意が必要です。

形式 内容 注意点
電子署名付きPDF PDF自体に署名情報を付与 署名の有効性を確認
署名付きPDFフォルダ PDFとXML署名情報の一組 構成を変更しない

法務省の申請用総合ソフトから出力したフォルダは、名称変更やファイルの移動をせず、構成を崩さない状態で扱います。不明点がある場合は、司法書士などへの確認が安全です。

電子定款にすると印紙税は不要?

電子定款では、紙の定款に必要な4万円の収入印紙が不要です。電子的記録は、印紙税の課税対象となる「文書」に含まれないためです。

ただし、電子化によって定款認証手数料など、ほかの設立費用まで不要になるわけではありません。会社形態や申請方法に応じた費用は、公証人や司法書士などの専門家へ事前に確認しましょう。

送信時の電子署名と添付書類への事前署名の違い

申請時に失敗しやすいポイントと期限上の注意

法人設立ワンストップサービスでは、入力途中の自動切断、提出時刻の遅れ、添付ファイルの不備が失敗につながりやすいポイントです。こまめな保存と期限前の送信、送信直前の内容確認を徹底しましょう。

入力途中のデータが消えるのを防ぐには?

180分以上操作がないと自動的に接続が切れます。保存していない場合は最初から入力し直す可能性があるため、書類の確認などで画面を離れる前にも保存してください。

入力内容は端末へ保存し、後から再開できます。保存ファイル名は「YYMMDD_ECOSS_Savedata」のような形式になるため、保存場所も確認しておくと再開時に迷いません。

期限当日の送信でも間に合いますか?

サービス自体は原則24時間利用できますが、国税関係の手続をe-Taxの受付時間外に送信すると、翌稼働日の提出扱いになることがあります。期限当日の夜間送信は避け、受付時間と提出結果を余裕を持って確認してください。

また、地方税関係の提出期限や取扱いは自治体によって異なる場合があり、労災保険率も業種により異なります。本店所在地の自治体、管轄税務署、年金事務所、労働局などで最新情報を個別に確認しましょう。

送信前に何を確認すべきですか?

添付先やファイル形式だけでなく、画像の文字・印影が読めるか、必要な電子署名が付いているかも確認します。特にスマートフォンで撮影した書類は、不鮮明だと申請先から内容確認を求められる可能性があります。

  • 添付先と指定ファイル形式が正しい
  • 文字や印影が鮮明で、ファイルを開いて内容を確認できる
  • 必要な電子署名が付与されている
  • 提出先と申請内容に誤りがない

期限や必要書類の判断に迷う場合は、送信前に税理士や司法書士などの専門家、各提出先へ確認すると安心です。

法人設立ワンストップサービスは、会社設立に伴う複数の行政手続をオンラインでまとめて進めたい方に適しています。平日に行政機関へ出向く時間を減らせるため、事業準備に集中したい方にとって有力な選択肢です。

特に、次の条件に当てはまる場合は、自分で利用しやすいでしょう。

  • 法人設立手続をオンラインで完結させたい
  • マイナンバーカードと対応スマートフォンを持っている
  • 株主構成や出資関係が比較的シンプルである
  • 定款や登記申請書類を自分で準備できる
  • 平日に複数の行政機関へ出向く時間を減らしたい
  • 設立登記後の税務・社会保険手続だけを申請したい

設立登記が完了している場合でも、税務や社会保険に関する手続だけを申請することが可能です。一方、オンラインで申請できても、定款の内容や登記事項、添付書類を自動的に適切な内容へ整えてくれるわけではありません。

株主構成や出資関係が複雑な場合、または定款・登記書類を自力で判断して作成することが難しい場合は、無理に単独で進めないことが重要です。登記は司法書士、税務は税理士、社会保険や労務は社会保険労務士など、手続の内容に応じた専門家への相談を検討してください。

まずは必要な手続と準備できる書類を整理し、自分で対応できる範囲を見極めることが大切です。判断に迷う事項があれば、司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士などへ確認したうえで、法人設立ワンストップサービスを活用しましょう。

よくある質問

Q. 法人設立ワンストップサービスは無料で利用できますか?

サービス利用料は無料で、メンテナンス時などを除き原則24時間利用できます。ただし、登録免許税や定款認証手数料などの法定費用は別途必要です。

Q. 設立登記が終わった後でも利用できますか?

設立登記の完了後でも、設立に伴う税務や社会保険関係の手続のみを申請できます。必要な届出や期限は法人の状況によって異なるため、迷う場合は税理士や司法書士などへ確認すると安心です。

Q. 法人設立ワンストップサービスの利用にマイナンバーカードは必要ですか?

申請時と申請状況の照会時には、実物またはスマートフォンのマイナンバーカードが必要です。原則として法人代表者本人のカードを使用し、必要な暗証番号も事前に確認しておきます。

Q. 法人設立ワンストップサービスの利用にICカードリーダーは必要ですか?

対応スマートフォンでPC画面のQRコードを読み取る方式なら、ICカードリーダーは不要です。PCにマイナンバーカードを直接読み取らせる場合は、対応するICカードリーダライタが必要です。

Q. 法人設立ワンストップサービスで送信すれば、すべての手続が完了しますか?

送信後は申請先ごとに受付・審査されるため、送信完了だけでは手続完了とは限りません。サービス上で各申請の結果を確認し、補正や内容確認の連絡があれば案内に従って対応する必要があります。

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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

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